JPS6240769Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ラチエツトレンチは、ボルト、ナツトなどのネ
ジ類の締付け又はゆるめ用の工具として広く使用
されている。しかしながら、ネジ類の締付けやゆ
るめにおいてラチエツトレンチのハンドルを左右
に回転操作せねばならず、ハンドルの左右への回
転操作に必要な空間がなければネジ類の回転締付
け又はゆるめは迅速におこなうことができない。

ハンドルは、ネジ類の締付け完了直前や、ゆる
めの開始時には大きなトルクを必要とするので有
用であるが、ネジ類の締付け開始時や、ゆるめ終
了間際になると特に大きなトルクを必要とせず、
ハンドルを左右に操作するのは繁雑であり、ハン
ドル操作のための空間が十分にないと一操作によ
るネジの回転量が小さく締付けやゆるめの効率が
悪い。さらに、ラチエツトの戻し時にネジ類のし
まりが弱い場合は、ハンドルの戻し操作に伴なつ
てネジ類も逆転してしまうこともあつた。加え
て、現代の機械類は、非常に複雑に構成されてお
り、種々の部品が錯綜して配列されており、ネジ
類も部品と部品の隙間に設置されており、ラチエ
ツトレンチのハンドル操作に十分な空間がほとん
どないと言つて良い状況である。

本考案は、従来供用されているラチエツトレン
チに一部品をアダプターとして加えることによ
り、ネジ類の早回しをおこなえるようにし、前記
の問題を解決したものである。

図面の実施例に基づき本考案を詳しく説明す
る。第１図は、本考案の早回しアダプターをラチ
エツトレンチに取付けたときの平面図である。第
２図は、同様に早回しアダプターをラチエツトレ
ンチに取付けたときの側面図であり、ラチエツト
レンチのソケツトも取付けた状態を示している。
第３図は、ラチエツトレンチに早回しアダプター
とラチエツトレンチのソケツトを取付けた状態の
断面図である。第４図は、本考案の早回しアダプ
ターの平面図である。

通常、ラチエツトレンチは、ハンドル１とラチ
エツト機構を内蔵するヘツド部２とラチエツト機
構の作動する方向を変換する変換レバー５と、断
面四角形で角柱状であり、ラチエツトからの回転
が伝えられる嵌合軸３から成つており、ネジ類の
締付けまたはゆるめの際に、ハンドル１を締付け
方向またはゆるめ方向へ回動させると、嵌合軸３
にはラチエツトを介して締付け方向またはゆるめ
方向の力が伝達されるが、ハンドル１の戻し時に
は、該ハンドル１はラチエツトのフリー作用で嵌
合軸３と無関係にフリー回転するものであり、従
つてラチエツトのフリー作用によつて、嵌合軸３
は締付け時またはゆるめ時には、締付け方向また
はゆるめ方向には、ハンドル１と無関係にフリー
回転するものである。嵌合軸３には種々の内径Ｄ
を有するソケツト６が嵌合取付けされる。ソケツ
ト６は、ボルトやナツト等のネジ類の径に適合し
たものが選択され、ラチエツトレンチに取付けら
れる。早回しアダプター４の平面形状は円形であ
り、側壁部分を有している。換言すると、底の無
い円筒形である。上部には、その中心部に断面四
角形の穴７が設けられている。この穴は、前述の
嵌合軸３に適合する大きさを有し、早回しアダプ
ター４の回転に伴ない嵌合軸３を回転するように
なつている。側壁の外側部分は、すべり止めのた
めに表面が凹凸に、例えばローレツト加工が施さ
れている。早回しアダプター４の外径は、使用さ
れるラチエツトレンチのヘツド部分から平面図に
おいて外側にはみだすような大きさのものが、回
転操作上好ましい。また、ソケツト６が収容され
ることから、早回しアダプター４の内径は、ラチ
エツトレンチのソケツト６の外径より大きくなけ
ればならない。

この早回しアダプター４の使用にあたつては、
まずソケツト６をラチエツトレンチの嵌合軸３に
取付けるに先立ち、早回しアダプター４を嵌合軸
３に嵌めこまなければならない。嵌めこんだ状態
は第３図に示すものである。その後でラチエツト
レンチのソケツト６を嵌合軸３に通常使用する状
態と同様にして嵌合する。第３図の断面図から明
瞭なように、このソケツトの上部がこの早回しア
ダプターの内側に収容された形となつている。次
に、ボルト、ナツトのネジ類をソケツト内に収容
し、ラチエツトレンチの切換レバーを左右どちら
かに定め、ネジ類の締付け又はゆるめ作業をおこ
なう。従来は、ハンドル操作によつてのみネジ類
の回転をおこなつていたのであるが、ハンドル操
作のための空間が十分でなかつたり、ネジ類の締
付度合がまだ弱く、ネジ類の回転にあまりトルク
を必要としない場合には、締付け方向またはゆる
め方向には、ラチエツトのフリー作用により嵌合
軸３はフリー回転するので、ハンドル操作をする
ことなく手指で本考案の早回しアダプター４の側
壁部を持つて回転させれば良い。すると早回しア
ダプター４の穴７と角形断面の嵌合軸３はかみ合
い状態になつているので、早回しアダプター４の
回転は嵌合軸３に伝えられる。ソケツト６は嵌合
軸３に嵌合取付けられているのであるから当然嵌
合軸の回転に伴ない回転し、ソケツト内に収容さ
れているネジ類も回転することになる。このと
き、早回しアダプター４の回転に伴なう嵌合軸３
の回転方向は、ラチエツト機構のフリーな方向で
あるので、ラチエツトレンチのハンドルに対して
は何んら影響を与えることがない。

したがつてネジ類の締付け又はゆるめは、ラチ
エツトレンチのハンドル操作によるネジ類の締付
け又はゆるめ作業に比し格段にすみやかに遂行す
ることができる。

なお、ネジ類の締付完了直前又はゆるめ開始時
には、ネジ類の締付け度合が強く、ネジ類の回転
に大きなトルクを必要とするので、早回しアダプ
ターの手指による回転では十分なトルクを得るこ
とができない。この場合はラチエツトレンチの通
常使用と同様にハンドルを使用し十分大きなトル
クを得れば良い。このとき、早回しアダプター４
は単に嵌合軸３と共に回転するだけで何もラチエ
ツトレンチのソケツトに影響を与えない。

本考案のラチエツトレンチの早回しアダプター
４は、ラチエツトレンチ本体に何んら手を加える
ことなく、又、ソケツトの形状なども変更するこ
となく、単にラチエツトレンチに嵌合取付けする
だけで良い。その操作も手指で必要な方向に回転
するだけで良いという利点を有する。ハンドル操
作をしないので、ハンドルは元の位置にある。し
たがつてハンドル操作のための空間が十分になく
とも、大きなトルクを必要としない間はネジ類の
回転、すなわち締付け又はゆるめを迅速簡単にお
こなうことができる。また１種類のアダプターを
ラチエツトレンチの嵌合軸に嵌着しておけば、ソ
ケツトの種類が変つても汎用的に使用しうる効果
も有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は早回しアダプターをラチエツトレンチ
に取付けたときの平面図。第２図は側面図、第３
図は早回しアダプターの嵌合取付部分の断面図、
第４図は早回しアダプターの平面図である。 １…ハンドル、２…ヘツド部分、３…嵌合軸、
４…早回しアダプター、５…変換レバー、６…ソ
ケツト、７…穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ラチエツトレンチに使用するソケツトの外径よ
   り大きな内径を有する底の無い円筒体で、上面に
   はラチエツトレンチの嵌合軸に、その断面形状に
   合致して嵌合する穴が設けてあるラチエツトレン
   チの早回しアダプター。