JPS62817Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は歯切りカツターに係り、特にインボリ
ユート歯形を有する内歯車用の歯切りに好適する
ようにしたものである。

従来、インボリユート歯形を有する内歯車の歯
切りは、ギヤーシエーパーよる創成歯切り、ブロ
ーチによる成形歯切りおよび植刃形、ソリツド形
からなる総形カツタによる歯切りが行なわれてい
る。

しかしながら、これらの歯切り方法では、生産
能率が低いため、さらに能率のよい成形歯切りと
してスローアウエイ式の歯切りカツターの開発が
要求されている。

本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、円
板状をなすカツター本体の両外縁部分には、２種
類のスローアウエイチツプがそれぞれ右刃および
左刃を構成するように逃げ面側の中央取付け穴か
らねじ止めされるように改良された歯切りカツタ
ーを提供するものである。

以下、本考案歯切りカツターの一実施例につい
て、図を参照して説明する。

第１図および第２図において、１は中央取付け
穴２を穿設したカツター本体であり、その両外縁
部分には、第１のスローアウエイチツプ３および
第２のスローアウエイチツプ４がそれぞれ右刃お
よび左刃を構成するように取付けられている。

第１のスローアウエイチツプ３は、第３図ａ，
ｂで明示されているように、略長方形板状をな
し、対向する長辺側の稜線部分には円弧カーブお
よびインボリユートカーブからなる切刃稜５が構
成される。そして、この切刃稜５は、第５図で明
示されているように内歯車６の歯底および歯面切
削に関与する。なお、円弧カーブについては、第
３図の中で半径Ｒとして示されているが、歯底の
丸味に合せて形成されるものである。

さらに、第１のスローアウエイチツプ３は、最
大面を呈する逃げ面７側に中央取付け穴８が形成
され、止めねじ９により本体１のチツプ座１０内
に固定される。したがつて、略長方形面ですくい
面１１を構成する。

なお、前記チツプ座１０は、図示のように本体
１に直接形成してもよいが、ロケータ（図示せ
ず）に形成されるようにしてもよい。

前記第２のスローアウエイチツプ４は、第４図
ａ，ｂで明示されているように略正方形板状をな
し、本体１のチツプ座１２内に取付けるにあたつ
ては、前記スローアウエイチツプ３よりも軸中心
側に位置するものである。そして、長方形面を呈
するすくい面１３のコーナー部分には、第５図で
明示されているように面取り用の切刃稜１４が構
成される。

また、第２のスローアウエイチツプ４は、第４
図で明示されているように、第１のスローアウエ
イチツプ３よりも少数個でチツプ座１２内で取付
けられる。この取付けは、第１のスローアウエイ
チツプ３と同様に逃げ面１５に穿設された中央取
付け穴１６および止めねじ１７により行なわれ
る。なお、第２のスローアウエイチツプ４も少数
個としたのは、面取り用の切刃稜１４については
切削量が少なく負担がかるいからである。

次に、本考案歯切りカツターにおけるS48Cか
らなる内歯車の切削例について説明する。

歯切りカツターの工具仕様は、外径が400mmφ
で、第１のスローアウエイチツプ３および第２の
スローアウエイチツプ４のすくい角は、それぞれ
アキシヤルレーキを−５゜、ラジアルレーキを−
６゜とした。また、刃数については、第１のスロ
ーアウエイチツプ３を左右に９個（合計18個）、
第２のスローアウエイチツプ４を左右に３個（合
計６個）ねじ止めした。

また、被削材である内歯車は、モジユールｍ＝
10、圧力角PA＝20゜、刃数Ｚ＝77、ピツチ内直
径PCD＝770mmφとしたものである。

そして、切削試験は、切削条件を切削速度Ｖ＝
80〜120m／min、送りＦ＝300〜500mm＝min、切
込みｄ＝22.5mmとしたが、極めて良好な切削が行
なわれた。

すなわち、切削された歯車の精度は、歯形とし
てJIS4級に入るものであり、従来の高速度鋼製の
ピニオンカツタに比較して約10倍の加工能率の向
上を示した。また、従来の植刃形からなる総形カ
ツタに比較して約４倍の寿命向上を示した。

さらに、荒削り焼入れ後の高硬度（例えば
HRc50〜60）の歯車加工についてもチツプ材種の
変更により仕上げ加工が可能であつた。

本考案は、以上説明したように、２種類のスロ
ーアウエイチツプ３，４をカツター本体１に組込
んだものであるから、いわゆる総形カツターとし
て仕上げ用の歯切りに適用でき、しかも極めて能
率よく成形歯切りできるという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案歯切りカツターの一実施例を
示す正面図、第２図はその断面図、第３図ａ，ｂ
は、第１のスローアウエイチツプを示すもので、
ａは正面図、ｂは側面図、第４図ａ，ｂは、第２
のスローアウエイチツプを示すもので、ａは正面
図、ｂは側面図、第５図は、内歯車に対する切削
軌跡を示す説明図である。 １……本体、３……第１のスローアウエイチツ
プ、４……第２のスローアウエイチツプ、５，１
４……切刃稜。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円板状をなすカツター本体１の両外縁部分に
   は、第１のスローアウエイチツプ３および第２の
   スローアウエイチツプ４がそれぞれ右刃および左
   刃を構成するように逃げ面７側の中央取付け穴８
   からねじ止めされるようにした歯切りカツターに
   おいて、 前記第１のスローアウエイチツプ３は、略長方
   形板状をなすとともに、対向する長辺側に形成さ
   れる稜線部分には、内歯車の歯底および歯面切削
   に関与できるように円弧カーブおよびインボリユ
   ートカーブからなる切刃稜５がそれぞれ構成され
   るようになつており、 前記第２のスローアウエイチツプ４は、略正方
   形板状をなすとともに、前記スローアウエイチツ
   プ３よりも軸中心側に位置して少数個となつてお
   り、しかも長方形を呈するすくい面１３のコーナ
   ー部分には、面取り用の切刃稜１４がそれぞれ構
   成されるようになつていることを特徴とする歯切
   りカツター。