JPS625966Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車のブレーキ装置またはクラツチ
装置に使用される外部より水がリザーバタンク内
に侵入することがないようにしたマスタシリンダ
のリザーバキヤツプに関するものである。

周知の如く、この種のマスタシリンダにはリザ
ーバタンク内の作動液上に浮かべたフロートに磁
石を設け、この磁石の接近および離間による磁力
の変化に伴い開閉制御されるリードスイツチをブ
レーキ液が規定量以下に減少したとき前記リード
スイツチを開から閉に切換えて警報器を作動する
液面警報装置が備えられている。そして、作動液
は水分が入ると沸点が下がる性質があり、これに
より制動時のベーパロツクの原因となるため、こ
のリザーバタンクの上端開口部はリザーバキヤツ
プで密閉されている。しかし、リザーバキヤツプ
には液面警報装置のリードスイツチと警報器とを
接続するリード線取付孔が形成され、またリザー
バタンク内と大気とを連通する通気孔が形成され
ているため、外部より水がこのリード線取付孔や
通気孔よりリザーバタンク内に侵入することがあ
り、これによつて制動時にベーパロツクが起こり
ブレーキペダルの踏み抜きとなつてブレーキが効
かなくなる問題点は解消されていない。

本考案はかかる点に鑑み考案されたもので、弾
性キヤツプの開口ボス部に弾性キヤツプカバーの
突条を係合して、このキヤツプカバーの口縁に形
成した二重のリツプ部を前記弾性キヤツプの上面
に弾性変形により圧接せしめるとともに弾性キヤ
ツプの開口ボス部と弾性キヤツプカバーとの間に
形成される通気路を介しリザーバタンク内を大気
と連通せしめたことを特徴とし、その目的は外部
から水がリザーバタンク内に侵入することを確実
に防止し、作動液に水分が加わりこれが原因でそ
の沸点が下がり制動中にベーパロツクが発生する
ことを未然に防止する液面警報装置を備えたマス
タシリンダのリザーバキヤツプを提供するにあ
る。

以下、図面により本考案の一実施例を説明す
る。

１はマスタシリンダ本体、２はリザーバタンク
で、リザーババンド３によつてマスタシリンダ本
体１の上部に固定されており、その内部には作動
液４がフイルタ５を介して貯留されている。６は
リザーバタンク２の上端開口部を塞ぐ弾性キヤツ
プで、リザーバタンク２のフランジ２ａに環状円
周溝６ａが弾性的且つ脱着自在にシール係合して
取付けられている。この弾性キヤツプ６の中央部
には上端外周にフランジ７ａを有する開口ボス部
７が上方へ延在して一体形成されており、この開
口ボス部７には弾性キヤツプカバー８が上方より
全体を覆うように取付けられ、その内部にはスイ
ツチケース９の上端が嵌装されている。

そして、弾性キヤツプカバー８は第２図および
第３図に示す如く、その内周には開口ボス部７の
フランジ７ａに係合する突条１０が形成され、口
縁には弾性キヤツプ６の上面に圧接する二重のリ
ツプ部１１が外方へ突出する第１リツプ部１１ａ
と下方へ突出する第２リツプ部１１ｂとによつて
形成されている。そして、この口縁の二重のリツ
プ部１１の一部を切欠いてリード線挿通孔１２が
形成され、かつ前記突条１０にこのリード線挿通
孔１２と対向する位置に切欠通孔１３が形成され
ている。なお、この切欠通孔１３はリード線挿通
孔１２と対向する位置に限定されるものではな
く、これと離れた位置であればよい。

この弾性キヤツプカバー８は第２図に示す如
く、開口ボス部７の上方より押圧し、突条１０を
開口ボス部７のフランジ７ａに係合して取付けら
れ、第１リツプ部１１ａと第２リツプ部１１ｂは
それぞれ弾性キヤツプ６の上面に弾性変形して圧
接している。これにより、弾性キヤツプ６の開口
ボス部７の外周と弾性キヤツプカバー８の内周と
の間に通気路１４が形成され、リザーバタンク２
内はスイツチケース９に形成した通気孔１５、開
口ボス部７の上端に形成した通気孔１６、そして
前記切欠通孔１３、通気路１４を介してリード線
挿通孔１２より大気に連通する。

そして、スイツチケース９の内部にはプリント
回路中にリードスイツチ１７および抵抗１８を接
続したスイツチ基板１９が収納され、外周には作
動液４の液面に浮遊し得るフロート２０がそれに
沿つて上下に移動できるように嵌挿され、フロー
ト２０のスイツチケース９に面する部分に永久磁
石２１が取付けられ、スイツチケース９の下端部
にはフロート２０の下限位置を規制するストツパ
部材２２が止着されている。

２３はスイツチ基板１９のプリント回路に接続
されたリード線で、スイツチケース９の上端側壁
と弾性キヤツプ６の開口ボス部７を貫通し、弾性
キヤツプカバー８のリード線挿通孔１２に大気と
連通する間〓を存して挿通され、更にその端部は
警報回路に接続されている。

これにより、作動液４が適量である場合は、そ
の液面に浮ぶフロート２０はリードスイツチ１７
から離れた上方位置にあるので、リードスイツチ
１７は永久磁石２１の磁場から外れて開状態を保
ち、警報器（図示せず）は作動しない。ところ
が、マスタシリンダの出力側の漏液故障その他の
理由により液面が規定レベル以下に低下すれば、
それと共にフロート２０がスイツチケース９に沿
つて降下し、それによつてリードスイツチ１７は
永久磁石２１の磁場に入つて閉じ、警報器が作動
して運転者に作動液の異常減少が警報される。

本考案は前記のように弾性キヤツプカバーが弾
性キヤツプの開口ボス部に覆うように取付けら
れ、その口縁に形成された二重のリツプ部は弾性
キヤツプの上面に押圧され弾性変形して密着して
いるので、この間から水等がリザーバタンク内に
侵入することはなく、また弾性キヤツプカバーの
口縁の一部にリード線挿通孔を形成し、かつ内周
の突条にこのリード線挿通孔と離れた位置に切欠
通孔を形成し、弾性キヤツプの開口ボス部と弾性
キヤツプカバーとの間に形成される通気路を介し
てリザーバタンク内と大気とを連通せしめたか
ら、たとえリード線挿通孔より水等が侵入するこ
とがあつても、この通気路を介してリード線挿通
孔より離れた位置に形成されている切欠通孔より
リザーバタンク内に侵入することはない。したが
つて、作動液に水分が加わりこれが原因でその沸
点が下り制動中にベーパロツクが発生することを
未然に防止することができ、ブレーキペダルが踏
み抜きとなつてブレーキが効かなくなる問題点を
解消することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は断面正面図、第２図は弾性キヤツプカバーの断
面正面図、第３図は弾性キヤツプカバーの斜視図
である。 ２はリザーバタンク、６は弾性キヤツプ、７は
開口ボス部、７ａはフランジ、８は弾性キヤツ
プ、１０は突条、１１は二重のリツプ部、１２は
リード線挿通孔、１３は切欠通孔、１４は通気
路、２３はリード線である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性キヤツプの中央部に上端外周にフランジを
   有する開口ボス部を上方へ延在して一体に形成
   し、この弾性キヤツプを覆う弾性キヤツプカバー
   の内周に前記フランジに係合する突条を形成する
   とともに、口縁に弾性キヤツプの上面に圧接する
   二重のリツプ部を形成し、更に前記弾性キヤツプ
   カバーの口縁の一部にリード線挿通孔を形成し、
   かつ前記突条にこのリード線挿通孔と離れた位置
   に切欠通孔を形成し、前記弾性キヤツプの開口ボ
   ス部と弾性キヤツプカバーとの間に形成される通
   気路を介してリザーバタンク内を大気と連通せし
   めたことを特徴とする液面警報装置を備えたマス
   タシリンダのリザーバキヤツプ。