JP2007314122A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃吸収ストローク量を十分に確保することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵補助用の電動モータ6は、操舵部材2に連結されたステアリングシャフト3と同軸に設けられ、電動モータ6は、車体17に連結された支持部材16に相対移動可能に支持されている。電動モータ6には、ステアリングシャフト3を回転可能に支持するジャケット12が固定されており、ジャケット12は、互いに相対移動可能に嵌合されたアッパージャケット13とロアージャケット14とを有する。アッパージャケット13とロアージャケット14との相対移動量S1に、電動モータ6と支持部材16との相対移動量S2を加えた量が操舵部材2の衝撃吸収ストローク量S3となっている。
【選択図】図3

Description

この発明は、電動モータにより操舵補助力を発生する電動パワーステアリング装置に関するものである。
車両用の電動パワーステアリング装置として、操舵部材に連なるステアリングシャフトと同軸に設けられた電動モータを備えるものが提案されている。
特開2006−103642号公報
電動パワーステアリング装置には、通常、ステアリングシャフトおよびこれを回転可能に支持する筒状のジャケットを軸方向に収縮させることにより車両の衝突のときに運転者から操舵部材に加えられた衝撃を吸収する衝撃吸収機構が備えられている。したがって、特許文献1記載の電動パワーステアリング装置に衝撃吸収機構を設けた場合、電動モータが、ステアリングシャフトおよびジャケットの軸方向スペースの一部を占有しているので、衝撃吸収機構の収縮ストローク(衝撃吸収ストローク)を十分に確保することができない。
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、衝撃吸収ストローク量を十分に確保することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、操舵部材(2)に連なるステアリングシャフト(3)と同軸に設けられた電動モータ(6)と、車体側部材(24)に取り付けられ、電動モータのモータハウジング(9)を支持する支持部材(16)とを備え、車両の衝突のときに操舵部材に加えられた衝撃が、モータハウジングと支持部材との相対移動により吸収されるようにしてあることを特徴とする電動パワーステアリング装置(1)である。
本発明によれば、車両の衝突のときに、車体側部材に取り付けられた支持部材と、モータハウジングとを相対移動させるので、衝撃を吸収するための操舵部材のストローク量を十分に確保することができる。ひいては、衝撃を確実に吸収することができる。
また、本発明において、上記ステアリングシャフトを回転可能に支持する筒状のジャケット(12)を備え、このジャケットは、互いに嵌合されたアッパージャケット(13)およびロアージャケット(14)を含み、車両の衝突のときに操舵部材に加えられた衝撃が、アッパージャケットおよびロアージャケットの相対移動により吸収されるようにしてある場合がある。この場合、車両の衝突のときに操舵部材に加えられた衝撃を吸収するためのストローク量は、上記支持部材とモータハウジングとの相対移動量に、アッパージャケットとロアージャケットとの相対移動量を加えたものとなる。したがって、十分な衝撃吸収ストロークを得ることができる。ひいては、操舵部材に加えられた衝撃をより確実に吸収することができる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置1の概略構成を示す模式図であり、その一部を断面で示している。また、図2は、図1におけるII−II線に沿う断面を示す模式図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、操舵部材2が一端に連結されたステアリングシャフト3と、中間軸4を介してステアリングシャフト3の他端に連結された例えばラックアンドピニオン機構等のステアリング機構5と、操舵補助用の電動モータ6とを備える。
ステアリングシャフト3は、操舵部材2側の端部が上方となるように鉛直方向に対して傾斜して配置されている。また、ステアリングシャフト3は、操舵部材2に連結されたアッパーシャフト7と、中間軸4を介してステアリング機構5に連結されたロアーシャフト8とに分割されている。アッパーシャフト7は筒状にされており、その内部にロアーシャフト8の一部が嵌合されている。アッパーシャフト7は、ロアーシャフト8に対してステアリングシャフト3の軸方向X1に移動可能且つ一体回転可能にされている。
本実施形態で用いられる電動モータ6は、いわゆるダイレクトドライブ用ブラシレスモータであり、ステアリングシャフト3に対して電動モータ6の出力をダイレクトに伝達できるようになっている。電動モータ6は、ステアリングシャフト3と同軸に連結されている。
電動モータ6は、概ね円筒状のモータハウジング9と、ロアーシャフト8に連結された筒状のロータ10と、モータハウジング9の内周に連結された筒状のステータ11とを有する。ロータ10は、ロアーシャフト8と同軸に連結されている。ステータ11は、ロータ10を取り囲むとともに、所定の間隔を隔ててロータ10に対向している。ロータ10およびステータ11は、モータハウジング9内に収容されている。
モータハウジング9の操舵部材2側の端部には、内部にステアリングシャフト3が挿通された筒状のジャケット12が固定されている。ジャケット12は、互いに嵌合された筒状のアッパージャケット13および筒状のロアージャケット14を含む。ロアージャケット14の一方の端部は、モータハウジング9に固定されており、ロアージャケット14の他方の端部を含む一部分は、アッパージャケット13の内部に嵌合している。
アッパージャケット13は、ロアージャケット14に対して軸方向X1に移動可能にされている。具体的には、アッパージャケット13の内周に複数のかしめ突起(図示せず)が形成されており、これらのかしめ突起がロアージャケット14の外周にかしめ付けられている。これにより、後述する2次衝突のときに、両ジャケット13,14が軸方向X1に相対移動し、2次衝突の衝撃を吸収することができるようになっている。
ステアリングシャフト3は、図示しない複数の軸受を介してモータハウジング9、アッパージャケット13およびロアージャケット14に回転可能に支持されている。アッパーシャフト7は、軸方向X1に関して一体移動可能にアッパージャケット13に支持されている。したがって、操舵部材2およびアッパーシャフト7は、アッパージャケット13とともにロアージャケット14に対して軸方向X1に移動可能にされている。
ジャケット12およびモータハウジング9によって、ステアリングシャフト3を回転可能に支持するステアリングコラムが構成されている。
次に、車体17に対する電動パワーステアリング装置1の固定状態について説明する。
電動パワーステアリング装置1は、アッパージャケット13に取り付けられた取付ブラケット15と、モータハウジング9を支持する支持部材16とを介して車体17に固定されている。
取付ブラケット15は、例えば、ボルト18および合成樹脂製の連結部材19を介して車体17に連結されている。連結部材19は、一定値以上の荷重がかかると破断して、取付ブラケット15と車体17との連結を解除するようになっている。取付ブラケット15と車体17との連結が解除された状態で、アッパージャケット13は、車体17およびロアージャケット14に対して軸方向X1に移動可能となっている。
図2を参照して、支持部材16は筒状をなしており、支持部材16の内周は、モータハウジング9の外周に概ね合致する形状を有している。支持部材16の内周には、モータハウジング9の一部が例えば圧入により嵌合されている。モータハウジング9は、所定の強度で支持部材16に固定されている。すなわち、軸方向X1に関して、モータハウジング9に一定値以上の荷重がかかると、支持部材16に対してモータハウジング9が軸方向X1に移動するようにされている。
また、軸方向X1に関して、モータハウジング9の下方側の端部は、支持部材16よりも下方側に突出しないようにされている。
支持部材16の外周には、突出部22と平坦部23とが設けられている。突出部22は、車体17に固定された車体側部材24に連結されており、平坦部23は、対応する車体17の平坦部と係合している。
具体的には、突出部22は、二面幅を形成する一対の平坦面25,26を有している。また、車体側部材24は、互いに平行に向かい合う一対の側板27,28と、一対の側板27,28を連結する連結板29とを有している。一対の側板27,28は、対応する各平坦面25,26とそれぞれ対向している。突出部22および車体側部材24は、連結機構30によって互いに連結されている。
本実施形態では、連結機構30としてボルト31およびナット32が用いられている。突出部22および一対の側板27,28を挿通するボルト31とナット32とを螺合させて、一対の側板27,28間に突出部22を締め付けることにより、突出部22および車体側部材24が連結されている。
すなわち、本実施形態では、突出部22と車体側部材24とを連結させるとともに、平坦部23と対応する車体17の平坦部とを係合させることにより支持部材16が車体17に固定されている。
なお、支持部材16と車体17との固定方法は、上記に限らず、例えば溶接等の他の方法を採用してもよい。また、筒状の支持部材16は、周方向に有端な形状であってもよい。具体的には、突出部22の一対の平坦面25,26間に支持部材16の軸方向に延びるスリットを設けてもよい。この場合、支持部材16を例えば連結機構30によって縮径または拡径させて、支持部材16に対するモータハウジング9の圧入代を調整し、支持部材16とモータハウジング9との固定強度を変更することができる。
図3は、衝撃を吸収するときの操舵部材2のストローク量について説明するための図であり、図3(a)は、操舵部材2がストロークする前の状態を示し、図3(b)は、操舵部材2がストロークした後の状態を示している。
図3(a)を参照して、車両が衝突を起こしていない通常時では、操舵部材2は軸方向X1のほぼ定位置に保持され、そのストローク量はゼロとなっている。
この状態から、車両が衝突(1次衝突)して運転者が操舵部材2に衝突(2次衝突)すると、運転者から操舵部材2に衝撃が加えられる。そして、操舵部材2に加えられた衝撃は、ステアリングシャフト3やアッパージャケット13等を介して取付ブラケット15およびモータハウジング9に伝達される。
取付ブラケット15に加えられた衝撃が、一定値を超えると、上述のようにアッパージャケット13は、車体17およびロアージャケット14に対して移動可能となる。これにより、図3(b)に示すように、アッパージャケット13が、操舵部材2およびアッパーシャフト7とともに軸方向X1下方(図3では左方)に移動し、両ジャケット13,14の相対移動に伴って、操舵部材2に加えられた衝撃が吸収される。
ロアージャケット14に対するアッパージャケット13の軸方向X1下方への移動は、図3(a)に示すアッパージャケット13の下方側の端部がモータハウジング9に当接するまでのストローク量S1で可能となっている。
また、モータハウジング9に加えられた衝撃が一定値を超えると、図3(b)に示すように、モータハウジング9は、両ジャケット13,14、アッパーシャフト7および操舵部材2とともに支持部材16に対して軸方向X1下方に移動する。モータハウジング9と支持部材16との軸方向X1への相対移動により、操舵部材2に加えられた衝撃が吸収される。
支持部材16に対するモータハウジング9の軸方向X1下方への移動は、モータハウジング9の下方側の端部が支持部材16よりも下方側に突出しない範囲のストローク量S2で可能とされている。これにより、モータハウジング9が中間軸4や電動パワーステアリング装置1の近傍に配置された他の部材等に干渉することを防止できる。
以上のように本実施形態では、2次衝突のときの操舵部材2の衝撃吸収ストローク量S3(全ストローク量に相当)は、アッパージャケット13およびロアージャケット14の相対移動量(ストローク量S1)に、モータハウジング9および支持部材16の相対移動量(ストローク量S2)を加えた量となっている。したがって、運転者への衝撃を吸収するための衝撃吸収ストローク量S3を十分に確保することができる。ひいては、操舵部材2に加えられた衝撃をより確実に吸収することができる。
なお、アッパージャケット13およびロアージャケット14の相対移動と、モータハウジング9および支持部材16の相対移動とは、一方の相対移動が行われている間に他方の相対移動が始まるようにするか、両相対移動がほぼ同時に始まるようにすることが好ましい。この場合、2次衝突のときの操舵部材2のストロークにおいて、衝撃吸収荷重をほぼ一定にすることができる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を概略的に示す模式図である。 図1におけるII−II線に沿う断面を示す模式図である。 衝撃を吸収するときの操舵部材のストローク量について説明するための図である。
符号の説明
1・・・電動パワーステアリング装置、2・・・操舵部材、3・・・ステアリングシャフト、6・・・電動モータ、9・・・モータハウジング、12・・・ジャケット、13・・・アッパージャケット、14・・・ロアージャケット、16・・・支持部材、24・・・車体側部材

Claims (2)

  1. 操舵部材に連なるステアリングシャフトと同軸に設けられた電動モータと、
    車体側部材に取り付けられ、電動モータのモータハウジングを支持する支持部材とを備え、
    車両の衝突のときに操舵部材に加えられた衝撃が、モータハウジングと支持部材との相対移動により吸収されるようにしてあることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1において、上記ステアリングシャフトを回転可能に支持する筒状のジャケットを備え、
    このジャケットは、互いに嵌合されたアッパージャケットおよびロアージャケットを含み、
    車両の衝突のときに操舵部材に加えられた衝撃が、アッパージャケットおよびロアージャケットの相対移動により吸収されるようにしてあることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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