JPS6255004B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はパネル止め金具に関するものであり、
特に一対のパネルを互いに固定するために使用さ
れるパネル止め金具に関するものである。更に詳
しくいえば、本発明はパネルに穿設した貫通穴に
前方から挿入し固定できる受け金具に特徴をもつ
ものである。

受け金具を取付けるパネルまたはそれに類似の
構造体の背面に取付けるための操作を施すことが
困難なことから生ずる諸問題を解決するために、
各種の前方挿入可能形式の受け金具が開発されて
いる。これらの受け金具の一つに米国特許第
3975804号が開示されている。この米国特許に示
されている前方挿入可能形式の受け金具は、キー
溝と巻きばねとを有する筒状ハウジングを使用し
ているものである。この米国特許に示されている
全ての構造体は、いずれも操作中における回転を
止めるために複雑なフランジ形状を有するため、
単純に板金では作ることができず、また複雑な溝
加工あるいはばねの成形加工を要し製造コストが
嵩むという不具合がある。

一方、板金で作ることができるこの種のパネル
止め金具として米国特許第4128923号に開示され
ているものがある。

しかし、この提案はいわゆるワンタツチでパネ
ルに取付けることができる反面、一旦取付けてし
まうと表側からの操作のみでは取外すことができ
ないし、また取付けるパネルの厚さがある一定の
範囲内になければならないという制約がある。

本発明はこのような事情に鑑みなされたもの
で、受け金具を、板金によつて断面Ｕ字状に折曲
げ形成されその開口側に前記一方のパネルの貫通
孔の縁部表面に係止されるフランジを有するハウ
ジングと、このハウジング内に摺動自在に係合し
中央部に前記スタツドのカム溝に係合するタブを
有する係止孔が穿設されたベース板と、ハウジン
グ内に回動かつ摺動自在に係止され中央部にキー
溝を有する挿通孔が穿設された係止板と、この係
止板と前記ベース板間に弾装された圧縮ばねとか
ら構成し、前記係止板は、その回動によりハウジ
ングとの係止が解除されパネルの貫通孔の縁部裏
面に圧接する係止突起を備えたものである。

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。

図に示されている受け金具２０は、安価なあり
きたりの金属またはプラスチツク材料から作るこ
とができるようにした。また、たとえばパネル同
士を固定するにあたり、背後での作業が困難であ
つたり、不可能であるような受けパネルすなわち
表面のみが露呈する壁面へ他の構造体を取付ける
のに用いるために作られた。すなわち、この受け
金具２０は露呈している受けパネルの前面側から
取付けることができる。

図示の実施例では、受け金具２０は前面Ｕ字形
に形成されたハウジング２２と、ベース板２４
と、圧縮ばね２６と、係止板２８とから構成され
ている。この受け金具２０はパネル止め金具とし
て機能させるために、スタツド３０が結合したり
外れたりするように構成される。

第１，２，４図にはパネル同士を締結している
状態にあるパネル止め金具が示されている。すな
わち、この止め金具で２枚のパネル３２，３４を
互いに保持している。

図示のように、パネル３２，３４には貫通孔３
６，３８がそれぞれ設けられている。それらの貫
通孔は、スタツド３０がパネル３２に結合され、
かつ受け金具２０がパネル３４に結合されている
時に、スタツド３０と受け金具２０が相互に結合
されてパネル３２と３４を互いに保持できるよう
に、中心軸が一直線上に存するように位置付けら
れる。

金具素材から簡単に作ることができるＵ字状の
ハウジング２２は、ベース４０と、直立して向き
合う一対の平らな脚４２，４４とを有する。な
お、パネル３４の貫通孔３８はハウジング２２が
挿入できるように、ベース４０の外形に対応した
大きさをもつて穿設されている。各脚４２，４４
の自由端部にはそれぞれ外へ延びるフランジ４６
および４８を有する。ベース４０は皿状の面を有
し、その中央部に穴５０が設けられている。各脚
４２，４４にはベースからハウジングの開放端へ
向つて上方へ延び、その開放端の手前で終端する
長方形のスロツト５２が設けられている。また各
脚４２，４４の端部のフランジ４６および４８の
近くには内側へ延びる舌片５４が設けられてい
る。この舌片５４はハウジング２２内の両側に設
けられている。舌片５４がハウジング２２と一体
に形成されるように、脚４２と４４の一部分を切
つて内側へ曲げることにより形成することが便利
なことが見出されている。

ハウジング２２における脚の数、したがつて協
働する舌片とスロツトの数は場合に応じて変える
ことができる。

ベース板２４も皿状の面を有しほぼ長方形であ
り、その中央部には係止孔５６が設けられる。こ
の係止孔５６の開口縁には中心へ向つて延びる一
対のタブ５８が設けられている。これらのタブ５
８と背中合わせになるベース板２４の縁部上の位
置から一対の突起６０が外方へ延びる。それらの
突起６０は、ハウジング２２のスロツト５２の中
に入つて、それらのスロツト５２の中を係止孔５
６の軸線方向に滑動する。ベース板２４の四隅に
はその表面から前方へ延びる４本の直立ストツパ
６２が一体に設けられている。ベース板２４は、
係止孔５６がハウジングの穴５０にそれぞれの中
心が一致するように向き合い、かつ突起６０がス
ロツト５２中を摺動するように、ハウジング２２
の中に挿入される。したがつて、ベース板２４
は、突起６０がスロツト５２の中に入つているた
めに回転不能で軸線方向に限定された距離だけ移
動自在である。

ばね２６は通常の圧縮コイルばねで、係止孔５
６を囲んでいる皿状部分６４の外側で、ベース板
２４の上に乗るのに十分な大きさである。隅のス
トツパ６２は、ばね２６を中心に位置させる機能
を有する。ばね２６の上端部は係止板２８の下面
に押しつけられる。この係止板２８はその後側が
皿状になつているから、ばね２６は係止板２８の
中央に位置させられる。係止板２８はハウジング
２２の中で回転することができるように十分に小
さい直径の面７３，７５を有する。係止板２８に
はベース板２４の係止孔５６とハウジングの穴５
０およびばね２６の中央空間６８とに軸線が一致
する挿通孔６６が設けられる。この挿通孔６６の
開口縁には一対のキー溝７０が設けられている。
このキー溝７０の外側には、係止板２８の外縁部
から一対の全体として三角形の係止突起７２が突
出形成される。係止板２８は全体として菱形であ
るが非対称的であり、向き合う縁面７１，７１間
の長さは向き合う他の縁面７３，７３間の長さよ
り長い。平らな面７５が隣り合う縁面７１と７３
を連結する。

ハウジング２２の中にベース板２４とばね２６
および係止板２８が納められた時に、ばね２６が
一部圧縮されて、係止突起７２が舌片５４の後面
７４に保持される位置へ係止板が移動すなわち回
動できるように、ハウジング２２、ベース板２
４、ばね２６および係止板２８との寸法が定めら
れる。この位置での保持を容易にするために、各
舌片５４の後面７４にはテーパーがつけられ、こ
れにより係止突起７２が舌片５４からひとりでに
外れることを防ぐ。

この状態において受け金具２０はパネル３４に
取付ける用意ができたことになる。この受け金具
はパネル３４の前側から貫通孔３８の中に挿入し
係着される。したがつて、パネル３４の後側で取
付けのための作業をする必要はない。すなわち、
ハウジング２２のフランジ４６，４８の後面がパ
ネル３４の表面７６に接触するまで、この受け金
具は貫通孔３８の中に挿入される。この受け金具
は、フランジ４６，４８が貫通孔３８の縁部表面
に係止されるように、種々の寸法の穴に挿入され
るような寸法の範囲で作られる。脚４２，４４の
それぞれの側縁部４２′，４４′が貫通孔３８の側
面部に接触することにより、受け金具がパネル３
４の貫通孔３８の中で回転することが阻止され
る。

受け金具２０を貫通孔３８の中に初めて入れた
後で、ねじ回しの先端部のようなものを係止板２
８のキー溝７０の中に差し込み、係止板２８を回
して係止突起７２を舌片５４の後面７４から離す
ことができる。この回動により係止突起７２は脚
４２，４４から離れて外方へ延びる位置まで動か
される。また、その位置まで縁面７５は脚の内側
に十分に接触する。係止板２８の回転しすぎは縁
面７１の幅すなわち直径が次第に大きくなつてい
ることにより阻止される。部分的に圧縮されてい
るばね２６は、係止突起７２がパネル３４の裏面
７８に係合するまで係止板２８を上へ押すことに
より、受け金具２０を所定位置に固定する。この
固定位置における突起の位置が第２図に示されて
いる。この構成では、パネル３４がフランジ４
６，４８の裏面と係止突起７２の表面との間に保
持される。これでこの受け金具はスタツド３０を
受ける用意が備つたことになる。

図示のように、スタツド３０は通常のものであ
つて大きな頭部８０を有する。この頭部８０の表
面にはねじ回しの先などを入れる溝８２が設けら
れる。このねじ回しなどによりスタツド３０は回
される。頭部８０の裏面からは頭部より小さな直
径の軸８６が延びる。この軸部８６の自由端部近
くにはらせんカム溝８８が設けられている。この
溝８８の長さはスタツドを受け金具の中で開放位
置と閉成位置の間で動かすのに、スタツドを４分
の１回転させるだけで十分なように定めることが
効果的である。カム溝８８はそのらせん経路の前
端部にある戻り止め部で終端となる。この固定具
の組立て前とパネルを互に固定させる前に、スタ
ツドをパネルに保持することを容易にするために
ワツシヤ９１を用いることもできる。第３図に示
すように、軸８６を貫通穴３６の中に入れること
によりスタツド３０はパネル３２に取付けられ
る。スタツド３０の頭部８０は貫通穴３６よりも
大きいから頭部８０の裏面８４はパネル３２の表
面９２に接触する。それからワツシヤ９１を軸端
部の中に挿入して、パネル３２の裏面９４に近接
する位置まで動かすことができる。

パネル３２をパネル３４に対し位置合せするこ
とによりスタツド３０は受け金具２０の中に挿入
される。スタツド３０の軸部８６は係止板２８の
穴６６と、圧縮されているばね２６の空間６８
と、ベース板２４の穴５６の中に入る。ベース板
２４の穴５６への軸８６の挿入は、軸８６の先端
部をベース板２４の中心部へ導く作用をするよう
に形成されている皿状の口縁により容易とされ
る。その時に、タブ５８がらせんカム溝８８への
入口に係合するから、溝８２の中に入れられた工
具の先端部を回すことによりスタツド３０が回さ
れ、タブ５８がカム溝８８の中を戻り止めまで動
くから、ベース板２４はばね２６をさらに圧縮さ
せながら、軸線方向に動かされる。ここで説明し
ている実施例ではこの結果を得るのにスタツドを
４分の１回転させるだけで十分である。ベース板
２４が軸線方向に動ける理由は、スロツト５２の
中で突起６０が軸線方向に動くことができるから
である。スロツト５２により、スタツドが回転し
ても、ベース板２４の回転は阻止されるから固定
作業を行なうことができる。ベース板２４が前方
へ引き寄せられることにより、ベース板と上板２
８の皿状下面との間に保持されているばね２６が
さらに圧縮される。係止板２８の係止突起７２と
パネル３４の裏面７８が係合するために、係止板
２８の軸線方向への動きは阻止される。したがつ
て、ばねの弾撥力がばね２６により与えられて、
スタツドと受け金具とを、タブ５８がカム溝８８
の戻り止めの中に入つている固定状態に保持でき
る。

スタツド３０をこの締め具を固定する時とは逆
の向きに回し、ベース板２４を下降させてタブ５
８をカム溝８８から抜き出すだけで、この締め具
をゆるめることができる。それからスタツド３０
とパネル３２を受け金具２０とパネル３４から引
き離すことができる。

希望によつては、キー溝７０の中に入る適当な
工具を用いて係止板２８を後方へ押し、係止板２
８の回動により係止突起７２が舌片５４の後面７
４に接触するまでばね２６を圧縮することによ
り、受け金具２０をパネル３４から外すことがで
きる。

以上説明したように本発明によれば、パネルに
取付ける受け金具用のハウジングを、パネルの貫
通孔に係止されるフランジをもち断面Ｕ字状に折
曲げ形成したから、単純な曲げ加工と打ち出し加
工で作ることができ、したがつて構造が簡単で製
造も容易である。また、上記ハウジング内には、
タブを有する係止孔が穿設されたベース板と、キ
ー溝を有する挿通孔および係止突起を有する係止
板と、この係止板と前記ベース板間に弾装された
圧縮ばねとを装填する構造としたから、取付けパ
ネルに対して前方からの取付けはもとより、取り
外しも容易に行なえるし、さらに取付けるパネル
の厚さに制約を受けるようなこともない。

【図面の簡単な説明】

第１図は２枚のパネルの一部に取付けられてい
る本発明に係るパネル止め金具の正面図、第２図
は第１図の背面図、第３図はスタツドと受け金具
が分離されている状態を示すパネル止め金具の断
面図、第４図は固定されている状態にあるスタツ
ドと受け金具を示す第１図の４−４線に沿う第３
図に類似の断面図、第５図はパネル止め金具の分
解斜視図である。 ２０……受け金具、２２……ハウジング、２４
……ベース板、２６……圧縮ばね、２８……係止
板、３０……スタツド、３２，３４……パネル、
３８……貫通孔、４２，４４……脚、４６，４８
……フランジ、５８……タブ、５２……スロツ
ト、７０……キー溝、８８……カム溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 受け金具２０が取付けられた一方のパネル３
   ４に、先端部にカム溝８８をもつスタツド３０に
   より他方のパネル３２を結合するためのパネル止
   め金具において、前記受け金具２０を、断面Ｕ字
   状に折曲げ形成されその開口側に前記一方のパネ
   ル３４の貫通孔３８の縁部表面７６に係止される
   フランジ４６，４８を有するハウジング２２と、
   このハウジング２２内に摺動自在に係合し中央部
   に前記スタツド３０のカム溝８８に係合するタブ
   ５８を有する係止孔５６が穿設されたベース板２
   ４と、ハウジング２２内に回動かつ摺動自在に係
   止され中央部にキー溝７０を有する挿通孔６６が
   穿設された係止板２８と、この係止板２８と前記
   ベース板２４間に弾装された圧縮ばね２６とから
   構成し、前記係止板２８は、その回動によりハウ
   ジング２２との係止が解除され前記一方のパネル
   ３４の貫通孔３８の縁部裏面７８に圧接する係止
   突起７２を備えてなるパネル止め金具。 ２ 係止板２８がハウジング２２の一部を切り起
   こし突設した係止片５４で係止されている特許請
   求の範囲第１項に記載されたパネル止め金具。 ３ 一枚の板材を折曲げてハウジング２２を形成
   してなる特許請求の範囲第１項に記載されたパネ
   ル止め金具。