JPH0365199B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は洗濯槽の内底部に配する撹拌翼に関す
るものである。

従来例の構成とその問題点 従来より日本においてはいわゆる渦巻式洗濯機
と呼ばれる、洗濯槽の底部に撹拌翼を設け、この
回転によつて渦巻撹拌水流を生じさせて洗濯する
形式のものが実用化されている。

この種洗濯機において最も一般的な第１の例と
しては第１図に示すように撹拌翼ａが、洗濯槽ｂ
の底面ｃから槽ｂ内に突出した形でとりつけられ
ていた。そのため、撹拌翼ａが直接衣類に当たる
部分は非常に洗浄力が大きく、一方、撹拌翼ａか
ら離れた衣類の部分は洗浄力が弱くなるものであ
る。その結果、洗いむらが大きくなると共に、直
接撹拌翼ａに当たる衣類の部分のいたみが大きく
なるものであつた。

さらに、洗濯槽ｂの内径d₂に対して撹拌翼ａの
外径d₁は、約1/2程度もしくはそれ以下であり、
また、回転数は毎分約300回転以上に設定してあ
り、洗濯槽ｂ内に突出した径小の撹拌翼ａが高速
回転することになつて、撹拌翼ａに直接当たる衣
類部分をひつかけて回し、その部分ないしはその
部分に近い部分をある程度よじつて全体の衣類、
とくに洗濯槽ｂ上方にある衣類に撹拌力を与える
形となつていた。

このため、衣類のよじれが大きく、洗濯や脱水
終了後に衣類をとり出すとき、ほぐす労作が大き
いものであつた。

また、上述したものとは別に、第２の例として
最近第２図、第３図に示すような大略凹状をなし
た基盤ｄに、複数の放射状の山ｅを設けた撹拌翼
ｆを洗濯槽底部に設けた撹拌翼ｆが提案されてい
る。

この撹拌翼ｆを回転させると、撹拌翼ｆの近傍
では基盤ｄに沿つた水流（矢印ｇで示す）が生
じ、この水流ｇは洗濯槽内壁に沿つて上昇する大
きな拡散水流となり、前述の第１の例にみられた
撹拌翼ａの山で直接衣類をひつかけて回す作用が
減じて、良好な洗濯が行なえるとしている。

すなわち、第１の例においては、撹拌翼ａの山
で直接衣類をひつかけて回すため、衣類のよじ
れ、からみが大きく、また、衣類のいたみが大き
いものであり、第２の例では、撹拌翼ｆの基盤ｄ
が大略凹状になつており、この凹状をなす基盤ｄ
に山ｅが設けられているため、この山ｅで直接衣
類をひつかけて回す効果が減じ、さらに、大略凹
状をなす基盤ｄに沿つて外方に広がつて上昇する
拡散水流ｇの作用で、衣類のよじれ、からみが少
なく、かつ、衣類のいたみが軽減されることは理
解できるところである。

しかし、第３図にみられるように、基盤ｄは比
較的単純な凹形状をしており、これに沿つて水流
ｇが流れるため、水流としてはやゝ変化に乏しい
流れとなつてきめ細かな洗濯、あるいは洗いむら
の減少などの面において、今少し改善が望まれる
ものであつた。

発明の目的 本発明は、衣類のよじれを少なく、洗浄効果も
優れて洗いむらを減少させることのできる洗濯機
用撹拌翼を提供するものである。

発明の構成 そして、上記目的を達成するために、本発明の
撹拌翼はその断面が中央部が略々曲面をなして隆
起し、この中央隆起部から外方に向つて基面が下
降して、基面最低部に至り、そこから外方になだ
らかに上昇して基面隆起部をなし、そこから外方
にゆるやかに上昇する曲面をもたせて基面最低部
と外周部との間に、１箇所もしくは複数箇所の平
面形状、円弧状のような基面隆起部をもたせた基
盤を形成し、この基盤の上に複数個の放射状の山
を設けているので、洗いむら、衣類いたみが少な
く洗浄力の高いものとなる。

実施例の説明 以下、添付図面にもとづいて本発明の一実施例
について説明する。

第４図は全自動洗濯機の全体構成を示してお
り、１は本体外板、２は多数の脱水孔３を穿設し
た洗濯槽脱水槽（以下洗濯槽という）、４は洗濯
槽２の内底部に回転自在に装設した撹拌翼、５は
水受槽、６は脱水時のバランスをとるためのバラ
ンサー、７はスイツチなどを収納した操作パネル
である。

８はモーターで、この回転力はプーリー９、ベ
ルト１０、プーリー１１を介して減速駆動機構部
１２によつて減速されて、前記撹拌翼４に伝えら
れる。

１３は脱水振動を吸収するためのダンパー、１
４はロツド、１５は排水弁、１６は排水ホースで
ある。

次に撹拌翼４の具体構成につき、第５図〜第７
図により説明する。

撹拌翼４の断面は、その中央部が略曲面をなし
て隆起した中央隆起部１７から外周方向に向つて
基面１８が下降して基面最低部１９となし、そこ
から外方になだらかに上昇して基面隆起部２０と
し、さらにそこから外方に向つてゆるやかに上昇
する曲面３０をもたせた基盤２１と、この基盤２
１の上に形成した複数個の放射状の山２２とより
なるものである。

ここで、基面隆起部２０の位置関係について説
明すると、まず半径方向の位置は、中心２３と外
周部２４のほゞ中間点ないしはやゝ外側に寄つた
位置とし、高さ方向の位置は、基面最低部１９と
外周部２４とのほぼ中間ないしはやゝ上方に位置
させる。

また、撹拌翼４の外径d₁は、洗濯槽２の内径d₂
を１とすると、ほゞ0.7〜0.9程度にとり、第４図
に示したように、洗濯槽２の底部に装設してい
る。

なお、２５は撹拌翼のボス部、２６は減速駆動
機構部１２の軸に挿入される穴、２７は山２２の
頂部である。

こゝで、基面隆起部２０は第５図に示すよう
に、平面的には円弧状をなしており、基面最低部
１９から外方に向かう曲面の基面隆起部２０の近
傍の曲面２８の接線の上昇勾配α₁は、基面隆起部
２０から外方に向かう基面隆起部２０の近傍の曲
面２９の接線の上昇勾配α₂より大きく、したがつ
て、平面形状が円弧状をなす基面隆起部２０が構
成され、基面隆起部２０を境界として、２つの凹
部が構成されているのである。

以上のような構成において、その動作を説明す
る。撹拌翼４を右回転−休止−左回転……と左右
反転させ、その回転数は毎分約200回転ないしは
それ以下にして比較的低速回転にする。

さらに、撹拌翼４の反転時限は２〜３秒ないし
はそれ以下の運転時間と１秒前後の休止時間とに
より構成され、休止をはさんで撹拌翼４を左右反
転させる。

このような撹拌翼４によつて発生する水流は、
第４図および第６図中の矢印に示すように、中心
部２３の中央隆起部１７から入つてきた水は、下
降して基面最低部１９に至り、そこから上昇して
基面隆起部２０へ至る。そこで水流はやゝ屈曲さ
れ、外部に向つて上昇しながら洗濯槽２の壁面に
沿つて上昇しつゝ撹拌翼４の上方部で大きな円弧
水流となる。

この水流動作は、前述のように撹拌翼を小刻み
に左右回転させるため、ひんぱんに発生するもの
である。

すなわち、撹拌翼４の中心部２３から下降して
きた水が、外周部２４から上昇していく間に、基
面隆起部２０によつて、水流が屈曲的変化をする
のが特長で、従来例の第１図にみられるような小
さな渦水流を生成するものとは大きく異なるもの
である。また、第２図にみられるような中心部か
ら下降してきた水がスムースに方向転換されて上
昇水流となるものに対して、その方向転換の途中
で水流が変化することにより、より細かな複雑な
洗浄効果を衣類に与えることができるものであ
る。

上記実施例の構成を採用することにより、洗浄
効果を従来品と同等にとつた場合、従来例の第１
の例に対しては、洗浄むら、衣類のいたみが大き
く軽減され、また、第２の例に対しては洗浄むら
を軽減できるものである。

次に第７図に示したものは、本実施例で説明し
た基盤隆起部２０を２箇所設けたもので、この基
盤隆起部２０を１箇所とするか２箇所もしくはそ
れ以上にするかは、洗濯容量、洗濯槽の内径、撹
拌翼の外径などにより決定される。方向としては
大容量で、洗濯槽の内径、撹拌翼外径の大きいも
のは複数箇所設けられやすいが、この場合も前述
のような効果を奏するものである。

発明の効果 上記実施例から明らかなように、本発明によれ
ば、従来に比して撹拌翼の基盤面近傍でより複雑
な水流を起し、洗濯槽に沿つて上昇する水流を起
すことにより、洗浄力を高水準に維持し、かつ、
洗浄むら、衣類のいたみを軽減できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一般的な洗濯機の全体構成を示
す縦断面図、第２図は従来における撹拌翼の平面
図、第３図は同撹拌翼の断面図、第４図は本発明
の一実施例における撹拌翼を用いた洗濯機の全体
構成を示す断面図、第５図はその撹拌翼の平面
図、第６図は第５図Ｘ−Ｏ−Ｙ線断面図、第７図
は撹拌翼の他の例を示す断面図である。 ４……撹拌翼、１７……中央隆起部、１９……
基面最低部、２０……基面隆起部、２１……基
盤、２２……山。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中央隆起部と外周縁との間に、最低凹部、隆
   起部、曲面部を順次形成した基盤上に、山部を放
   射状に形成してなる洗濯機用撹拌翼。