JPS6311350Y2

JPS6311350Y2 -

Info

Publication number: JPS6311350Y2
Application number: JP1983112594U
Authority: JP
Priority date: 1983-07-20
Filing date: 1983-07-20
Publication date: 1988-04-02
Also published as: JPS6021581U

Description

【考案の詳細な説明】本考案はカムリングの回動によつて吐出量が変
化される可変容量型ベーンポンプに関し、とりわ
け、前記カムリングの一側面に吸入ポートおよび
吐出ポートが形成された可変容量型ベーンポンプ
に関する。

従来技術この種の可変容量型ベーンポンプは、たとえば
特開昭58−104383に示されているようなものがあ
り、複数のベーンを放射状かつ摺動自在に支持す
るロータおよびこのロータを内周内に偏心して収
納し該内周中心から外れた点を中心として回動す
るカムリングを備え、該カムリングを回動するこ
とによつて前記ロータとの偏心量を変化させ、も
つて、前記ベーン回転により加圧される作動液の
吐出量を調節できるようになつている。ところ
で、前記カムリングおよびロータの両側は、これ
ら両者間に設けられるポンプ室内の液密機能を保
持するためにハウジングに密接されており、従つ
て、カムリングが回動される際には該カムリング
は前記ハウジングに対し摺動されることになる。

しかしながら、前記カムリングの吐出ポート側
は、該吐出ポート内の高圧作動液が漏出すること
によつて摺動面の潤滑が行なわれるのであるが、
吸入ポート側は、この吸入ポート内が負圧となる
関係上摺動面の潤滑油（作動液）が前記吸入ポー
ト内に吸引されて潤滑油不足を来たしてしまう。
更に、高圧側の吐出ポートと低圧側の吸入ポート
がカムリングの同一側面に形成されているため、
該カムリングに作用する荷重が吐出ポート側と吸
入ポート側とでアンバランス状態となつてカムリ
ングにこじれが生じ、前記吸入ポート側がハウジ
ングに強く圧接されることにより、前述した吸入
ポート側の潤滑油不足が増長されることになる。
従つて、このように潤滑油不足が来たされると大
きな摩擦抵抗によりカムリングの円滑な作動が損
なわれ、可変容量型ベーンポンプの正確な吐出量
制御が行なわれなくなると共に、更にはカムリン
グが潤滑油不足によりステイツクしてしまうとい
う恐れがあつた。

考案の目的本考案はかかる従来の実状に鑑みて、吐出ポー
トから漏出した作動液をカムリングの吸入ポート
外側に積極的に案内することによつて、該吸入ポ
ート側の潤滑を十分に行ない、カムリングの作動
不良又はカムリングのステイツクを防止するよう
にした可変容量型ベーンポンプを提供することを
目的とする。

考案の構成かかる目的を達成するために本考案は、複数の
ベーンを放射状かつ摺動可能に支持するロータ
と、このロータを内周面に偏心して収納し該内周
中心から外れた点を中心として回動するカムリン
グと、これらロータおよびカムリングの両側を回
転可能かつ液密的に挟持するハウジングと、前記
カムリングの一側面内周部に対向して形成される
吸入ポートおよび吐出ポートとを備え、前記カム
リングを前記ハウジングに対して回動することに
よりカムリング内周とロータとの偏心量を変化さ
せてポンプの吐出量を可変とする可変容量型ベー
ンポンプにおいて、前記吸入ポート，吐出ポート
が形成される前記カムリングの一側面に吸入ポー
ト，吐出ポートの外側を連続して囲繞する。環状
の潤滑溝を形成してある。

作用以上の構成により本考案の可変容量型ベーンポ
ンプにあつては、吐出ポートから漏出した作動液
の一部は潤滑溝の吐出ポート外側部分で受け止め
られ、そして、該潤滑溝を伝つて対向する吸入ポ
ート外側に積極的に案内される。

実施例以下、本考案の実施例を図に基づいて詳細に説
明する。

第１図，第２図は本考案の可変容量型ベーンポ
ンプ１の一実施例を示し、自動変速機の作動液供
給に用いられる場合に例をとつて説明する。即
ち、該可変容量型ベーンポンプ１は、図外のトル
クコンバータを収納するカバー２と、このカバー
２に固定される中空状の固定軸３に設けられたフ
ランジ３ａとによつて構成されるハウジング４内
に収納部５が形成され、この収納部５に収納され
ている。前記固定軸３内には第１図中右方に設け
られるトランスミツシヨンの図外のインプツトシ
ヤフトが挿通され、前記トルクコンバータの出力
が該インプツトシヤフトを介してトランスミツシ
ヨンに伝達されるようになつている。

前記可変容量型ベーンポンプ１は、前記固定軸
３の外周に回転自在に嵌合されるロータ１０を有
し、該ロータ１０には径方向に延び外側に開放さ
れる複数のスリツト１１が形成されており、この
スリツト１１内にベーン１２が摺動可能に嵌装さ
れて該ベーン１２の外径端部が前記ロータ１０外
周から放射状に突出されている。そして、該ロー
タ１０の外周にはポンプ室となる空間部Ｓを設け
て環状のカムリング１３が嵌装され、該カムリン
グ１３のの内周１３ａと前記ロータとは偏心して
配置されると共に、該内周１３ａには前記ベーン
１２の先端が摺接されるようになつている。ま
た、前記ロータ１０の内周には係止溝１４が形成
され、この係止溝１４には前記固定軸３の外周に
回転自在に嵌合されてトルクコンバータの図外の
ポンプインペラに連結される駆動軸６端部が係止
されている。従つて、前記ロータ１０は該駆動軸
６，前記ポンプインペラを介して図外のクランク
シヤフト回転で駆動されるようになつている。一
方、前記カムリング１３は一端（第２図中右側）
がピン１５を介して前記カバー２に回動可能に装
着されると共に、前記カムリング１３の他端（第
２図中左側）から腕部１６を突設し、この腕部１
６と前記カバー２との間に配設された圧縮スプリ
ング１７によつて前記カムリング１３は前記ピン
１５を中心として上方への回動方向に付勢されて
いる。また、前記腕部１６の上側には前記圧縮ス
プリング１７の付勢力に対向して前記カバー２に
取り付けられるアクチユエータ３０によつて軸方
向（図中上下方向）移動される作動杆３１が当接
され、この作動杆３１の移動によつて前記カムリ
ング１３が回動され、該カムリング１３とロータ
１０との間の偏心量が変化されるようになつてい
る。前記アクチユエータ３０は前記ポンプ１の吐
出圧によつて作動され、エンジンの低回転域にあ
つては前記作動杆２１の押圧力を小さくすること
によつてカムリング１３を上方（Ｘ方向）に回動
してロータ１０回転に対してのポンプ吐出量を増
大し、一方エンジンの高回転域にあつては前記作
動杆３１の押圧力を大きくすることによつてカム
リング１３を下方（Ｙ方向）回動してロータ１０
回転に対してのポンプ吐出量を減少させるように
なつている。ところで、前記カムリング１３の一
側面（第１図中右側）の内周１３ａ周縁には、吸
入ポート１８および吐出ポート１９が対向して形
成され、吸入ポート１８からロータ１０とカムリ
ング１３との間の空間Ｓ内に導入された作動液
は、ロータ１０と共にベーン１２が回転すること
によつて加圧され、反対側に設けられた吐出ポー
ト１９から前記トルクコンバータ内および自動変
速機のコントロールバルプへと供給されるように
なつている。２０，２１は前記ロータ１０および
カムリング１３の両側に密接，配置されるハウジ
ングであるサイドプレートで、これらサイドプレ
ート２０，２１によつて前記空間Ｓ内の液密機能
が保持されるようになつている。また、２２，２
３は前記ロータ１３の両側に形成された環状溝１
０ａ，１０ｂに前記カムリング１３と同心状に配
されたベーンリングで、このベーンリング２２，
２３はベーン１２の内径端に摺接して該ベーン１
２の外径端がカムリング１３の内周１３ａに密接
されるようにガイドする。

ここで、本考案は前記吸入ポート１８および前
記吐出ポート１９が形成される前記カムリング１
３の一側面に、吸入ポート１８，吐出ポート１９
の外側を連続して囲繞する環状の潤滑溝１００を
形成してある。

以上の構成により、前記可変容量型ベーンポン
プ１は、エンジン作動に伴つて駆動軸６を介して
稼動され、吸入ポート１８から吸入された作動液
は加圧されて吐出ポート１９から吐出される。こ
のとき、吐出ポート１９内の高圧作動液はカムリ
ング１３とサイドプレート２１との密接面に少量
が漏出し、この漏出した作動液によりカムリング
１３の吐出ポート１９側を潤滑すると共に、更
に、前記漏出作動液は潤滑溝１００で受け止めら
れる。すると、該潤滑溝１００で受け止められた
作動液は、この潤滑溝１００を伝つて前記吐出ポ
ート１９と対向する吸入ポート１８側に積極的に
案内され、カムリング１３の該吸入ポート１８側
端部に供給され、当該部分を潤滑する。また、カ
ムリング１３の吸入ポート８側端部の潤滑油（作
動液）が該吸入ポート１８内に吸引されたとして
も、前記潤滑溝１００を伝つて吐出ポート１９か
ら漏出した作動液が順次供給されるので、潤滑油
不足が来たされることはない。従つて、カムリン
グ１３が吐出ポート１９，吸入ポート１８の圧力
差によりこじれ方向の荷重が作用しても、吸入ポ
ート１８側端部は十分に潤滑されることにより、
カムリング１３回動時にサイドプレート２１との
間の摩擦力を著しく低く維持でき、カムリング１
３の円滑な作動を可能にする。よつて、可変容量
型ベーンポンプ１の吐出量制御を正確に行なうこ
とができる。更に、前記潤滑溝１００は連続した
環状に形成されているため、カムリング１３の全
周を潤滑し該カムリング１３の回動が更に円滑に
行なわれる。尚、前記潤滑溝１００を伝つて吸入
ポート１８側に案内された作動液は、カムリング
１３とサイドプレート２１との間を潤滑した後吸
入ポート１８内に吸引されるので、作動液がカム
リング１３外方に漏出されるのを防止する。

ところで、本実施例にあつては第２図に示した
ようにカムリング１３の回動方向両端部には、該
カムリング１３が必要量以上回動されるのを防止
するため収納部５内周に当接される一対のストツ
パ２４，２５が突設されている。しかし、このス
トツパ２４，２５は図中二点鎖線で示したように
カムリング１３の外周形状が内周１３ａと同心円
に形成されている場合には、カムリング１３とロ
ータ１０とが偏心していることおよび収納部５内
径がロータ１０と同心状に形成されている関係
で、下方のストツパ２５が上方のストツパ２４に
比べて突出量ｈが大きくなる。つまり、カムリン
グ１３の下方側と収納部５との間には、該カムリ
ング１３が最下方に回動した状態でも大きな空間
が設けられることになる。そこで、本実施例では
図中実線で示すように、カムリング１３の下半分
の外周を前記下方のストツパー２５の先端部近傍
まで達するように収納部５の内径と略同径で膨出
形成してある。従つて、このようにカムリング１
３の外径を膨出することによつて、該カムリング
１３とサイドプレート２０，２１との接触面積が
増大され、ポンプ室としての空間Ｓ内の液密効果
を更に向上することができる。更に、カムリング
１３の上半分の外周を前記収納部５の内径と略同
径に形成することによつても第２図中左右方向両
側部分の接触面積を増大することができる。

考案の効果以上説明したように本考案の可変容量型ベーン
ポンプにあつては、カムリングの一側面に対向し
て形成された吸入ポート，吐出ポートの外側を連
続して囲繞する環状の潤滑溝を形成したので、高
圧となる吐出ポート内からカムリングとハウジン
グとの間に漏出した作動液は前記環状溝で受け止
められ、該環状溝を伝つて吐出ポートと対向する
吸入ポート側に積極的に案内されて供給される。
従つて、カムリングの吸入ポート側は前記環状溝
で案内された作動液によつて十分に潤滑されるた
め、当該吸入ポート側に潤滑油不足が来されるの
が防止される。また、上記環状の潤滑溝と作動液
が充満されるカムリング内周との間の摺動面全体
は、潤滑溝又はカムリング内周から漏出する作動
液によつて常に潤滑された状態となり、前記吸入
ポート側への積極的な作動液供給と相俟つてカム
リング摺動面の潤滑効果を著しく向上することが
できる。従つて、カムリングの円滑な作動を可能
にし、そして、可変容量ベーンポンプの吐出量制
御を正確に行なうことができるという優れた効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の可変容量型ベーンポンプの一
実施例を示す断面図、第２図は第１図中−線
からの断面図である。１……可変容量型ベーンポンプ、４……ハウジ
ング、５……収納部、１０……ロータ、１２……
ベーン、１３……カムリング、１８……吸入ポー
ト、１９……吐出ポート、１００……潤滑溝。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

複数のベーンを放射状かつ摺動可能に支持する
ロータと、このロータを内周内に偏心して収納し
該内周中心から外れた点を中心として回動するカ
ムリングと、これらロータおよびカムリングの両
側を摺動可能かつ液密的に挾持するハウジング
と、前記カムリングの一側面内周部に対向して形
成される吸入ポートおよび吐出ポートとを備え、
前記カムリングを前記ハウジングに対して回動す
ることによりカムリング内周とロータとの偏心量
を変化させてポンプの吐出量を可変とする可変容
量型ベーンポンプにおいて、前記吸入ポート，吐
出ポートが形成される前記カムリングの一側面
に、吸入ポート，吐出ポートの外側を連続して囲
繞する環状の潤滑溝を形成したことを特徴とする
可変容量型ベーンポンプ。