JPS623659Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は間接冷却用のエバポレータを有すると
共に直接冷却用のエバポレータをも有する冷蔵庫
に関する。。

従来より、間接冷却用のエバポレータを有する
冷蔵庫としては、フアンによつて循環せられる庫
内空気をそのエバポレータによつて冷却し、以て
貯蔵品を間接的に冷却するというフアンクール形
のものが周知である。然し、このものは庫内に着
霜を生じない長所を有する反面、製氷や貯蔵品の
冷凍をするのに長時間を要するという欠点があ
り、そこで近年、上記フアンと間接冷却用エバポ
レータとによる冷却空気の吹出す庫内に今一つ直
接冷却用のエバポレータを配設し、該エバポレー
タ上に製氷皿や被冷凍食品を載置接触せしめて製
氷或いは冷凍を短時間のうちに行ない得る様にす
るものが考えられている。而してこのものの場
合、両エバポレータについては、そのうちの間接
冷却用エバポレータの冷却時に於ける温度を直接
冷却用エバポレータのそれより低くなる様に定め
て、間接冷却用エバポレータにのみ着霜する様に
なし、よつて又除霜ヒータ等もその間接冷却用エ
バポレータに対してのみ設けて該間接冷却用エバ
ポレータのみ加熱し、直接冷却用エバポレータ
を、延いては該エバポレータに接触した製氷皿や
冷凍食品を加熱することを避ける様にすることま
で考えられている。ところが一方、斯くして除霜
を行なうと、それに伴つて温度上昇した間接冷却
用エバポレータ内の冷媒ガスが直接冷却用エバポ
レータ内に逆流等して流入し、他に管壁を通じて
の熱伝導等も加わつて、結局、直接冷却用エバポ
レータを、延いては上述の製氷皿内の氷や他の冷
凍食品を温度上昇させてしまい、溶解或いは変質
の問題を生じることが明らかになつた。

本考案は上述の事情に鑑みてなされたものであ
り、従つてその目的は、間接冷却用エバポレータ
の除霜を行なうときの直接冷却用エバポレータの
温度上昇を抑え、以て製氷皿内の氷や冷凍食品へ
の悪影響も防止し得る冷蔵庫を提供するにある。

以下本考案の一実施例につき図面を参照して説
明するに、先ず第１図に於いて、１は冷蔵庫筐体
であり、２はその前面の冷蔵室用扉、３は冷凍室
用の上段扉、４は同下段扉である。一方、第２図
に於いて、５は上記冷凍室用の両扉３，４が臨む
筐体１内即ち庫内の冷凍室であり、此処にはその
奥部に仕切板６を配設し、該仕切板６の下部には
入気口７を、上部には出気口８を夫々形設してい
る。そして９は上記仕切板６によつて前記冷凍室
５内の奥部に形設したダクト部であり、此処には
その下部に間接冷却用エバポレータ１０を配設
し、上部にモータ１１と羽根１２とから成るフア
ン１３を配設している。而して１４は前記出気口
８が臨み且つ上段扉３が臨む冷凍室５内の上部に
例えば上下二段にわたり配設した直接冷却用エバ
ポレータで、何れも詳細には第３図に示す如く両
側端部１５ａ，１５ｂを下方に折曲した伝熱シー
ト１５の下面側に冷媒パス１６を蛇行状等に設け
て成るものであり、、更にその下方側には例えば
軟質塩化ビニル製の扁平な袋体１７に蓄冷剤（例
えばゲル化剤を添加した塩化カリウム水溶液を主
成分としたものにて凝固温度が−11〔℃〕、膨張
度が７〜８〔％〕程度のもの）１８ａを封入して
成る蓄冷体１８を設け、これを第４図に示す如く
カバー１９により押えてシート１５の冷媒パス１
６面に密接させ、直接冷却用エバポレータ１４に
対して伝熱可能に設けている。尚この折り、カバ
ー１９は両側端部１９ａ，１９ｂを共に下向きの
コ字形に曲成することによつて、その各中間部１
９a₁，１９b₁をシート１５の両側端部１５ａ，１
５ｂ近くの部位に密接させ、又、各先端部１９
a₂，１９b₂を両側端部１５ａ，１５ｂに密接させ
て夫々外方からのリベツト２０によりシート１５
に結着せしめている。加えて、シート１５の両側
端部１５ａ，１５ｂ及びカバー１９の両側端部１
９ａ，１９ｂには第５図に示す如く後部に逆Ｌ字
状の取付孔２１を、前部にたゞ湾状の取付孔２２
を夫々形設していて、そのうち後部の取付孔２１
を第６図に示す様な前上がりの傾斜状態にて同図
中矢印Ａで示す如くＬ字状に進め、これによつて
前記冷凍室５の上部両側面に突設した支持ピン２
３に奥深く嵌め、次いで上記傾斜状態から水平状
態に戻し、これによつて前部の取付孔２２を第７
図中矢印Ｂで示す如く下方に進め前記冷凍室５の
上部両側面に今一つずつ突設した支持ピン２４に
嵌合せしめている。又、第８図に於いて、２５は
前枠であり、これは前面２５ａが垂直面より角度
θにて表わす10度以上の傾斜状を成すものにて、
両側部に湾状の留め孔２６を有し、これを同図中
矢印Ｃで示す如く前記直接冷却用エバポレータ１
４側に進めて支持ピン２４に前方から嵌め、一
方、これと同時に前枠２５自身はその上面の後縁
部に突設した爪２７をシート１５の前縁部に形設
したフツク孔２８に係合させ、以て該前枠２５を
シート１５に結合させることに併せ直接冷却用エ
バポレータ１４の外れ止めをしている。ここで
又、上記支持ピン２４は第９図に示す様な段付き
状を成すものであり、残る支持ピン２３も同様
で、これにより直接冷却用エバポレータ１４を冷
凍室５内に於いてその両側方に例えば15〔mm〕以
上の冷気通過用隙間ｇを保つ様に位置規制し、同
時に前記前枠２５前方の前記上段扉３内面との間
及び第５図に示す後枠２９後方の前記仕切板６前
面との間にも同様の隙間を保つ様にしている。
尚、上記後枠２９はその両側部に突設した爪３０
をシート１５の両側部後縁に形設したフツク孔３
１に係合させることによつて直接冷却用エバポレ
ータ１４に結合せられている。一方、第１０図に
於いて、３２は前記筐体１前面の冷凍室用両扉
３，４間に於ける仕切棧で、３３は上段扉３の下
辺部に突設されて仕切棧３２より上方に位置した
ビードであり、前記直接冷却用エバポレータ１４
は下段のものもビード３３より更に上方に位置せ
しめている。更に第１１図に於いて、３４は前記
筐体１の外下部（機械室）に配設したコンプレツ
サで、これにコンデンサ３５を接続し、又、コン
デンサ３５には第一のキヤピラリチユーブ３６
を、第一のキヤピラリチユーブ３６には前記直接
冷却用エバポレータ１４を夫々順に接続し、更に
該直接冷却用エバポレータ１４には第二のキヤピ
ラリチユーブ３７を介して前記間接冷却用エバポ
レータ１０を接続し、そしてこの間接冷却用エバ
ポレータ１０を前記コンプレツサ３４に接続する
ことによつて冷凍サイクル３８を組成している。
又この場合、上記直接冷却用エバポレータ１４と
間接冷却用エバポレータ１０との接続について
は、第１２図に示す様に直接冷却用エバポレータ
１４に通じた第二のキヤピラリチユーブ３７を間
接冷却用エバポレータ１０の下部に接続してい
る。そして第２図中、３９は冷凍室５内の中間部
に複数段例えば二段にわたり配設した棚で、４０
は更にそれらの下方に配設した野菜容器、４１は
間接冷却用エバポレータ１０の下方に配設した露
受皿、４２は筐体１外にあつて詳しく図示しない
が上記露受皿４１と連通した蒸発皿、更に第１図
中４３は冷蔵室用扉２の把手、４４は冷凍室用上
段扉３の把手、４５は同下段扉４の把手であり、
加えて第１１図中４６は間接冷却用エバポレータ
１０に対してのみ添設した除霜装置としての除霜
用ヒータである。

次に上記構成のものの作用を述べるに、先ず冷
却運転時、コンプレツサ３４から圧送せられる冷
媒はコンデンサ３５から第一のキヤピラリチユー
ブ３６を経て直接冷却用エバポレータ１４に送ら
れ、此処で一部が蒸発した後、更に第二のキヤピ
ラリチユーブ３７を経て間接冷却用エバポレータ
１０に送られ、此処で残り全部が蒸発する。そし
てその後コンプレツサ３４に帰還せられるといつ
たことを繰返すものであり、斯かる冷却運転によ
つて特に間接冷却用エバポレータ１０は、直接冷
却用エバポレータ１４が冷却される温度より例え
ば５〔deg〕以上低い温度で冷却される。又、こ
のときにはフアン１３も駆動されるもので、駆動
されたフアン１３は冷凍室５内の空気を入気口７
からダクト部９内に吸込み次いで出気口８から冷
凍室５内へと吹出すことにより第１図中矢印Ｄで
示す如く循環させ、そしてその途中ダクト部９内
では此処に吸込まれた空気が前記間接冷却用エバ
ポレータ１０によつて冷却されることにより冷気
と化し、故に出気口８からは以後冷気が吹出さ
れ、この吹出された冷気によつて冷凍室５内の殊
に直接冷却用エバポレータ１４上に載置された製
氷皿や被冷凍食品（図示せず）を除く棚３９上の
貯蔵品や或いは野菜容器４０に容れられた貯蔵品
（これらも図示せず）を冷却する。一方、上記直
接冷却用エバポレータ１４上の製氷皿内の水や被
冷凍食品は、その直接冷却用エバポレータ１４と
接して直接冷却され、同時に出気口８から前述の
如く吹出される冷気をも受けて他の前記貯蔵品同
様に間接冷却用エバポレータ１０により間接的に
も冷却される。そして斯様な冷却に伴い、上記直
接冷却用エバポレータ１４の下面では蓄冷体１８
が専ら直接冷却用エバポレータ１４に冷却されて
冷熱を蓄える。又この折り、霜は直接冷却用エバ
ポレータ１４より低温の間接冷却用エバポレータ
１０に対してのみ付着するもので、万一直接冷却
用エバポレータ１４に付着することがあつてもそ
れは“昇華”とフアン１３による送風作用とで間
接冷却用エバポレータ１０に移される。そこで次
に図示しない例えばタイマーによる所定時間後の
除霜運転時には、コンプレツサ３４を停止させる
代わりに通電される除霜用ヒータ４６が発熱して
間接冷却用エバポレータ１０を加熱するもので、
これによりその間接冷却用エバポレータ１０に前
述の如く集中付着した霜を溶解せしめる。さて、
このとき上記間接冷却用エバポレータ１０内では
冷媒ガスまで除霜用ヒータ４６の熱を受けて温度
上昇し、この温度上昇した間接冷却用エバポレー
タ１０内の冷媒ガスが第二のキヤピラリチユーブ
３７を介して該間接冷却用エバポレータ１０と連
通した直接冷却用エバポレータ１４内に逆流す
る。然し、斯様に温度上昇した冷媒ガスが逆流し
ても、直接冷却用エバポレータ１４には本実施例
の場合前述の蓄冷体１８が伝熱可能に設けられて
おり、この蓄冷体１８が前述の如く蓄えた冷熱に
よつて直接冷却用エバポレータ１４の温度上昇を
抑える。ちなみに第１３図は本考案者の実験によ
る結果を表わしており、この図で明らかな様に除
霜時蓄冷体１８を有しない従来の直接冷却用エバ
ポレータの温度（図中破線Ｘ）がプラス温度にま
で上昇したのに対し、蓄冷体１８を有する本実施
例の直接冷却用エバポレータ１４の温度（図中実
線Ｙ）はマイナス温度、殊に−10〔℃〕以下に抑
えることができたのであり、このことから本実施
例では上記直接冷却用エバポレータ１４上に載置
された製氷皿内の氷の溶解や他の冷凍食品の変質
といつたことも確実に防止し得るものである。

尚、本考案は上記し且つ図面に示した実施例に
のみ限定されるものではなく、特に各部の具体的
構成その他につき、要旨を逸脱しない範囲内で適
宜変更して実施し得る。

以上、要するに本考案は、庫内空気を循環せし
めるフアンとその循環空気を冷却する間接冷却用
エバポレータ並びに該エバポレータと連通してそ
の冷却空気の吹出す庫内に配設された直接冷却用
エバポレータとを具備し、そのうち間接冷却用エ
バポレータの冷却時に於ける温度を直接冷却用エ
バポレータのそれより低くなる様に定めて、除霜
時に該間接冷却用エバポレータのみ加熱する様に
した冷蔵庫であつて、更に前記直接冷却用エバポ
レータに対し蓄冷体を伝熱可能に設けて成ること
を特徴とするものであり、以て間接冷却用エバポ
レータの除霜を行なうときの直接冷却用エバポレ
ータの温度上昇を抑えることができて、該直接冷
却用エバポレータに接触した製氷皿内の氷や他の
冷凍食品への悪影響を防止し得るという優れた実
用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したものにて、第
１図は全体の正面図、第２図は第１図の−線
に沿う全体の縦断側面図、第３図は直接冷却用エ
バポレータ及び蓄冷剤部分の組立前の正面図、第
４図は同部分の組立後の正面図、第５図は同部分
の組立前の斜視図、第６図及び第７図は直接冷却
用エバポレータの異なる取付部の夫々取付前の拡
大側面図、第８図は取付けた直接冷却用エバポレ
ータを外れ止めする部分の拡大斜視図、第９図は
取付後の直接冷却用エバポレータ部分の正面図、
第１０図は冷凍室用上段扉部分の拡大縦断側面
図、第１１図は冷凍サイクルの概略構成図、第１
２図は直接冷却用エバポレータと間接冷却用エバ
ポレータとの連結部分の拡大側面図、第１３図は
実験結果に基づき表わした特性図である。 図中、５は冷凍室（庫内）、１０は間接冷却用
エバポレータ、１３はフアン、１４は直接冷却用
エバポレータ、１８は蓄冷体、４６は除霜用ヒー
タ（除霜装置）である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 庫内空気を循環せしめるフアンとその循環空気
   を冷却する間接冷却用エバポレータ並びに該エバ
   ポレータと連通してその冷却空気の吹出す庫内に
   配設された直接冷却用エバポレータとを具備し、
   間接冷却用エバポレータの冷却時に於ける温度を
   直接冷却用エバポレータのそれより低くなる様に
   定めて、除霜時に該間接冷却用エバポレータのみ
   加熱する様にすると共に、直接冷却用エバポレー
   タに対し蓄冷体を伝熱可能に設けて成ることを特
   徴とする冷蔵庫。