JPS6312846Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は固定刃の刃先部に対する可動刃の刃
先部の密着性の向上を図つた往復動電気かみそり
に関するものである。

一般に、この種電気かみそりでは、可動刃を圧
着ばねを用いて固定刃に圧接させる関係から、こ
の可動刃を上記固定刃と同等の0.5mm程度の比較
的厚い鋼板から型取りするとともに、所定の曲げ
加工により、できるだけ剛性化させてある。

ところで、可動刃の刃先部は刃面研摩で平面度
を出すようになつているけれども、上記刃面研摩
時に可動刃を保持具に保持させた際に生じる変形
の影響を受けて、上記可動刃の刃先部の固定刃の
刃先部に対する密着精度がばらつくのは否めな
い。この密着性を向上させるため、上記可動刃の
厚みを増してさらに剛体化させようとすれば、重
量が増して可動刃の振動音が強められ、また圧縮
ばねのばね力を増強させようとすれば、モータの
負荷が増大するなどの不都合な結果を招くことに
なり、剛体化された可動刃を固定刃に圧着ばねで
圧接させる手段に委ねる限り、上記密着精度の向
上にも限界がある。

特に、くし状刃先部を有する可動刃を固定刃に
圧接して、この可動刃をくし刃の突出方向と直交
方向に往復動するものでは、圧縮ばねの装着位置
が往復動方向の２箇所にしか設けられていないた
め、太い毛を切る場合には切断抵抗により刃先部
が浮き上がつて毛をかみ込むことがあり、しかも
固定刃と可動刃との摺動面積を減らして可動刃の
駆動負荷を下げるために、段状折曲部を設けて刃
先部を除いた部分が接触しないようになつてお
り、この段状折曲部によつて剛性が大きくなつて
しまい、刃先部の部分的な浮き上がり変形に追従
できず密着性の悪いものとなつている。

この考案は、このような従来の問題点を解決
し、刃先部の浮きに対する追従性を向上させるこ
とによつて刃先部を均等的に密着させ、もつて剪
断効果の向上を図ることを目的として成されたも
ので、くし状刃先部を有する可動刃を固定刃に圧
接して、この可動刃をくし刃の突出方向と直交す
る方向に往復動せしめて成る往復動電気かみそり
であつて、上記可動刃の刃先部及び支承部を除く
部分に複数の孔を設けて可撓性を持たせたもので
ある。

以下、この考案の一実施例を図面により説明す
る。

第１図は眉毛剃り専用の往復動電気かみそりを
示し、同図において、１は合成樹脂製の本体ケー
スで、筒形の握り部２とこの握り部２の先端に装
着された偏平状の刃体収納部３とからなり、上記
握り部２内には、電源電池４、この電池４で駆動
されるモータ５およびモータ５の回転力を直線往
復運動に交換する機構６（第２図）などが収納さ
れ、また上記刃体収納部３には、後述する眉毛の
きわ剃り用の刃ブロツクが装備されている。７は
モータ５の電源スイツチ（図示せず）の操作つま
みである。

上記往復動交換機構６は、第２図に示すように
上記モータ５の回転軸８に連結された原動歯車
９、歯車ホルダ１０に回転自在に保持されて上記
原動歯車９に噛合された従動歯車１１、従動歯車
１１に一体に形成された偏心カム部１２およびレ
バー１３などからなり、レバー１３の一端に形成
されたカム受部１４に上記カム部１２が嵌合され
ている。

１５，１６はきわ剃り用ブロツク１７を構成す
る可動および固定刃で、それぞれ第３図および第
４図に示すようにくし状刃１８ａの突出方向ｂが
可動刃１５の往復動方向ａと直交方向に形成され
たようなくし状刃の刃先線が円弧状の刃先部１
８，１９を有し、これら刃先部１８，１９は上記
刃体収納ケース３の両側に露出して設定されてい
る。可動刃１５は、0.1mm程度の比較的薄い板ば
ねから型取りされたもので、上記往復動方向（矢
印ａ方向）と直交する方向（矢印ｂ方向）の中央
の支承部１５ａでへの字状に折曲形成されてい
る。この可動刃１５には上記刃先部１８及び支承
部１５ａを除く位置に、上記往復動方向に沿つて
方形状の多数の透孔２０が隊列状に配列されてお
り、これら多数の透孔２０で弾性節目帯２１を構
成している。上記透孔２０の各間におけるリブ部
２２（第５図）の巾Ｗは、上記往復動方向の中央
に位置するものW₁よりも両端に位置するものW_o
がより巾広に形成してあり、これにより、上記弾
性節目帯２１の弾性力が中央部２１ａから両端部
２１ｂに至るほど漸次増大するように設定されて
いる。上記可動刃１５は固定刃１６に対して上記
折曲された支承部１５ａに沿つて配設された当て
板２３により押圧されて僅かに弾性変形した状態
で密着されており、この密着状態では、上記弾性
節目帯２１から刃先まで弾性的に腰折れされて固
定刃１６の刃先部１９に当接している。２４は上
記可動刃１５の往復動方向の一端に形成された係
合孔部で、この係合孔部２４に上記レバー１３の
他端の係合突部２５が係止されており、偏心カム
部１２の回転力が上記レバー１３を介して往復直
線運動として上記可動刃１５に伝達されるように
なつている。

したがつて上記構成によれば、可動刃１５自体
に可撓性を持たせることができ、例えば往復動方
向の一端側でレバー１３により駆動されても、可
動刃１５に加わる駆動力の往路と復路との力分布
の変動による可動刃１５の局部的な刃浮き現象
は、刃先部１８の追従性の良さにより軽減され、
しかも固定刃１６と可動刃１５の両者間の摺動面
積を減らして可動刃１５の駆動時の負荷を下げ、
電池寿命を長くする作用を発揮するものである。

なお、上記実施例では、弾性節目帯２１の弾力
分布を上記方形状の透孔２０各間におけるリブ部
２２の巾を変える手段に委ねたものであるが、第
６図のように上記リブ部２２の長さＴを変える手
段、あるいは第７図のように上記リブ部２２の隣
接するもの同士のピツチ間隔Ｐを変える手段に依
存してもよい。

以上のように、この考案は、くし状刃先部１８
を有する可動刃１５を固定刃１６に圧接して、こ
の可動刃１５をくし刃１８ａの突出方向ｂと直交
する方向ａに往復動せしめて成る往復動電気かみ
そりであつて、上記可動刃１５の刃先部１８及び
支承部１５ａを除く部分すなわち刃先部１８と支
承部１５ａとの間に複数の孔２０を設けて可撓性
を持たせることによりこの可動刃の刃先部を固定
刃の刃先部に倣い易くさせ、上記可動刃の刃先部
を全長にわたつて均等的な圧着力で固定刃の刃先
部に確実に密着させることができ、剪断効果の向
上を図り得る往復動電気かみそりを提供すること
ができる。また、この考案では、可動刃１５を支
承部１５ａでへの字状に折曲する断面形状に形成
して、その支承部１５ａを当て板２３で押圧する
ことにより可動刃１５が孔２０の存在する箇所部
分を弾性変形して刃先部１８を固定刃１６の刃先
部１９の上に弾性接当してあるので、可動刃１５
を固定刃１６に対し押圧させるためのばねは殊更
必要としないし、しかも、当て板２３により加え
られる押え荷重が刃先部１８が固定刃１６の刃先
部１９に密着接当すべく集中的に作用し、孔２０
による撓み性の付与と相俟つて刃先部１８の浮き
上がりを極めて有効に防止できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る往復動電気かみそりを
適用した眉毛剃り専用の往復動電気かみそりの一
例を示す外観図、第２図は同電気かみそりの部分
断面図、第３図および第４図はそれぞれ眉毛剃り
用の刃ブロツクを示す分解斜視図および横断面
図、第５図は同ブロツクにおける可動刃の要部の
概略平面図、第６図および第７図は同要部の他の
異なる変形構造を示す概略平面図である。 １５……可動刃、１６……固定刃、１８，１９
……刃先部、１８ａ……くし刃、２０……透孔、
ａ……直交方向、ｂ……突出方向。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. くし状刃先部１８を有する可動刃１５を固定刃
   １６に圧接して、この可動刃１５をくし刃１８ａ
   の突出方向ｂと直交する方向ａに往復動せしめて
   成る往復動電気かみそりであつて、上記可動刃１
   ５の断面形状が前記方向ｂの略中央の支承部１５
   ａで最も高く、同方向ｂの両端の刃先部１８・１
   ８に至るに従い漸次低くする形のへの字状に形成
   され、かつ、可動刃１５の刃先部１８と支承部１
   ５ａとの間に可撓性をもたせるための複数の孔２
   ０を前記方向ａに列設し、可動刃１５は固定刃１
   ６に対して支承部１５ａを当て板２３で押圧され
   ることにより前記孔２０の存在箇所部分を弾性変
   形して刃先部１８を固定刃１６の刃先部１９の上
   に弾性接当した状態に装着されてなることを特徴
   とする往復動電気かみそり。