JPS6311897Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は磁気デイスク装置における磁気ヘツド
の位置決め手段に使用される、電気エネルギーを
電磁作用により機械的運動エネルギーに変換させ
る電磁駆動装置に関する。

磁気デイスク装置の磁気ヘツドの位置決め手段
には、ボイスコイル型リニアモータと称される可
動コイル型の電磁駆動装置が一般に使用されてい
る（例えば特開昭55−73969号、特開昭57−43553
号、実開昭57−45288号等の各公報参照）。また磁
気デイスク装置の小型・軽量化のために、磁気回
路部の薄形化を図るべく、可動コイルの駆動方向
の両端に磁石を分割配置した電磁駆動装置も提案
されている（例えば特開昭55−88559号公報参
照）。

第１図イ，ロ，ハは従来の電磁駆動装置の磁気
回路を説明するための正面図である。図中、１，
１′は強磁性材料からなるヨーク片、２ａ，２ｂ，
２ｃ，２ｄは各ヨーク片に固着された永久磁石、
３，３′は非磁性材料からなるスペーサ、４は可
動コイルをそれぞれ示す。この電磁駆動装置の磁
気回路は、永久磁石２ａ，２ｂおよび２ｃ，２ｄ
をそれぞれヨーク方１および１′に固着後図示磁
性の如く着磁するか（第１図イ参照）、もしくは
永久磁石２ａ，２ｂおよび２ｃ，２ｄを図示磁性
の如く着磁（第１図ロ参照）後それぞれヨーク片
１および１′に固着し、しかるのちヨーク片１お
よび１′間にスペーサ３，３′を装着して組立てら
れていた（第１図ハ参照）。なお、第１図イ，ロ
における矢印は着磁方向を示す。

しかしてこの電磁駆動装置においては、永久磁
石に大きな減磁界が作用するため永久磁石として
保磁力の大なる希土類コバルト磁石が一般に使用
されている。そして希土類コバルト磁石はRCo₅
系とR₂Co₁₇系の２種類に大別されるが、磁気回
路のパーミアンス係数が小さいため減磁耐力の点
からRCo₅系の希土類コバルト磁石を使用してお
り、磁気空隙の磁束密度を大きくできないという
問題があつた。

本考案の目的は、上述の従来技術の欠点を解消
し、磁気回路のパーミアンス係数が十分大なる電
磁駆動装置を提供することである。

本考案の電磁駆動装置は、強磁性材料からなる
ヨークとヨークに固着された永久磁石とを有し、
永久磁石上に磁気空隙が形成された磁気回路と、
磁気空隙内に設置された可動コイルとを備えた電
磁駆動装置において、磁気回路は、その中央で２
つに分割されたヨークにそれぞれ固着された永久
磁石を着磁後分割されたヨークを一体的に結合し
て組立てられていることを特徴とする。

以下本考案の詳細を図面により説明する。

第２図イ，ロは本考案の一実施例に係る電磁駆
動装置の磁気回路を説明するための正面図であ
り、図中１ａおよび１ｂはコ字形状のヨーク片、
２ａ，２ｂ，２ｃおよび２ｄは永久磁石を示して
いる。なお、第２図イにおいて、矢印は着磁方向
を示す。

上記の電磁駆動装置の磁気回路は、まず第２図
イに示すように、形状のヨーク片１ａ，１ｂにそ
れぞれ永久磁石２ｂ，２ｃ，２ａ，２ｄを固着し
た後図示極性の如く着磁を施し、しかる後第２図
ロに示すようにヨーク片１ａおよび１ｂをネジ止
めもしくは接着等の適当な手段で接合して組立て
られる。

次に上記の磁気回路の磁気特性を従来例と対比
しつつ第３図により説明する。第３図は各種希土
類コバルト磁石の減磁曲線を示す図であり、図中
ＡおよびＢはそれぞれRCo₅およびR₂Co₁₇系の希
土類コバルト磁石（日立金属製H18Bおよび
H23）の減磁曲線、ＸおよびＹはそれぞれ第１図
イに示す如くヨーク片１，１′に永久磁石２ａ，
２ｂ，２ｃ，２ｄを固着した磁気回路のパーミア
ンス係数および第２図イ，ロに示す磁気回路のパ
ーミアンス係数を示す。

周知の如く、減磁界の大きさ（Ｈ）は、永久磁
石の厚さ（ｔｍ）および可動コイルへの入力
（Ni）との間に下記(1)式で示す関係がある。

Ｈ∝Ni／ｔｍ (1) この減磁界の影響を少なくするためには、磁気
回路のパーミアンス係数（Ｐ）を高くする必要が
あり、このパーミアンス係数（Ｐ）は永久磁石の
断面積（Ｓｍ）および厚さ（ｔｍ）との間に下記
(2)式で示す関係がある。

Ｐ∝ｔｍ／Ｓｍ (2) また、可動コイルの駆動力は、永久磁石の磁束
量、すなわち永久磁石の磁束密度と永久磁石の断
面積に比例する。

したがつて永久磁石の寸法およびコイルへの入
力が一定の場合、減磁界の影響を受けにくくかつ
駆動力を大とするためには、磁気回路のパーミア
ンス係数が大でかつ磁束密度の大なる永久磁石を
用いる必要がある。

そこで第３図を参照すると、従来の磁気回路に
よれば、第１図イの状態で着磁した後に着磁装置
から取り出した時に、パーミアンス係数は直線ｘ
で示すように低くなるので、大きな減磁耐力を得
るために保磁力の大なるRCo₅系の希土類磁石を
用いる必要がある。しかるに、第１図ハに示す磁
気回路を組立てた場合、RCo₅系の希土類磁石は
曲線Ａで示す減磁特性を有しているので、単体の
動作点R₂より磁束密度が上昇しR₃点にて動作す
るため、磁気空隙の磁束密度Bd₁は約5.800Gにし
かならない。これに対して、本考案の磁気回路に
よれば、第２図イの状態で着磁されるので、パー
ミアンス係数が直線ｙで示すように大幅に向上す
ることから、R₂Co₁₇系の希土類磁石を使用して
も十分大なる減磁耐力が得られる。R₂Co₁₇系の
希土類磁石は曲線Ｂで示す減磁特性を有するの
で、動作点R₁における磁気空隙の磁束密度Bd₂は
約7.000Gにもなる。ただし、R₂Co₁₇系の希土類
磁石を使用した場合でも、従来の磁気回路である
と、単体の動作点R₅からマイナーループをたど
つてR₄点にて動作するため、磁気空隙の磁束密
度Bd′は約5.500Gになつてしまう。

以上に記述の如く、本考案によれば、磁気回路
のパーミアンス係数が大幅に向上し、電磁駆動装
置の小形化、軽量化ならびに高性能化を達成する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図イ，ロ，ハは従来の電磁駆動装置の磁気
回路の磁気回路の一例を説明するための正面図、
第２図イ，ロは本考案の一実施例に係る電磁駆動
装置の磁気回路を説明するための正面図、第３図
は各種希土類コバルト磁石の減磁曲線を示す図で
ある。 １，１′，１ａ，１ｂ：ヨーク片、２ａ，２ｂ，
２ｃ，２ｄ：永久磁石、３：スペーサ、４：可動
コイル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 強磁性材料からなるヨークと上記ヨークに固
   着された永久磁石とを有し、上記永久磁石上に
   磁気空隙が形成された磁気回路と、上記磁気空
   隙内に移動自在に配設された可動コイルとを備
   えた電磁駆動装置において、上記磁気回路は、
   その中央で２つに分割された上記ヨークにそれ
   ぞれ固着された上記永久磁石を着磁した後分割
   された上記ヨークを一体的に結合して組立てら
   れていることを特徴とする電磁駆動装置。 ２ 永久磁石としてR₂Co₁₇系の希土類コバルト
   磁石を用いたことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の電磁駆動装置。