JPS6240917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、本体にヒンジした蓋を開いたとき
に、その開き位置に蓋をそのまま保持しうるよう
にした蓋の開閉構造に関するものである。

従来より、この種の蓋の開閉構造としては、第
１図に示すように、蓋１のヒンジ軸２に弾性力で
摺動する板バネ３の基部をボルト・ナツト４，５
により本体側に取付けたものが知られている。

しかしながら、かかる構造では、部品点数が多
くなり、組付工数も増加し、コストアツプの要因
となる問題があつた。

本考案は、かかる問題を解消すべくなされたも
のであつて、蓋を単に本体に組付けるだけで、蓋
を開いたときにその開き位置に保持することがで
きる構造を構成することができる蓋の開閉構造を
提供することを目的としている。

このため、本考案は、蓋のヒンジ軸を中心とす
る円弧状をなし、ヒンジ軸と平行な方向の力によ
つて弾性変形可能な腕を蓋のヒンジ軸端より外側
に一体に設け、該腕の先端にストツパ用係止爪を
設ける一方、蓋の自重による閉方向の力より大き
い摩擦力で腕の側面又は上記係止爪と摺接する摺
接部を本体に設け、かつ上記腕の自然状態におい
て、該腕を設けた側の蓋と本体とのヒンジ軸方向
の当たり面と腕の側面又は上記係止爪との間の距
離を、上記当たり面と上記摺接部との間の距離よ
り小さく設定したことを特徴とする蓋の開閉構造
を提供するものである。

以下、図示の実施例について本考案をより具体
的に説明する。

第２図に示すように、箱体状の合成樹脂製ケー
ス本体１１にヒンジして取付けるべき合成樹脂製
蓋１２は、蓋１２の左右のリブ１３，１４のヒン
ジ側端部を内向きに折曲させてケース本体１１の
各角部に一体形成したヒンジ用ブラケツト１５，
１６に嵌合する嵌合部１７，１８を設け、各嵌合
部１７，１８には、上記ヒンジ用ブラケツト１
５，１６に夫々貫通して設けた軸受穴１９，２０
に夫々回動自在に嵌合するヒンジ軸２１，２２を
突設し、これらヒンジ軸２１，２２をヒンジ用ブ
ラケツト１５，１６の軸受穴１９，２０に夫々嵌
合することによつて開閉自在に取付ける。

第２図の左側の側壁リブ１３の端部には、嵌合
部１７とは別に、ヒンジ軸２１を円弧の中心とす
る比較的半径の小さい中心角が90゜程度の円弧状
の腕２３をリブ１３と同一面に一体成形し、この
腕２３の先端の内側には、蓋１２の最大開き位置
を規制するための係止爪２４を形成する。

一方、本体ケース１１の図の左側の側壁２５の
ヒンジ側端部外面には、蓋１２の腕２３の回動に
支障のないよう腕２３の厚みより若干大きい深み
を有する扇形状の切欠凹面２６をヒンジ用ブラケ
ツト１５の軸受穴１９を中心にして設けておき、
さらに、切欠凹面２６と同一面をなして上記腕２
３の回転半径に等しい位置において側壁２５の上
縁から上方に立上つた立上り２７を設け、この立
上り２７の上端には、蓋１２の腕２３の内面に摺
接する爪状の摺接部２８を外向きに一体成形す
る。

この場合、第３図と第４図との比較から明らか
なように、蓋１２のヒンジ用ブラケツト１５との
当たり面Ａと腕２３の内面２３ａとの間の距離ａ
に対して、ヒンジ用ブラケツト１５の当たり面Ｂ
と摺接部２８の摺接面２８ａとの間の距離ｂは若
干大きく（ｂ＞ａ）設定し、蓋１２を取付けた状
態で、摺接部２８により腕２３を外向きに僅かに
弾性変形させ、蓋１２の開閉にさほど大きな力は
要しないが、蓋１２の自重によつて自然には閉ま
らない程度の摩擦力によつて摺接部２８と腕２３
とを摺接させる。

なお、第２図に示すように、腕２３の係止爪２
４はその下面２４ａを内側に向かつて斜め上向き
の斜面とし、摺接部２８の上面２８ｂは外側に向
かつて斜め上向き斜面としておき、ヒンジした蓋
１２を最初に閉じる際、即ち、蓋１２の腕２３が
摺接部２８と係合しないように蓋１２を本体１１
に対して大きく開いた状態で、まずヒンジ軸２２
を軸受穴２０に、次いでいま一つのヒンジ軸２１
を軸受穴１９に嵌合した状態で蓋１２を閉じる
際、腕２３が摺接部２８によつて支障されること
なく自然に弾性変形し係止爪２４を一旦逃がし、
摺動部２８の下側に廻り込ませることができるよ
うにしている。そして、一旦、蓋１２を閉じ込む
と、上記の寸法関係の設定（ｂ＞ａ）により、腕
１２は摺動部２８により外側に押され、これによ
り、ヒンジ軸２１側の当たり面Ａがヒンジ用ブラ
ケツト１５の当たり面Ｂに当接した状態に保持さ
れ、ヒンジ軸２１が軸受穴１９内で抜脱不能に保
持されるようになる。以後は、第５図に示すよう
に、蓋１２をケース本体１１に対してほゞ直角を
なす位置まで開いたときには係止爪２４を摺接部
２８によつて係止することにより、それ以上の開
きを規制する。

また、第６図に示すように、蓋１２の腕２３の
内面２３ａには、多数の筋目３０を付して摺接部
２８との摩擦力を大きくするようにしてもよく、
さらに第７図に示すように、腕２３の内面２３ａ
に適当な角度間隔で放射状に細溝３１を設け、蓋
１２の開閉に際して節度を与えるようにしてもよ
い。

さらに、具体的に図示しないが、腕２３に設け
た係止爪２４を切欠凹面２６に所定の摩擦力で摺
接させるようにしてもよく、さらにまた、蓋１２
の最大開き位置での係止は、腕２３の係止爪２４
を切欠凹面２６に設けた係止凹部（図示せず）に
落込ませることにより行なうようにしてもよい。

以上の説明から明らかなように、本考案に係る
蓋の開閉構造では、蓋１２のヒンジ軸２１，２２
をケース本体１１側のヒンジ用ブラケツト１５，
１６の軸受穴１９，２０に嵌入した状態で取付け
るだけで、蓋１２とケース本体１１との間に摩擦
摺動構造を構成することができ、従来のものに比
して部品点数の減少、蓋１２のワンタツチ組付け
による組付工数の低減を図ることができ、しかも
腕２３に設けた係止爪２４によつて自動的に蓋１
２の最大開き角度を設定できるといつた効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の蓋の開閉構造を示すヒンジ部の
部分側面図、第２図は本考案に係る蓋の開閉構造
を示す分解要部斜視図、第３図は第２図の蓋の部
分平面図、第４図は第２図のケース本体の部分平
面図、第５図は蓋の最大開き状態を示す要部斜視
図、第６図及び第７図は夫々蓋に設ける腕の変形
例を示す内面側斜視図である。 １１……ケース本体、１２……蓋、１５，１６
……ヒンジ用ブラケツト、２１，２２……ヒンジ
軸、２３……腕、２４……係止爪、２８……摺接
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 蓋を本体に開閉自在にヒンジしてなる蓋の開閉
   構造において、 蓋のヒンジ軸を中心とする円弧状をなし、ヒン
   ジ軸と平行な方向の力によつて弾性変形可能な腕
   を蓋のヒンジ軸端より外側に一体に設け、該腕の
   先端にストツパ用係止爪を設ける一方、蓋の自重
   による閉方向の力より大きい摩擦力で腕の側面又
   は上記係止爪と摺接する摺接部を本体に設け、か
   つ上記腕の自然状態において、該腕を設けた側の
   蓋と本体とのヒンジ軸方向の当たり面と腕の側面
   又は上記係止爪との間の距離を、上記当たり面と
   上記摺接部との間の距離より小さく設定したこと
   を特徴とする蓋の開閉構造。