JPS6312862Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

産業上の利用分野 本考案は洗濯槽の底部に回転自在に配する洗濯
機用撹拌翼に関するものである。 従来例の構成とその問題点 従来から、洗濯槽の底部に撹拌翼を設け、この
回転によつて渦巻撹拌水流を起して洗濯する、い
わゆる渦巻式洗濯機が普及している。 この種洗濯機の撹拌翼１は、第１図に示すよう
に、洗濯槽２の底面３から槽内方に突出した形で
とりつけられている。そのため、撹拌翼１が直接
衣類に当る部分は非常に洗浄力が大きく、洗浄レ
ベルとしては高い水準となるものの、洗いむらが
大きくなる傾向を有している。 この改良の一方策として、第２図に示すよう
に、撹拌翼１′に複数個の主翼４（主となる山）
を設け、かつ、その主翼４と主翼４の間の凹部５
の最底部に補助翼６を設けたものが提案されてい
る。 この構成によれば、主翼４によつて衣類が強い
押圧をうけて、主たる洗浄力を発揮せしめ、主翼
４間の衣類は伸張され、その伸張されたところに
補助翼４があるので、この部分の摩擦作用で洗浄
効果が向上する。 しかしながら、この構成においても、第１図に
示す撹拌翼１′とほぼ同様である。すなわち、撹
拌翼１′の基盤面７から主翼４、補助翼６ともに
上方に隆起し、この基盤面７は、第１図中の洗濯
槽２の底面３とほぼ同一面になるように取付けら
れるものと推考され、この意味において、第１図
と第２図の撹拌翼１，１′は、基本的な洗浄作用
において、ほぼ同じ特性をもつものと考えられ
る。 したがつて、撹拌翼１′に直接当たる衣類の部
分をひつかけて回し、ある程度よじつて全体の衣
類に撹拌力を与える形となつている。 さらに、従来においては、通常第１図に示すよ
うに、撹拌翼１の外径d₁は洗濯槽の内径d₂に対し
て約1/2程度もしくはそれ以下であり、比較的高
速回転（毎分約300回転）で運転するため、撹拌
翼１に当たる部分の衣類のたわみが大きく、ま
た、その部分はよく洗えて他の部分は洗いがわる
くなるという洗いむらが生じやすいものであり、
前述した第２の構成においても、この傾向をまぬ
がれないものである。 考案の目的 本考案は上述した問題を解決し、洗浄レベルを
高く維持し、かつ、洗いむらを軽減して安定した
洗浄効果を発揮し得る撹拌翼を提供するものであ
る。 考案の構成 そして、上記目的を達成するために本考案は、
中央部が球面状にもりあがつた半球状をなすとと
もに、この半球部から外方に下降して水平面とな
し、かつ、前記水平面から外周に向つてほぼ円弧
状に上昇する曲面をもつた基盤と、この基盤上に
複数個略放射状に形成した山と、これら山の相互
間に構成される略放射状に形成した細リブとを備
えたものである。 実施例の説明 以下、添付図面にもとづいて本考案の一実施例
について説明する。 第３図は全自動洗濯機の全体構成を示す断面図
で、８は本体外板、８は多数の脱水孔１０を穿設
した洗濯兼脱水槽（以下洗濯槽という）、１１は
該洗濯槽９の底部に回転自在に装設した撹拌翼、
１２は水受槽、１３は脱水時のバランスをとるた
めのバランサー、１４はスイツチなどを収納した
操作パネルである。 １５はモーターで、プーリー１６、ベルト１
７、プーリー１８を経て、減速駆動機構部１９を
介し、前記モーター１５の回転が減速されて前記
撹拌翼１１に伝えられる。 また、２０は脱水振動を吸収するダンパー、２
１は前記構造体を吊るロツド、２２は排水弁、２
３は排水ホースである。 ここで、撹拌翼１１につき、以下、第４図〜第
７図にもとづいて説明する。 撹拌翼１１の表面には、中央部が球面状にもり
あがつた半球状２４になつており、さらに、この
半球状２４部分から外周方向に向つて基面２５が
下降し、或う距離下降して基面２５は水平面２６
となり、さらには、水平面２６から外方に向つて
ゆるやかに上昇する曲面２７をもたせた基盤２８
と、その基盤２８の上に略放射状に形成された中
心３０側と外周３１側間に高低の変化をもたせた
複数個の山２９とを有する。 上記撹拌翼１１を断面形状で示すと、第６図の
ようになり、第４図のＣ〜Ｉに対応させて同じ符
号で示した。 そして、前記山２９間の平面部３２には、複数
個の細リブ３３を略放射状に形成し、この細リブ
３３は前記基盤２８面からごくわずかに隆起し、
かつその内方端は前記半球状２４から下降して水
平面となつた近傍から発し、その先端は基盤２８
の外周最上端２８′より内方（上方）にとどめら
れる。 第４図Ｘ−X′線による断面形状を示したのが
第７図ａであり、山２９間の平面部３２に設けら
れた細リブ３３は、種々のテスト結果からして、
その高さは３mm以下、細リブ３３相互間の間隔は
平面角度で5゜前後のものが良好な結果を示した。 また、撹拌翼１１の外径d₁は洗濯槽の内径d₂を
１とすると、ほぼ0.7〜0.8程度と大きくし、撹拌
翼１１の外周最上端２８′が洗濯槽９の底面とほ
ぼ同一高さとなるように洗濯槽９底部に装設す
る。 以上のような構成において、その動作を説明す
る。撹拌翼１１は右回転−休止−左回転…と反転
され、その回転数は毎分200回転程度ないしはそ
れ以下にして比較的低速回転させる。 洗濯衣類に洗浄効果を与えるのは、撹拌翼１１
の回転により起される水流の効果と、撹拌翼１１
の山２９が直線衣類をひつかけて動かす効果との
大きく二つに分けられる。 しかして、撹拌翼１１によて発生する水流のう
ち、主たる水流（矢印Ｙ）は、第３図〜第５図に
示すように、半球状２４の部分から入り、下降し
た水平面２６に至り、さらに、ここから上昇し、
洗濯槽９壁面に沿つて上昇しつつ、上部で大きな
円弧状の水流となる。 さらに、細リブ３３により弱い水流（矢印Ｚ）
が発生し、この水流は、細リブ３３相互間から放
射状に多数本発生して、前記主水流に対して補助
的な役割を果たす。 このような効果をもつ撹拌翼１１において、そ
の外径を前述のように大きくとり、かつ、その回
転数を低くおさえたから、洗濯槽内に広く、ゆつ
くりと水流をおこして洗濯衣類をゆつくり動かす
とともに細リブ３３により幾重もの補助水流が加
つたことにより、単一的な水流でなくなり、次表
に示したように基本洗浄力（洗浄度）を従来と同
等レベルに維持して、洗浄むら、衣類のいたみ、
衣類のよじれ、からみを軽減できた。

【表】 ここに言う洗浄度は、電気洗濯機JIS−Ｃ−
9606に規定された試験方法によるものであり、洗
浄むらは４回洗浄テストをして、40枚の汚染布の
洗浄度の標準偏差を求めたものであり、衣類のい
たみはガーゼ類を20回洗たくしたときの重量減パ
ーセントを示すものである。 ここで、第２図の撹拌翼１においては、再度述
べるならば、全体形状が上方にもり上がつた形と
なつており、また、主翼４の傾斜部４′は補助翼
５のところまで形成され、補助翼６は撹拌翼外周
端まで延びており、かつ、基盤面外周端７′から
上方に突出しているので、補助翼６においても衣
類をひつかけて回す効果が大きくなつており、さ
らに本数も１本なので、本実施例のように幾重も
の微弱水流を生むことがなく、その作用はかなり
単純であると言える。 考案の効果 上記実施例から明らかなように本考案によれ
ば、中央部が球面状にもりあがつた半球状をなす
とともにこの半球部から外方向つて基面が下降し
て水平面となし、かつ、前記水平面から外周に向
つてほぼ円弧状に上昇する曲面をもつた基盤と、
この基盤上に複数個略放射状に形成した山と、こ
れら山の相互間に構成される平面部に略放射状に
形成した細リブとを備えたものであり、主水流と
補助水流の相乗効果により、洗浄力を高いレベル
に維持し、洗浄むら、衣類のいたみ等を減じるこ
とができ、良好な洗濯性能を出すことができるも
のである。また、本考案は、実施例で述べた一槽
式脱水兼用洗濯機以外、例えば二槽式洗濯機にお
いても、同等の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の脱水兼用洗濯機の全体構成を示
す縦断面図、第２図は従来提案された撹拌翼を示
し、同図ａは平面図、同図ｂは側面図、第３図は
本考案の一実施例における撹拌翼を有した洗濯機
の全体構成を示す縦断面図、第４図は同撹拌翼の
平面図、第５図は第４図のＡ−Ｏ−Ｂに沿う断面
図、第６図Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉは第４図
のＣ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉにおける各断面
図、第７図ａは第４図のＸ−X′断面図、第７図
ｂは細リブの拡大断面図である。 ９…洗濯槽、１１…撹拌翼、２４…球面状をし
た半球部、２６…水平面、２７…曲面、２８…基
盤、２９…山、３２…平面部、３３…細リブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中央部が球面状にもりあがつた半球状をなす
   とともにこの半球部から外方に下降して水平面
   となし、かつ、前記水平面から外周に向つてほ
   ぼ円弧状に上昇する曲面をもつた基盤と、この
   基盤上に複数個略放射状に形成した山と、これ
   ら山の相互間に構成される平面部に略放射状に
   形成した細リブとを備えた洗濯機用撹拌翼。 (2) 細リブは、半球部から下降して水平面となつ
   た近傍から発し、その先端位置は基盤の外周最
   上端より下方にとどめられた実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の洗濯機用撹拌翼。