JP3473651B2 - 自動変速機のセレクトレバー装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の自動変速機の
セレクトレバーをパーキング位置で収納できるようにし
た自動変速機のセレクトレバー装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車用自動変速機のセレクトレ
バー装置は、図９に示すように、セレクトレバーを車体
のフロア２に装着したフロア式のものがある。また、図
はないが、セレクトレバーをステアリングのステアリン
グコラムに装着したコラム式のものがある。

【０００３】なお、シフトレバー装置として、実開昭６
２−１３７１３１号公報に開示されているものがある。
この公報に開示されているものは、車体に固定したボッ
クスに軸方向摺動可能に組み付けられたシャフトと、こ
のシャフトおよび前記ボックスとに設けた凹凸を相互に
係合させてなるストッパとを設けると共に、前記シャフ
トを軸回り回転付勢手段で保持し、このシャフトを反回
転付勢方向に回動させて前記凹凸の係合を解除してシャ
フトを収納させるように摺動させるものである。

【０００４】なお、自動変速機の可倒式シフトレバー装
置として、実公平２−３２９２８号公報に記載されてい
るものがある。この公報に開示されているものは、デテ
ントピンを上下動可能に設けたシフトレバーの側部に前
記デテントピンが係合する位置決め孔を有するデテント
部材を配設し、このデテント部材に対向し、かつ、前記
デテントピンが係合してシフトレバーと共に回動する、
自動変速機に連繋するコントロールレバーを配設し、こ
のコントロールレバーには前記デテントピンの下方への
変位に伴って係合解除を許容する係脱溝を設けたもので
ある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来技術
において、セレクトレバー装置がフロア式であると、運
転席回りのスペースが制限され、運転席から助手席に、
助手席から運転席に移動する、いわゆるウオークスルー
をする場合、セレクトレバーが突出しているので、これ
が邪魔になってウオークスルーしにくい問題があった。
また、コラム式であると、ステアリングコラムの回りの
スペースが制限されてしまい、空調操作やオーディオ操
作をするのにセレクトレバーが各操作系を邪魔して操作
がしにくいという問題があった。

【０００６】なお、実開昭６２−１３７１３１号公報に
開示されているシフトレバー装置は、軸回り回転付勢手
段によって付勢したシャフトを車体に固定したボックス
に組み付け、このシャフトを反回転付勢方向に回動させ
てストッパを解除し、シャフトを収納するように軸方向
摺動させたものであるが、ボックスが収納されていない
ので突起物として邪魔になり、本発明の課題を完全に解
決していない。

【０００７】なお、実公平２−３２９２８号公報に記載
されている自動変速機の可倒式シフトレバー装置は、シ
フトレバーと共に回動するコントロールレバーにデテン
トピンの係合解除を許す係脱溝を設けてシフトレバーの
みを可倒させるようにして、ウオークスルーを可能にし
たものであるが、シフトレバーが車室内で可倒するだけ
なので、ウオークスルーを行ない難い問題がある。

【０００８】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたもので、自動変速機のセレクトレバーをパー
キング位置で収納できるようにし、運転席から助手席へ
の移動をし易くし、かつ、ステアリングコラムの回りに
スペースを持たせるようにした自動変速機のセレクトレ
バー装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、自動車の車体内部に自動変速機のセレクトレバー保
持用のセレクトベースを装着し、該セレクトベースに前
記セレクトレバーを備えたデテント部材を摺動自在に取
り付け、該デテント部材を前記セレクトベース内に収納
するための引込み付勢手段を設けると共に、前記デテン
ト部材に形成したデテント孔の各シフト位置に前記セレ
クトレバーに設けたデテントピンを常時付勢するピン付
勢手段を前記セレクトレバーに取り付け、該セレクトレ
バー及び前記デテント部材がセレクトベースに引き込ま
れるのを阻止するロックレバーを設け、前記デテント孔
のパーキング位置に前記ロックレバーの端部を臨ませ、
前記ロックレバーの端部にパーキング位置に付勢させた
前記デテントピンが当接すると、前記ロックレバーのロ
ックが解除され、前記セレクトレバー及び前記デテント
部材が前記引込み付勢手段により前記セレクトベース内
に収納されることを特徴とするものである。

【００１０】請求項２に記載の発明は、請求項１の発明
において、前記セレクトベースの内部の、デテント部材
のデテント孔に対向する側にデテントピンが当接するイ
ンナプレートを配設したことを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】請求項１記載の発明では、自動車の車体内部に
装着した自動変速機のセレクトベースは、レール等の部
材を介してセレクトレバーを備えたデテント部材を摺動
自在に保持し、かつ、デテント部材に引込み付勢手段を
設けて、デテント部材をセレクトベースに収納させる。
また、セレクトレバーにピン付勢手段を装着して、デテ
ント部材のデテント孔の各シフト位置に前記セレクトレ
バーのデテントピンを常時付勢させる。

【００１２】また、ロックレバーを配設して、引出した
セレクトレバー及びデテント部材がセレクトベースの内
部に収納されるのを阻止させて引出状態を保持させる。
一方、デテント孔のパーキング位置に臨ませたロックレ
バーの端部にパーキング位置に付勢するデテントピンを
当接させて、ロックレバーのロックを解除させ、引込み
付勢手段によってセレクトレバーをパーキング位置にお
いて、デテント部材と共にセレクトベースの内部に収納
させる。

【００１３】請求項２記載の発明では、セレクトベース
の内部の、収納されたデテント部材のデテント孔と対向
する側にデテントピンが当接するインナプレートを配設
させ、セレクトレバーの収納時、すなわち、レバーが完
全に引き出されている時以外はパーキング位置以外のセ
レクト位置にデテントピンが移動しないようにする。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１にもとづいて
説明する。図１は自動変速機のセレクトレバー３と、こ
のセレクトレバー３を摺動可能に保持したデテント部材
４の要部を示した図である。

【００１５】デテント部材４は断面略コ字形をしたもの
であり、開口側を上にして、後述するセレクトベース５
（図５参照）に保持される。デテント部材４の側壁部４
ａには自動変速機のセレクト位置（パーキング位置Ｐや
リバース位置Ｒ等）を表すデテント孔６が形成されてい
る。

【００１６】また、デテント部材４の側壁部４ａの内側
には側壁部４ａに沿って摺動する（図１の矢印Ａ参照）
セレクトレバー３が嵌合している。このセレクトレバー
３には、セレクトレバー３に突設させたデテントピン７
をデテント孔６のセレクト位置側に常時付勢するピン付
勢手段であるスプリング８が装着されている。矢印Ｂは
スプリング８の付勢方向を示している。

【００１７】セレクトレバー３の先端部３ａにはセレク
トケーブル９のインナケーブル１０が連結されている。
インナケーブル１０はアウタケーブル１１の内部を挿通
して自動変速機（図示なし）に連繋されている。また、
セレクトケーブル９のアウタケーブル１１はブラケット
１２に固定されて保持されており、ブラケット１２の基
端部１２ａはデテント部材４に接続されている（図５参
照）。

【００１８】このようなセレクトレバー３を備えたデテ
ント部材４は、図５に示すように、セレクトベース５に
摺動自在に保持されている。セレクトベース５の、セレ
クトレバー３の軸方向の上部両側にはレール１３が形成
されており、このレール１３にデテント部材４の開口端
に形成した水平状のフランジ部４ｂ（図１参照）を嵌合
摺動させている。このセレクトベース５は車体内部の例
えばインストルメントパネル１４（図６ないし図８参
照）の内部に装着されている。

【００１９】また、デテント部材４とアウタケーブル１
１とを連結するブラケット１２の上面には引込み付勢手
段であるスプリング１５の一端１５ａが取り付けられて
おり、スプリング１５の他端１５ｂは、図示しない車体
に取り付けられて、常時デテント部材４をブラケット１
２を介して矢印Ｃ方向に引っ張ている。

【００２０】これによって、セレクトレバー３を摺動さ
せた時（後述するセレクトレバー３の収納時におい
て）、インナケーブル１０とアウタケーブル１１の相対
移動がなく、自動変速機に影響を与えない。したがっ
て、セレクト位置に関係なくセレクトレバー３を確実に
収納することが可能になる。なお、符号３ｂは、セレク
トレバー３の後端部に形成された握部である。

【００２１】また、デテント部材４のデテント孔６を設
けた側の側壁部４ａにはロックレバー１６が設けられて
いる。ロックレバー１６の先端のフック部１６ａはセレ
クトベース５に形成された孔部１７に係合するように常
時、孔部１７側にスプリング１８により付勢されてい
る。

【００２２】これにより、セレクトレバー３を引出した
際、ロックレバー１６のフック部１６ａが孔部１７に係
合してセレクトレバー３の引出しが停止し、また、引き
出したセレクトレバー３がセレクトベース５の内部に引
き込まるのが阻止される。

【００２３】このときデテント部材４はスプリング１５
によって、内部に引き込まれるように付勢されているの
で、ロックレバー１６が孔部１７の壁部に当接して係合
時のガタが防止される効果がある。

【００２４】なお、セレクトレバー３の引き出した際の
ストッパをデテント部材４の後端部４ｃとインストルメ
ントパネル１４の内側との当接によって行なってもよ
い。また、ロックレバー１６の後端はデテント孔６のセ
レクト位置、すなわち、パーキング位置Ｐに臨んでい
る。

【００２５】さらに、セレクトベース５の内部の、収納
されてくるデテント部材４のデテント孔６の側部にはイ
ンナプレート１９が対向して配設されている。インナプ
レート１９の下端部はパーキング位置Ｐに付勢されたデ
テントピン７よりも高くされている。

【００２６】次に、本実施例の作用を説明する。まず、
セレクトレバー３をインストルメントパネル１４に収納
する際は、図２のセレクト位置（Ｎ位置）に付勢されて
いたデテントピン７を、図３に示すパーキング位置Ｐに
移動させる。この時のセレクトレバー３の握部３ａは、
図６で示すように、ニュートラル位置Ｎ（ドライブ位置
Ｄ）からパーキング位置Ｐに回動した位置になる。

【００２７】図３に示すように、デテントピン７をパー
キング位置Ｐに移動させると、スプリング８によって付
勢されたデテントピン７がロックレバー１６の後端を押
し下げ、フック部１６ａと孔部１７との係合を解除させ
る。これによりデテント部材４およびセレクトレバー３
がスプリング１５の付勢力により、セレクトベース５の
レール１３に案内されて、インストルメントパネル１４
に引き込まれることになる。

【００２８】図４はその態様を示したものである。この
とき、デテントピン７はインナプレート１９の下側にな
り、セレクトレバー３を操作させようとしても、デテン
トピン７とインナプレート１９とが干渉し合ってデテン
トピン７の移動が不可能となり、これによって、セレク
トレバー３を作動させることができなくなる。

【００２９】このセレクトレバー３の収納時の握部３ａ
の状態は図６および図７に示される通りである。握部３
ａは略水平にインストルメントパネル１４内に収納され
ている。なお、図７において、符号Ｎ（Ｄ）はニュート
ラル位置あるいはドライブ位置を示し、符号Ｒ（２）は
リバース位置あるいは２速位置を示している。なお、こ
のデテントピン７のセレクト位置は運転席のインジケー
タに表示される。

【００３０】また、セレクトレバー３を収納状態から引
き出す際は、図７に示すように、セレクトレバー３の握
部３ｂを持ってそのまま引き出せばよい。セレクトレバ
ー３を引き出す際、図４に示すように、セレクトレバー
３のデテントピン７がデテント孔６のパーキング位置Ｐ
に嵌合、付勢されているので、セレクトレバー３と共に
デテント部材４も移動してくることになる。

【００３１】引き出すにつれて、ロックレバー１６のフ
ック部１６ａが孔部１７に係合して停止する。セレクト
レバー３が引き出された場合、デテントピン７とインナ
プレート１９との係合は解除されるので、セレクトレバ
ー３をスプリング８に抗して回動させ、所望するセレク
ト位置にデテントピン７をシフトする。図８はセレクト
レバー３の引出した状態を示したものである。この状態
でセレクト操作し、パーキングする際は押し込めば収納
されることになる。

【００３２】

【発明の効果】請求項１記載の発明においては、セレク
トレバーがパーキング位置で車体内部に収納されるの
で、運転席回りのスペースが制限されなくなり、運転席
から助手席に、助手席から運転席に移動する、ウオーク
スルーを容易に行なうことができる。また、ステアリン
グコラムの回りのスペースが広くなり、ステアリングと
空調操作、または、オーディオ操作を容易に行なうこと
ができる。

【００３３】さらに、ロックレバーを配設したので、セ
レクトレバーの引出状態の保持は引込み付勢手段に対し
てロックレバーがつっ張るようになるので、セレクトレ
バーを引出した際のガタを防止することができる。また
ロックレバーのロックを解除したとき、すなわち、デテ
ント孔のパーキング位置に臨ませたロックレバーの端部
にパーキング位置に付勢するデテントピンが当接したと
きのみ、ロックレバーのロックが解除され、セレクトレ
バー及びデテント部材がセレクトベースの内部に引き込
まれるようにしたので、セレクトレバーはパーキング位
置、すなわち車体停止位置のみでなければ収納されず、
不用意の収納を防止することができる。また、特別な解
除手段および特別な操作も不要となり、片手でセレクト
レバーを操作することができる効果も有している。

【００３４】請求項２の発明においては、セレクトベー
スの内部の、収納されたデテント部材のデテント孔と対
向する側にデテントピンが当接するインナプレートを配
設させ、セレクトレバーの収納時、すなわち、レバーが
完全に引き出されている時以外はパーキング位置以外の
セレクト位置にデテントピンが移動しないようにする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１のもののデテント孔とデテントピンとの係
合を拡大して示す正面図である。

【図３】図２の別の態様を示す正面図である。

【図４】図２のさらに別の態様を示す正面図である。

【図５】図１のものをデテントベースに取り付けたとこ
ろを示す斜視図である。

【図６】セレクト位置におけるセレクトレバーの握部の
位置を示す斜視図である。

【図７】図６のものの正面図である。

【図８】セレクトレバーを引出したところを示す斜視図
である。

【図９】従来のセレクトレバーを配設状態を示す側面図
である。

【符号の説明】

３ セレクトレバー ４ デテント部材 ５ セレクトベース ６ デテント孔 ７ デテントピン ８ スプリング １５ スプリング １６ ロックレバー １９ インナプレート Ｐ パーキング位置

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車の車体内部に自動変速機のセレク
   トレバー保持用のセレクトベースを装着し、該セレクト
   ベースに前記セレクトレバーを備えたデテント部材を摺
   動自在に取り付け、該デテント部材を前記セレクトベー
   ス内に収納するための引込み付勢手段を設けると共に、
   前記デテント部材に形成したデテント孔の各シフト位置
   に前記セレクトレバーに設けたデテントピンを常時付勢
   するピン付勢手段を前記セレクトレバーに取り付け、該
   セレクトレバー及び前記デテント部材がセレクトベース
   に引き込まれるのを阻止するロックレバーを設け、前記
   デテント孔のパーキング位置に前記ロックレバーの端部
   を臨ませ、前記ロックレバーの端部にパーキング位置に
   付勢させた前記デテントピンが当接すると、前記ロック
   レバーのロックが解除され、前記セレクトレバー及び前
   記デテント部材が前記引込み付勢手段により前記セレク
   トベース内に収納されることを特徴とする自動変速機の
   セレクトレバー装置。
2. 【請求項２】 前記セレクトベースの内部の、デテント
   部材のデテント孔に対向する側にデテントピンが当接す
   るインナプレートを配設したことを特徴とする請求項１
   記載の自動変速機のセレクトレバー装置。