JPS628216Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車のマキシ・ブレーキ装置の改
良に関する。

近年、自動車、特に大型自動車のエア・サービ
ス・ブレーキ系統には、万一故障によりブレーキ
の空気圧が低下し、エア・サービス・ブレーキが
効かなくなつた場合に備えて、スプリングの力に
よつてブレーキを作動させるスプリング・ブレー
キ型安全装置、すなわち、マキシ・ブレーキ装置
が採用され、安全性の向上を図つている。

しかし、この種のマキシ・ブレーキ装置は常圧
配管内の圧力を検知し、その圧力が一定以下に下
がると作動するように構成されているため、非常
圧配管においてエア洩れが生じた場合、そのエア
洩れによつて常圧配管内の圧力が一定以下になる
まで作動せず、従つて、その非常圧配管における
エア洩れは、そのエア洩れが発生してからマキ
シ・ブレーキ装置が作動するまでの間放置される
結果になつていた。

この考案の目的は、自動車のエア・サービス・
ブレーキ系統の非常圧配管において、エア洩れが
生じた場合、早急かつ安全に自動車の車輪を制動
させる自動車のマキシ・ブレーキ装置の提供にあ
る。

そのために、この考案の自動車のマキシ・ブレ
ーキ装置は、ブレーキ・バルブに取り付けられる
ブレーキ・バルブ動作検出スイツチと、マキシ・
ブレーキ配管に挿入される電磁弁と、その電磁弁
の電気回路に挿入され、かつ、そのブレーキ・バ
ルブ動作検出スイツチに応動する遅延リレーと、
ブレーキチヤンバに取り付けられ、かつ、その電
磁弁の電気回路に挿入されるストローク検出スイ
ツチとを備えている。

以下、この考案に係る自動車のマキシ・ブレー
キ装置の望ましい具体例について、図面を参照し
て説明する。

図面は、トラツクのエア・サービス・ブレーキ
系統に適用されたこの考案のマキシ・ブレーキ装
置の具体例１０を示している。

このマキシ・ブレーキ装置１０は、ブレーキ・
バルブ３３に取り付けられるブレーキ・バルブ動
作検出スイツチ１１と、マキシ・ブレーキ配管２
４に挿入される電磁弁１２と、その電磁弁１２の
電気回路１６に挿入され、かつ、そのブレーキ・
バルブ動作検出スイツチ１１に応動する遅延リレ
ー１３と、フロント・ブレーキ・チヤンバ３７お
よびリア・スプリング・ブレーキ・チヤンバ３９
に取り付けられ、かつ、その電磁弁１２の電気回
路１６に挿入されるフロントおよびリア・ストロ
ーク検出スイツチ１４，１５とを備えている。

そのブレーキ・バルブ動作検出スイツチ１１
は、押ボタン型のもので、ブレーキ・ペダル３４
が踏み込まれるときに付勢されるようにして、ブ
レーキ・バルブ３３に取り付けられている。

すなわち、そのブレーキ・バルブ動作検出スイ
ツチ１１は、スイツチ本体（図示せず）をブレー
キ・バルブ３３に固定し、また、ブレーキ・ペダ
ル３４のピボツト部分側にはそのスイツチ本体に
組み込まれたボタン（図示せず）を押圧する押圧
板（図示せず）が一体的に取り付けられ、そのブ
レーキ・ペダル３４の踏み込みによつて、その押
圧板がボタンから離れて付勢されるように構成さ
れている。

勿論、そのブレーキ・バルブ動作検出スイツチ
１１は、上述した以外に、ブレーキ・バルブ３３
のピストン（図示せず）の上下運動に応動して付
勢および消勢されるように、そのブレーキ・バル
ブ３３に内蔵するものでも良く、さらに、従来使
用されているブレーキ・ランプ点燈スイツチをそ
のブレーキ・バルブ動作検出スイツチとして兼用
することもできる。

電磁弁１２および遅延リレー１３は、既存のも
のと同様であるため、それらの構成の説明は省略
する。

フロント・ストローク検出スイツチ１４は、フ
ロント・ブレーキ・チヤンバ３７内に車輪（図示
せず）の制動に必要な圧縮空気が十分に送られる
ときに消勢され、また、その圧縮空気が不足のと
きに付勢されるように、すなわち、圧縮空気が所
定のチヤンバ容積とほぼ同一の供給量をもつてそ
のフロント・ブレーキ・チヤンバ３７内に満たさ
れるときに消勢され、また、圧縮空気の供給量が
そのチヤンバ容積よりも少なく、車輪に十分な制
動を作用し得ないときに付勢されるように構成さ
れている。

従つて、そのフロント・ストローク検出スイツ
チ１４は、例えば、フロント・ブレーキ・チヤン
バ３７内におけるチヤンバ・ボデイ（図示せず）
の底壁に押ボタン型スイツチ（図示せず）を取り
付け、そのフロント・ブレーキ・チヤンバ３７内
のダイヤフラム（図示せず）若しくはダイヤフラ
ム・リテーナ（図示せず）の接触によつて消勢さ
れ、また、そのダイヤフラム若しくはダイヤフラ
ム・リテーナがその押ボタン型スイツチから離れ
るときに付勢されるようにして構成される。

勿論、そのフロント・ストローク検出スイツチ
１４は、上述した以外に、フロント・ブレーキ・
チヤンバ３７におけるプツシユ・ロツドの動きに
応じて、上述と同様の条件で消勢および付勢され
るように構成することも可能である。

また、リア・ストローク検出スイツチ１５は、
上述したフロント・ストローク検出スイツチ１４
と同様に構成されるためその構成の説明は省略す
る。

上述のようにしてブレーキ・バルブ動作検出ス
イツチ１１を備えたブレーキ・バルブ３３、フロ
ント・ストローク検出スイツチ１４を備えたフロ
ント・ブレーキ・チヤンバ３７およびリア・スト
ローク・検出スイツチ１５を備えたリア・スプリ
ング・ブレーキ・チヤンバ３９は、図面に示され
るように、トラツクのエア・サービス・ブレーキ
系統３０内に配置されている。

すなわち、そのエア・サービス・ブレーキ系統
３０は、フロント・エア・タンク３１、リア・エ
ア・タンク３２、ブレーキ・バルブ動作検出スイ
ツチ１１を備えるブレーキ・バルブ３３、クイツ
ク・リリース・バルブ３５、リレー・バルブ３
６、フロント・ストローク検出スイツチ１４を備
えるフロント・ブレーキ・チヤンバ３７、フロン
ト・ブレーキ・チヤンバ３８、リア・ストローク
検出スイツチ１５を備えるリア・スプリング・ブ
レーキ・チヤンバ３９、およびリア・スプリン
グ・ブレーキ・チヤンバ４０などよりなり、それ
らの構成部品は常圧配管４１，４２，４３および
非常圧配管４４，４５，４６，４７，４８，４
９，５０によつて、それぞれ連結されている。

勿論、そのフロント・エア・タンク３１とリ
ア・エア・タンク３２とを連結する常圧配管４１
の一端はリリース・バルブ５２に連結され、また
他端はウエツト・タンク（図示せず）およびエ
ア・コンプレツサ（図示せず）に連結される。

さらに、そのエア・サービス・ブレーキ系統３
０において、そのリア・スプリング・ブレーキ・
チヤンバ３９，４０は、マキシ・ブレーキ配管２
４を介してキヤブ・コントロール・バルブ５１に
連結されている。

すなわち、そのリア・スプリング・ブレーキ・
チヤンバ３９，４０とそのキヤブ・コントロー
ル・バルブ５１とは常圧配管２５，２６，２７か
らなるマキシ・ブレーキ配管２４によつて連結さ
れ、その常圧配管２５において、リア・スプリン
グ・ブレーキ・チヤンバ３９，４０側にはプレツ
シヤ・コントロール・バルブ２３が挿入され、ま
た、そのキヤブ・コントロール・バルブ５１側に
は電磁弁１２が挿入されている。

勿論、そのキヤブ・コントロール・バルブ５１
とリリース・バルブ５２とは常圧配管２８によつ
て連結され、さらに、そのリリース・バルブ５２
に連結した常圧配管２９はエア・プレツシヤ・ゲ
ージ（図示せず）に連結される。

そのようにして、マキシ・ブレーキ配管２４に
挿入された電磁弁１３と、上述したブレーキ・バ
ルブ動作検出スイツチ１１と、フロントおよびリ
ア・ストローク検出スイツチ１４，１５とは、遅
延リレー１３を挿入した電気回路１６によつて接
続される。

すなわち、そのブレーキ・バルブ動作検出スイ
ツチ１１は、配線１７および１８を介して遅延リ
レー１３の一方の接点およびコイル側にそれぞれ
接続され、さらにその配線１７はバツテリー２２
に接続される。

また、電磁弁１２は配線１９および配線２０，
２１を介して遅延リレー１３の他方の接点およ
び、フロントおよびリア・ストローク検出スイツ
チ１４，１５にそれぞれ接続されている。

勿論、そのフロント・ストローク検出スイツチ
１４とリア・ストローク検出スイツチ１５とは配
線２０，２１によつて並列に接続され、その配線
２１の先端はアースされている。

そのようにして、電気回路１６に挿入された遅
延リレー１３は、フロント・ブレーキ・チヤンバ
３７，３８およびリア・スプリング・ブレーキ・
チヤンバ３９，４０に圧縮空気が送られ、それら
のチヤンバ３７，３８，３９，４０内に圧縮空気
が満たされるまでの時間よりも僅かに長い時間を
経過した後に付勢されるようになされている。

すなわち、その遅延リレー１３は、フロント・
ブレーキ・チヤンバ３７，３８およびリア・スプ
リング・ブレーキ・チヤンバ３９，４０内に、圧
縮空気が送られる以前においては、それらのフロ
ントおよびリア・ストローク検出スイツチ１４，
１５が付勢された状態に置かれているため、通常
の状態で圧縮空気が送られ、それらのスイツチ１
４，１５が消勢された状態に置かれるまでは、電
気回路１６に電流が流れないように作用する。

従つて、非常圧配管４４，４５，４６，４７，
４８，４９，５０にエア洩れの原因となる故障が
ない場合、ブレーキ・バルブ３３に取り付けられ
たブレーキ・ペダル３４を踏み込むと、クイツ
ク・リリース・バルブ３５およびリレー・バルブ
３６を経由して、圧縮空気がフロント・ブレー
キ・チヤンバ３７，３８およびリア・スプリン
グ・ブレーキ・チヤンバ３９，４０に送られて、
前後輪（図示せず）が制動される。

すなわち、ブレーキ・ペダル３４を踏み込む
と、ブレーキ・バルブ動作検出スイツチ１１は付
勢されるが、そのブレーキ・バルブ動作検出スイ
ツチ１１は、遅延リレー１３により遅延されて応
動するため、電磁弁１２には電流が流れず、ま
た、その遅延された時間を経過した後において
は、フロント・ブレーキ・チヤンバ３７，３８お
よびリア・スプリング・ブレーキ・チヤンバ３
９，４０内には圧縮空気が満たされ、フロントお
よびリア・ストローク検出スイツチ１４，１５は
それぞれ消勢されているため、電磁弁１２は作動
しない。

また、非常圧配管４４，４５，４６，４７，４
８，４９，５０にエア洩れの原因となる故障が生
じた場合には、そのエア洩れによつて、フロン
ト・ブレーキ・チヤンバ３７，３８若しくはリ
ア・スプリング・ブレーキ・チヤンバ３９，４０
内に圧縮空気が十分送られず、フロント若しくは
リア・ストローク検出スイツチ１４，１５が付勢
した状態に放置され、従つて、遅延リレー１３に
よつて遅延された時間を経過した後においては、
ブレーキ・バルブ動作検出スイツチ１１とフロン
ト若しくはリア・ストローク検出スイツチ１４，
１５とが付勢した状態に置かれるため、電磁弁１
２が作動する。

すなわち、その電磁弁１２の作動によつて、マ
キシ・ブレーキ配管２４内に満たされている圧縮
空気が排出され、従つて、そのリア・スプリン
グ・ブレーキ・チヤンバ３９，４０に内蔵された
スプリング（図示せず）は、その復元力によつて
ピストン（図示せず）を押し戻し、後輪（図示せ
ず）が制動される。

如上の構成になるこの考案によれば、自動車の
エア・サービス・ブレーキ系統の非常圧配管にお
いてエア洩れが生じた場合、早急かつ安全に自動
車の車輪を制動させることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はトラツクのエア・サービス・ブレーキ系
統に適用されたこの考案に係る自動車のマキシ・
ブレーキ装置の具体例を示す概略図である。 １０……自動車のマキシ・ブレーキ装置、１１
……ブレーキ・バルブ動作検出スイツチ、１２…
…電磁弁、１３……遅延リレー、１４，１５……
ストローク検出スイツチ、１６……電気回路、２
４……マキシ・ブレーキ配管、３３……ブレー
キ・バルブ、３７，３８，３９，４０……ブレー
キチヤンバ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ブレーキ・バルブに取り付けられるブレーキ・
   バルブ動作検出スイツチと、 マキシ・ブレーキ配管に挿入される電磁弁と、 その電磁弁の電気回路に挿入され、かつ、その
   ブレーキ・バルブ動作検出スイツチに応動する遅
   延リレーと、 ブレーキ・チヤンバに取り付けられ、かつ、そ
   の電磁弁の電気回路に挿入されるストローク検出
   スイツチ とを備える自動車のマキシ・ブレーキ装置。