JPS6262164B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はフアンシーヤーンに関するものであ
り、更に詳しくは糸条の長手方向に沿つて異なつ
た形態でかつ長さの不均一な節部が不規則な間隔
で存在するフアンシーヤーンに関するものであ
る。 従来より糸条の長手方向に間歇的な節部を有す
る糸条は織編物に供した場合、独得な外観を有す
るため、種々の糸条が提案されている。例えばフ
イラメント糸条を鋭利な刃に接触させて断続的に
毛羽を付与するか、もしくはしごきの効果を利用
して得られる類の糸条が提案されている。しかし
かかる糸条は強力低下が大きく節部が移動しやす
いなどの欠点を有する。又、未延伸糸もしくは半
未延伸糸を部分的に延伸して糸条に太細を与えた
糸条も知られているが、未延伸部の熱水収縮率が
大きく、織編物にした場合に風合が硬くなつた
り、未延伸部の脆化、変色などの問題が内在して
いる。更に仮撚捲縮加工により芯糸の周りに捲付
糸を三重スパイラル状に捲き付けて一重スパイラ
ル部と三重スパイラル部を交互に形成させた芯糸
も提案されているが、かかる糸条は芯糸に対し捲
付糸が実質的には同じ形態で強固に巻回されてい
るため節部の太さが同一でしかも固く又長手方向
の変化もきわめて単調となる。このため織編物に
した場合風合が硬く、又芯糸、捲付糸のいずれも
が熱可塑性繊維であるとが必要であり、使用する
糸条に制約があるなどの欠点を有している。更に
また特公昭46−39141号公報、同47−15547号公報
には噴射気流により間歇的にアーチ状部を形成さ
せ、帯状となした後、同一糸条もしくは他糸条に
平行に絡ませて節部を形成させた糸条の提案がな
されているが、かかる糸条もまた得られるスラブ
部の太さが同一であり、長手方向の変化も単調な
糸条となる。 本発明はかかる従来糸の欠点を解消するもので
あつてその目的とするところは糸条の長手方向に
間歇的に変化に富みかつ新規な節部を存在せしめ
たフアンシーヤーンを提供するにあり、ひいては
斬新な表面効果と風合を有する織編物の製造を容
易ならしめることができるフアンシーヤーンを提
供するにある。 すなわち、本発明は芯糸の周りに捲付糸を巻回
した糸条において芯糸の周りに捲付糸が折り返し
巻回されかつ折り返された捲付糸のフイラメント
の少なくとも一部が芯糸のフイラメントの少なく
とも一部と交絡されてなる節部と、芯糸の周りに
捲付糸がループを形成して折り返されることなく
巻回されかつこのループ状の捲付糸のフイラメン
トの少なくとも一部が芯糸のフイラメントの少な
くとも一部と交絡されてなる節部とを有し、かつ
これらの節部が長手方向に不規則に存在するフア
ンシーヤーンを要旨とするものである。 以下本発明を更に詳しく説明する。 本発明のフアンシーヤーンは基本的には第１図
ｂに示すごとく芯糸の周りに捲付糸が折り返し巻
回し、かつ折り返された捲付糸の一部又はほとん
ど全部の構成フイラメントが芯糸の一部又はほと
んど全部の構成フイラメントと交絡した部分を有
してなる節部と、第２図ｂに示すごとく芯糸の周
りにループ状の捲付糸が折り返されることなく巻
回し、かつ折り返されることなく巻回した捲付糸
のループ部の一部又はほとんど全部の構成フイラ
メントが芯糸の一部又はほとんど全部の構成フイ
ラメントと交絡した部分を有する節部とを有し、
いずれの節部においてもマルチフイラメント単位
での巻回や、単フイラメント単位の交絡が複雑に
混合されているため、一般の節糸の致命的な欠点
であるしごきによる節部の移動や破壊もなく、か
つきわめて変化に富み自然味のある外観を呈した
糸条である。 本発明のフアンシーヤーンを得るには、例えば
交絡作用を目的とした特公昭36−12230号公報に
記載されたジエツトノズルを用い、その交絡作用
と糸条入口近辺において必然的に生じる旋回作用
を応用して得られる。第３図は本発明のフアンシ
ーヤーンを製造する装置の一実施態様を示す概略
図である。第３図において芯糸Ａを前記のごとき
ジエツトノズル４に供給しながら捲付糸Ｂを芯糸
の供給率よりも２％以上大なる過給率で供給し、
かつ該ジエツトノズル４と芯糸Ａの供給ローラー
１の間で芯糸Ａと合体させることにより合体点に
変動を生じさせる。この合体点の変動により芯糸
Ａの周りに捲付糸Ｂがゆるやかに折り返し巻回し
たり、あるいはループ状のたるみなどを生じて巻
回し、次いでジエツトノズル４内部で交絡処理を
施され、デリベリローラー５を経て巻取パツケー
ジ６として巻き取られる。この場合、捲付糸の過
給率が２％を下回ると合体点の変動が少なくな
り、捲付効果が悪く、本発明の目的とするフアン
シーヤーンは得られ難い。捲付糸の巻回はジエツ
トノズルによる旋回作用によつてなされるが、こ
の場合過給率により自然変動せしめてもよいし、
又積極的に変動せしめてもよい。なお捲付糸を芯
糸と合体させるには少なくとも45゜〜130゜の角
度で合体点が変動するように芯糸からはなれて設
けたガイド３などを介して捲付糸を供給すること
が望ましい。 ここに本発明において特に重要な点は芯糸に対
する捲付糸の捲付の度合を軽度にとどめる点にあ
る。すなわち、捲付糸をゆるやかに巻回せしめる
ことがきわめて肝要である。作意的に間歇的に強
固な捲付部をごくまれに存在させてもよいが、基
本的には前述のごとくゆるやかに巻回せしめるこ
とが最も重要である。すなわち、ゆるやかに巻回
せしることによつてジエツトノズル内部で交絡処
理を施されたとき、ゆるやかに巻回せしめた部分
の芯糸の一部のフイラメントと捲付糸の一部のフ
イラメントが交絡されたり、あるいは芯糸のほと
んど全部のフイラメントと捲付糸のほとんど全部
のフイラメントが混然一体となつて交絡されたり
した部分を有する節部となるのであつて、芯糸の
周りに捲付糸が強固に巻回された場合は芯糸のフ
イラメントと捲付糸のフイラメントが交絡されな
いばかりか、芯糸の周りに捲付糸が強固に巻回し
ただけの単調な節部となる。捲付糸をゆるやかに
巻回せしめるには芯糸の張力は芯糸がたるみを生
じない範囲で低くすることが好ましい。このよう
に芯糸の張力を低くすることによつて捲付糸をゆ
るやかに巻回せしめる効果はもちろん、ジエツト
ノズル内部での交絡効果をもより高めうる相乗効
果を奏しうる。又、捲付糸をゆるやかに巻回せし
めるには捲付糸の過給率をあまり大きくさせない
ことも効果的である。すなわち、捲付糸の過給率
があまり大きいと捲付糸が強固に巻回するばかり
か、ひいては巻回した部分の芯糸のフイラメント
と捲付糸のフイラメントの交絡効果をも減少させ
ることになる。 更にまた、本発明のフアンシーヤーンを得る別
の実施態様として芯糸と捲付糸の供給率を異なら
しめて供給しながら仮撚加撚域で芯糸と合体させ
ることにより、合体点に変動を生じせしめて実施
することもできる。この場合、仮撚加撚域におけ
る加熱は特に必要としないが捲付があまりにもル
ーズな場合には使用すると効果的である。しかし
一般には捲付糸が強固に巻回した部分を多く有す
る糸条となり本発明の効果が得られ難い。 このようにして合体点の変動により芯糸の周り
に捲付糸を巻回せしめ、引き続き解撚されること
により捲付糸がゆるやかに巻回した部分を生じ
る。次いでデリベリローラーを介して交絡処理ゾ
ーンに供給し、ジエツトノズルで交絡処理を施す
ことによつて本発明糸が得られる。なお合体点の
変動は捲付糸の過供給により自然変動せしめても
よいし、又積極的に変動せしめてもよい。又、仮
撚、加撚、解撚を与える施撚装置としては一般の
仮撚機に用いられているペグ式仮撚スピンドル、
あるいは渦流によつて撚回せしめる流体ノズルを
使用してもよい。 以上のごとく本発明のフアンシーヤーンは芯糸
の周りに捲付糸をゆるやかに折り返し巻回せしめ
た部分や、あるいはループ状のたるみ部分などを
有する糸条となした後、ジエツトノズル内部で交
絡処理を施すことにより、該ゆるやかに折り返し
巻回した部分あるいは該ループ状のたるみ部分の
捲付糸のほとんど全部のフイラメントと芯糸のほ
とんど全部のフイラメントが混然一体となつて交
絡した部分や、捲付糸の一部のフイラメントと芯
糸の一部のフイラメントが交絡した部分などを有
する節部が形成される。このような節部は糸条の
長手方向に不規則に存在する。すなわち、これら
の節部は節部でない部分の間に不規則な間隔で存
在する。なお、節部でない部分は特に制限はな
く、単に捲付糸が芯糸に捲き付いているだけでも
よいが、捲付糸は単フイラメント単位あるいはマ
ルチフイラメント単位で芯糸と交絡されているこ
とが好ましい。 ここで本発明のフアンシーヤーンの節部が形成
される過程について図面を用いて説明する。第１
図ａは捲付糸が折り返されて巻回する過程を示し
たモデル図であり、第１図ｂは第１図ａの過程を
経て巻回し、交絡した実際に形成された節部を示
す図である。又第２図ａは捲付糸のループ状のた
るみが巻回する過程を示したモデル図であり、第
２図ｂ、第２図ｃは第２図ａの過程を経て巻回し
交絡した実際に形成された節部を示す図である。
第１図ａにおいて捲付糸Ｂが時間的に矢印→の経
過を経つつ芯糸Ａに巻回する。更に巻回された捲
付糸の一部もしくはほとんど全部のフイラメント
と芯糸の一部もしくは全部のフイラメントが交絡
する部分を生じるため第１図ｂのごとき節糸とな
る。すなわち、この図において時間と捲付糸の挙
動を示すモデル図（第１図ａ）と実際に形成され
た節部（第１図ｂ）とを対応させて順次説明す
る。まず、第１図ａのイの部分が芯糸Ａの進行方
向に巻回し、かつイの部分のほとんど全部のフイ
ラメントと芯糸Ａのほとんど全部のフイラメント
が混然一体となつて交絡した部分を有する第１図
ｂの巻回部イ′を形成する。次に第１図ａのロの
部分が前記巻回部イ′の上から芯糸Ａの進行方向
と逆方向に巻回し、かつロの一部のフイラメント
と芯糸Ａの一部のフイラメントが交絡した部分を
有する第１図ｂの巻回部ロ′を形成する。次に第
１図ａのハのほとんど全部のフイラメントが前記
巻回部ロ′の上から更に芯糸Ａの進行方向と同方
向に巻回し、第１図ｂの巻回部ハ′を形成する。
次いで第１図ａのニの部分が芯糸Ａの進行方向に
巻回し、かつニのほとんど全部のフイラメントと
芯糸Ａのほとんど全部のフイラメントが混然一体
となつて交絡した部分や、ニの一部のフイラメン
トと芯糸Ａの一部のフイラメントが交絡した部分
を有する第１図ｂの巻回部ニ′を形成する。次い
で第１図ａのホの部分が前記巻回部ニ′の上から
芯糸Ａの進行方向と逆方向に巻回し、かつホの一
部のフイラメントと芯糸Ａの一部のフイラメント
が交絡した部分を有する第１図ｂの巻回部ホ′を
形成する。次に第２図において第１図と同様に説
明すると、まず第２図ａのヘの部分が芯糸Ａの進
行方向と同方向に巻回し、かつヘのほとんど全部
のフイラメントと芯糸Ａのほとんど全部のフイラ
メントが混然一体となつて交絡した部分を有する
第２図ｂの巻回部ヘ′を形成する。次いで第２図
ａのトの部分が芯糸Ａに巻回されることなくかつ
トの一部のフイラメントと芯糸Ａの一部のフイラ
メントが交絡された部分を有する第２図ｂのルー
プ状部ト′を形成する。次いで第２図ａのチの部
分が芯糸Ａの進行方向と同方向に巻回し、かつチ
の一部のフイラメントと芯糸Ａの一部のフイラメ
ントが交絡した第２図ｂの巻回部チ′を形成す
る。第２図Ｃは第２図ｂのループ状部イ′が更に
芯糸の周りに巻回した巻回部ト″を形成したもの
である。 以上説明したごとき過程が瞬時に連続して行な
われるため長さ、太さ等の形態の異なつた節部を
間歇的にかつランダムな間隔で起生せしめること
ができる。 本発明のフアンシーヤーンは第１図ａのごとき
過程を経て形成された節部が比較的長い節部ある
いは太い節部となり、第２図ａのごとき過程を経
て形成された節部が比較的短かい節部あるいは小
さい節部となるため、２種類の節部が存在するこ
とになり、織編物に供した場合、節部の長さ、太
さが不均一な従来にない変化に富んだ表面効果を
もち、かつ触感も従来のフイラメント織編物特有
の粗硬感、ヌメリ感などが解消され、好ましい手
ざわりを呈した織編物が得られる。又、本発明の
フアンシーヤーンは節部が単フイラメント単位、
あるいはマルチフイラメント単位での交絡が付与
されているため、織編物に供した場合、シゴキに
よる節部の移動や、破壊がなく、製品品位が安定
している。更に本発明のフアンシーヤーンは熱処
理工程は特になくても得られるので、用いられる
糸条も熱可塑性繊維に限らず、レーヨン糸などの
いわゆる非熱可塑性繊維などを用いることがで
き、更に異繊度糸、異染性糸、あるいは仮撚法
や、ニツドデニツト法、押込法などによつて得ら
れる捲縮糸などをを組合せて使用することによつ
てより外観変化に富んだ糸条と成すことができる
ため、種々の非常に雅趣に富んだ表面効果と風合
を兼ねそなえた織編物を得ることができる。なお
仮撚捲縮糸などトルクの強い糸条を用いて製造し
た場合、得られた糸条のトルクが強く、織編物に
供した時、ビリ、スナールなどの混入を招く場合
は本発明の糸条形成後に必要に応じて熱処理を施
してもよい。 次に本発明を実施例にて具体的に説明する。 実施例 １ 芯糸としてポリエステル75d／36f、捲付糸とし
てレーヨン75d／30fを用い、第３図に示す装置を
使用して、芯糸のオーバーフイード率２％、捲付
糸のオーバーフイード率６％、ジエツトノズル圧
力６Kg／cm²、デリベリスピード60m／min、捲取
率１％の条件にて加工した。得られた糸条は第１
図ｂ及び第２図ｂ、第２図Ｃに示すごとき長さ、
太さ等形態の異なつた節部などを有する糸条であ
つた。該糸条を丸編機にて編成したのち、分散染
料で染色加工をおこなつた。得られた編地はポリ
エステルフイラメントとレーヨンフイラメントが
混繊されてきめ細かな杢調を呈した部分に長さ、
太さ等形態が異なりかつそのほとんどがレーヨン
糸によつて構成された節部が編地表面に有効に表
われ、きわめて変化に富んだ表面効果を有する製
品が得られた。 実施例 ２ 渦流ノズルによる施撚工程と連続したジエツト
ノズルによる撹乱工程を有する装置を利用して、
芯糸としてポリエステル100d／24f、捲付糸とし
て50d／48fを用い、渦流ノズルによる施撚工程と
これと連続したジエツトノズルによる撹乱工程に
よつて第１表に示す条件で加工した。得られた糸
条は第１図ｂ及び第２図ｂ、第２図Ｃに示すよう
な長さ、太さ等形態の異なる節部が不規則な間隔
で起生した糸条であつた。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図ａは捲付糸が折り返し捲回する過程を示
したモデル図、第１図ｂは第１図ａの過程を経て
実際に形成された本発明の節部の概略図である。
第２図ａは捲付糸のループ状のたるみが巻回する
過程を示したモデル図、第２図ｂ、第２図ｃは第
２図ａの過程を経て実際に形成された本発明の節
部の概略図である。第３図は本発明のフアンシー
ヤーンを得るための装置の一態様を示す概略図で
ある。 Ａ；芯糸、Ｂ；捲付糸、１，２；供給ローラ
ー、３；ガイド、４；ジエツトノズル、５；デリ
ベリローラー、６；捲取パツケージ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 芯糸の周りに捲付糸を巻回した糸条におい
   て、芯糸の周りに捲付糸が折り返し巻回されかつ
   折り返された捲付糸のフイラメントの少なくとも
   一部が芯糸のフイラメントの少なくとも一部と交
   絡されてなる節部と、芯糸の周りに捲付糸がルー
   プを形成して折り返されることなく巻回されかつ
   このループ状の捲付糸のフイラメントの少なくと
   も一部が芯糸のフイラメントの少なくとも一部と
   交絡されてなる節部とを有し、かつこれらの節部
   が長手方向に不規則に存在するフアンシーヤー
   ン。