JPS628365Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ガソリン機関において使用される気
化器の改良に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

一般にガソリン機関用の気化器においては、例
えば実公昭50−14034号公報の第１図に記載され
ているように、機関の低負荷又はアイドリング運
転域における燃料を、これに複数個のスローエア
ブリードによつて空気を混合したのち、スロー系
燃料供給通路を介して、スロツトル弁の近傍のス
ローポート及びアイドルポートに導いて、このス
ローポート及びアイドルポートより吸気系に供給
するようにしている。

ところが、前記スローエアブリードは、気化器
におけるベンチユリーの上流側に位置している一
方、スローポート及びアイドルポートはスロツト
ル弁の付近に位置しているので、当該スローエア
ブリードからスローポート及びアイドルポートに
至るスロー系燃料供給通路は比較的長くなること
に加えて、気化器の構造上、当該スロー系燃料供
給通路の途中には、例えば特開昭53−8432号公報
に記載されているように、略水平方向への屈曲す
る部分を有する場合が多い。

そして、このように複数個のスローエアブリー
ドからスローポート及びアイドルポートに至る比
較的長いスロー系燃料供給通路の途中に、略水平
方向に屈曲部が存在すると、この略水平方向への
屈曲部の加工がきわめて困難になつて、製作コス
トがアツプすることになる。

しかも、前記スロー系燃料供給通路の途中にお
ける水平屈曲部において、前記スローエアブリー
ドにおいて空気を混合した燃料が気液に分離する
現象が発生し、その結果、燃料は液状のまま各ポ
ートより吸気系に供給されることになるから、低
負荷又はアイドリング運転域において均質な吸気
混合気を形成することができず、燃焼が不安定に
なる傾向を呈する。

それ故に、前記スロー系燃料供給通路の途中
に、略水平方向への屈曲部が存在している気化器
の場合には、低負荷又はアイドリング運転域にお
ける燃料の供給を若干多い目に設定するようにし
ているから、燃料の消費量が増大するばかりか、
排気ガスが悪化するのであつた。

この点に関し、前記実公昭50−14034号公報の
第２図は、複数個のスローエアブリードのうち最
終位置のスローエアブリードからの空気を、スロ
ーポート及びアイドルポートの近傍において当該
スローポート及びアイドルポートへの燃料に混合
することを提案しているが、かくすると、気化器
のボデーには、前段のスローエアブリードからス
ローポート及びアイドルポートに至る比較的長い
スロー系燃料供給通路に加えて、前記最終位置の
スローエアブリードからスローポート及びアイド
ルポートに至る長いスローエアブリード用通路を
設けなければならず、換言するとスローポート及
びアイドルポートに対しては、スロー系燃料供給
通路とスローエアブリード用通路との二本の細長
い道路が必要となるから、構造が複雑でその加工
がきわめて厄介となつて、これまた製造コストが
嵩むことになる。

本考案は、このようにスローエアブリードから
スローポート及びアイドルポートに至る長いスロ
ー系燃料供給通路における前記の問題を、極く簡
単な構成によつて解消することを目的するもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案は、スローポート及びアイドル
ポートに供給する燃料に空気を混合するための複
数個のスローエアブリードを備え、且つ、前記複
数個のスローエアブリードのうち最終位置のスロ
ーエアブリードから前記スローポート及びアイド
ルポートに至るスロー系燃料供給通路の途中に、
略水平への屈曲部分を備えて成る気化器におい
て、前記スロー系燃料供給通路の途中における略
水平屈曲部分を、気化器を前記スローエアブリー
ドを有する上部本体と前記スローポート及びアイ
ドルポートを有するスロート部とに分割した分割
接合面に設ける一方、前記スロー系燃料供給通路
中には、前記略水平屈曲部より下流側で、且つ、
前記分割接合面にのぞむ部位にミキシング用の絞
りを設けた構成にしたものである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、図において符号１は、ラージベンチユリー
３、スモールベンチユリー４、フロート室５、メ
イン通路６、メインエアブリード７及びメインノ
ズル８等の主要部を備えた気化器上部本体を示
す。

また、符号２は、前記気化器上部本体２の下面
における接合面９に対してフランジ部１０を複数
本のボルト１１にて締結することによつて組付け
接合されるスロート部を示す。

前記スロート部２には、スロツトル弁１２の閉
位置よりやや上流側の部位にスローポート１３を
下流側の部位にアイドルポート１４を各々備える
と共に、そのフランジ部１０の面１５からスロー
ポートチヤンバー１６を貫通して前記アイドルポ
ート１４に対するチヤンバー１７に至る通孔１８
が鉛直方向に穿設されている。

一方、前記気化器上部本体１には、前記メイン
通路６から分岐したエアブリード１９付きスロー
ジエツト３８と、該スロージエツト３８に通路２
０を介して連通するスローエアブリード２２付き
スローチヤンバー２１とを備え、更に、前記気化
器上部本体１には、その下面９に、前記スロート
部２における通孔１８に合致する溝型通路２３が
水平横向きに刻設され、この溝型通路２３の一端
に、前記スローエアブリード２２からの斜め通孔
２４を連通して、これら斜め通孔２４、溝型通路
２３及び通孔１８によつてスロー系燃料供給通路
２５が構成されている。

そして、このスロー系燃料供給通路２５の途中
には、前記水平横向きの溝型通路２３より下流側
で、且つ、前記気化器上部本体１の下面９に対す
る接合フランジ面１５にのぞむ部位、つまり、ス
ローポート１３及びアイドルポート１４の上流側
の部位における前記通孔１８が前記接合フランジ
面１５に開口する部位に、ミキシング用の絞り２
６を設ける。

なお、図中符号２７はスロー系のフユーエルカ
ツト弁、２８はガスケツト、２９はスローポート
チヤンバー１６に対する盲栓、３０はアイドル調
整ねじを各々示す。

この構成において、スローポート１３及びアイ
ドルポート１４への燃料は、スロージエツト３８
で計量され、これにエアブリード１９及びスロー
エアブリード２２から供給される空気と混合し、
気液の混合状態になつて斜め通孔２４、溝型通路
２３及び通孔１８を経てスローポート１３及びア
イドルポート１４に導かれる。

この場合において、スロー系燃料供給通路２５
の途中に、前記のように水平横向きの溝型通路２
３が存在すると、気液混合状態の燃料が、当該溝
型通路２３内を流れるときにおいて、気液が分離
し、燃料は液状の状態でスローポート１３及びア
イドルポート１４より流出することになる。

これに対して本考案は、前記のようにこの溝型
通路２３の下流側で且つスローポート１３及びア
イドルポート１４の上流側の部位にミキシング用
絞り２６を設けたもので、前記水平横向きの溝型
通路２３内において気液の分離が発生しても、こ
のミキシング用絞り２６を通過するときにおける
流速アツプに伴う乱流作用により、再び気液が混
合するから、スロー系燃料供給通路２５の途中に
おける水平屈曲部の存在によつて、燃料が液状の
ままスローポート１３及びアイドルポート１４か
ら供給されるのを防止できるのである。

そしてこのミキシング用絞り２６は、前記実施
例のようにスロート部２に穿設した通孔１８のフ
ランジ面１５への開口部に設けてられているか
ら、該ミキシング用絞り２６の取付け及び部品交
換が容易になし得られる。また、前記スロー系燃
料供給通路２５の途中における水平屈曲部である
溝型通路２３を、気化器上部本体１の下面におけ
る接合面９に設けたことにより、当該溝型通路２
３の穿設加工も容易にできる。

〔考案の作用・効果〕

以上の通り本考案によると、途中に略水平への
屈曲部を有するスロー系燃料供給通路を介してス
ローポート及びアイドルポートに燃料を供給する
場合において、前記略水平屈曲部を、気化器の上
部本体とスロート部との分割接合面に設けたこと
により、当該略水平屈曲部を容易に加工すること
ができる一方、スローポート及びアイドルポート
に供給する燃料を、前記略水平屈曲部の下流側に
設けたミキシング用絞りによつて常に気液混合状
態に維持することができるから、低負荷又はアイ
ドリング運転域において均質な吸気混合気を形成
することが確実に達成でき、換言すると、アイド
リング乃至低負荷運転域での空燃比の安定化、ひ
いては燃焼の安定化を達成できる。その結果、ア
イドリング乃至低負荷運転域における燃焼量を多
い目に設定する必要がなく、燃焼消費量を低減で
きると共に、排気ガスを改善でき、その上、燃焼
の安定化によりアイドリング乃至低負荷運転域に
おける回転斑が少なくなるから、回転斑に起因す
る振動及び騒音を低減することができるのであ
る。

しかも、気化器におけるボデーには、前記実公
昭50−14034号公報の第２図のようにスローポー
ト及びアイドルポートに対する長い通路を二本加
工する必要がないことに加えて、前記略水平屈曲
部を容易に加工することができ、且つ、前記ミキ
シング用絞りの取付けも簡単にできることから、
気化器の製作コストを大幅に低減できるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す気化器の要部断面
図である。 １……気化器上部本体、２……スロート部、５
……フロート室、６……メイン通路、８……メイ
ンノズル、１２……スロツトル弁、１３……スロ
ーポート、１４……アイドルポート、１９……エ
アブリード、２１……スローチヤンバ、２２……
スローエアブリード、２５……スロー系燃料供給
通路、２３……水平横向きの溝型通路、２６……
ミキシング用絞り。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スローポート及びアイドルポートに供給する燃
   料に空気を混合するための複数個のスローエアブ
   リードを備え、且つ、前記複数個のスローエアブ
   リードのうち最終位置のスローエアブリードから
   前記スローポート及びアイドルポートに至るスロ
   ー系燃料供給通路の途中に、略水平への屈曲部分
   を備えて成る気化器において、前記スロー系燃料
   供給通路の途中における略水平屈曲部分を、気化
   器を前記スローエアブリードを有する上部本体と
   前記スローポート及びアイドルポートを有するス
   ロート部とに分割した分割接合面に設ける一方、
   前記スロー系燃料供給通路中には、前記略水平屈
   曲部より下流側で、且つ、前記分割接合面にのぞ
   む部位にミキシング用の絞りを設けたことを特徴
   とする気化器。