JPS6244119B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、空調用、一般送風用等に使用され
る多翼遠心送風機の多翼羽根車に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

羽根車の自動組立を目的として従来用いられて
いる羽根車の構成を第１図〜第５図に示す。（第
１図は正面図、第２図は側断面図、第３図は羽根
の斜視図、第４図は羽根の取付け状態を示す斜視
図、第５図は取付け寸法関係を示す側断面図であ
る。） この羽根車は、第２図に示すように主板２及び
側板３の外周部に軸方向外方に張出す断面Ｌ字形
の段付部を設けると共に、この段付部から内周側
にかけてスリツト８を設け、一方羽根１の端部に
羽根の軸方向と平行な切込み１０、同切込みより
内周側の部分（突出部、折曲げ部ともいう）７、
及び切込みより外周側の部分（かしめ部）６を設
け、主板及び側板を所定軸方向間隔に対向配置し
ておき、羽根を外周方向より挿入して折曲げ部７
をスリツト８に通した後主板及び側板の外側で折
曲げることにより固定し、また主板及び側板の外
周部分の軸方向に延びた部分を半径方向に折曲げ
て羽根のかしめ部６を巻締めすることにより固定
するものである。なお図で４は羽根車のハブ、５
はハブに主板２を固定するリベツトである。

この羽根車の特徴は、対向する主板・側板の外
周方向から羽根を挿入できることと、羽根端部の
内周側部分（折曲げ部７）を折曲げることにより
羽根車の強度を向上し、巻締め構造羽根車を大風
量・大風圧の用途へ適用できるようにしたことで
ある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし上記の羽根車の構成においても次のよう
な問題がある。

(1) 羽根の主板・側板への差込み後の折曲げ部７
の曲げ成形は羽根車の軸方向より行ない、外周
の巻締め成形は軸直角方向（半径方向）より行
なわなければならないので、自動成形組立装置
の成形のための構造が複雑となる。

(2) 主板・側板のプレス成形が面倒で、加工工程
が多くなる。

(3) 羽根のかしめ部６の成形は羽根の曲率に対し
て逆方向の曲げとなり、加工が面倒であると共
に折曲げ部の残留応力が大となる。この発明の
目的は、羽根車の成形組立が容易でありかつ成
形組立に用いる成形組立装置の構造を簡単にで
きる構成の多翼羽根車を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明の特徴は、主板および側板がその外周
部に形成された軸方向に張出した断面Ｌ字形段付
部を有し、この段付部から内周側にかけて形成さ
れたスリツトを有し、羽根は羽根の端部に羽根の
長手方向に延びた切込みと、この切込みより内周
側にあり、羽根の長手方向に延びた突出部と切込
みより外周側にあり、羽根の長手方向と直角方向
に折曲げられた後さらに羽根の長手方向に折曲げ
られた部分で、しかも主板および側板と同じ曲線
半径になつているかしめ部を有し、主板および側
板の各スリツトに前記各羽根の突出部をそれぞれ
挿入した後、各突出部を折曲げるとともに、主板
および側板の断面Ｌ字形段付部の半径方向に延び
た部分を軸方向に折曲げ、前記各羽根のかしめ部
を巻締め固定したものである。

〔作用〕

上記のように、各羽根の折曲げ部すなわち突出
部と、各羽根のかしめ部とを、ともに羽根の長手
方向すなわち主板、側板のスリツトに挿入された
状態では軸方向に延びるものとし、突出部の折曲
げ方向と、かしめ部の巻締めの方向（主板、側板
の断面Ｌ字形段付部における半径方向に延びた部
分の折曲げ）との両方を、第９図に示すように同
一の方向から行うことができる。

これにより、主板および側板の半プレスによる
巻締め加工および羽根の突出部の折曲げ加工が容
易にでき、同時に折曲げおよび巻締め等の成形加
工装置との構造を簡単なものとすることができ
る。

〔実施例〕

以下この発明の一実施例を第６図、第７図、第
８図、第９図、第１０図および第１１図により説
明する。第６図は、羽根車の羽根の取付け状態、
第７図は主板および側板の形状、第８図は各羽根
の端部（一方のみ）の形状をそれぞれ示してい
る。主板２および側板３は、その外周部に軸方向
に張り出した断面Ｌ字形段付部２Ａ，３Ａすなわ
ち軸方向に延びた部分２Aa、この部分２Aaから
半径方向に延びた部分２Abを有し、この段付部
２Ａの軸方向部分２Aaから内周側にかけて形成
されたスリツト８を円周方向に等間隔に有する。
羽根１は、その両端部が、羽根１の長手方向に延
びた切込み１Ａと、この切込み１Ａより内周側に
あり、羽根１の長手方向に延びた突出部７と、切
込みより外周側にあり、羽根の長手方向とほぼ直
角方向に折曲げられた後さらに羽根の長手方向に
折曲げられた部分でしかも主板および側板の外周
と同じ曲率半径になつているかしめ部６を有す
る。

次に、組立て折曲げ加工の順序を説明する。

先ず、第１１図に示すように、主板２および側
板３の間の幅決めすなわち、主板２および側板３
のスリツト８の端部同士間の間隔Ｗを羽根１の両
突出部７の距離Ｌより若干大きくしておき、外周
方向から各スリツト８に羽根１の突出部７を挿入
する。

このようにして全部の羽根１を挿入、位置決め
（主板２、側板３に対する相対位置を決め）した
後、主板２と側板３との間隔Ｗを緩めて主板２と
羽根１の一方端部、側板３と羽根１の他方端部と
をそれぞれ密着させる。この状態で、羽根１の長
手方向が軸方向に向いている。

次に、第９図に示すように、巻締めローラ９を
回転させながら白抜きの矢印方向に移動させ、半
径方向に延びた部分２Abを実線の矢印方向に、
羽根１のかしめ部６と半径方向部分２Abが密着
するまで（軸方向）折曲げて巻締めする。また羽
根１の突出部７も巻締めに先立つて、巻締めと同
様の方法により折曲げられる。突出部７の折曲
げ、巻締め成形後の羽根１、主板２、側板３の接
合状態は第１０図に示す通りである。

上記の実施例によれば、次の利点がある。

(1) 従来の外周巻締め式の羽根車に比べて、この
羽根車は羽根の主板・側板への供給が外周方向
より容易に行なえる。このため自動供給組立に
適し、多大な工数低減が可能となる。

(2) 羽根の外周側は巻締め、内周側は折曲げ固定
されるので、従来の外周巻締め式の羽根車に比
べて大風量・大風圧の用途への適用が可能とな
る。

(3) 主板、側板のプレス加工が容易で、安価に製
作できる。

(4) 羽根の挿入が容易にできる。

(5) 羽根の突出部の折曲げ加工と、主板、側板の
巻締め成形とを同一方向から行うことができ、
自動成形組立装置の構造が簡単にできる。

(6) 安価で強固な羽根車を製作することができ
る。

〔発明の効果〕 以上のようにこの発明によれば、羽根の端部に
おける突出部を折曲げる際の折曲げ手段の移動方
向と主板および側板の外周部を巻締めるためのロ
ーラの移動方向が同じ方向にでき、折曲げ巻締め
を容易にできるとともに折曲げおよび巻締め等の
成形加工装置の構造も簡単なものとすることがで
きる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の羽根車の正面図、第２図はその
側断面図、第３図は羽根の斜視図、第４図は羽根
の取付け状態を示す斜視図、第５図は羽根の取付
け寸法関係を示す側断面図、第６図〜第１１図は
この発明の羽根車を示すもので、第６図は羽根車
の部分正面図、第７図は主板（又は側板）の形状
を示す斜視図、第８図は羽根の端部の形状を示す
斜視図、第９図は主板・側板と羽根との取付け状
態を示す側断面図、第１０図は同じく斜視図、第
１１図は主板・側板と羽根との取付け寸法関係を
示す側断面図である。 １……羽根、２……主板、３……側板、６……
かしめ部、７……突出部（折曲げ部）、８……ス
リツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スリツトを有し、所定の間隔で配置された主
   板および側板、この主板および側板のスリツトに
   それぞれ端部が挿入されて固定された羽根を備
   え、各羽根は、長手方向が軸方向を向き、主板お
   よび側板の外周に配列された多翼羽根車におい
   て、前記主板および側板は、該主板および側板の
   外周部に形成された軸方向に張出した断面Ｌ字形
   段付部を有し、この段付部から内周側にかけて形
   成されたスリツトを有し、前記羽根の端部に、羽
   根の長手方向に延びた切込みと、この仕込みより
   内周側にあり、羽根の長手方向に延びた突出部
   と、切込みより外周側にあり、羽根の長手と直角
   方向に折曲げられた後さらに羽根の長手方向に折
   曲げられた部分でしかも、主板および側板の外周
   と同じ曲率半径になつているかしめ部を有し、主
   板および側板の各スリツトに前記各羽根の突出部
   をそれぞれ挿入した後各突出部を折曲げるととも
   に、主板および側板の断面Ｌ字形段付部の半径方
   向に延びた部分を軸方向に折曲げ、前記各羽根の
   かしめ部を巻締め固定したことを特徴とする多翼
   羽根車。