JPS6237807Y2

JPS6237807Y2 -

Info

Publication number: JPS6237807Y2
Application number: JP1982054657U
Authority: JP
Priority date: 1982-04-15
Filing date: 1982-04-15
Publication date: 1987-09-26
Also published as: JPS58157768U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、車両用のステアリング機構に関し、
特にその構成部材の塑性変形によりエネルギーを
吸収できるようにしたコラプシブル・ステアリン
グ機構に関する。

従来のコラプシブル・ステアリング機構として
は、第１図に示すようなものがあり、ステアリン
グホイールａ側のアツパシヤフトｂがパイプｃに
固定されていて、このパイプｃにステアリングギ
ヤへのジヨイント部ｄ側のロアシヤフトｅがセレ
ーシヨン部ｆを介して係合している。

また、エネルギー吸収とセレーシヨン部ｆでの
ガタ付き防止とのために、パイプｃとロアシヤフ
トｅとの間にエネルギー吸収管ｇが溶着されてい
る。

さらに、アツパシヤフトｂ，パイプｃ，セレー
シヨン部ｆ，エネルギー吸収管ｇおよびロアシヤ
フトｅを覆うように筒状コラムｈが設けられてい
る。

したがつて、衝突時に軸方向圧縮荷重が作用す
ると、エネルギー吸収管ｇが軸方向に収縮し、ロ
アシヤフトｅがパイプｃの中に入り込むようにな
つている。

しかしながら、このような従来のコラプシブ
ル・ステアリング機構では、シヤフト部に、アツ
パシヤフトｂ，パイプｃ，コストの高いエネルギ
ー吸収管ｇおよびロアシヤフトｅという４つの部
品が必要であるため、軽量化やコストダウンが困
難であるという問題点がある。

また、第１図に示すような従来のコラプシブ
ル・ステアリング機構では、運転者がステアリン
グホイールａに激突した二次衝突の際におけるエ
ネルギー吸収管ｇの変形量が小さいため、有効な
エネルギーの吸収を行なえないという問題点もあ
る。

なお、セレーシヨン部のガタ付きを防止するた
めに、樹脂を注入することも考えられるが、この
ような手段ではコスト高を招くという問題点があ
る。

本考案は、このような問題点を解決しようとす
るもので、軽量化やコストダウンをはかりなが
ら、しかも衝突時のエネルギーを効率よく吸収で
きるようにした、コラプシブル・ステアリング機
構を提供することを目的とする。

このため、本考案のコラプシブル・ステアリン
グ機構は、ステアリングホイール側のシヤフト
と、同シヤフトにセレーシヨン部を介して係合さ
れた操向駆動部側のパイプと、上記のシヤフトお
よびパイプを覆う筒状コラムと、同コラムの外周
に嵌合するとともに線環状に当接する孔をもつた
ブラケツトとをそなえ、上記コラムに、上記ブラ
ケツトにより塑性変形を受けるべく、同ブラケツ
トの内径よりも大径のエネルギー吸収部が設けら
れるとともに、上記セレーシヨン部で上記のシヤ
フトとパイプとがカシメ止めされて、上記エネル
ギー吸収部の中間部に、塑性変形によるエネルギ
吸収を一時的に中断すべく小径部が設けられたこ
とを特徴としている。

以下、図面により本考案の一実施例としてのコ
ラプシブル・ステアリング機構について説明する
と、第２図はその全体構成を示す断面図、第３図
は第２図の部を拡大して示す断面図、第４図は
その作用を説明するためのグラフであり、第５，
６図はそれぞれその実施例を一部断面で示す平面
図である。

第２，３図に示すごとく、ステアリングホイー
ル１側のシヤフト２に、操向駆動部としてのステ
アリングギヤへのジヨイント部側のパイプ３が、
セレーシヨン部４を介して係合している。

また、筒状のコラム５がシヤフト２とパイプ３
とを覆うように設けられており、このコラム５は
その外周に嵌合する孔をもつたブラケツト６，７
を介して車体に取付けられている。ブラケツト
６，７は、コラム５との当接側を円筒状に形成さ
れ、その一端を縮径してコラム５と直接に線環状
（コラム５の外周を一周する線状）に当接するよ
うに構成されている。

なお、コラム５とシヤフト２との間には、ベア
リング８が介装されるとともに、コラム５とパイ
プ３との間にも、ベアリング９が介装されてい
る。

コラム５とブラケツト６との間には、コラム５
付きのスライデイングプレート１１が介装されて
おり、これにより２次衝突（運転者がステアリン
グホイール１に激突すること）時に、スライデイ
ングプレート１１がブラケツト６との間を滑り、
コラム５がブラケツト６から離脱して軸方向Ｘへ
摺動できるようになつている。

さらに、コラム５には、ブラケツト６の内径φ
ｈ_a3よりも大きい外径φｈ_a1を有するエネルギー
吸収部１２が形成されており、これによりコラム
５がブラケツト６から離脱して軸方向Ｘへ摺動す
ると、このエネルギー吸収部１２が、ブラケツト
６によつて塑性変形を起こして、エネルギーの吸
収が行なわれるようになつている。

ところで、第３図に符号Ａ，Ｂで示すように、
セレーシヨン部４で、シヤフト２とパイプ３とが
カシメ止めされており、これによりこのセレーシ
ヨン部４でのガタ付きを防止できるようになつて
いる。

また、エネルギー吸収部１２の中間部には、外
径がφｈ_a2（＜φｈ_a1）であるような小径部１２
ａが設けられており、これによりブラケツト６に
よる塑性変形が小径部１２ａのところまでくる
と、エネルギーの吸収が一時的に中断されるた
め、このときのエネルギーでカシメ部Ａ，Ｂを確
実にはずすことができる。

なお、第２図中の符号１３はスナツプリング、
１４はストツパを示している。

上述の構成により、通常の運転時には、ステア
リングホイール１からのトルクは、シヤフト２、
カシメ止めされたセレーシヨン部４およびパイプ
３を介して確実にステアリングギヤへ伝達され
る。

また、自動車の衝突時（１次衝突時）には、軸
方向圧縮力Ｚによりセレーシヨンカシメ部Ａ，Ｂ
が抜け、これによりパイプ３の中にシヤフト２が
入り込み、その結果ステアリングホイール１が運
転者の方に突き出ることが防止される。

さらに１次衝突時にシヤフト２がパイプ３内に
入り込まない状態で、運転者がステアリングホイ
ール１に激突（２次衝突）した際には、コラム５
に溶接されたスライデイングプレート１１がブラ
ケツト６との間を滑り、コラム５はブラケツト６
から離脱して軸方向Ｘに摺動する。このとき、コ
ラム５に設けた大径部（φｈ_a1部）１２ｂが、ブ
ラケツト６の内径部（φｈ_a3部）によりしごか
れ、塑性変形することにより、衝撃エネルギーが
吸収される。

この状態では、パイプ３とシヤフト２とのセレ
ーシヨンカシメ部Ａ，Ｂはまだ抜けずに両者は一
体のまま軸方向Ｘに変位する。

さらに軸方向変位量が増えると、コラム５に設
けられた小径部（φｈ_a2部）１２ａのため、エネ
ルギーの吸収が一旦中断される。このとき、ステ
アリングシヤフト下方に反力が生じるため、パイ
プ３とシヤフト３とのセレーシヨンカシメ部Ａ，
Ｂが確実に抜け、シヤフト２はパイプ３の中に入
り込む。その後は、コラム５に設けた２段目の大
径部（φｈ_a1部）１２ｃがブラケツト６の内径部
（φｈ_a3部）により塑性変形を受け、エネルギー
を更に吸収する。

このように、コラム５のエネルギー吸収部１２
に小径部（φｈ_a2部）１２ａを設けてエネルギー
吸収を中断し、このときにパイプ３とシヤフト２
とを拘束していたカシメが確実にはずれるように
制御することが行なわれるので、２次衝突の際に
運転者の胸部に与える荷重を抑えることができ、
乗員に対する安全性が向上する。

なお、コラプスストローク（Ｘ方向変位）と荷
重Ｚとの関係を示すと、第４図に示すようにな
る。この第４図から最初はエネルギー吸収が行な
われ、ついで一時的にエネルギーの吸収が中断さ
れてカシメが抜け（符号ｃの部分参照）、その後
再びエネルギーの吸収が行なわれることがわか
る。

また、第５図に示すように、小径部１２ａ付き
のエネルギー吸収部１２をブラケツト７側に設け
ることもでき、また第６図に示すように、コラム
５とは別の部材から成る小径部１２′ａ付きのエ
ネルギー吸収部１２′を、ブラケツト６または７
側に設けることもでき、いずれの場合も、前述の
実施例とほぼ同様の効果ないし利点が得られる。

第５，６図中、第２，３図と同じ符号はほぼ同
様の部分を示している。

以上詳述したように、本考案のコラプシブル・
ステアリング機構によれば、ステアリングホイー
ル側のシヤフトと、同シヤフトにセレーシヨン部
を介して係合された操向駆動部側のパイプと、上
記のシヤフトおよびパイプを覆う筒状コラムと、
同コラムの外周に嵌合する孔をもつたブラケツト
とをそなえ、上記コラムに、上記ブラケツトによ
り塑性変形を受けるべく、同ブラケツトの内径よ
りも大径のエネルギー吸収部が設けられるととも
に、上記セレーシヨン部で上記のシヤフトとパイ
プとがカシメ止めされて、上記エネルギー吸収部
の中間部に、小径部が設けられるという簡素な構
成で、次のような効果ないし利点が得られる。

(1) ２次衝突の際に、カシメを確実に抜くために
一旦エネルギーの吸収を中断するような制御が
行なわれるので、運転者の胸部に与える荷重を
抑えることができ、これにより乗員に対する安
全性が向上する。

(2) 部品点数が少なく、又コストの高いエネルギ
ー吸収管ｇ（第１図参照）を使用しないため、
軽量化とコストダウンとを共に達成できる。

(3) 衝突時のエネルギー吸収を効率よく行なえ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のコラプシブル・ステアリング機
構の全体構成を示す断面図であり、第２〜６図は
本考案の一実施例としてのコラプシブル・ステア
リング機構を示すもので、第２図はその全体構成
を示す断面図、第３図は第２図の部を拡大して
示す断面図、第４図はその作用を説明するための
グラフであり、第５，６図はそれぞれその変形例
を一部断面で示す平面図である。１……ステアリングホイール、２……シヤフ
ト、３……パイプ、４……セレーシヨン部、５…
…コラム、６，７……ブラケツト、８，９……ベ
アリング、１１……スライデイングプレート、１
２，１２′……エネルギー吸収部、１２ａ，１
２′ａ……小径部、１２ｂ，１２ｃ……大径部、
１３……スナツプリング、１４……ストツパ、
Ａ，Ｂ……カシメ部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

ステアリングホイール側のシヤフトと、同シヤ
フトにセレーシヨン部を介して係合された操向駆
動部側のパイプと、上記のシヤフトおよびパイプ
を覆う筒状コラムと、同コラムの外周に嵌合する
とともに線環状に当接する孔をもつたブラケツト
とをそなえ、上記コラムに、上記ブラケツトによ
り塑性変形を受けるべく、同ブラケツトの内径よ
りも大径のエネルギー吸収部が設けられるととも
に、上記セレーシヨン部で上記のシヤフトとパイ
プとがカシメ止めされて、上記エネルギー吸収部
の中間部に、塑性変形によるエネルギー吸収を一
時的に中断すべく小径部が設けられたことを特徴
とする、コラプシブル・ステアリング機構。