JPS626561Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、リニアトラツキングプレーヤのト
ーンアーム上昇装置に関するものであり、その特
徴とするところは、レコード盤上にあるトーンア
ームを上昇させる際、まず、鉛直方向に上昇さ
せ、次いで、トラツキングエラーを補正する方向
に上昇させるようにして、雑音の発生や、レコー
ド盤及び再生針の損傷を防止した点である。

従来よく知られているリニアトラツキングプレ
ーヤは、トーンアーム支持台に対するトーンアー
ムの傾きを検出して、この傾きを０にするさい
に、トーンアーム支持台を移動させるものである
が、検出装置が不感帯を有するため、この不感帯
の範囲内のわずかな傾きは補正できないのが普通
であつた。そこで、トーンアームを上昇させた
際、このわずかな傾きを補正するために、トーン
アーム上昇装置にＶ字状の溝を設け、トーンアー
ムをこのＶ字溝と係合させて上昇させ、その中心
位置に回動させることにより、トラツキングエラ
ーが０となる位置に戻すようにしていた。

ところが、このようなものに於ては、トラツキ
ングエラーが発生した状態でトーンアームを上昇
させると、トーンアームがＶ字溝の一方の斜面に
当接して斜めに上昇するため、異常音が発生した
り、レコード盤や再生針を損傷したりすることが
あつた。

この考案の目的は、上記従来装置の欠点を改良
することであり、雑音を発生したり、レコード盤
や再生針を損傷したりすることがなく、しかも、
トラツキングエラーが０となる位置に戻すように
したリニアトラツキングプレーヤ用トーンアーム
上昇装置を得ることである。

この考案の実施例を、図面を参照しながら説明
する。

トーンアーム１及びトーンアーム上昇装置２を
設けたトーンアーム支持台３が、レール４によ
り、プレーヤボード上を直線的に移動できるよう
に支持されている。トーンアーム支持台３上には
（図示されていないが）光源及び光電素子を用い
た周知の検出装置が設けられ、トーンアームの水
平回動軸に固定された遮光板と協働して、トーン
アーム支持台に対するトーンアームの傾きを検出
する。トーンアーム支持台３は、サーボモーター
により駆動され、検出装置の出力により、トーン
アームの傾きを常に０にするように移動される。

トーンアーム上昇装置２は、同軸に、かつ、互
に摺動可能に組み合わされた３つの部材、即ち、
軸受５、昇降円筒６及び昇降軸７から成り、昇降
円筒６には、上面が平らな第１の腕８が、また、
昇降軸７には、第３図に示されるようなＶ字状の
溝を有する第２の腕９がそれぞれ固定されてい
る。トーンアーム１には、これらの腕８，９に対
応する位置に凸起８′，９′が設けられ、昇降円筒
６及び昇降軸７が上昇したとき、それらの腕８，
９と当接するようになつている。

昇降円筒６には、その下部に、ストツパー１０
が設けられ、ストツパー１０と軸受５の下端との
間に、第１のコイルスプリング１１が挾持されて
いる。また、昇降軸７の下端に設けたノブ１２の
肩部と昇降円筒６の下端との間に、第２のコイル
スプリング１３が挾持されている。第２のコイル
スプリング１３のばね定数は、第１のコイルスプ
リング１１のそれより、はるかに大きく設定され
ている。

次に、その動作について説明する。

いま、トーンアーム１先端の再生針（図示され
ていない）はレコード盤上にあり、検出装置の不
感帯の範囲内のわずかなトラツキングエラーをも
つてレコード再生を行なつているとする。

昇降軸７の下端に設けられたノブ１２を駆動装
置により上昇させると、第４図イに示されるよう
に、まず、ばね定数の小さな第１のコイルスプリ
ング１１が圧縮され、昇降円筒６と昇降軸７とが
一体に上昇し、第１の腕８の上面の平らな部分が
トーンアームの凸起８′と当接してトーンアーム
１を（正面から見て）鉛直方向に上昇させる。し
たがつて、トーンアーム先端の再生針は、鉛直方
向に上昇し、レコード溝の山の部分にぶつかるよ
うなことはない。

昇降円筒６下部のストツパー１０が軸受５の下
端に当接すると、昇降円筒６は上昇を停止し、第
４図ロに示されるように、第２のコイルスプリン
グ１３が圧縮され、昇降軸７だけが上昇し、その
上部に設けた第２の腕９のＶ字溝の一方の斜面に
トーンアームの突起９′が当接し（第３図参照）、
昇降軸７がさらに上昇すると、トーンアームはＶ
字溝の中央位置へ回動される。

この位置では、トーンアーム（再生針）は正確
にレコード溝の接線方向に向いている。

以上説明したように、この考案のリニアトラツ
キングプレーヤ用トーンアーム上昇装置は、ばね
定数の異なる２つのコイルスプリングおよび第１
の腕の移動量を制限するストツパーにより同軸に
設けた第１および第２の腕の動作順序を制御し、
レコード盤上にあるトーンアームを、まず、鉛直
方向に上昇させ、次いでトラツキングエラーを補
正するようにしたことにより、リニアトラツキン
グアーム上昇装置の占めるスペースが小さくなり
直線移動するトーンアーム支持台を小型にするこ
とができ、また、従来装置のように、雑音が発生
したり、レコード盤や再生針を損傷するおそれが
全くなく、しかも、トーンアームが正確に接線方
向を向くように補正することができるという独特
の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案のトーンアーム上昇装置を
設けたリニアトラツキングプレーヤの平面図、第
２図は、この考案の一実施例の垂直断面図、第３
図は、第２の腕のＶ字状溝とトーンアームの突起
との係合を示す断面図、第４図イ，ロは、動作説
明図である。 １……トーンアーム、３……トーンアーム支持
台、５……軸受、６……昇降円筒、７……昇降
軸、８……第１の腕、９……第２の腕、１０……
ストツパー、１１……第１のコイルスプリング、
１３……第２のコイルスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トーンアームを鉛直方向に上昇させる第１の腕
   と、第１の腕と同軸に支持されトナツキングエラ
   ーを補正しながら上昇させる第２の腕とを有し、
   トーンアーム支持台と第１の腕との間に第１のコ
   イルスプリングを、また、第１の腕と第２の腕と
   の間に第１のコイルスプリングのばね定数より大
   きいばね定数を有する第２のコイルスプリングを
   それぞれ設け、トーンアーム支持台に当接して第
   １の腕の移動量を制限するストツパーを第１の腕
   に突設し、レコード盤上にあるトーンアームを第
   １の腕により上昇させた後第２の腕によりトラツ
   キングエラーを補正することを特徴とするリニア
   トラツキングアーム上昇装置。