JPS624637Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトンネル類ライニング用装置に関する
ものである。

トンネルや坑道などの内面にコンクリートある
いはモルタルのライニングを施工する方法とし
て、従来では一般に混練資料を吹付け機によりホ
ースへエア搬送し、ホース先端のノズルから吹付
ける手法が採用されていた。しかしこの方法はノ
ズルによるライニングであるため単位時間あたり
の施工面積が小さいと共に、ノズルマンによりノ
ズル角度を調整しながらの作業になるため能率と
作業性が悪いという不具合があり、またエアを媒
体とする気送方式であるためのリバウンドとダス
ト発生の問題がつきまとうと共に、エア巻込みに
よりライニング層の強度が低くなるなどの欠点が
あつた。

これを改善するためのトンネルライニング方法
として本出願人の提案した特願昭56−28611号が
ある。このトンネルライニング法は、スクリユー
筒と投射インペラを組合せ、ライニング資料をス
クリユー筒によつてトンネル軸線方向と平行状に
機械送りし、これを投射インペラによりトンネル
軸線と直角方向に投射することによりアーチ部や
側面に塗着し、それと共に液状急結剤をスクリユ
ー軸を介して投射インペラの内面に噴射させ、ラ
イニング資料と共に投射する構成となつている。
この方法によれば、トンネル内面を単位時間あた
りの被覆量を多くして能率よく自動的に施工で
き、リバウンドやダスト発生の問題も解消するこ
とが可能となる。

ただしこの方法では、急結剤として液状のもの
を用いるためライニング資料はいわゆる固練りで
あることが必要になり、また、アーチ部や側面な
ど施工面の性状に応じて急結剤の添加量を加減し
た場合、急結剤中の含有水分によりライニング層
の硬さにバラツキがあらわれるという問題があ
る。そのため急結剤として乾状のものを使用する
要望が強いが、これを単純にスクリユー軸から投
射インペラに供給するだけではコンクリート資料
と均一に分散混合しにくい。

本考案は乾状急結剤類をライニング資料と均一
に分散混合して投射インペラによりトンネル断面
に投射付着することができる投射式トンネル類ラ
イニング用装置を提供しようとするもので、その
特徴とするところは送出筒中に挿設されたスクリ
ユー軸の先端領域に撹拌羽根を配し、しかもその
撹拌羽根の回転方向後側位置に乾状急結剤類の噴
射孔を形成し、スクリユー羽根で送られてきたラ
イニング資料を撹拌羽根で撹拌しつつ、撹拌羽根
の通過した直後に創成される空隙に乾状急結剤を
吹込むようにしたことにある。

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明す
る。

第１図と第２図は本考案に係るトンネル類ライ
ニング用装置一例を全体的に示すもので、１は台
車、２は台車上に塔載されガイドローラやねじ軸
などにより摺動自在となつた可動基台、３は可動
基台に軸受部材により横架された送出筒、４は送
出筒３の前端部に配された投射インペラ、５は送
出筒の後部域に設けられた資料ホツパ、６，６′
は資料ホツパ５にコンクリートやモルタルなどの
ライニング資料を供給するためのコンベアであ
る。

第３図ないし第５図は本考案の要部を示すもの
で、技術インペラ４は円盤状の前板４１とリング
状の後板４２のあいだを半径方向に伸びる仕切板
４３，４３により結合して複数のポケツト４４を
形成し、後板４２には外周にプーリのごとき伝導
機構４５′を有する筒体４５を一体に連設し、こ
の筒体４５を可動基台２に設けた軸受１２で支承
すると共に、前記伝導機構をモータ１３で駆動せ
しめることにより水平軸線のまわりで高速回転で
きるようになつている。

これに対し、送出筒３は前記筒体４５と同心状
に内挿され、先端部が投射インペラ４の前板４１
より少しく手前まで延出し、その部位に巻立て角
度調整用の開孔３１が形成されている。そして筒
体よりも後方は前記資料ホツパ５の付近でグラン
ドパツキンを介在した接手１４により固定筒１５
と接続され、接手１４よりも前方側が例えばモー
タ１６とチエーンスプロケツト１６１などにより
水平軸線のまわりを回転できるようになつてお
り、これにより前記開孔位置を変位させるように
している。

さらに送出筒３の後端すなわち固定筒１５の後
端には軸受１７が設けられ、この軸受１７を介し
てスクリユー軸７が内挿されている。このスクリ
ユー軸７は投射インペラ４の直近位置まで伸び、
後部には可動基台２に設けたモータ１８により駆
動されるスプロケツト１９を有している。

前記スクリユー軸７の軸心には直接か又は細管
２３を挿入することにより乾状急結剤やセメント
等の粉粒状資料（以下乾状急結剤類という）の導
孔８が形成され、この導孔８は先端が閉止部８１
により閉じられると共に、後端はホース２１と接
続され、乾状急結剤類の供給装置２０に導かれて
いる。

一方、前記スクリユー軸７の外周にはスクリユ
ー羽根９が設けられているが、本考案ではこのス
クリユー羽根９をスクリユー軸の全長にわたつて
形成せず、スクリユー軸７の先端から適度に後方
の位置までで終らせ、その領域に所要の間隔で撹
拌羽根１０を配設している。

前記撹拌羽根１０は図示のごとく平板状であつ
てもよいし、〓状などであつてもよいが、少なく
とも羽根部分が塗料送り方向（スクリユー軸線）
に適当な角度で傾斜することにより送り機能を持
たされていることが好ましい。そして、撹拌羽根
１０のつけ根部分とりわけ羽根の回転方向後側位
置には、記導孔８と通じた噴射孔１１が形成され
ている。この噴射孔１１は撹拌羽根の全部に形成
してもよいし一部だけに形成してもよい。その他
図面において、２２は投射インペラ４の前板内側
に固定した１次投射羽根である。

本考案は上記のような構成からなるので、トン
ネル類をライニングするに際しては掘削したトン
ネル中に本装置を装入し、可動基台２を前方に摺
動させながら投射インペラ４を回転させる。そし
て、生コンクリートなどのライニング資料Ａをコ
ンベア６，６′により資料ホッパ５に投入すると
共に、供給装置２０たとえばタンクと気送式その
他の定量搬送機構から乾状急結剤類Ｂを圧送し、
スクリユー軸７を回転させる。

こうすればライニング資料Ａは送出筒３に装入
されたのちスクリユー羽根９によつて順次前選さ
れ、乾状急結剤類Ｂはスクリユー軸７に内挿され
ている導孔８を通つて圧送される。そして投射イ
ンペラ４に近づいた領域のスクリユー軸７にはス
クリユー羽根９がなくこれに代わりに撹拌羽根１
０が配されているため、ライニング資料Ａの送り
速度が低下すると共に撹拌羽根により移送方向と
直角方向から撹拌が加えられる。しかも撹拌羽根
１０の回転方向後側部位には噴射孔１１が形成さ
れており、そのため乾状急結剤類Ｂは一部がライ
ニング資料Ａの層上に播かれると共に、残部は撹
拌羽根１０がライニング資料層を通過する直後に
創成される負圧空隙Ｃに向けて吹込まれ、こうし
た層上と層中に分散されたものが前方の撹拌羽根
１０によつて数次にわたり撹拌されるためライニ
ング資料と均一に混合し、ほどよく練り上げられ
た状態となつて後続するライニング資料の押圧力
で投射インペラ４に到る。

そしてこの混練資料は投射インペラ内側の１次
投射羽根２２により分割されたのち送出筒３の開
孔３１を通して対応するポケツト４４に入り、高
速回転に伴う遠心力によりポケツトの半径方向開
孔部からトンネル内面に連続続に投射され、開孔
３１に対応する巻立て角度の領域にライニング層
が形成される。

なお、撹拌羽根１０をスクリユー軸７に配設す
る代りに投射インペラ４から突軸を形成してこれ
に撹拌羽根を設けることも考えられるが、撹拌羽
根の回転が高速になりすぎるためミキシング効果
がかんばしくないと共に、送出筒の局部摩耗が生
じやすい不利がある。本考案の方式を採ればこれ
らの短所がなく、しかも乾状急結剤類を効果的に
使用できる。

以上説明した本考案によるときには、投射イン
ペラ４とこれにライニング資料を順送する送出筒
３を備えたトンネル類のライニング装置であつ
て、とくに送出筒３に挿設されるスクリユー軸７
に乾状急結剤類を圧送する導孔８を穿設してライ
ニング用の主資料と別送するようにし、しかもス
クリユー軸７の先端から所要長さの範囲に撹拌羽
根１０を外設しこの撹拌羽根１０の回転方向後側
位置に噴射孔１１を形成しているので、スクリユ
ー羽根９で送られて来たライニング用資料を投射
インペラ４に到る直前で撹拌しつつその撹拌中に
生じる空隙に乾状急結剤類を吹込み、これをライ
ニング資料と均一に混合することができる。その
ためライニング資料として柔かく流動性のよいも
のを使用できると共に、天井部や側壁部など施工
部位に応じて初期強度を高めるべく急結剤類の量
を加減した場合にも水セメント比が変化せず、バ
ラツキのない良質のライニング層を形成すること
が可能になるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るトンネル類ライニング用
装置の一実施例を示す部分切欠側面図、第２図は
同じくその正面図、第３図は本考案装置の要部を
示す縦断側面図、第４図は本考案の作用を示す縦
断正面図、第５図はスクリユー軸の先端部拡大断
面図である。 ３……送出筒、４……投射インペラ、７……ス
クリユー軸、８……導孔、９……スクリユー羽
根、１０……撹拌羽根、１１……噴射孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高速回転自在な投射インペラ４とこの投射イン
   ペラにライニング資料を順送する送出筒３を備え
   たトンネル類のライニング装置であつて、前記送
   出筒３に挿設したスクリユー軸７に乾状急結剤類
   を圧送する導孔８を穿設すると共に、スクリユー
   軸７の先端から所要長さの範囲に撹拌羽根１０を
   配設し、しかもこの撹拌羽根１０の回転方向後側
   位置に前記導孔８と通じた噴射孔１１を形成して
   なるトンネル類ライニング用装置。