JPS6245587Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は両軸リール、詳しくはリール本体にス
プールをもつたスプール軸を１対の軸受を介して
フリー回転可能に支持した両軸リールに関する。

一般に両軸リールは、クラツチをもち、該クラ
ツチの入操作でハンドル軸の回転を前記スプール
軸に伝動させて前記スプールに釣糸を巻取り、前
記クラツチの切操作で、前記スプール軸をフリー
回転可能とし、キヤステイング操作により釣糸を
投擲するごとく成している。

所で、キヤステイング時、前記スプールに巻装
された釣糸は、該釣糸の先端に取付ける仕掛けの
重さで引出されるのであるが、釣糸の引出速度よ
りスプールのフリー回転が早くなつて所謂バツク
ラツシユが生じ、このバツクラツシユにより、釣
糸が絡み合つたり、スプールとリール本体との間
に喰込んだりするのであり、そのため一般にはブ
レーキを装備している。

又前記ブレーキは、一般にブレーキシユーを用
いた遠心ブレーキが用いられているが、この遠心
ブレーキによると、前記ブレーキシユーをブレー
キドラムに摺接させて制動するため、前記ブレー
キシユーの摩擦などにより制動力が変化する問題
があつたし、制動力の調整を外部から行なえない
問題があつた。

しかして、以上の如き問題に対し、マグネツト
と金属導体とを用い、これらマグネツトと金属導
体との一方をスプールとともに回転するごとく成
すと共に、他方をリール本体に固定し、一方の回
転により磁束を回転させてうず電流を発生させ、
フレミング左手の法則により、回転側部材に、そ
の回転方向と逆方向の力を与えて前記スプールを
制動するごとく成し、そして、固定側部材を、前
記リール本体に対し、前記スプール軸の軸方向に
移動可能として、外部操作により制動力の調整が
行なえるようにしたものが提案された。

この方式によると接触部分がないため制動部材
の摩耗により、制動力が変化する問題を解決でき
ると共に、外部からの操作で容易に制動力を調整
できるのであるが、前記マグネツトと金属導体と
の一方をリール本体に支持して、前記スプール軸
の軸方向に移動可能としているため、前記制動力
の調整を、リニヤーに行なえないし、また前記移
動による調整位置を維持するための構造が複雑化
し、コスト高となる問題があつた。

そこで本考案は、以上の如き問題に鑑み考案し
たもので、目的は、構造簡単で、かつ制動力をリ
ニヤーに調整でき、しかもこの調整位置を維持す
るための機構を小形で、スペースをとらずに組込
むことのできる両軸リールを提供する点にある。

即ち、本考案は、スプール又はスプール軸に、
筒状の電気的導体を前記スプール軸と同心状に取
付けると共に、前記導体の内周部と外周部との一
方に、マグネツトを周設したマグネツトリング
を、また他方に前記マグネツトに対向する環状の
磁性体を保持した非磁性体リングを、それぞれ前
記スプール軸と同心円状に配置して、前記マグネ
ツトリングを前記リール本体に固定する一方、前
記磁性体に複数個のスリツトを設けると共に、前
記非磁性体リングの内周部又は外周部に、前記ス
リツトを開閉する複数の磁性体をもつた磁性リン
グを設け、これら非磁性体リングと磁性リングと
の一方を、前記リール本体に対し回転可能に支持
し、前記リール本体に設ける操作具により操作可
能としたことを特徴とするものである。

次に本考案リールの実施例を図面に基づいて説
明する。

図において、Ａは所定間隔を置いて相対向する
１対の第１、第２サイドフレーム１，２とから成
るリール本体であつて、第１サイドフレーム１
は、中心部に軸受ハウジング１１をもつ側板１２
と、該側板１２の外側に添設する添板１３及び該
添板１３の外側に添設する椀形カバー１４とから
成り、又第２サイドフレーム２は、中心部に軸受
ハウジング２１をもつ側板２２と、該側板２２の
外側に添設する椀形カバー２３とから成り、前記
軸受ハウジング２１内には後記するブレーキ５を
内装するのである。

そして斯く形成した第１、第２サイドフレーム
１，２間に、スプール３をもつスプール軸４を軸
受１０，１０を介して回転自在に支持し、また第
１フレーム１側端部を外方に延長して前記第１サ
イドフレーム１内に突出させ、この突出部にピニ
オンギヤ６を回転並びに摺動自由に支持すると共
に、前記ピニオンギヤ６とスプール軸４との間に
クラツチ７を設け、クラツチ操作機構８のクラツ
チレバー８１により前記クラツチ７の係脱操作を
行なうようにしている。

又、前記第１サイドフレームの添板１３とカバ
ー１４との間には、支持軸９を介してハンドル軸
３０を回転自由に支持し、該ハンドル軸３０の一
端を前記カバー１４から外方に突出させ、この突
出部にハンドル３１を固定し、他端にマスターギ
ヤ３２と摩擦板３３及び複数個のクラツチピン３
４ａをもつリターン板３４とを挿嵌して支持する
のである。

前記摩擦板３３とリターン板３４とは、前記ハ
ンドル軸３０に回転不能に挿嵌して該ハンドル軸
３０と共廻いするごとく成し、又前記マスターギ
ヤ３２は、前記ハンドル軸３０に遊挿して、前記
摩擦板３３を介して前記ハンドル軸３０からの回
動力を前記マスターギヤ３２に伝えるようにして
いる。

尚、前記摩擦板３３のマスターギヤ３２への圧
接力は、前記ハンドル軸３０の端部に螺合する調
整体３５により調整できるようになつている。

又、前記クラツチ７は、前記スプール軸４の中
間部に扁平面を設けると共に、前記ピニオンギヤ
６に、前記扁平面に係合する非円形内面をもつた
筒部を設けて構成するのであつて、前記ピニオン
ギヤ６の筒部を、前記操作機構８の操作で前記ス
プール軸４の扁平面形成部分から離脱させること
により、前記スプール軸４及び該スプール軸に固
定のスプール３をフリー回転可能としている。

又、前記クラツチ操作機構８は、前記ピニオン
ギヤ６を保持して常時前記クラツチ７が係合する
方向に押圧するクラツチヨーク８２と、このクラ
ツチヨーク８２を押圧する押圧部８１ａをもつた
フオーク状のクラツチレバー８１と、前記リター
ン板３４とから成り、前記クラツチレバー８１を
前記第１サイドフレーム１の添板１３に、前記ス
プール軸４に対し直交する方向にピン８３及び長
孔８４を介して往復動自由に支持すると共に、リ
ターンスプリング（図示せず）により復動方向に
付勢し、該クラツチレバー８１を押圧して前記ク
ラツチヨーク８２を軸方向に移動させることによ
り前記ピニオンギヤ６を、前記クラツチ７が離脱
する方向に移動させ、又ハンドル３１を回転して
前記リターン板３４に設けたクラツチピン３４ａ
を前記クラツチレバー８１の先端に設けた接触体
（図示せず）に押当て、該クラツチレバー８１を
前記リターンスプリングの力で元位置に復動させ
ることにより、前記ピニオンギヤ６を、前記クラ
ツチヨーク８２による押圧力でもつて前記クラツ
チ７が係合する方向に移動させるようにしてい
る。尚、前記クラツチレバー８１は、前記添板１
３に固定する前記ピン８３を中心に揺動可能にな
つていて、その先端に係合部を設けており、この
係合部を、前記添板１３に設ける切欠の段部に係
合させることによりクラツチレバー８１を往動終
端部位置で保持できるようにしている。

本考案は以上の如く構成するリールにおいて、
前記スプール３のフリー回転時におけるブレーキ
５を次の如く形成したのである。

即ち、第１，２図に示したごとく、前記スプー
ル３又はスプール軸４に、筒状の電気的導体５０
を前記スプール軸４と同心円状に取付けると共
に、前記導体５０の内周部に、複数のマグネツト
５１を周設したマグネツトリング５２を、また前
記導体５０の外周部に、一端に前記マグネツト５
１に対向する環状の磁性体５３を保持した非磁性
体リング５４をそれぞれ前記スプール軸４と同心
円状に配置して、前記マグネツトリング５２を、
前記軸受ハウジング２１の中心部に設ける支持筒
２１ａ外周面に固定し、また前記非磁性体リング
５４を、前記軸受ハウジング２１の内周面に固定
する一方、前記磁性体５３に複数個のスリツト５
３ａを設けると共に、前記非磁性体リング５４の
外周部に、一端に前記スリツト５３ａを開閉する
複数の磁性体５５をもち、他端に１対の係合突起
５６ａ，５６ａをもつた磁性リング５６を回転可
能に支持し、この磁性リング５６の前記係合突起
５６ａ，５６ａを、前記軸受ハウジング２１に設
ける窓孔２１ｂから外方に突出させ、かつ前記軸
受ハウジング２１の底壁外面に設ける支持部２１
ｃに、前記係合突起５６ａ，５６ａと係合するホ
ーク状の係合部５７ａ，５７ａと、回転操作用つ
まみ５７ｂとをもつた操作具５７を回転自由に支
持し、この操作具５７の前記つまみ５７ｂ部分を
前記カバー２３の外方に露出させ、外部から前記
磁性リング５６を操作可能にしたのである。

以上の構成において、前記マグネツト５１及び
スリツト５３ａは、90度の位相差でそれぞれ４個
設けており、また前記マグネツト５１は、Ｎ極と
Ｓ極とを交互に設けている。又、前記スリツト５
３ａは、前記マグネツト５１に対し45度の位相差
で配置し、該スリツト５３ａの前記磁性体５５に
よる閉鎖により、前記マグネツト５１からの磁力
線をループとし、前記スリツト５３ａの前記磁性
体５５による開放により、前記磁力線のループを
切断するごとく成すのである。

又、前記磁性体５３のスリツト５３ａ側端部に
は、第２図に示す如く、前記磁性体５５方向に突
出する接触片５３ｂ，５３ｂを連設して、この接
触片５３ｂ部分と前記非磁性体リング５４の外周
面とで前記磁性リング５６の磁性体５５を支持
し、該磁性体５５の前記接触片５３ｂ，５３ｂへ
の接触により、前記マグネツト５１からの磁力線
を、非磁性体リング５４の磁性体５３から磁性リ
ング５６の磁性体５５に流すごとく成している。

また前記磁性リング５６の磁性体５５は、第２
図に示す如く弧状に形成して、周方向長さを異な
らせ、前記磁性リング５６の回転操作時、磁性体
５５の前記スリツト５３ａに対する周方向位置の
変動幅を小さくし、有効磁束密度の変動幅を小さ
くして、制動力を微調整できるようにしている。
又、前記磁性体５５は、前記磁性リング５６と一
体に形成しているが、別に形成して、溶接などの
取付手段により取付けてもよい。

しかして、前記クラツチレバー８１を操作して
前記クラツチ７を離脱し、前記スプール３をフリ
ー回転として、キヤステイングを行なう場合、第
２図に示した如く、非磁性体リング５４に設けた
磁性体５３のスリツト５３ａを、磁性リング５６
の磁性体５５により閉じるのであつて、このスリ
ツト５３ａの閉鎖により、マグネツト５１からの
磁力線が前記磁性体５３，５５に流れてループと
なり、前記スプール３とともに、該スプール３又
はスプール軸４に設けた導体５０が前記マグネツ
ト５１と磁性体５３，５５との間の磁界内で回転
し、この回転に伴ない前記導体５０を通る磁束の
方向が回転方向に変化するのである。そして、こ
の磁束の変化により前記導体５０にうず電流が発
生し、フレミング左手の法則により、前記導体５
０の回転方向と逆方向の磁力が生じ、前記スプー
ル３を制動するのである。

そして、この制動は、前記磁性リング５６の前
記操作具５７による調整により制御できるのであ
る。即ち、前記操作具５７を回転操作すると、こ
の操作力が、係合部５７ａから係合突起５６ａを
経て磁性リング５６に伝わり、該磁性リング５６
が回転させられ、この回転で、前記磁性体５５
と、磁性体５３のスリツト５３ａとの位置関係が
変わり、一部のスリツト５３ａが開いて、磁力線
のループが切断され、このループの切断により前
記導体５０を流れる磁束の数を変化させられるの
であつて、この変化により、前記スプール３に作
用する制動力を調整できるのである。

この調整状態は、例えば第１，３図に示す如く
磁性リング５６の外周面に周設する多数の凹凸条
５６ｂと係合する係合部をもつた可撓性の保持具
５８により維持するのである。この保持具５８
は、板体を折曲げて形成するのであつて、一端側
取付部を前記側板２２に取付け、他端側係合部を
前記凹凸条５６ｂに係合させるのである。尚、前
記保持具５８は、磁性リング５６の回転操作時に
撓ませて、前記凹凸条５６ｂとの係合を解除する
のである。

尚、前記マグネツト５１は、前記マグネツトリ
ング５２と別に形成して、接着などの固定手段に
より固定するのであるが、前記リング５２を合成
樹脂とし、その成形時、一体に埋込んでもよいの
である。又、前記マグネツト５１は、着磁法を用
いて形成してもよいし、又、複数とする他、環状
に形成してもよい。

又、図中５９は磁性リング５６を止めるＣ形の
止め輪である。

又、以上説明した実施例では、マグネツトリン
グ５２を導体５０の内周部に、非磁性体リング５
４を導体５０の外周部にそれぞれ配置したが、そ
の反対であつてもよい。又、磁性リング５６を非
磁性体リング５４の外周部に設けたが、内周部に
設けてもよいのであり、又、前記磁性リング５６
を回転可能にする他、非磁性体リング５４を回転
可能にしてもよい。

以上の如く本考案は、スプール又はスプール軸
に筒状の電気的導体を取付け、この導体の内周部
と外周部との一方に、マグネツトを周設したマグ
ネツトリングを、他方に環状の磁性体を保持した
非磁性体リングをそれぞれ配置して、前記磁性体
に複数個のスリツトを設けると共に、前記スリツ
トを開閉する複数の磁性体をもつた磁性リングを
設けたから、前記マグネツトの磁力を利用してス
プールの制動が行なえながら、前記非磁性体リン
グと磁性リングとの一方を回転可能に支持し、こ
の可動側リングを操作具により回転して有効磁束
密度を幅広い範囲で変化させるごとくしたから、
制動力の調整を幅広く、またリニヤーな調整も任
意に行なえると共に、その調整精度も向上でき、
バツクラツシユを確実に防止できるのである。

又、導体の内周部又は外周部に磁性体を配置す
ることにより、前記可動側リングを回転操作して
制動力を調整するときにおける磁束の反発力、即
ち可動側リングを戻し方向に引寄せる力を小さく
でき、その結果、可動側リングによる調整状態を
簡単な機構で維持できるのであり、又、前記マグ
ネツトのＮ極、Ｓ極を特に規定しなくともよいの
で、組立てが容易であり、組立作業能率を向上で
きるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案リールの一実施例を示す横断平
面図、第２図は第１図−線断面図、第３図は
カバーを取外した側面図である。 Ａ……リール本体、３……スプール、４……ス
プール軸、５０……導体、５１……マグネツト、
５２……マグネツトリング、５３……磁性体、５
４……非磁性体リング、５５……磁性体、５６…
…磁性リング、５３ａ……スリツト、５７……操
作具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リール本体にスプールをもつたスプール軸をフ
   リー回転可能に支持した両軸リールにおいて、前
   記スプール又はスプール軸に、筒状の電気的導体
   を前記スプール軸と同心状に取付けると共に、前
   記導体の内周部と外周部との一方に、マグネツト
   を周設したマグネツトリングを、また他方に前記
   マグネツトに対向する環状の磁性体を保持した非
   磁性体リングを、それぞれ前記スプール軸と同心
   円状に配置して、前記マグネツトリングを前記リ
   ール本体に固定する一方、前記磁性体に複数個の
   スリツトを設けると共に、前記非磁性体リングの
   内周部又は外周部に、前記スリツトを開閉する複
   数の磁性体をもつた磁性リングを設け、これら非
   磁性体リングと磁性リングとの一方を、前記リー
   ル本体に対し回転可能に支持し、前記リール本体
   に設ける操作具により操作可能としたことを特徴
   とする両軸リール。