JPS6239836Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案はミシン、特にジグザグミシンの糸通
し装置に関するものである。

従来の技術 従来一般のミシンにおける糸通し装置としては
種々のものが考案されており、例えば特公昭34−
10979号公報記載の様なミシン針糸通し器が知ら
れている。

この特許公報記載の糸通し器は、軸方向に摺動
可能で且つ針棒と平行に位置する軸心まわりに回
転可能な糸通し棒の下端にて一対の案内片間に取
付けられた糸通し片、糸通し棒の外周よりも側方
に延出されたフランジ、このフランジと協同する
腕とを有し、糸通し棒が所定位置まで動いたとき
に糸通し棒の回転に際しフランジを腕の下に通過
させ、糸通し棒が糸通し片を針の糸孔と一致させ
る端位置をとる時のみ糸通し棒の回転を許すと共
に、糸通し棒が回転したときは針棒の端方向運動
を阻止するようにしている。

考案が解決しようとする問題点 しかし乍ら、この様な糸通し器においては糸通
し片を針の糸孔と一致させるための引き出しレバ
ーをなす定置要素が扱い難く、また糸通し器の単
品組付等の組付点数が多いために作業性が悪く、
更に糸通し器の飛び込む方向性が悪いために糸を
案内して保持し、糸を通すことが困難である等の
欠点がみられ、他の周知の糸通し装置においても
いずれも作用効果が十分でない等の不都合がみら
れる。また、針棒を揺動する方式の所謂ジグザグ
ミシンにおいてもスラント針の構造にもとづき上
下部求心メタル受けによる制約がみられる等の欠
点がある。

従つて、この考案の目的はこの様な従来におけ
る欠点を除去するために、ジグザグミシンにて針
が左右に揺動して針落ち位置が変つても糸通しが
簡単にでき、且つ引き出しレバーによる糸通し操
作を容易にすると共に確実に作用し、各部材の組
付を簡単容易にできるようにした改良されたジグ
ザグミシンの糸通し装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段 この考案に依れば、ジグザグミシンの糸通し装
置は、鈎部を有した糸通し片が下端に取付けられ
たスライド軸とこのスライド軸を案内する案内軸
を位置決め板と一体的に組付けて上下動および回
動可能に設けると共に案内軸が遊嵌する取付板の
挿入孔を中心に揺動可能に設け、糸通し片を針孔
に挿入できる位置にて案内軸の一端が取付板に取
付けられている。

この考案の他の目的と特長および利点は以下の
添付図面に沿つての詳細な説明から明らかになろ
う。

実施例 図面の第１図にはこの考案の糸通し装置がジグ
ザグミシンに取付けられた状態を示しており、同
図に示される様に、ジグザグミシンにおいてはジ
グザグ模様成形のために針２９が取付けられた針
棒４が左右に揺動するようになつており、従つて
針２９の針孔２９ａに糸を通す場合には針２９が
布を貫通する位置、すなわち針落ち、は針板３０
の針孔３０ａの左寄り、中央および右寄りのどの
様な位置も取り得るようになつている。従つて、
どの様な針落ちにても糸通しができることが必要
である。

このために、この考案の糸通し装置は第１図に
示される様に取付板３を介してジグザグミシンの
針棒揺動腕４０に組合わされた上部針棒メタル１
と、アーム頭部３１に組込まれた下部針棒メタル
２とによつて保持される構造とすることによつて
常に針棒４の揺動に対応できるようになつてい
る。

図面の第２図乃至第７図に詳しく示される様
に、この考案の糸通し装置は鈎部１５ａを有する
糸通し片１５と、糸通し片１５が下端に取付けら
れるスライド軸６と、スライド軸６を案内する案
内軸５と、スライド軸６および案内軸５と一体的
に組付けられ針２９の針孔２９ａに対する糸通し
片１５の鈎部１５ａの位置決めをする位置決め板
７と、スライド軸６を上下動する引き出しレバー
２４とから主に構成されている。

針２９の針孔２９ａに対する糸通し片１５の鈎
部１５ａの位置決めを行うための引き出しレバー
２４は上端に二叉部２４ａを、下端に指かけ部２
４ｂを有し、固定板１９に取付けられた軸２３に
沿つて垂直方向に上下動でき、下方に押圧された
ときに、圧縮されたばね２６のばね力によつて元
の位置に復帰できるようになつている。上下動可
能なこの引き出しレバー２４の上端の二叉部２４
ａに回動板８が保持されるようになつており、引
き出しレバー２４が嵌挿される軸２３の上端には
クツシヨン２２を介して軸受け板２０が止ねじ２
５によつて固着され、軸２３の抜け落ちが防止さ
れている。また、軸２３の上端に固着された軸受
け板２０は止ねじ２１によつて固定板１９に取付
けられている。

鈎部１５ａを有する糸通し片１５が下端に設け
られたスライド軸６は案内軸５に嵌挿され、案内
軸５は位置決め板７の下部に設けられた円管部内
径７ｂに嵌挿され、回動板８は位置決め板７の下
部円管部の外径７ｃを抱き、位置決め板７にねじ
着された段ねじ９は回動板８の長孔８ｂに係止さ
れている。スライド軸６に打込まれた固定ピン１
３は案内軸５のカム溝５ａと回動板８のカム溝８
ａに係止される。スライド軸６を嵌装した案内軸
５は上端に二叉部５ｂを有し、止ねじ１８によつ
て取付板３の上端の止ねじ孔３ｂに取付けられ、
案内軸５が取付板３の下端の挿入孔３ｃに嵌装さ
れている。従つて、案内軸５とスライド軸６が針
棒揺動腕４０によつて左右に揺動できるようにな
つている。回動板８に段ねじ９および回動板戻し
ばね１０により取付けられた位置決め板７は上部
に突出部７ａを有し、後述するようにスライド軸
６と一緒に下降するときに、針棒４に止ねじ１７
により上下位置調節自在に取付けられた制限腕１
６に当接して係止されるようになつている。

回動板８は段ねじ９により位置決め板７に上下
動自在にねじ着されており、位置決め板７に設け
られた回動板用戻しばね１０により上方向に押圧
されており、また止ねじ１１によつて固定ピン用
戻しばね１２が位置決め板７に取付けられてい
る。

また、針棒４の揺動に対して取付板３が上部お
よび下部針棒メタル１，２を中心に回転するため
に下部針棒メタル２の上部が止め輪３２で押えら
れ、また固定板１９の位置決め溝１９ａに取付板
３の下端の爪３ａを入れて回り止めとなし、針棒
４の揺動に追従できるようになつている。また、
糸通し装置は固定板１９に部組したユニツトとし
てアーム頭部３１に止ねじ２７によつて組付けら
れる。

考案の作用および効果 この様に構成されたこの考案のジグザグミシン
の糸通し装置においては、糸通し片１５の鈎部１
５ａと針２９の針孔２９ａとの位置決めを先ず行
うために、引き出しレバー２４の下端の指かけ部
２４ｂに指をかけて押し下げることによつて引き
出しレバー２４の二叉部２４ａに挟持された回動
板８を降下する。この回動板８を上方向に押圧し
ている戻しばね１０は位置決め板７に取付けられ
ているために回動板８と共に位置決め板７も下降
し、位置決め板７の突出部７ａが針棒４の制限腕
１６に当接して位置決め板７が停止される。ま
た、回動板８のカム溝８ａに係止される固定ピン
１３と一体であるスライド軸６も停止される。従
つて、スライド軸６の下端にはめ止ピン１４によ
つて取付けられた糸通し片１５の鈎部１５ａを針
２９の針孔２９ａに対応する位置に停止させるこ
とができる。また、回動板８が引き出しレバー２
４の二叉部２４ａに挟持され、回動板用戻しばね
１０および固定ピン戻しばね１２に抗して下降す
ることによつて回動板８のカム溝８ａに係止され
ている固定ピン１３がスライド軸６の軸心を中心
としてカム溝８ａに沿つて回動し、固定ピン１３
が打込まれたスライド軸６を同軸心を中心として
時計方向に回動することができ、従つていま針２
９の針孔２９ａと同じ高さに位置する糸通し片１
５の鈎部１５ａがスライド軸６の回転と共に針２
９の針孔２９ａに飛び込み、上糸の供給を待つ状
態となる。

次いで、上糸の供給すなわち上糸のさそいが完
了したならば、引き出しレバー２４を指先で押し
下げている状態を解除することにより糸通し装置
に作用する種々の戻しばね、先ず戻しばね１０に
よつて回動板８が上方に引き出しレバー２４と一
緒に押し上げられることにより戻しばね１２と回
動板８のカム溝８ａによりカム溝８ａに係止され
た固定ピン１３が打込まれたスライド軸６が反時
計方向に戻り回転し、同時に戻しばね２８と戻し
ばね２６とによつて糸通し装置と引き出しレバー
２４が元に戻されて第１図の収納位置に確保され
る。このときにスライド軸６の下端の糸通し片１
５の鈎部１５ａがスライド軸６の反時計方向の戻
り回転によつて針孔２９ａから引き抜かれ、鈎部
１５ａに引つ掛けられた上糸が針２９の針孔２９
ａに引き通される。勿論、この様な糸通しは、ジ
グザグミシンにおけるジグザグ模様形成のために
針が左右に揺動して針落ち位置が変つても、スラ
イド軸が針棒と同期しているために常に可能であ
る。また、この様な糸通し操作は引き出しレバー
の押し下げ操作だけで行うことができ、簡単確実
に行うことができ、且つ糸通し装置が部組されて
ジグザグミシンへの組付が簡単容易に行うことが
でき、少ない数の部品によつて糸通し装置を構成
できる等の効果が達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の糸通し装置をジグザグミシ
ンに取付けた状態を示す斜視図、第２図は糸通し
装置の取付板と針棒メタルを示す斜視図で第３図
はその正面図、第４図は糸通し装置と針棒の関係
を示す斜視図、第５図は糸通し装置の作動状態を
示す斜視図、第６図は糸通し装置の案内軸の斜視
図、第７図は糸通し装置の引き出しレバーの斜視
図である。図中、１，２……針棒メタル、３……
取付板、４……針棒、５……案内軸、６……スラ
イド軸、７……位置決め板、８……回動板、１
０，１２，２６，２８……戻しばね、１３……固
定ピン、１５……糸通し片、１５ａ……鈎部、１
６……制限腕、１９……固定板、２０……軸受け
板、２４……引き出しレバー、２９……針、２９
ａ……針孔、３１……アーム頭部、４０……針棒
揺動腕。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 針２９が下端に取付けられた針棒４が針棒揺動
   腕４０に左右揺動可能に連結保持されたジグザグ
   ミシンにおいて、針棒４を保持する取付板３に上
   下端にて取付けられた案内軸５、鈎部１５ａを有
   する糸通し片１５、糸通し片１５が下端に取付け
   られ該案内軸５に上下動可能に嵌挿されたスライ
   ド軸６、案内軸５とスライド軸６を回動可能に一
   体的に組付け保持し針２９の針孔２９ａに対する
   糸通し片１５の鈎部１５ａの位置決めをする位置
   決め板７、位置決め板７の下部円管部にて位置決
   め板７を保持する回動板８、スライド軸６を上下
   動する引き出しレバー２４を備え、該位置決め板
   ７は針棒４の制限腕１６に係止する突部７ａが上
   端に設けられ、スライド軸６が案内軸５に対し回
   動できるようにスライド軸６の固定ピン１３が案
   内軸５のカム溝５ａと回動板８のカム溝８ａに係
   止され、該引き出しレバー２４は上端に回動板８
   を保持する二叉部２４ａを、下端に指かけ部２４
   ｂを有し、固定板１９に取付けられた軸２３に沿
   つて垂直方向に上下動できるようになつたことを
   特徴とするジグザグミシンの糸通し装置。