JPS6237595Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は脱水機の梱包用振動防止具に関する
ものである。

脱水機は一般に、外筐本体１内に水受槽２を備
え、水受槽２内に垂直軸線のまわりに回転可能な
脱水籠３を備えている。また外筐底板４上に複数
個のバネ５により電動機６を支持し、その電動機
６の回転軸７に脱水籠３を連結しかつ支持してい
る。水受槽２と回転軸７との間はベローズ８によ
り水封しかつ脱水籠３内の偏心負荷による回転軸
７の自由な振れを許している。水受槽２の上面
は、脱水籠３の開口部と対向した投入口９を有す
る外筐上面板１０を固定してある。

このような脱水機において輸送時に脱水籠３お
よび電動機６が大きく振れるのを防止するため、
投入口９と脱水籠３の開口部とにまたがつて発泡
スチロール製の振動防止具１１を嵌合するように
している。

従来の振動防止具１１は第２図に示すように、
投入口９に合致する大径部１１ａと、脱水籠３の
開口部に合致する小径部１１ｂとを有している。
通常の微少な振動では脱水籠３の開口部が小径部
１１ｂに完全に合致しているために脱水籠３の上
端が左右に振れることはないが、第２図に示すよ
うに脱水機を傾斜させて外筐下端の角部を下にし
て落下させるような大きな衝撃が加わると、脱水
籠３および電動機６が慣性によりバネ５を圧縮し
て下方（第２図の矢印Ｙ方向）へ移動すると共に
脱水籠３の上端が左または右（第２図の矢印Ｘ方
向）に振れる。このとき脱水籠３の開口部が小径
部１１ｂに完全に合致しかつ脱水籠３の開口部が
小径部１１ｂを矢印Ｘ方向に押圧するために、脱
水籠３の開口部が振動防止具の小径部１１ｂから
抜けることなくむしろ振動防止具１１を開口部に
掴んだまま第２図に示すように水受槽２内に引き
込んでしまう。

特に、近年、脱水機の外蓋１２の下に投入口９
を覆う内蓋１３を設け、外蓋１２を開いた後内蓋
１３に設けた透孔を通して脱水籠３の停止を確認
して内蓋１３を開くことができるようにすること
が必要となつた。このため投入口９よりも上部の
大径部１１ａの高さｈを大きくとることができ
ず、振動防止具１１が水受槽２内に引き込まれる
事故を一層ひんぱんに起こすようになつた。

これを防止するために振動防止具１１の大径部
上端に投入口９よりも大径のフランジ１１ｃを設
けることが考えられるが、前述のｈが小さいため
にフランジ１１ｃの厚さを大きくとることができ
ず、振動防止具１１が引き込まれると第２図に示
すようにフランジ１１ｃは容易に破断してしま
う。

一旦引き込まれた振動防止具１１は、静止状態
において脱水籠３の上端と上面板１０の下面との
間に挾み込まれてしまい、開梱時にこの振動防止
具１１を取出すことが困難になる。

この考案は、脱水機を落下させるような大きな
衝撃が加わつた場合でも振動防止具が水受槽内に
引き込まれる事故を防止しようとするものであ
る。第１図に示す振動防止具１１はこの考案を具
体化したもので、投入口９に合致してその投入口
９に着脱自在に挿入可能な大径部１１ａを有し、
また脱水籠がわ挿入端部１１ｂを脱水籠３の開口
部の内径Daよりも小径Dbに形成してある。脱水
機は脱水籠３の開口部の内径Daを投入口９より
も小さく形成してあり、このため振動防止具１１
は大径部１１ａと小径部１１ｂとの間に脱水籠３
の開口端面に当接する段部１１ｄを有し、振動防
止具１１が脱水籠３内に落下するのを防止してい
る。大径部１１ａ上端に投入口９よりも大径に形
成したフランジ１１ｃは、上面板１０と内蓋１３
との間に挾持されて、振動防止具１１の自由な動
きを制限している。

この考案の上記具体例の構造においては、脱水
機を落下させるような大きな衝撃が加わつた場合
には、脱水籠３および電動機６のみ外筐１内で下
降するが、振動防止具１１はその小径部１１ｂと
脱水籠３の開口部との間に隙間が存在するので、
脱水籠３により下方へ引かれることはない。また
たとえ脱水籠３が下降時に横振れして振動防止具
の小径部１１ｂに接触しても、その接触面積はご
く僅かであるから、振動防止具１１を引き込むほ
どの摩擦力を生じない。

通常の輸送時における小さな振動により脱水籠
３は、振動防止具１１の小径部１１ｂとの間の隙
間の範囲だけ自由に横振れを起こすが、その程度
の振動では何ら支障ない。バネ５を圧縮させるよ
うに段部１１ｄにより脱水籠３の上端を常時押圧
することによつて、脱水籠３の横振れを小さく抑
えることができる。なお脱水籠３の開口部と振動
防止具１１の小径部１１ｂとの間の隙間は、脱水
籠３と水受槽２との間の隙間よりも十分小さいも
のであることは言うまでもない。

脱水籠３を突上げるような振動により振動防止
具１１および内蓋１３が浮上がる動作に対して
は、内蓋１３を閉鎖状態に掛止するラツチ装置に
よりその浮上がりを防止する。また外蓋１２と内
蓋１３との間に緩衝材１４を挿入してもよい。外
蓋１２の浮上がりは通常の梱包と同様に梱包外箱
内に入れた緩衝材により防止することができる。

以上のようにこの考案は、振動防止具を、投入
口に合致する大径部と、投入口の外周上面に当接
するフランジ部と、脱水籠の開口端面に当接する
段部を介して大径部から連接された脱水籠がわ挿
入端部とより構成し、その脱水籠がわ挿入端部を
脱水籠の開口部の内径よりも小さく形成し、脱水
籠がわ挿入端部と脱水籠の開口部との間に隙間を
形成したものであるから、通常の輸送時における
小さな振動に対しては、脱水籠の開口端面が段部
と摩擦して振動を減衰することができる。また、
脱水機を落下させるなどの大きな衝撃が加わつた
場合に、脱水籠が外筐内で慣性により下降しても
振動防止具を同時に水受槽内へ引き込んでしまう
事故を解消することができるなど優れた効果を発
揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を具体化した振動防止具を装
着した脱水機の縦断面図、第２図は従来の振動防
止具を装着した脱水機において衝撃を加えた状態
の要部縦断面図である。 付号の説明、１：外筐本体、３：脱水籠、５：
バネ、６：電動機、９：投入口、１１：振動防止
具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バネにより支持された電動機と、その電動機の
   回転軸に連結された脱水籠と、その脱水籠の開口
   部と軸線方向に間隔をおいて対向しかつ同開口部
   よりも大きい投入口を有する脱水機外筐とを備え
   る脱水機において、前記投入口に合致してその投
   入口に着脱自在に挿入可能な大径部と、投入口の
   外周上面に当接するフランジと、脱水籠の開口部
   端面に当接する段部を介して大径部と連設された
   脱水籠がわ挿入端部とよりなり、その脱水籠がわ
   挿入端部を、脱水籠の開口部の内径よりも小さく
   形成し、脱水籠がわ挿入端部と脱水籠の開口部と
   の間に隙間を形成したことを特徴とする振動防止
   具。