JPS6310595Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、回路しや断器のトリツプ機構等に
用いられる釈放形電磁装置の改良に関するもので
ある。

〔従来技術〕

従来、この種の釈放形電磁装置は第１図及び第
２図に示すように構成されている。第１図はその
側断面図、第２図はその平面図である。

図において、１は磁気分路片１ａを有し、磁路
を形成する磁性材製の第１の継鉄、２はこの第１
の継鉄１に対向して配置され、磁気分路片２ａと
貫通孔２ｂとを有し、磁路を形成する磁性材製の
第２の継鉄、３はこの第２の継鉄２の貫通孔２ｂ
に遊嵌され、一端が上記第１の継鉄１に接離し得
る可動鉄心、４はこの可動鉄心３を上記第１の継
鉄１から開離する方向に常時付勢する釈放用ば
ね、５は上記第１と第２の継鉄１，２との間に配
置され、上記可動鉄心３を上記第１の継鉄１に吸
引させる永久磁石、６は上記可動鉄心３が遊嵌さ
れた絶縁材製の巻枠、７はこの巻枠６上に巻回さ
れ、付勢時に上記可動鉄心３に流れる上記永久磁
石５の磁束を打ち消す電磁コイル、８は上記可動
鉄心３を吸引状態にリセツトするためのレバーで
ある。

次に、従来の釈放形電磁装置の動作について説
明する。即ち、第１図において、レバー８を矢印
方向に回動すると、可動鉄心３が第１の継鉄１に
当接してリセツトされ、永久磁石５の磁束が、永
久磁石５のＮ極−第２の継鉄２−可動鉄心３−第
１の継鉄１−永久磁石５のＳ極へと流れ、その電
磁吸引力により釈放用ばね４の付勢力に抗して可
動鉄心３が第１の継鉄１に吸引され、第１図に示
す吸引状態が維持される。次に、電磁コイル７を
付勢すると、所定方向の励磁電流が電磁コイル７
に流れて可動鉄心３に流れる永久磁石５の磁束を
打消し、永久磁石５の磁束が磁気分路片１ａ，２
ａへバイパスする。そのため、可動鉄心３を通過
する磁束が減少し、その電磁吸引力が小さくなつ
て、釈放用ばね４の付勢力により、可動鉄心３の
吸引を解き、可動鉄心３が釈放され第１図の一点
鎖線に示す状態となる。ところが、従来の釈放形
電磁装置は、可動鉄心３に流れる永久磁石５の磁
束は最短距離を通過するため、第２図の矢印に示
すように、永久磁石５に最も近い可動鉄心３の一
面に集中して流れて、その電磁吸引力により、可
動鉄心３に摩擦力を生じる。このため、電磁コイ
ル７を付勢して可動鉄心３を釈放する際、釈放用
ばね４の付勢力が充分に働かず、可動鉄心３が釈
放されない等の動作特性が不安定になるという欠
点があつた。

〔考案の概要〕

この考案は、上記のような従来のものの欠点を
除去するためになされたもので、永久磁石からの
磁束が可動鉄心に分散して流れるように高磁気抵
抗部を第２の継鉄に設けることにより、安定した
動作特性が得られる釈放形電磁装置を提供するこ
とを目的としている。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を図に従つて説明す
る。第３図及び第４図はいずれもこの考案の一実
施例を示すもので、第３図はその側断面図、第４
図はその平面図である。図において、２ｃは可動
鉄心３と永久磁石５とを結ぶ線を横切るように第
２の継鉄２に穿設された貫通孔からなる高磁気抵
抗部である。

次に、この考案の動作を説明する。即ち、第３
図においが、レバー８を矢印Ａ方向に回動する
と、可動鉄心３がリセツトされて、従来装置と同
様に永久磁石５から可動鉄心３に磁束が流れ、そ
の電磁吸引力により、可動鉄心３が第１の継鉄１
に吸引され、その吸引状態が維持される。次に、
電磁コイル７を付勢すると、従来装置と同様に、
可動鉄心３を通過する磁束が減少し、その電磁吸
引力が小さくなつて、釈放用ばね４の付勢力によ
り可動鉄心３の吸引を解き、可動鉄心３が釈放さ
れ第３図の一点鎖線に示す状態となる。ところ
で、可動鉄心３の吸引状態で永久磁石５の磁束
は、第４図に示すように、貫通孔からなる高磁気
抵抗部２ｃを避けて分流し、可動鉄心３に分散し
て流れる。そのため、可動鉄心３がバランスし
て、貫通孔２ｂのほゞ中央に位置し、第２の継鉄
２の貫通孔２ｂ及び巻枠６の内周面との間の可動
鉄心３の摩擦が大巾に軽減されるため、電磁コイ
ル７を付勢して可動鉄心３を釈放する際、釈放用
ばね４の付勢力により可動鉄心３が確実に釈放さ
れ、動作特性が安定するものである。

なお、上記実施例では高磁気抵抗部２ｃとし
て、第２の継鉄２に貫通孔２ｃを穿設したものを
示したが、第５図及び第６図に示すように、第２
の継鉄２に切欠２ｃを設けてもよく、上記実施例
と同様の効果を奏するものである。

更には、上記実施例では永久磁石５の磁束がバ
ランスして分流し、約180度対向した位置から可
動鉄心３に向つて流れるものを示したが、高磁気
抵抗部２ｃの大きさ、形状を変形して永久磁石５
の磁束をアンバランスに分流させてもよく、ま
た、永久磁石５の磁束が可動鉄心３の一面に集中
せずに可動鉄心３に分散して流れるようにすれ
ば、180゜対向した位置から可動鉄心３に向つて流
れなくてもよく、上記実施例と同様の効果を奏す
るものである。

また、上記実施例では、円柱状の可動鉄心３の
外周上に巻枠６を介して電磁コイル７を巻回し、
磁気分路片１ａ，２ａは各継鉄１，２を折曲した
ものを示したが、可動鉄心３を円柱状以外の形状
にし、継鉄１，２に電磁コイル７を巻回し、且
つ、磁気分路片１ａ，２ａは継鉄１，２と別部材
であつてもよく、上記実施例と同様の効果を奏す
ることは云うまでもないものである。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案によれば、永久磁石か
らの磁束が可動鉄心に分散して流れるように高磁
気抵抗部を第２の継鉄に設けたことにより、可動
鉄心の摩擦が軽減されるため、電磁コイルを付勢
すると可動鉄心が確実に釈放され、動作特性が安
定した釈放形電磁装置を得ることができる効果を
有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はいずれも従来の釈放形電磁
装置を示すもので、第１図はその側断面図、第２
図はその平面図である。第３図及び第４図はいず
れもこの考案の一実施例を示すもので、第３図は
その側断面図、第４図はその平面図である。第５
図及び第６図はいずれもこの考案の他の実施例を
示すもので、第５図はその側断面図、第６図はそ
の平面図である。 図中、１は第１の継鉄、２は第２の継鉄、２ｃ
は高磁気抵抗部、３は可動鉄心、５は永久磁石、
７は電磁コイルである。なお、図中同一符号は同
一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 互いに対向して配置され、磁路を形成する第
   １と第２の継鉄、この第１の継鉄に接離し得る
   ように対向して配置され、上記第１の継鉄から
   開離する方向に常時付勢され、且つ上記第２の
   継鉄と磁気的に結合された可動鉄心、上記第１
   と第２の継鉄との間に配置され、上記可動鉄心
   を上記第１の継鉄に吸引させる永久磁石、付勢
   時に上記可動鉄心に流れる上記永久磁石の磁束
   を打ち消す電磁コイル、及び上記磁束が分散し
   て上記可動鉄心に流れるように上記第２の継鉄
   に設けられた高磁気抵抗部を備えた釈放形電磁
   装置。 (2) 高磁気抵抗部は、可動鉄心と永久磁石との間
   に位置して第２の継鉄に穿設された貫通孔で構
   成されたことを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第(1)項記載の釈放形電磁装置。 (3) 第２の継鉄に摺動孔を設け、この摺動孔に可
   動鉄心が遊嵌され、且つ、可動鉄心の外周に電
   磁コイルが巻装されたことを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第(1)項または第(2)項記載の釈
   放形電磁装置。 (4) 高磁気抵抗部は、可動鉄心と永久磁石との間
   に位置し、且つ摺動孔に連らなる切欠で構成さ
   れたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第(3)項記載の釈放形電磁装置。