JPS6243880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧を利用したブレーキブースタに関
するものである。

従来のブレーキブースタは第１図に示すよう
に、本体ａの大径孔ｂにピストンｃを嵌挿し、小
径孔ｄにスプールｅを嵌挿すると共に、スプール
ｅをバネｆで入口ポートｇとピストン室ｈとを遮
断する位置とし、ピストンｃにはピストン室ｈを
ドレーンポートｉに連通する孔ｊを穿孔した構造
となり、スプールｅをブレーキペタルで押動する
と入口ポートｇより圧油がピストン室ｈに流入し
てピストンｃを押動することでブレーキバンドを
ブレーキドラムに締付けるように作動する。

しかし、この構造であるとブレーキペタルを操
作してスプールｅを押動すると直ちにピストン室
ｈと入口ポートｇとが連通してピストンｃを押動
するので、入口ポートｇに圧油が供給されている
時のブレーキペタルストロークは小さくなり圧油
が供給されていない時のブレーキペタルストロー
クは大きくなつてしまいブースタ作動時とブース
タ非作動時のブレーキペタルストロークの差が大
となる。

このことを防止するために、ピストンｃがブレ
ーキバンドとブレーキドラムとの隙間に対応する
距離（ブレーキの遊び）だけストロークする間は
入口ポートｇとピストン室ｈとが連通しないよう
に構成すると、ピストンｃがブレーキの遊びだけ
ストロークする間にピストン室ｈが真空状態とな
つてピストンｃの押動力が大きくなるのでブレー
キペタルの操作力がその間に大きくなつてしま
う。

また、入口ポートｇよりピストン室ｈに圧油が
直接供給されるからピストン室ｈ内への流入流量
が多くなつてピストンｃのドレーン側（孔ｊ）に
背圧が発生してピストンｃが急激に飛び出してし
まう。

本考案は上記の事情に鑑みなされたものであ
り、その目的はブースタ作動時と非作動時とのブ
レーキ操作部材のストロークの差を小さくできる
と共に、ピストン室内が真空状態となることがな
く、さらにはドレーン側背圧によつてピストンが
飛び出すことを防止できるようにしたブレーキブ
ースタを提供することである。

以下第２図以降を参照して本考案の実施例を説
明する。

第２図は油圧回路図であり、エンジン１で駆動
されるポンプ２の吐出側２ａはステアリングバル
ブ３Ｌ，３Ｒを介してステアリングクラツチ４
Ｌ，４Ｒに供給されかつブレーキブースタ５Ｌ，
５Ｒを介してブレーキに供給制御される。

該ブレーキブースタ５は第３図に示すように、
本体１０の大径孔１１にピストン１２を、小径孔
１３にスプール１４を相対向して嵌挿し、ピスト
ン１２と相対向してリンク機構１５を設けてブレ
ーキバンド１６に連結し、ブレーキ操作部材とな
るブレーキペタル１７をリンク機構１８を介して
スプール１４と相対向したレバ１９に連結してあ
る。２０はブレーキドラムである。

第４図はブレーキブースタ５の詳細断面図であ
り、本体１０の大径孔１１と連続した小径部１１
ａにはスリーブ２１が嵌挿されて小径孔１３を形
成し、スリーブ２１にはポート２２が穿孔されか
つ本体１０には入口ポート２３が絞り２４を介し
てポート２２に開口するように穿孔してある。

スプール１４はバネ２５で右方に付勢されて段
部１４ａがスリーブ２１の一端面２１ａに当接し
ていると共に、軸方向中間部には小径部１４ｂが
形成され、該小径部１４ｂには軸心に穿孔した油
路２６が絞り２７を介して開口し、油路２６は油
孔２８で大径外周部に開口している。

前記ピストン１２の一端部にはピストン室２９
が形成され、ピストン室２９は油孔３０を介して
ドレーンポート３１に開口連通していると共に、
前記スプール１４によつて断通制御される。

そして、前記ドレーンポート３１はステアリン
グバルブ３Ｌ，３Ｒと連通して作動するブレーキ
バルブ３２Ｌ，３２Ｒによつて吐出側２ａとドレ
ーン３３とに断通され、ステアリングバルブ３
Ｌ，３Ｒを操作しない時にはドレーン３３に連通
している。

次に作動を説明する。

ブレーキペタル１７を操作しない時には第４図
の状態となり、油孔２８がスリーブ２１で閉塞さ
れてピストン室２９に連通されないからピストン
１２は図示の位置に保持される。

ブレーキペタル１７を踏み込むとスプール１４
がバネ２５に抗して左方に押動されて第５図に示
すように油孔２８がピストン室２９に開口するか
ら、入口ポート２３に流入した圧油は絞り２４、
ポート２２、絞り２７、油路２６、油孔２８を通
つてピストン室２９に供給されるが、２つの絞り
２４，２７を通過するためにその供給流量は僅か
となりピストン１２の押力は小さくなるので、ド
レーン側背圧によるピストンの飛び出しを防止で
きると共に、ピストン室２９が真空となることが
ない。

つまり、ブレーキの遊び分だけストロークする
間にはピストン室２９には僅かな油量が供給され
るのでピストン１２はスプール１４のストローク
に追従して徐々に押動されブースタ作動時と非作
動時のブレーキペタルストローク差を小さくでき
ると共に、ピストン１２の飛び出し、ピストン室
２９の真空発生を防止できる。

また、ブレーキペタル１７を更に操作すると第
６図のようにスプール１４が更に押動されて小径
部１４ｂがピストン室２９に開口し、入口ポート
２３の圧油は絞り２４のみを介してピストン室２
９内に供給されてピストン１２の押力が大きくな
つてブレーキバンド１６をブレーキドラム２０に
圧着される。

このため、ブレーキ有効ストロークの時にはピ
ストン室２９内へ供給される油量を絞り２４によ
つて必要油量に調整できる。

また、ステアリングバルブ３Ｌ，３Ｒを操作す
ると共にブレーキバルブ３２Ｌ，３２Ｒを操作し
てドレーンポート３１を吐出側２ａに連通すると
第７図のようにピストン室２９内に圧油が供給さ
れて制動される。

本考案は以上の様になり、ブースタ作動時と非
作動時とのブレーキ作動部材のストローク差を小
さくできると共に、ピストン室内が真空状態にな
ることがなく、さらにはドレーン側背圧によつて
ピストンが飛び出すことを防止できると共に、有
効ストローク時のピストン室内への供給油量を必
要油量に調整できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の説明図、第２図以降は本考案
の実施例を示し、第２図は油圧回路図、第３図は
ブレーキの説明図、第４図はブレーキブースタの
断面図、第５図・第６図・第７図は作動説明図で
ある。 １０は本体、１２はピストン、１４はスプー
ル、２３は入口ポート、２４，２７は第１・第２
絞り、２５はバネ、２９はピストン室、３１はド
レーンポート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドレーンポート３１と入口ポート２３とを備え
   た本体１０内にピストン１２を嵌挿してドレーン
   ポート３１に開口連通したピストン室２９を形成
   し、前記本体１０内にピストン室２９とドレーン
   ポート３１・入口ポート２３を断通するスプール
   １４を嵌挿しかつバネ２５によつてピストン室２
   ９と入口ポート２３とを遮断する位置に付勢保持
   すると共に、前記本体１０及びスプール１４に第
   １・第２絞り２４，２７をスプール１４をブレー
   キ遊び分だけストロークする間には入口ポート２
   ３が第１・第２絞り２４，２７を介してピストン
   室２９に連通し、それ以上ストロークすると第１
   絞り２４のみを介してピストン室２９に連通する
   ように設けたことを特徴とするブレーキブース
   タ。