JPS627054Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、乗用型田植機においてその苗植装置
の左右両側に取付く筋引きマーカーの構造に関す
るものである。

田植機における筋引きマーカーは、苗植え作業
中において、進行方向の外側に倒れ回動すること
によつて、圃場面に次の苗植えに際して田植機を
進行させる位置を示すための筋線を付けるもので
あるが、苗植え作業が畦際まで進行して畦際にお
いて田植機を方向旋回するには、苗植装置を上昇
することに加えて、この筋引きマーカーを起立回
動するようにしなければならず、この筋引きマー
カーの起立回動を、苗植装置の上昇操作とは別の
操作で行うことは、その操作が面倒である。そこ
で先行技術としての実公昭48−26351号公報は、
走行機体に装着した苗植装置に左右両側に取付く
両筋引きマーカーを、前記苗植装置に対する昇降
機構に、苗植装置を上昇すると両筋引きマーカー
が内向きに起立回動し苗植装置を下降すると両筋
引きマーカーが外向きに倒れ回動するように連動
機構を介して連動させることにより、田植機の畦
際での方向旋回に際しての両筋引きマーカーの起
立回動の操作の簡略化を図ることを提案してい
る。

しかし、このように両筋引きマーカーを、苗植
装置の昇降動に関連し、苗植装置の上昇によつて
自動的に一斉に起立回動させ、苗植装置の下降動
によつて自動的に一斉に倒れ回動するようにした
場合には、苗植装置の上昇と同時に両筋引きマー
カーを起立回動できるため、その操作の簡略化を
図ることができる反面、田植機の方向旋回後にお
いて苗植え作業に入る場合において苗植装置を下
降したときに、両筋引きマーカーが同時に一斉に
倒れ回動するから、その一方の筋引きマーカーが
畦に衝突して破損したり、植付け後の苗を筋引き
マーカーによつて損傷するのであつた。

本考案は、このように両筋引きマーカーの起立
及び倒れ回動を苗植装置の昇降動に連動した場合
の問題を解消することを目的とするものである。

このため本考案は、車輪によつて走行する走行
機体に、苗植装置を上下動自在に装着し、該苗植
装置の左右両側に、その側方へ上下回動自在に構
成した筋引きマーカーを各々設け、該両筋引きマ
ーカーを、前記苗植装置に対する昇降機構に、苗
植装置を上昇すると両筋引きマーカーが内向きに
起立回動するように連動機構を介して連動して成
る乗用型田植機において、前記両筋引きマーカー
の各々に対する連動機構には、両筋引きマーカー
の各々を倒れ回動方向に付勢する弾性付勢機構を
各々設けると共に、苗植装置の上昇に伴つて起立
回動した両筋引きマーカーをその起立位置におい
て倒れ回動不能にロツクするための係脱自在な係
止機構を各々設けた構成にしたものである。

このように構成すると、両筋引きマーカーは、
苗植装置の上昇動に連動して一斉に起立回動する
と同時に、この起立姿勢が、両筋引きマーカーと
苗植装置との各々の連動機構に設けた係止機構に
よつて倒れ回動不能の状態にロツクできて、苗植
装置の下降動によつて両筋引きマーカーが一斉に
倒れ回動することを防止できる一方、いずれか一
方の筋引きマーカーに対する係止機構によるロツ
クを解除することにより、使用する筋引きマーカ
ーのみを弾性付勢機構によつて自動的に倒れ回動
することができるのである。

従つて、本考案によると、乗用型の田植機にお
ける苗植装置の左右両側に設けられる両筋引きマ
ーカーを、前記苗植装置の上昇動に連動して一斉
に起立回動できるものでありながら、苗植装置の
上昇動によつて起立回動した両筋引きマーカーの
うち使用する一方の筋引きマーカーのみを倒れ回
動することができ、換言すると、苗植装置の下降
動に際して、不使用の筋引きマーカーが倒れ回動
するのを阻止できるから、前記先行技術のように
苗植装置の下降動によつて不使用の筋引きマーカ
ーまでも倒れ回動することによつて、当該不使用
の筋引きマーカーが破損したり、当該不使用の筋
引きマーカーで植付け苗を損傷したりすることを
確実に回避できるのである。

しかも、本考案は、起立状態の筋引きマーカー
を係止機構によつて起立位置に倒れ回動不能にロ
ツクするもので、起立状態の筋引きマーカーを、
例えば実開昭52−39716号公報に開示されている
ようにばねで起立姿勢に保持するものでないか
ら、起立状態の筋引きマーカーが大きく振れ動く
ことがない状態のもとで、確実に且つ安定した起
立状態に保持できるのである。

その上本考案は、両筋引きマーカーの各々に倒
れ回動方向に付勢する弾性付勢機構を設けたこと
により、前記係止機構によるロツクを解除するだ
けで、筋引きマーカーを前記弾性付勢機構の付勢
力により自動的に倒れ回動することができるか
ら、筋引きマーカーの倒れ回動操作に大きな操作
力を必要とせず、簡単な操作によつて確実に筋引
き作業を行うことができる効果を有する。

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、図において１は、前部機体２の後端上下に突
設したブラケツト４，５′及び後部機体３の前端
上下に突設したブラケツト５，４′とを、各々同
一鉛直線上においてピン６，７にて枢着して、水
平方向に折曲げ自在に構成した走行機体を示し、
前記前後両機体２，３の左右両側には、後部機体
３に搭載したエンジン８から両機体間に装架した
屈曲自在軸９，１０を介して動力伝達される車輪
１１，１１及び１２，１２が、各々スイングアー
ム１３，１４にて装着されており、前部機体２か
ら立設の門型フレーム１５に取付く座席１６の前
方に位置するハンドル１７の回動操作にて、ステ
アリングギヤボツクス１８、ピツトマンアーム１
９及びロツド２０を介して前後両機体２，３の折
曲方向及び折曲角度を調節することによりかじ取
りするように構成され、また、前部機体２の前端
には、前記エンジン８にて駆動回転されるPTO
軸２１が設けられ、このPTO軸２１から、後述
する苗植装置２２の入力軸２３に伸縮自在軸２４
を介して動力伝達される。

なお、符号２５は、プラツトホームである。

前記苗植装置２２は、前部機体２の前方に位置
し、前部機体２に対して２本一対のロワーリンク
２６，２６と１本のトツプリンク２７にて上下動
自在に装着されると共に、油圧シリンダ（図示せ
ず）にて上下回動するリフトアーム２８，２８に
より上下昇降動するもので、この苗植装置２２
は、側面く字状の伝動ケース２９と、該伝動ケー
ス２９の先端に取付く苗植爪３０，３０と、前記
伝動ケース２９の下面に取付くフロート３１とか
ら成る苗植ユニツト３２を３個並設し、その各伝
動ケース２９間を管状連結部材３３，３３で連結
したものに構成されており、各伝動ケース２９の
上面には断面Ｌ字型のガイドレール２４を水平横
方向に装架して、このガイドレール３４に苗載台
３５を横方向に移動自在に載置する。

３６，３６は、前記苗植装置２２における左右
両側の伝動ケース２９，２９の各々に対して側方
へ上下回動自在に取付く筋引きマーカーで、該両
筋引きマーカー３６の基端杆４１の基端を、伝動
ケース２９に固着したブラケツト３７にピン３８
にて枢支し、該枢支ピン３８には、筋引きマーカ
ー３６を倒れ回動方向に付勢するための弾性付勢
機構の一つの実施例であるところの捻りばね３９
を巻設する。また、両筋引きマーカー３６におけ
る基端杆４１から突設した腕杆４２にワイヤー４
３を係着する一方、前記ブラケツト３７には、筋
引きマーカー３６が起立したときその基端杆４１
における腕杆４２が接当するようにしたストツパ
ー片４４を設ける。

４５は、前記プラツトホーム２５に設けた筋引
きマーカー操作機構であつて、該筋引きマーカー
操作機構４５は、前記プラツトホーム２５に固着
されたブラケツト板４７の左右両側に回動自在に
ピン４８枢着されたレバー４６，４６′を備え、
該両レバー４６，４６′は、前記ピン４８に対し
て回動自在で且つ横方向にも回動できるように遊
嵌合され、且つ、ピン４８に設けたばね４９，４
９′にて当該両レバーの基端部がブラケツト板４
７に密接する一方両レバーの上端がブラケツト板
４７から離れる方向に付勢されるように構成され
ており、この両レバー４６，４６′には、前記両
筋引きマーカー３６，３６における腕杆４２に一
端を係着したワイヤー４３，４３′を係着し、前
記ブラケツト板４７の左右両側面に案内環５４を
突設し、ブラケツト板４７と該両案内環５４との
間に嵌まる前記レバー４６，４６′が、前記ピン
４８を中心に案内環５４，５４に沿つて一定の角
度θの範囲を回動し、各レバー４６，４６′が第
７図においてイの位置にあるときその各々に対す
る筋引きマーカー３６が外向きに倒れた状態にな
り、反対に各レバー４６，４６′がロの位置にあ
るときその各々に対する筋引きマーカー３６が起
立状態になるように構成する一方、前記苗植装置
２２における上下昇降用のリフトアーム２８と一
体のてこ杆５０から延びる２本のワイヤー５３，
５３′の一端を、前記両レバー４６，４６′に各々
連結して、リフトアーム２８の上向き回動によ
り、両レバー４６，４６′がイ位置からロ位置へ
と回動して両筋引きマーカー３６，３６が起立回
動するように構成し、且つ、前記ワイヤー５３，
５３′とてこ杆５０との連結部には、ばね５１及
び遊杆５２を介挿することにより、リフトアーム
２８の下向き回動によつては両筋引きマーカー３
６，３６が倒れ回動しないように構成する。

そして、前記両案内環５４，５４の後端部に
は、両レバー４６，４６′がロ位置に回動したと
き当該レバー４６，４６′を、ロ位置において倒
れ回動不能にロツクするための係脱自在な係止機
構の一つの実施例であるところの係止溝５５，５
５′を設けて成るものである。

この構成において、苗植装置２２をその各フロ
ート３１が圃場面に接地するまで下降させて走行
機体１を前進走行し、苗植装置２２を駆動するこ
とにより、圃場面に対して苗の植付けを行うこと
ができるのであり、この苗植え作業に際して、両
筋引きマーカー３６，３６のうちいずれか一方の
筋引きマーカー３６、例えば右側の筋引きマーカ
ー３６によつて筋引きするには、当該右側の筋引
きマーカー３６に対応するレバー４６′を内向き
に回動して、その係止溝５５′から外すと、つま
り、右側の筋引きマーカー３６に対する起立状態
のロツクをレバー４６′にて解除すると、当該右
側の筋引きマーカー３６が捻りばね３９の弾性力
にて自動的に外向きに倒れ回動するから、圃場面
には右側の筋引きマーカー３６によつて筋引きす
ることができるのである。

苗植え作業が畦際まで進行して、畦際において
180度方向旋回するには、苗植装置２２をリフト
アーム２８の上向きに回動によつて上昇する。す
るとこの苗植装置２２の上昇と同時に、リフトア
ーム２８の上向きに回動によつて右側筋引きマー
カー３６に対するワイヤー４３′が引つ張られる
ことにより、右側筋引きマーカー３６は起立回動
する。これと同時にレバー４６′がロ位置に回動
して係止溝５５′に自動的に嵌まることにより、
右側筋引きマーカー３６は起立位置において倒れ
回動不能の状態にロツクされるのである。

そして、旋回後において苗植装置２２を下降し
て苗植え作業に入るのであるが、両筋引きマーカ
ー３６，３６は、その各々の係止溝５５，５５′
にレバー４６，４６′が嵌まつて倒れ回動不能に
ロツクされていることにより、苗植装置２２の下
降に連動して倒れ回動することはない。旋回後の
筋引きに左側の筋引きマーカー３６を使用する場
合には、当該左側の筋引きマーカー３６に対応す
るレバー４６を内向きに回動して、その係止溝５
５から外すと、つまり、左側の筋引きマーカー３
６に対する起立状態のロツクをレバー４６にて解
除すると、当該左側の筋引きマーカー３６が同様
に捻りばね３９の弾性力にて自動的に外向きに倒
れ回動するから、圃場面に左側の筋引きマーカー
３６によつて筋引きすることができるのであり、
また、この左側の筋引きマーカー３６は、次に苗
植装置２２を上昇した場合において、この上昇と
同時に前記右側の筋引きマーカー３６の場合と同
様に起立回動し、且つ、この起立姿勢が係止溝５
５にて倒れ回動不能に状態にロツクされるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は乗用型
田植機の側面図、第２図は第１図の正面図、第３
図は第１図の平面図、第４図は第１図の−視
拡大断面図、第５図は第４図の−視断面図、
第６図は第３図の−視拡大断面図、第７図は
第３図の−視拡大断面図、第８図は第７図の
平面図、第９図は第８図の−視断面図であ
る。 １……走行機体、１１，１２……車輪、２２…
…苗植装置、２８……リフトアーム、３６……筋
引きマーカー、４５……筋引きマーカー操作機
構、４３，４３′，５３，５３′……ワイヤー、５
５，５５′……係止溝、４６，４６′……レバー、
３９……捻りばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪によつて走行する走行機体に、苗植装置を
   上下動自在に装着し、該苗植装置の左右両側に、
   その側方へ上下回動自在に構成した筋引きマーカ
   ーを各々設け、該両筋引きマーカーを、前記苗植
   装置に対する昇降機構に、苗植装置を上昇すると
   両筋引きマーカーが内向きに起立回動するように
   連動機構を介して連動して成る乗用型田植機にお
   いて、前記両筋引きマーカーの各々に対する連動
   機構には、両筋引きマーカーの各々を倒れ回動方
   向に付勢する弾性付勢機構を各々設けると共に、
   苗植装置の上昇に伴つて起立回動した両筋引きマ
   ーカーをその起立位置において倒れ回動不能にロ
   ツクするための係脱自在な係止機構を各々設けた
   ことを特徴とする乗用型田植機の筋引きマーカー
   装置。