JPS6242825Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、対をなす油圧ポンプで、前後両車輪
用の各油圧モータを駆動できるようにしたいわゆ
る２ポンプ４モータ形の車両用油圧駆動装置に関
するものである。

この種の油圧駆動装置を搭載した車両は、例え
ば農作業等を行なわせるための特殊車両として開
発されたものが多いが、このような作業に使用す
る場合には、作業走行時に低速、高トルク運転が
可能であり、かつ路上走行時に高速、低トルク運
転ができることが望ましい。しかして、従来は前
記油圧ポンプ等を可変容量形のものにしてその要
望を満すようにしているが、単にこれだけのもの
では、無理なく変速幅を広げるのが難しいという
問題がある。

本考案は、このような事情に着目してなされ旋
回時に左の駆動車輪と右の駆動車輪の回転速度を
積極的に異ならせることができるという基本性能
を確保した上で、簡単な回路構成によつてきわめ
て広い変速幅を確保することができ、エンジンパ
ワーの有効利用を図ることができるようにした車
両用油圧駆動装置を提供するものである。

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

左側の補助駆動車輪、例えば、左の前輪を駆動
するための油圧モータ１と、左側の主駆動車輪例
えば、左の後輪を駆動するための油圧モータ２と
を一方の可変容量形の油圧ポンプ３に並列に接続
するとともに、右側の補助駆動車輪、例えば、右
の前輪を駆動するための油圧モータ４と、右側の
主駆動車輪、例えば右の後輪を駆動するための油
圧モータ５とを他方の可変容量形の油圧ポンプ６
に並列に接続している。そして、前記両油圧ポン
プ３，６どうしを並列に接続するための対をなす
ポンプ並列接続用の油通路７，８を設け、これら
両油通路７，８の途中に第１の切換弁９を介挿し
ている。第１の切換弁９は、前記各油通路７，８
をそれぞれ連通状態にする切換位置と、前記各
油通路７，８をそれぞれ遮断する切換位置と、
前記油通路７，８をクロスに接続する切換位置
とを有してなる４ポート３位置形のものである。

なお、前記切換位置は他の車両による懸引走
行等を可能にするためのものである。また、左後
輪用の油圧モータ２の流出口（車両の後退時には
流入口として機能するが便宜上「流出口」と称
す。以下同じ）２ｂと右後輪用の油圧モータ５の
流入口（車両の後退時には流出口として機能する
が便宜上「流入口」と称す。以下同じ）５ａとを
モータ直列接続用の油通路１１を介して接続する
とともに、この流入口５ａと左の油圧ポンプ３の
流出口３ａとを絞り弁１２を有してなるデフアレ
ンシヤル用の油通路１３を介して接続している。
そして、これら両油通路１１，１３の途中に第２
の切換弁１４を介挿している。第２の切換弁１４
は、前記各油通路１１，１３をそれぞれ連通状態
にする切換位置と、前記各油通路１１，１３を
それぞれ遮断する切換位置とを有してなる４ポ
ート２位置形のものである。しかして、前記油通
路１３は、第２の切換弁１４が開成している際に
一方の油圧ポンプ３の流出口３ａを絞り１２を介
してモータ直列接続用の油通路１１に接続し得る
ようにしたものである。また、左後輪用の油圧モ
ータ２の流出口２ｂを左の油圧ポンプ３に連通さ
せる油通路１５と、右後輪用の油圧モータ５の流
入口５ａを右の油圧ポンプ６に連通させる油通路
１６の途中に第３の切換弁１７を介挿している。
第３の切換弁１７は、前記各油通路１５，１６を
それぞれ連通状態にする切換位置と、前記各油
流通路１５，１６をそれぞれ遮断する切換位置
とを有してなる４ポート２位置形のものである。
また、左前輪用の油圧モータ１を左の油圧ポンプ
３に接続する油通路１８，１９の途中、および右
前輪用の油圧モータ４を右の油圧ポンプ６に接続
する油通路２１，２２の途中に第４の切換弁２
３，２３をそれぞれ介挿している。第４の切換弁
２３は、前記各油通路１８，１９，２１，２２を
それぞれ連通状態にする切換位置と、前記各油
通路１８，１９，２１，２２をそれぞれ遮断する
切換位置とを有してなる４ポート２位置形のも
のである。なお、２４は油補充用のブーストポン
プ、２５はリリーフ弁２６は背圧弁、２７はフリ
ーホイリング用のパイロツト圧力を前輪用の油圧
ポンプ１，４に与えるための油通路、２８はこの
油通路２７を断続させる切換弁である。また、前
記両油圧ポンプ３，６のレバーは連動して同時に
切り換えるようになつており、ステアリング回路
は別途に設けてある。

このような構成のものであれば、前記切換弁
９，１４，１７，２３，２３を所定の態様で切り
換えることによつて次のような３段階の変速を行
なうことができる。

(i) 第１、第２の切換弁９，１４をそれぞれ切換
位置にし、第３、第４の切換弁１７，２３，
２３をそれぞれ切換位置にした場合（第１図
参照）。

この場合には、左前輪用の油圧モータ１と左
後輪用の油圧モータ２とが左の油圧ポンプ３に
並列に接続されてそれぞれ駆動されるととも
に、右前輪用の油圧モータ４と右後輪用油圧モ
ータ５とが右の油圧ポンプ６に並列に接続され
てそれぞれ駆動される。つまり、この状態では
４輪駆動となり、油圧ポンプ３，６の吐出量の
増減および方向変換により低速で前、後進す
る。なお、この場合油通路７，８が切換弁９に
よつて遮断されているので左、右の車輪間にデ
フロツク効果を持たせることができる。そし
て、この際には前述した周知のステアリング回
路の働きにより、前記両油圧ポンプ３，６の容
量を各別に制御して、左右の駆動車輪の回転速
度を積極的に異ならせることができる。そのた
め、低速で不整地を走行する際等に大きな走破
力を発揮する。

(ii) 第１、第３の切換弁９，１７をそれぞれ切換
位置にし、第２、第４の切換弁１４，２３，
２３をそれぞれ切換位置にした場合（第２図
参照）。

この場合には、左前輪用の油圧モータ１と右
前輪用の油圧モータ４とが油圧ポンプ３，６か
ら切りはなされ、左後輪用の油圧モータ２が油
圧ポンプ３に接続されるとともに右後輪用の油
圧モータ５が油圧ポンプ６に接続される。その
ため、前記各油圧モータ２，５に供給される油
量が倍増することとなり、前述した(i)の場合の
２倍の速度で走行が可能となる。この場合、油
圧ポンプ３，６から切りはなされた油圧モータ
１，４は、油通路２７を介して与えられるパイ
ロツト圧力によつてフリーホイリング状態に保
持される。なお、前記切換弁９が第１の切換位
置に保持されている間は油通路７，８が連通
状態になつているため、前記両油圧モータ２，
５はデフアレンシヤル機能を有した状態で運転
される。前記切換弁９を第２の切換位置に切
換えた場合には、デフロツク状態となる。そし
て、この場合には、前記両油圧モータ３，６の
容量を各別に制御することによつて、左右の駆
動車輪の回転速度を積極的に異ならせることが
できる。

(iii) 第１、第２の切換弁９，１４をそれぞれ切換
位置にし、第３、第４の切換弁１７，２３，
２３をそれぞれ切換位置にした場合（第３図
参照）。

この場合には、左前輪用の油圧モータ１と右
前輪用の油圧モータ４とが油圧ポンプ３，６か
ら切りはなされる。そして、油通路７，８によ
つて相互に並列接続された油圧ポンプ３，６に
対して左後輪用の油圧モータ２と右後輪用の油
圧モータ５とが直列に接続される。そのため、
前記両油圧ポンプ３，６から吐出されるすべて
の油が前記各油圧モータ２，５に順次に供給さ
れることとなり、前記(ii)の場合の２倍の速度、
換言すれば前記(i)の場合の４倍の速度で走行が
可能となる。なお、この場合、下流側の油圧モ
ータ５の回転速度低減を防止するため、絞り弁
１２を有した油通路１３を通して一定量の油を
前記油圧モータ５に補給するようにしている
が、かかる油通路１３を開路させておけば前記
両油圧モータ２，５間にデフアレンシヤル的な
機能を持たせることが可能になる。

このような構成のものであれば、以上のように
して切換弁９，１４，１７，２３を所定の態様で
切換えることによつて、左右の駆動車輪の回転速
度を積極的に制御可能な低速、高トルクの４輪駆
動、並びに、中速、中トルクの２輪並列駆動と、
デフアレンシヤル的な機能を有した高速、低トル
クの２輪直列駆動という３段階の駆動状態を自由
に選択することができる。したがつて、油圧ポン
プ等を可変容量形にするだけでは得られない幅広
い変速域を確保することができるものであり、エ
ンジンパワー等の有効利用を図ることができる。
また、前記(i)の４輪駆動状態および(ii)の２輪並列
駆動状態の場合には、前記切換弁９を利用してデ
フアレンシヤル運転状態とデフロツク状態との切
換えを行なうことができるという便利さもある。
そして、デフロツク行つた場合には、両油圧ポン
プ３，６の容量を制御することにより、左右の車
輪の回転速度を積極的に異ならせて、旋回性能を
向上させることができる。しかも、本装置は、従
来の装置に若干の油通路と切換弁を付加しただけ
のものであるため構成が簡単で実施が容易であ
る。

なお、切換弁の切換えは手動で行なうようにし
てもよいし、制御装置により自動的に行なわせる
ようにしてもよい。

また、前記実施例では、補助駆動車輪が前輪
で、主駆動車輪が後輪である場合について説明し
たが、本考案はかならずしもこのようなものに限
られず、例えば、補助駆動車輪が後輪で、主駆動
車輪が前輪であつてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は本考案の一実施例を
示す回路説明図である。 １……左側の補助駆動車輪用油圧モータ、２…
…左側の主駆動車輪用油圧モータ、３……一方の
油圧ポンプ、４……右側の補助駆動車輪用油圧モ
ータ、５……右側の主駆動車輪用油圧モータ、６
……他方の油圧ポンプ、７，８……ポンプ並列接
続用の油通路、９……第１の切換弁、１１……モ
ータ直列接続用の油通路、１２……絞り、１３…
…デフアレンシヤル用の油通路、１４……第２の
切換弁、１５，１６……油通路、１７……第３の
切換弁、１８，１９，２１，２２……油通路、２
３……第４の切換弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左側の補助駆動車輪用油圧モータと左側の主駆
   動車輪用油圧モータとを一方の油圧ポンプに並列
   に接続するとともに、右側の補助駆動車輪用油圧
   モータと右側の主駆動車輪用油圧モータとを他方
   の油圧ポンプに並列に接続してなる油圧駆動装置
   において、前記両油圧ポンプを並列に接続するた
   めの対をなすポンプ並列接続用の油通路と、これ
   ら両油通路を同時に断続させる第１の切換弁と、
   一方の主駆動車輪用油圧モータの流出口と他方の
   主駆動車輪用油圧モータの流入口とを接続するモ
   ータ直列接続用の油通路と、この油通路を断続さ
   せる第２の切換弁と、この第２の切換弁が開成し
   ている際に一方の油圧ポンプの流出口を絞りを介
   して前記モータ直列接続用の油通路に連通させる
   デフアレンシヤル用の油通路と、一方の主駆動車
   輪用油圧モータの流出口を対応する油圧ポンプに
   連通させる油通路と他方の主駆動車輪用油圧モー
   タの流入口を対応する油圧ポンプに連通させる油
   通路とを同時に断続させる第３の切換弁と、各補
   助駆動車輪用油圧モータを対応する各油圧ポンプ
   に接続する油通路をそれぞれ断続させる第４の切
   換弁とを具備してなることを特徴とする車両用油
   圧駆動装置。