JPS628382B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 この発明は、紙層体反転装置に関し、特に垂直
方向に積層された紙層体の上下面を反転させるた
めの紙層体反転装置に関する。

発明の背景 印刷工場などでは、たとえばオフセツト印刷を
する際、多量の積層された紙（たとえばトン単位
の紙層体）を印刷機にセツトし、印刷が行なわれ
ている。

ところで、このような紙層体を印刷機にセツト
する場合、セツトする紙の表裏を確認して、所定
の面、たとえば表面を上面にして、印刷機にセツ
トする必要がある。このとき、上述のようにセツ
トすべき紙層体は、たとえば約１トンもあり、大
重量の紙層体の上下面を反転させる必要がある。

また、両面印刷をする場合には、表面が印刷さ
れて積層された紙層体を、裏面にも印刷するため
に紙層体の上下面を反転し、印刷機にセツトする
必要がある。

このような紙層体の反転にあたつて、従来は、
次のような２つの方法がとられていた。第１に
は、人手によつて、紙層体の反転を数10回に分け
て、行なうものである。しかしながら、この方法
では、紙層体の反転に時間と多数の人手を要し、
さらに反転された紙層体の積層が乱れるおそれが
あるという欠点があつた。他の方法としては、第
１図ないし第３図に示すような反転装置を用いて
行なわれていた。

次に、第１図ないし第３図を参照して、この従
来の反転装置について簡単に説明する。

従来装置の説明 反転装置１は、テーブル２と、そのテーブル２
の表面に対して垂直に突出して設けられた上クラ
ンプ板３および下クランプ板４を含む。テーブル
２の裏面には、回転機構５が取付けられている。
そして、この回転機構５および上述の上下クラン
プ板３，４が設けられたテーブル２は、ベース６
上に配置された油圧シリンダ７およびアーム８で
保持されている。なお、ベース６上には、回転機
構５および油圧シリンダ７を駆動させるための油
圧モータ９および減速機１０等が設けられてい
る。

この従来の反転装置１によつて、紙層体１１を
反転させる動作は、次のように行なわれる。垂直
方向に積層された紙層体１１は、パレツト１２の
上に載せられ、さらに紙層体１１の上面には、パ
レツト１３が置かれている。このパレツト１２，
１３によつて挾まれた紙層体１１を、反転装置１
の下クランプ板４上に置く、反転装置１を駆動さ
せると、油圧により上クランプ板３および下クラ
ンプ板４が、それぞれ下降および上昇することに
よつて、パレツト１２，１３で挾まれた紙層体１
１を挾む。このとき上下クランプ板３，４が紙層
体１１を挾む力（紙層体１１に与えられる圧力）
は、たとえば紙層体１１の重量が１トンであれ
ば、約３トン近くも加えられる。

紙層体１１を上下クランプ板３，４で挾んでか
ら、テーブル２はその表面が水平になる状態まで
動かされる。これは、油圧シリンダ７によつて動
かされる。そして、テーブル２が水平になつた状
態（第２図の状態）において、テーブル２は回転
機構５により180度旋回される。なお、この状態
のとき、その上下面だけが挾まれた紙層体１１が
テーブル２上にずり落ちないのは、上述のよう
に、紙層体１１に加えられている圧力が非常に大
きいためである。

テーブル２が旋回した後、テーブル２は第３図
に示すようにもとの状態に戻る。この場合、上ク
ランプ板３と下クランプ板４との位置が反対にな
つており、それに伴なつて紙層体１１の上下面も
反転されている。

ところでこのような従来の反転装置１には次の
ような欠点がある。それは、紙層体１１が反転
のために加圧保持される。このとき加えられる力
は、上述のように、たとえば約３トンという大き
な力である。それゆえ、紙層体１１を構成する各
紙の間の空気が反転時に完全に抜けてしまい、紙
同士が密着する。この紙同士が密着した紙層体１
１を印刷機にセツトしたとき、紙の取出しや送り
出しがスムーズにいかない、反転装置１は、上
述のように大きな加圧力を必要とする上下クラン
プ板３，４や、動きの大きなテーブル２等を備
え、それを駆動させる装置もいきおい大きくな
り、装置全体として大がかりなものとなる、等で
ある。

発明の目的 この発明の目的は、上述の従来装置の欠点を解
消し、紙層体を簡単に反転できる小型でかつ簡単
な構成の紙層体反転装置を提供することである。

発明の概要 この発明は、簡単に言えば、垂直基板と、その
垂直基板の上下に設けられた紙層体の上面および
下面を支持する上部チヤツク用つめおよび下部チ
ヤツク用つめと、垂直基板に取付けられた紙層体
の一方側面を支持する上下に延びるサイドガイド
部材とからなり、さらに、その垂直基板を基板面
が垂直な状態で少なくとも180度回転できる回転
機構を備えた紙層体反転装置である。

この発明の上述の目的と特徴は、図面を参照し
て行なう以下の実施例の説明から一層明らかとな
ろう。

実施例の説明 第４図および第５図は、この発明の一実施例を
示す斜視図である。特に、第４図は正面側斜視図
を示し、第５図は背面側斜視図を示す。第４図お
よび第５図を参照して、この実施例の構成を説明
する。

平面コ字状のベース２１の後部には、回転機構
２２が装着されている。回転機構２２は、手動ハ
ンドル２２２を含む。手動ハンドル２２２を回転
することにより、回転軸２２１が回転する。そし
て、この回転機構２２の回転軸２２１によつて、
垂直基板２３がその基板中央部を中心に回転可能
に支持されている。垂直基板２３は、たとえば長
方形状であり、基板面が垂直に位置して支持され
ている。なお、垂直基板２３の前面２３Ｆの上下
方向には、当接する紙層体をまつすぐに支えるた
めのガイド板３１および３２が取付けられてい
る。

垂直基板２３の上部２３ａおよび下部２３ｂに
は、それぞれ１対の上部チヤツク用つめ２４Ａ，
２４Ｂおよび１対の下部チヤツク用つめ２５Ａ，
２５Ｂが設けられている。上部チヤツク用つめ２
４Ａ，２４Ｂおよび下部チヤツク用つめ２５Ａ，
２５Ｂは、それぞれ垂直基板２３の前面に対して
直角方向に前方へ突出している。また、上部チヤ
ツク用つめ２４Ａ，２４Ｂは、第４図に示す状態
から下方へスライド可能に設けられている。逆
に、下部チヤツク用つめ２５Ａ，２５Ｂは、第４
図に示す状態から上方にスライド可能に設けられ
ている。垂直基板２３の前面に、各チヤツク用つ
め２４Ａ，２４Ｂ，２５Ａ，２５Ｂに関連して形
成されたスリツト２３１ａ，２３１ｂ，２３２
ａ，２３２ｂは、上記各チヤツク用つめ２４Ａ，
２４Ｂ，２５Ａ，２５Ｂがスライドできるように
形成されたものである。なお、上下各チヤツク用
つめの相対する側と反対側には、後述するパレツ
トに差込みやすいように、テーパがつけられてい
る。

垂直基板２３の正面から見て右辺側２３ｃに
は、２つのアームホルダ２６Ａ，２６Ｂが上下方
向に配置されて固着されている。この各アームホ
ルダ２６Ａ，２６Ｂによつて、それぞれアーム２
７Ａ，２７Ｂが回動自在に保持されている。そし
て、この２本のアーム２７Ａ，２７Ｂによつて、
上下方向に延びるサイドガイド部材２８Ａおよび
２８Ｂが固定されている。

ここで、第６図を参照して、アーム２７Ａ，２
７Ｂの構造、特にアーム２７Ａ，２７Ｂおよびそ
のアームに固着されたサイドガイド部材２８Ａ，
２８Ｂが、垂直基板２３に固着されたアームホル
ダ２６Ａ，２６Ｂに対して回動する構造および動
作について詳しく説明する。第６図は、反転装置
２０の平面図のうちアーム２７Ａ，２７Ｂに関連
する部分だけを示した図である。垂直基板２３の
一方側部（正面から見て右辺側）に固着されたア
ームホルダ２６Ａ，２６Ｂには、軸２６１Ａ，２
６１Ｂを中心に、アーム２７Ａ，２７Ｂが、垂直
基板２３の前面２３Ｆから離れる方向に回動可能
に取付けられている。垂直基板２３の右辺とアー
ム２７Ａ，２７Ｂとの間には、自然状態で、アー
ム２７Ａ，２７Ｂが、垂直基板２３から離れるよ
うに、ばね２９Ａ，２９Ｂが装着され、このばね
２９Ａ，２９Ｂによつて付勢されている。さら
に、アーム２７Ａ，２７Ｂとアームホルダ２６
Ａ，２７Ｂとの間には、上記ばね２９Ａ，２９Ｂ
の力に抗してアーム２７Ａ，２７Ｂを垂直基板２
３の前面２３Ｆに近付く方向に回動させるため、
小形の油圧ポンプ３０Ａ，３０Ｂが装着されてい
る。これによつて、アーム２７Ａ，２７Ｂに固着
されたサイドガイド部材２８Ａ，２８Ｂの紙層体
に接触する面２８AF，２８BFが垂直基板２３の
前面２３Ｆに対して直角に位置される。

次に第７図は、この実施例の紙層体反転装置２
０によつて、紙層体１１を反転させている状態を
示す正面図である。

紙層体１１は、その上面と下面とにそれぞれパ
レツト４０が置かれている。紙層体１１は、その
パレツト４０を介して、上部チヤツク用つめ２４
Ａ，２４Ｂおよび下部チヤツク用つめ２５Ａ，２
５Ｂによつて保持されている。この保持は、前述
の従来の装置における上下クランプ板による保持
と異なり、紙層体１１の積層方向に大きな圧力を
加えるものではない。

さらに、紙層体１１の一方側面には、サイドガ
イド部材２８Ａ，２８Ｂが当接する。このサイド
ガイド部材によつて、紙層体１１が反転されると
き、紙層体１１が紙面方向にずれることが防止さ
れる。そして、紙層体１１を乗せた垂直基板２３
は、サイドガイド部材２８Ａ，２８Ｂが取付けら
れた垂直基板２３の右辺側２３ｃ（第４図）が、
常に下方に位置するようにして、180度反転され
る。これによつて、紙層体１１の上面と下面とが
反転する。

なお、紙層体１１の量が少ない場合には、第８
図に示すように、上部チヤツク用つめ２４Ａ，２
４Ｂおよび下部チヤツク用つめ２５Ａ，２５Ｂが
それぞれ中心部方向へスライドし、紙層体１１を
常に垂直基板２３の中心部で保持する。それゆ
え、量の少ない紙層体１１を保持した場合でも、
紙層体１１を保持した垂直基板２３の重心、言い
換えれば反転すべき紙層体１１の重心がその回転
中心に位置しているため、垂直基板２３の回転
（紙層体の反転）がスムーズに行なえるという利
点がある。

さらに、サイドガイド部材２８Ａ，２８Ｂは、
前述のように垂直基板２３に対して回動するの
で、紙層体１１をこの紙層体反転装置２０にセツ
トしやすいという利点がある。そして、セツトし
た紙層体１１の上下を反転後、紙層体をセツトし
た方向と同じ方向、つまり装置２０の前方側から
取出せるので、当該紙層体反転装置２０は印刷機
等へのマツチングが良く、印刷機等へ上下面を反
転した後の紙層体を移し換えることが容易にでき
る。また、装置前方側から紙層体をセツトでき、
反転後の垂直基板を同じ装置前方側へ取出せるの
で、装置の設置スペースが少なくて済むという利
点もある。

なお、この実施例では、上部チヤツク用つめ２
４Ａ，２４Ｂおよび下部チヤツク用つめ２５Ａ，
２５Ｂは、それぞれ１対ずつ設けたが、たとえば
幅の広いチヤツク用つめを上部と下部とにそれぞ
れ１つだけ設けてもよい。

また、サイドガイド部材２８Ａ，２８Ｂは必ず
２本に限ることはなく、必要に応じて１本や３本
以上にしてもよい。さらにまた、サイドガイド部
材２８Ａ，２８Ｂを固定するアームは、１本でも
あるいは３本以上でもよい。また、アームを用い
ず、サイドガイド部材を、直接垂直基板２３に固
着しても構わない。

第９図は、上述した紙層体１１の上面および下
面を挾むパレツト４０の斜視図である。パレツト
４０は、２本の歯４２が設けられている。このパ
レツト４０の特徴は、紙層体１１を乗せる面に、
等間隔に細い溝４１が形成されていることであ
る。この溝４１を形成したことには、次のような
意義がある。

紙層体１１を反転機２０で反転させ、所定の面
を上面とした後、その紙層体１１を印刷機にセツ
トする。その際、紙層体１１は、前述したように
トン単位の固りであるから、たとえばパレツト４
０に乗せられたまま、ハンドリフト等で印刷機に
セツトする。そのとき、パレツト４０に、第９図
に示すように、細い溝４１を形成しておけば、印
刷機のつめ（細い棒）が、この溝４１に挿入さ
れ、紙層体１１を保持する。よつて、パレツト４
０を取外すことができる。このようにすれば、パ
レツト４０が邪魔にならず、次の紙層体を、前の
紙層体に続いて、印刷機に連続してセツトでき、
印刷用紙が途中で途切れることなく、連続的に印
刷が可能となる。

なお、従来の装置（第１図〜第３図）において
は、パレツト４０で挾まれた紙層体１１を加圧保
持するため、パレツト面に近い紙が、溝４１によ
つて変形したり破れたりし、この種のパレツト４
０は使用することができなかつた。それゆえ、従
来の装置では、パレツトに乗つた紙層体１１をパ
レツトごと印刷機にセツトした後、紙層体１１か
ら紙が順次送られ、その紙がなくなるまでパレツ
トを印刷機から外せなかつた。それゆえ、連続し
て紙層体をセツトできず、紙層体を交換する度に
印刷を一時中止しなければならないという不便も
あつた。この点も本願発明を応用することにより
解消されたことを付言しておく。

発明の効果 以上のように、この発明によれば、小型でかつ
簡単な構成の紙層体反転装置を提供できる。また
故障が少なく、安価な装置とでき、小規模の印刷
工場等で広く活用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は、従来の紙層体反転装置
の構成と動作を示す図である。第４図および第５
図は、この発明の一実施例の紙層体反転装置の斜
視図である。第６図は、第４図、第５図に示す反
転装置のアームの構造と動作とを説明するための
図である。第７図は、この発明の一実施例に紙層
体をセツトして反転している状態を示した図であ
る。第８図は、量の少ない紙層体をこの実施例に
セツトした状態を示す図である。第９図は、この
実施例に適用されるパレツトを示す斜視図であ
る。 図において、１１は紙層体、２０は紙層体反転
装置、２２は回転機構、２２１は回転軸、２３は
垂直基板、２４Ａ，２４Ｂは上部チヤツク用つ
め、２５Ａ，２５Ｂは下部チヤツク用つめ、２７
Ａ，２７Ｂはアーム、２８Ａ，２８Ｂはサイドガ
イド部材を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 垂直方向に積層された紙層体の少なくとも上
   面と下面と一方側面とを支持して、その紙層体の
   上下面を反転させるための紙層体反転装置であつ
   て、 前記紙層体の背面に沿つて配置される垂直基
   板、 前記紙層体の上面および下面を支持するために
   前記垂直基板の上下にそれぞれ設けられ、該紙層
   体の上面および下面にそれぞれ当接可能な上部チ
   ヤツク用つめおよび下部チヤツク用つめ、 前記紙層体の一方側面を支持するために前記垂
   直基板に取付けられ、紙層体の側面に当接可能に
   上下に延びるサイドガイド部材、ならびに 前記垂直基板面に直交する軸線を中心にして、
   前記サイドガイド部材が取付けられた側が下方に
   位置するようにして、前記垂直基板を少なくとも
   180度回転できる回転機構を含み、 それによつて装置前方側から紙層体をセツトで
   き、上下面を反転させた紙層体をセツトした側と
   同じ装置前方側へ取出せるようにしたことを特徴
   とする、紙層体反転装置。 ２ 前記上部チヤツク用つめおよび前記下部チヤ
   ツク用つめは、それぞれ上下にスライド可能に設
   けられていることを特徴とする、特許請求の範囲
   第１項記載の紙層体反転装置。 ３ 前記サイドガイド部材は、前記垂直基板の一
   方側部に設けられたアームに固着され、該アーム
   は、前記垂直基板に対して回動可能に取付けられ
   ていることを特徴とする、特許請求の範囲第１項
   または第２項記載の紙層体反転装置。 ４ 前記回転機構は、手動ハンドルで駆動される
   ことを特徴とする、特許請求の範囲第１項ないし
   第３項のいずれかに記載の紙層体反転装置。