JPH0330000B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、羽根車にかかわり、さらに詳しく
は、羽根を外方から差し込み、側板を巻締めるこ
とによつて、羽根の固定をおこなつている、いわ
ゆる、羽根外方差し込み式巻締め構造をもつ羽根
車の改良に関している。

［従来の技術］ 羽根外方差し込み式巻締構造を持つ羽根車は、
たとえば、特開昭56−72297号公報に記載されて
いる。

この羽根車は、円板の形態をもつ主板および側
板が平行に配置され、羽根がこれらの主板および
側板のあいだに配置されている。

主板および側板は、外周縁附近に段部を形成さ
れ、羽根を差し込むための溝が段部の下方に設け
られている。羽根は、両端に、突起および耳部を
もち、溝がこれらの間に設けられている。組み立
ては、羽根を主板と側板とのあいだに配置し、突
起を主板および側板の溝に、溝を主板および側板
の段部に、耳部を主板および側板の段部の上に位
置させて主板および側板に差し込み、突起を主板
および側板の外面に接触させて折り曲げ、耳部を
主板および側板の内面に接触させて折り曲げ、主
板および側板の外周縁を耳部の上にむかつて巻締
めることみよつてなされている。

この羽根車は、耳部が主板および側板を巻締め
ることによつて固定されているため、回転中に、
羽根が飛び出すことがなく、ビルの空調設備のよ
うな大風量および大風圧を要求される羽根車とし
ても、安全に使用することができる。

［発明が解決しようとする課題］ この種の羽根車では、使用目的に応じて、回転
方向が逆なものを要求される。しかし、上述の羽
根車は、羽根車の回転方向に応じて、主板、側板
および羽根を別々に準備する必要がある。さら
に、組み立てに際しても、羽根の位置は羽根の突
起がはまる主板および側板上の溝精度によつて決
り、主板および側板の溝がかなり精密に加工され
ているため、突起と溝とを正確に一致させて、羽
根を溝に押し込まなければならず、かなりの手間
を必要とし、自動組立をなさせるのが困難であ
る。

本発明は、同じ部材によつて、左回転用ものと
右回転用のものとを組み上げることができ、しか
も、組み立てを簡単におこなえる、改良された羽
根外方差し込み式巻締構造羽根車を提供するもの
である。

［課題を解決するための手段］ この羽根車は、外周縁附近に位置して段部を形
成されかつ段部の下方に位置して羽根差し込みの
ための溝を設けられた主板および側板と、両端に
突起、耳部およびこれらの間に設けられた溝とを
もつ羽根とを具備し、羽根が主板と側板とのあい
だに配置され、突起を主板および側板の溝に、溝
を段部に、耳部を段部の上に位置させて主板およ
び側板に差し込まれ、突起を主板および側板外面
に接触させて折り曲げられていると共に、耳部を
主板および側板内面に接触させて折り曲げられ、
主板および側板が耳部にむかつて外周縁を巻締め
られた羽根の外方差し込み式巻締構造をもつてい
る。

しかしながら、本発明の羽根車では、主板およ
び側板の溝がこの羽根車の回転中心に関して放射
方向に位置する第一の溝部分とこの溝部分の両側
から外方に拡がりかつ段部にわたつて設けられた
第二の溝部分とからなり、羽根の突起が前記放射
方向に関連する平面上に位置する平板に形成さ
れ、第一の溝部分に挿入されかつ前記折り曲げを
なされている。

［作用］ 組み立ては、主板および側板を平行に配置し、
羽根を主板と側板とのあいだに配置し、羽根の両
端を第一の溝部分に落とし込み、羽根を押し付け
て、突起を第二の溝部分にはめ込み、突起を主板
および側板の外面に接触する方向に折り曲げ、主
板および側板の外周を羽根の耳部にむかつて巻締
めることによつてなされる。他の回転方向の羽根
車は、羽根車の端部の向きを反対にした状態に
て、羽根の両端を第一の溝部部分に落し込み、羽
根を押し付けて、突起を第二の溝部分にはめ込
み、突起を主板および側板の外面に接触する方向
に折り曲げ、主板および側板の外周を羽根の耳部
にむかつて巻締めることによつてなされる。

これらの組み立てに際して、突起が第二の溝部
分に押し込まれると、突起の下端縁が第二の溝部
分を形成する壁面によつて案内されつつ、第一の
溝部分の入口にむかつて導かれ、突起が第二の溝
部分にはいりこむと、羽根が第二の溝部分によつ
て位置決めされる。

［実施例］ 本発明の羽根外方差し込み式巻締構造羽根車の
実施例は、以下に、図面と共に説明する。

この羽根車は、第１図および第２図に示すよう
に、主板１、側板２および羽根３を具備してい
る。主板１および側板２は間隔をおいて配置さ
れ、羽根３はこれらの主板１および側板２のあい
だに配置されているとともに、主板１および側板
２に両端を固定される。

主板１は、円板の形態をもつもので、中心附近
にボス４を取り付けられている。側板の外周附近
には段部９が設けられている。側板２は、リング
の形態を具備していて、主板１とおなじサイズお
よび形状をもつ段部を設けられている。

段部９および段部９の下方には、第３図および
第４図に示すように、羽根３を固定するための溝
が設けられている。この溝は、第５図によく示さ
れているように、ふたつの部分からなつている。
第一の溝部分は、主板１における段部９の下方に
ある直線溝１０からなつていて、この羽根車の回
転中心に関して放射方向に配置されているととも
に、後述する羽根３の突起１１を圧入させる幅を
もつている。第二の溝部分は、第４図に示すよう
に、主板１における段部９の下方の壁面に設けら
れた逆三角形溝と、段部９に設けられた直線溝か
らなつている。このため、第二の溝を形成する壁
面１４は、主板１における段部９の下方におい
て、第一の溝１０を形成する壁面から外方にむか
つてひろがり、段部９において、たがいに平行に
なつている。側板２にも同じ構成をもつ第一の溝
部分および第二の溝部分が設けられている。

羽根３の各々は羽根の本体の両端に突起１１お
よび耳部１２を一体に形成されている。突起１１
は、第６図および第７図に示すように、平板に形
成されているとともに、羽根３が主板１および側
板２に取り付けられたときに、主板および側板に
おける第一の溝部分１０の配置方向、つまり、主
板および側板の回転中心に関して放射方向に位置
する平面に一致するように形成されている。ま
た、耳部１２は、突起１１とのあいだに溝を形成
して、羽根３に設けられている。この耳部は、突
起１１に対応する部分が羽根本体３ａとおなじ曲
面に形成されているが、端部が平板に形成されて
いるとともに、羽根本体３ａにたいしてほぼ直角
に折り曲げられている。羽根３の反対側端部も、
第８図に示すように、同様に構成された突起１１
および耳部１２およびこれらのあいだに配置され
た溝を具備している。羽根３は、このため、端部
の向きをかえると、一端の突起１１および耳部１
２が向きをかえる以前のこれらにたいして左右対
称になる。

第１図および第２図に示す右回転用の羽根車の
組み立ては、主板１と側板２とを同軸にかつ間隔
をおいて配置し、羽根３の向きを第８図の状態に
させて、主板１および側板２のあいだに配置し、
羽根の両端を主板１および側板２に固定すること
によつてなされる。固定は、第９図に示すよう
に、耳部１２を主板１と側板２における段部９の
上方に位置する部分に接触させ、耳部１２と突起
１１とのあいだにある溝を段部９にかん合させ、
突起１１を第二の溝部分における段部９にある直
線溝をとおつて第一の溝部分１０に挿入し、突起
１１における主板１および側板２の外面から突出
する部分を主板１および側板２の外面にむかつて
折り曲げかつこれに接触させ、主板１および側板
２の外周縁を耳部１２にむかつて巻締め、巻締め
部分１３を耳部１２に接触させることによつてな
される。

この羽根車では、突起１１を第一の溝部分１０
に挿入するときに、つまり、羽根３の位置決めを
おこなう、羽根の両端にある突起１１を主板１お
よび側板２にある第二の溝部分にはめ、羽根本体
３ａを押すと、突起１１の下端縁が第５図におけ
る第二の溝部分を形成する左側の斜面１４に接触
しかつこの斜面１４によつて案内されつつ、第一
の溝部分１０の入口にみちびかれ、第一の溝部分
１０にかん合する。このため、羽根の位置決め
は、羽根３を第二の溝部分にはめ、たんに羽根を
まつすぐに押し込むだけでおこなえる。なお、組
み付けられた羽根３は、第５図において、鎖線で
示されている。

また、第１０図に示す左回転用の羽根車の組立
は、羽根３が端部を反対方向に向けた状態にて、
主板１と側板２とのあいだに配置し、右回転用の
羽根車と組み付けと同様に、耳部１２を主板１と
側板２とにおける段部９の上方に位置する部分に
接触させ、突起１１と耳部１２とのあいだにある
溝を段部にかん合させ、突起１１を第二の溝部分
をとおつて第一の溝部分１０に挿入し、突起１１
における主板１および側板２の外面から突出する
部分を主板１および側板２の外面にむかつて折り
曲げかつこれに接触させ、主板１および側板２の
外周縁を耳部１２にむかつて巻締め、巻締め部分
１３を耳部１２に接触させることによつてなされ
る。

このときにも、突起１１が第二の溝部分に挿入
されると、突起１１の下端縁が第５図における第
二の溝部分を形成する右側の斜面１４によつて案
内されつつ、第一の溝部分の入口に導かれるの
で、右回転用の羽根車と同様に、羽根３の位置決
めを簡単かつ迅速におこなえる。第５図におい
て、組み付けられた羽根３は実線で示されてい
る。

本発明による羽根車では、このように、羽根３
の両端にある突起１１が平板に形成され、端部の
向きをかえたときに、突起１１、耳部１２および
羽根本体３ａが左右対象になるとともに、主板１
および側板２にある溝１０が回転中心軸に関して
放射方向に配置されているので、同一部材でもつ
て左回転用羽根車と右回転用羽根車とを組み立て
ることができる。さらに、羽根の位置決めをおこ
なう溝が羽根車の回転中心に関して放射方向に配
置され、溝自体が羽根の位置決めをなす第一の溝
部分１０とこの溝部分の両側から外方に拡がりか
つ段部にわたつて設けられた第二の溝部分とから
なつていて、羽根を第一の溝部分に挿入するとき
に、第二の溝部分を形成する壁面１４が羽根３の
突起１１を第二の溝部分にむかつてみちびいてい
るので、主板１および側板２にたいする羽根３の
組み付け作業を容易かつ迅速におこなえ、しか
も、溝１０と突起１１とのかん合精度を高めて
も、簡単に羽根を挿入することができるので、羽
根をたかい機械的強度でかつたかい精度で位置決
めをおこなえる。

なお、以上述べた実施例において、第二の溝部
分を形成する壁面１４を曲面に形成するなど、本
発明をこえない範囲での変更、改善などをおこな
える。

［発明の効果］ 本発明の羽根外方差し込み式巻締構造羽根車
は、以上説明したように、同一部材でもつて、右
回転用の羽根車と左回転用の羽根車とを組み立て
ることができ、しかも、突起および耳部を溝に押
し込むだけで、羽根の位置決めをおこなえるの
で、この作業を簡単かつ迅速におこなえるばかり
か、作業の自動化も簡単におこなえる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の羽根外方差し込み式巻締構造羽
根車の一実施例を示していて、第１図は右回転用
の羽根車の一部を省略された正面図、第２図は同
断面図、第３図は主板の一部拡大正面図、第４図
は同斜視図、第５図は主板にある溝の拡大正面
図、第６図は一部を省略された羽根の斜視図、第
７図は羽根の一端の正面図、第８図は羽根の反対
端の正面図、第９図は主板にたいする羽根の組み
付け状態を示す斜視図、第１０図は左回転用の一
部を省略された正面図である。 １……主板、２……側板、３……羽根、４……
ボス、１０……第一の溝部分、１１……突起、１
２……耳部、１３……巻締め部分、１４……第二
の溝部分を形成する壁面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外周縁付近に位置して段部を形成されかつ段
   部の下方に位置して羽根差し込みのための溝を設
   けられた主板および側板と、両端に突起、耳部お
   よびこれらの間に設けられた溝とをもつ羽根とを
   具備し、羽根が主板と側板との間に配置され、突
   起を主板および側板の溝に、溝を段部に、耳部を
   段部の上に位置させて主板および側板に差し込ま
   れ、突起を主板および側板外面に接触させて折り
   曲げられていると共に、耳部を側板内面に接触さ
   せて折り曲げられ、主板および側板が耳部にむか
   つて外周縁を巻締められている羽根の外方差し込
   み式巻締構造をもつ羽根車において、主板および
   側板の溝がこの羽根車の回転中心に関して放射方
   向に位置する第一の溝部分とこの溝部分の両側か
   ら外方に拡がりかつ段部にわたつて設けられた第
   二の溝部分とからなり、羽根の突起が前記放射方
   向に関連する平面上に位置する平板に形成され、
   第一の溝部分に挿入されかつ前記折り曲げをなさ
   れていることを特徴としている羽根外方差し込み
   式巻締構造羽根車。