JPS6312806Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は化粧料等のコンパクト容器に関するも
のであり、特に化粧料等とパフやスポンジなどの
化粧用具とを一つの容器内に分離して収納するタ
イプのコンパクト容器に関するものである。

従来のこの種のコンパクト容器としては、例え
ば実開昭58−77609号公報に記載されたものが存
する。同公報記載のコンパクト容器は、互いに上
下方向に重ね合される容器本体と中皿容器と蓋体
をそれぞれの後端部において相互に開閉自在に枢
着するとともに、該中皿容器の前端部上下位置に
第１及び第２の突片を形成し、該中皿容器下側に
位置する該容器本体の前端部には該第２の突片と
係合可能な第３の突片を形成し、該中皿容器の上
側に位置する該蓋体の前端部には該第１の突片と
係合可能な第４の突片を形成し、該中皿容器の第
１と第２の突片との間には前後方向に摺動自在な
スライド部材を介装した構成を有する。

以上の構成において、該蓋体と該容器本体が該
中皿容器に対して閉じられるとき、該第１と第４
の突片、該第２と第３の突片がぞれぞれ係合して
閉止状態を保持し続けるとともに、開放するとき
は該スライド部材を内方に押圧することによつ
て、該スライド部材の上下面を該蓋体と該容器本
体の各前端縁部に作用させて各突片同士の係合を
解除し、該蓋体と該容器本体とを該中皿容器に対
して開放させるものである。従つて、ワンタツチ
操作によつて蓋体と中皿容器と容器本体の相互間
を同時に或いはタイミングをずらせて開放させる
ことができるという利点を有している。

しかし、上記公報記載のコンパクト容器にあつ
ては、蓋体と容器本体と中皿容器のそれぞれに係
止用突片を設けて中皿容器に対して蓋体と容器本
体とをそれぞれ個別に係止させるようにしてある
ため、係止部の構成が複雑となり、また多数の係
止用突片の寸法上の精度誤差によつて、中皿容器
に対する蓋体と容器本体の係止強度にバラツキを
生ずる恐れが大きい。このバラツキに基づく係止
力の過不足によつて生ずる係合不良を防止するた
めには、係止用突片の寸法精度に厳密な注意を払
う必要があるが、そうすると生産性低下、コスト
アツプ等を来してしまう。

更にまた、上記従来のコンパクト容器では蓋体
と容器本体と中皿容器とは別体にスライド部材を
形成し、これを容器本体に組付ける必要があり、
このための成形コスト及び組付けコストがかかつ
ていた。

本考案はこのような問題点に着目してなされた
もので、その目的は、上記したタイプのコンパク
ト容器であつて、構成が簡潔で係止部の精度誤差
による係合不良の恐れが少なく、しかもスライド
部材を別個に成形する必要がなく、開閉操作が容
易で大幅にコストダウンを計ることのできるコン
パクト容器を提供することにある。

以下に本考案の好適な実施例について添付図面
を参照して説明する。

図は本考案に係る合成樹脂製のコンパクト容器
を示し、このコンパクト容器は容器本体１を中央
にしてその上下に容器本体１よりも一回り外寸の
大きな上蓋２及び下蓋３が配設されている。

容器本体１には化粧料を収納するための比較的
底浅な矩形の凹所４が形成され、後端壁には一対
の蝶番片５−５が突出形成されている。また、容
器本体１の前方部には左右に細長い上下に貫通し
た矩形の空所６が形成され、この空所６を画成す
る前壁は薄肉に成形され、その中央部が前後方向
に可撓変形可能な弾性壁７となつている。

上蓋２は内面凹部に鏡８を有し、その後端部か
らは蝶番突起９が垂下され、この蝶番突起９は容
器本体１の後端壁における一対の蝶番片５−５間
に嵌挿される寸法となつている。また、上蓋２の
前端壁の中央部は横方向に幅広く切欠され、この
切欠幅は容器本体１の弾性壁７の横幅と略同一と
なつている。上記のように切欠された上蓋２の前
端縁中央部からは後向きに突出した第１のフツク
状突片１０が一体的に垂設され、この突片１０の
前面は後方に向けて降下したテーパー面１１とな
つている。そしてこのフツク状突片１０は上蓋２
を容器本体１に対して閉じた時に、容器本体１の
空所６内に奥深く入ることができるように形成さ
れている。

下蓋３は上面にパフ等の化粧具を収納するため
の凹所１２が形成され、後端中央部には切欠部１
３が設けられ、ここに容器本体１の蝶番片５−５
が嵌挿されるようになつている。下蓋３の前端壁
は上蓋の場合と同様に横方向に幅広く切欠され、
このように切欠された下蓋３の前端縁部には前向
きに突出した第２のフツク状突片１４が一体的に
形成されている。そして、この第２のフツク状突
片１４の前面は前方に向けて降下したテーパー面
１５となつている。更にまた、この第２のフツク
状突片１４は下蓋３を容器本体１に対して閉じた
時に、容器本体１の空所６内に奥深く入ることが
できるように形成されている。

上記のように構成された容器本体１に対して上
蓋２及び下蓋３を組付けるには、下蓋３の後端切
欠部１３内に容器本体１の一対の蝶番片５−５を
嵌挿し、更にこの蝶番片５−５間に上蓋３の蝶番
突起９を嵌挿し、これらを１本のピン１６で枢着
すればよい。上記のようにして組立て、下蓋３を
容器本体１に対して閉じると、第２図に示すよう
に、容器本体１の左右及び後方の側壁の下半分は
下蓋３の凹所１２内に収容され、容器本体１の前
端の弾性壁７が下蓋３の前端壁切欠部内に入り、
下蓋３の前端壁と面一となる。そしてこの時、下
蓋３の第２のフツク状突片１４は容器本体１の前
方の空所６内に下方から入り、真中よりもやや上
方へ突出する。同様にして、上蓋２を容器本体１
に対して閉じると、図示を省略したが、容器本体
１の左右及び後方の側壁の上半分は上蓋２の鏡を
接着した凹部内に収容され、容器本体１の弾性壁
７が上蓋２の前端壁切欠内に入り、上蓋の前端壁
と面一となる。そしてこの時、上蓋２の第１のフ
ツク状突片１０は容器本体１の空所６内に上方か
ら入り、下蓋３の第２のフツク状突片１４とスナ
ツプ係合し、第３図及び第４図に示すように、上
蓋２及び下蓋３が容器本体１に対して閉止位置を
占める。

この閉止位置においては、第４図から明らかな
ように、容器本体１の弾性壁７の上端及び下端角
部はそれぞれ第１のフツク状突片１０のテーパー
面１１及び第２のフツク状突起１４のテーパー面
１５と対向した位置にある。そして、この閉止位
置から容器本体１の弾性壁７を後方へ押し込む
と、第５図に示すように、弾性壁７の上下端角部
が上記テーパー面１１，１５に作用して、上蓋２
と下蓋３とを上下方向に分離させようとする垂直
分力を生じさせ、これによつて第１と第２のフツ
ク状突片１０，１４の係合が解除される。その後
は、第６図に示すように、上蓋２と下蓋３とを所
望の角度まで自由に開放させて、内部の化粧具及
び化粧料を使用することができる。

以上のように本考案のコンパクト容器は容器本
体と上蓋と下蓋の３部材から構成されているが、
これら３部材を相互に閉止する機構としては、上
蓋の第１の突片と下蓋の第２の突片とからなる１
対の突片を設けるだけで良いから、係合部を２対
設ける従来のこの種のコンパクトに比較して係合
部の構成が簡単となり、係合部の寸法上の精度誤
差による不良品の発生率を大幅に低下させること
ができる。

更に、本考案のコンパクト容器では上蓋と下蓋
との係合を解錠するためには容器本体の前端に一
体形成した弾性壁を押圧すれば良いから、従来の
ようにスライド部材等を別部品で形成して組立て
る必要がなく、成形コスト及び組立てコストを更
に低下させることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の好適な実施例に係るコンパクト容
器を示し、第１図はその分解斜視図、第２図は容
器本体に対して下蓋を閉じた状態を示す斜視図、
第３図は容器本体に対して上蓋と下蓋を閉じた状
態を示す斜視図、第４図は第３図の状態における
前後方向縦断面図、第５図は第４図の状態から弾
性壁を内方へ押圧して上蓋と下蓋の係合を解いた
状態を示す断面図、第６図は第５図の状態から上
蓋と下蓋を所望の角度自由に解放する状態を示す
断面図である。 １……容器本体、２……上蓋、３……下蓋、６
……空所、７……弾性壁、１０……第１のフツク
状突片、１１……テーパー面、１４……第２のフ
ツク状突片、１５……テーパー面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上蓋２と容器本体１と下蓋３とをそれぞれの後
   端部において相互に開閉自在に枢着し、該上蓋の
   前端部には下方に突出する第１の突片１０が、該
   下蓋の前端部には該第１の突片と係合可能な上方
   に突出する第２の突片１４がそれぞれ形成され、
   該容器本体の前方部には上下に貫通した空所６が
   形成されるとともに該空所を画成する前壁は前後
   方向に可撓変形可能な弾性壁７とされ該容器本体
   を間に挟んで該上蓋と該下蓋を閉じたとき、該第
   １の突片と該第２の突片のそれぞれが該容器本体
   の該空所内に入つてここで相互に係合して閉止位
   置を占め、該閉止位置において該弾性壁を内方へ
   押圧することにより、該弾性壁の上下面が該上蓋
   と該下蓋の各前端縁部に作用してこれらをそれぞ
   れ上下に押圧し該上蓋と該下蓋とを該容器本体に
   対して開放してなることを特徴とするコンパクト
   容器。