JPS627291Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は角膜内皮細胞観察装置に兼用し得るス
リツトランプに関する。

人眼の角膜裏面には角膜内皮細胞と呼ばれる大
きさ約20ミクロンの亀甲型の細胞からなる細胞膜
がある。細胞膜は角膜の透明度を維持することに
最も大きな役目を果しており、角膜内皮細胞は生
体のまま観察撮影することの重要性が叫けばれて
いる。一方、この角膜内皮細胞観察装置は、一般
のスリツトランプの観察倍率よりも高い倍率であ
る100倍程度を必要とし、写真撮影にも20倍以上
の倍率を必要とする。このような要求に答えるべ
く、通常のスリツトランプの対物レンズの一部を
角膜内皮観察用ユニツトに交換して角膜内皮観察
装置にも兼用し得るようにしたスリツトランプが
特開昭55−110532号公報によつて提案されてい
る。

ところで、角膜内皮細胞観察装置としては、顕
微鏡の対物レンズの先端にほぼ円錐台形をした先
端レンズを配置し、この先端レンズを被検眼に直
接又は液体を介して接触させて、角膜内皮細胞を
該先端レンズを通して観察を行う、いわゆるコン
タクト型角膜内皮細胞観察装置が知られている。
このコンタクト型装置は角膜反射光除去等の面で
優れているが、他方、角膜内皮細胞にシヤープな
スリツト照明を行い、同時にスリツト照明部に顕
微鏡のピントを合せなければならない等の理由
で、照明光学系と観察光学系とがその一部を共通
にするいわゆる同軸照明であることが望ましい。

従つて、上記特開昭55−110532号公報によつて
提案されたスリツトランプにおいて、角膜内皮細
胞観察専用のスリツト照明系を設けて同軸照明を
構成するように改良することが考えられが、通常
のスリツト照明系に加えて特別の角膜内皮細胞観
察用スリツト照明系を設けることはコスト、操作
等の面で問題がある。

本考案は上記従来の問題を鑑みなされたもので
あつて、その構成上の特徴とするところは、被検
眼にスリツト光束を任意方向から投影するために
被検眼を中心として旋回可能に配置されたスリツ
ト照明系と、被検眼のスリツト照明部を観察する
ための観察光学系とを有し、上記観察光学系の一
部は角膜内皮細胞観察のための対物レンズユニツ
トに交換可能に構成した角膜内皮細胞観察装置に
兼用し得るスリツトランプにおいて、前記対物レ
ンズユニツトにスリツト照明系からの光束を反射
させるための第１反射部材と、前記第１反射部材
により反射された光束を被検眼方向に導くため上
記対物レンズユニツトの光路内に配置された光分
割部材とを有することである。本考案はこのよう
に構成することによつて、従来の角膜内皮細胞観
察装置に兼用し得るスリツトランプにおいて、角
膜内皮細胞観察装置用のユニツトを交換するだけ
で、そのスリツト照明系を利用する同軸照明によ
る角膜内皮細胞観察装置を提供することができ、
その効果は顕著である。

以下本考案の実施例を図について説明する。対
物レンズを交換することによりスリツトランプと
しての用途と角膜内皮細胞観察装置との両方に使
用できる装置であつてスリツトランプとして構成
した場合の外観図である第１図において、２００
はスリツト光照明部であり、スリツト照明光は反
射鏡２０２を介して被検眼のせ台２０３に位置決
めされた被検眼に向けて投影される。スリツト光
照明部２００はアーム２０４で保持され被検眼を
中心として軸５を中心として回転できるように構
成される。２０６は観察投影部であり、アーム２
０７で保持され、スリツト光照明部であり、アー
ム２０７で保持され、スリツト光照明部２００と
同様に軸２０５を中心として回転でき得るように
構成される。

次にスリツトランプとして用いる場合の光学系
を第２図及び第３図に従つて説明する。なお、第
２図及び第３図においては、上記反射鏡２０２を
省略して示す。照明系１は、レンズ２を挾んで共
役の位置に置かれた観察用光源３及び撮影用光源
４を有し、光源３，４からの光は、レンズ５から
スリツト絞り６を経て、対物レンズ７により被検
眼Ｅに投影される。

観察撮影光学系８は、双眼立体顕微鏡系９と撮
影系１０とからなり、双眼立体顕微鏡系９は、共
通対物レンズ１１と、その後方に設けられ一対の
平行な光路を形成する変倍レンズ１２ａ，１２ｂ
とを有し、変倍レンズ１２ａ，１２ｂを通つた光
束は、レンズ１３ａ，１３ｂ及び正立ポロプリズ
ム１４ａ，１４ｂを経て結像面１５ａ，１５ｂに
結像し、接眼レンズ１６ａ，１６ｂにより観察さ
れる。撮影系１０はレンズ１２ａ，１２ｂとレン
ズ１３ａ，１３ｂとの間に設けられたハーフミラ
ー１７ａ，１７ｂを有し、これらハーフミラー１
７ａ，１７ｂは、変倍レンズ１２ａ，１２ｂを通
つた光束の一部を下方に反射し、この反射された
光束はさらにミラー１８により後方へ反射されて
撮影フイルム面１９に結像する。

第４図は、双眼立体顕微鏡系９の具体的構成を
示すもので、変倍レンズ１２ａ，１２ｂは、光軸
に対し直角な軸まわりに回転可能なように鏡胴２
０に装着された回転部材２１上に取付けられ、該
回転部材２１の回転操作により、変倍レンズ１２
ａ，１２ｂと、該部材２１に設けた素通しの穴２
２ａ，２２ｂとが、交互に観察撮影光路に挿入さ
れる。対物レンズ１１は、鏡胴２０の先端の雄ね
じ部２０ａに係合するリングナツト２３により該
鏡胴２０に取外し可能に取付けられたレンズ枠２
４に装着されている。

第５図及び第６図は、第２図及び第３図におけ
る対物レンズ１１を対物レンズユニツト３０と交
換して、角膜内皮細胞観察装置として使用する場
合の光学系を示すもので、対物レンズユニツト３
０は、検査時に、直接あるいは液体を介して被投
眼の角膜表面に押し当てられる先端レンズ１００
と、後述のスリツト照明等による角膜内皮細胞の
被照明部で反射され先端レンズ１００を通過した
光を平行光束にするための対物レンズ１０２と、
前記対物レンズ１０２からの光を１度結像させる
ためのリレーレンズ１０４と、該光束を一方の変
倍レンズ１２ａへ導くための反射鏡１０６，１０
８と、該光束を平行光束にするためのリレーレン
ズ１１０とを有する。対物レンズ１０２は光軸方
向に移動可能に構成される。次にスリツト照明系
１による同軸照明の構成について述べる。スリツ
ト照明系１からは、被検眼に集束するような光束
が射出される。この集束光束は反射鏡１１２によ
り反射され、凹レンズ１１４により平行光束にさ
れ、前記対物レンズ１０２とリレーレンズ１０４
との間に配置された半分鏡１１６に向けて投影さ
れる。半分鏡１１６により反射されたスリツト光
束は対物レンズ１０２及び先端レンズ１００を介
して被検眼に投影され、被検眼Ｅの角膜内皮細胞
にスリツト像が形成される。このように構成する
ことにより、角膜内皮細胞観察装置として使用す
る場合には、同軸照明を行うことができる。

第７図は、第４図に示す対物レンズ１１を鏡胴
から取外し、角膜内皮細胞観察のための対物レン
ズユニツト３０を取付けた状態における具体的構
造を示すもので、このユニツト３０は、鏡胴２０
の先端にリングナツト３１により取外し可能に取
付けられるケース１２０と、該ケース３２に固定
され先行に突出する小径のレンズ鏡胴１２２とを
有し、ケース１２０の先端には対物レンズ１０２
が配置され、レンズ鏡胴１２２の先端には先端レ
ンズ１００が配置される。ケース１２０内には、
対物レンズ１０２の光軸に沿つて入射する光を、
双眼立体顕微鏡系９の一方の光軸に沿つて導くた
めの反射鏡１０６，１０８が配置され、さらにケ
ース１２０には、反射鏡１０６，１０８の前方・
後方にリレーレンズ１０４，３７が配置されてい
る。対物レンズ１０２は、例えば焦点距離10mm、
拡大倍率５倍であり、対物レンズ１０２を通過し
た光束は３８で示す点に一度結像し、リレーレン
ズ３７は例えば焦点距離50mmであり、その焦点位
置が結像点３８に重なるように配置されているた
め、リレーレンズ３７を通る光束は平行光束とな
る。従つて、それ以降の光学系はスリツトランプ
のものをそのまま用いることができる。他方、照
明系は、図示されないスリツト照明系からのスリ
ツト光束が反射鏡１１２により反射されて凹レン
ズ１１４に入射する。凹レンズは集束性のスリツ
ト光束を平行光束とし、該平行光束は半分鏡１１
６を介して対物レンズ１０２に入射して再び集束
性光束となり先端レンズ１０２を介して被検眼Ｅ
に入射させられる。対物レンズ１０２は光軸方向
に移動可能に配置されており、第８図に示すよう
に、対物レンズ１０２の鏡筒１３０がケース１２
０内をバネ（図示せず）により１方向に付勢され
摺動可能に構成されていて、また、鏡筒１３０は
ピン１３２を中心に揺動可能なＬ字型レバー１３
４の一方の腕１３６に回動自在に取付けられてい
る。Ｌ字型レバー１３４の他方の腕１３８は引張
りバネ１４０により偏心カム１４２に押付けられ
ている。従つて、図示されないつまみによつて偏
心カム１４２を回動させることにより、対物レン
ズ１０２を光軸方向に移動させることができる。
このように対物レンズ１０２を光軸方向に移動さ
せ得るように構成することにより、観察光学系に
おけるピント合わせの微調整が可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はスリツ
トランプの側面図、第２図はスリツトランプとし
て構成した場合の光学系の平面図、第３図は第２
図に示す光学系の側面図であるがスリツト光照明
部が省略してある、第４図は双眼実体顕微鏡系の
構造を示す水平断面図、第５図は角膜内皮細胞観
察装置として構成した場合の光学系の平面図、第
６図は第５図に示す光学系の側面図、第７図は角
膜内皮細胞観察装置として構成した場合の顕微鏡
系の構造を示す水平断面図、第８図は対物レンズ
の調整機構を示す垂直断面図である。 １……照明系、３……観察用光源、４……撮影
用光源、６……スリツト絞り、８……観察撮影光
学系、１２ａ，１２ｂ……変倍レンズ、３０……
対物レンズユニツト、１００……先端レンズ、１
０２……対物レンズ、１０４……リレーレンズ、
１１４……凹レンズ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被検眼にスリツト光束を任意方向から投影す
   るために被検眼を中心として旋回可能に配置さ
   れたスリツト照明系と、被検眼のスリツト照明
   部を観察するための観察光学系とを有し、かつ
   上記観察光学系の１部は角膜内皮細胞観察のた
   めの対物レンズユニツトに交換可能に構成した
   角膜内皮細胞観察装置に兼用し得るスリツトラ
   ンプにおいて、前記対物レンズユニツトはスリ
   ツト照明系からの光束を反射させるための第１
   反射部材と、前記第１反射部材により反射され
   た光束を被検眼方向に導くため上記対物レンズ
   ユニツトの光路内に配置された光分割部材とを
   有することを特徴とする角膜内皮細胞観察装置
   に兼用し得るスリツトランプ。 ２ 上記対物レンズユニツトは、光軸方向に移動
   可能に配置されスリツト照明部からの光束を略
   平行光束にする対物レンズと、該対物レンズか
   らの光束を結像させる結像レンズとを有し、ま
   た、上記光分割部材は上記対物レンズと結像レ
   ンズこの間に配置された実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の角膜内皮細胞観察装置に兼用し
   得るスリツトランプ。 ３ 上記対物レンズユニツトは、スリツト照明系
   からの光束を略平行光束にして対物レンズに導
   入するための凹レンズを包含する実用新案登録
   請求の範囲第２項記載の角膜内皮細胞観察装置
   に兼用し得るスリツトランプ。