JPS6232545Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は上下に移動する針に対して、刺繍枠
に固定された被加工布を刺繍模様の通りに前後左
右に移動することにより刺繍する刺繍ミシンに関
し、特に被加工布を押える押圧体の下動量を調節
する装置に関する。

〔従来の技術〕

従来この種のミシンを昭和58年実用新案登録願
第169403号（特公昭61−7660号）を第４図に示す
図面にもとづいて説明する。１はミシンの主軸と
連動して上下動し、下端に針２を備えた針棒で、
略中間部に押え上げ体３を固定する。４は下端を
機枠Ｈに挿通し、上端のねじ部４ａを機枠に螺合
し、針棒１と平行に配置した案内棒で、押え上げ
体３より略下方に係止体５を固定する。

６は加工布を押圧する押圧体で、下端に針２が
挿通する押え部７を形成し、上端を押え上げ体３
上方の針棒１と係止体５上方の案内棒４とにそれ
ぞれ上下動可能に支持する。８は第１弾性体で上
端を針棒１に係合し、下端を押圧体６に係合し
て、針棒の下動に関連して圧縮される。９は第２
弾性体で、ねじ部４ａと、押え足上端との間に介
在し、押え足の上昇に関連して圧縮される。なお
Ｐは被刺繍布で、図示しない刺繍枠に張設され、
刺繍模様の通りに刺繍枠を移動する駆動装置に固
定されている。

次にこのミシンの作用を説明すると、針棒１が
下動すると、第１弾性体８、第２弾性体９の下方
押圧力により押圧体６も針棒１とともに下動す
る。針２は針棒１の下動に従つて被刺繍布Ｐを刺
し通すが、押圧体６は上端の案内棒４において、
係止体５に係止され、下動は停止する。このとき
押圧体６の下端押え部７は通常被刺繍布と略接触
する位置になるよう調節されている。針棒１が下
死点に達した後、上動すると針２も上動し、被刺
繍布からぬけ上がる。

この時押圧体６は上端の針棒１において押え上
げ体３に当接し、押え上げ体３の上動とともに上
方に移動する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、被刺繍布の厚さ等の性質によつ
ては、次のような問題点があつた。

たとえば、被刺繍布Ｐが薄手のものの場合に
は、押え部７が被刺繍布Ｐに直接当接し、さらに
被刺繍布Ｐを介して針板にあたると押え足７は下
動の毎に針板と衝突音を発し、特に高速運転した
場合には、大きな振動を生じて故障の原因になつ
た。この場合、布Ｐは刺繍枠に張設されているか
ら、特に押えを必要とせず、被刺繍布Ｐ上方で押
え部７が停止しても美しい刺繍縫をほどこすこと
ができる。

また、布Ｐがタオル地のように毛足の長いも
の、または厚手のものの場合には、刺繍枠に張設
したままの状態で刺繍縫をすると、刺繍糸の間か
ら毛足がはみ出すことがあり、刺繍糸が平行に揃
つた美しい仕上りを得られず、押え部７によつて
被刺繍布Ｐをしつかりと押えて刺繍縫をしなけれ
ばならない。

即ち、被刺繍布の厚さ等によつて押え部７の下
死点位置を上下方向に変更して、布との押圧を調
節する必要があるにもかかわらず、従来の刺繍ミ
シンでは、これを調節することができなかつた。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、押え部７の下死点位置を決定する係止
体５を上下に移動させるため、案内軸を機枠に対
し上下操作可能に挿通し、案内軸の水平方向に固
定した支持部下面と機枠に設けた設定体上面との
間に案内軸を複数の高さに選択可能な係合面を形
成した調節手段を備えた。

〔作 用〕

このように布の厚さによつて押え部７の下死点
位置を変更することにより、被刺繍布Ｐが薄布の
場合は、押え部７が被刺繍布と非接触とすること
ができ、また毛足の長い布等では、押え部７を接
触することにより毛足を押えるので刺繍部分は刺
繍糸によつて毛足を完全に隠した刺繍縫をほどこ
すことができる。

〔実施例〕

この考案の一実施例を第１図乃至第３図にもと
づいて説明する。

なお、前記従来例と同一の部分は同一の符号を
付してその説明を省略する。

１０は軸線を中心に、中空部１０ａを設けた押
え調節体で、側面にねじ部１０ｂを形成する。上
端部には、中空部１０ａを中心に直角に交差した
２本の溝部（設定体）α_１，α_２を形成する。溝
α_１の深さl₁は溝α_２の深さl₂よりもＬだけより
深く形成する。機枠Ｈの上端の開口部にこの押え
調節体１０のねじ部１０ｂを螺合し、その中空部
には案内棒４が上下動可能に挿通し、案内棒４の
上端に一体に形成したつまみ（支持部）４ｂを溝
α_１または溝α_２のいずれかに嵌合する。

次にこの実施例の作用を説明する。つまみ４ｂ
を溝α_１に嵌合すると係止体５は第３図l₁の位
置、即ち溝α_２に嵌合した場合よりもＬだけ下方
に固定される。

もし、この係止体５の上面と被刺繍布Ｐとの長
さと、押圧体６の係止体５当接端から押圧体６下
面までの長さを等しく配置すれば、押圧体６が下
動して係止体５に当接した時、被刺繍布Ｐに押圧
体６が接触する。いいかえれば、針２の下動毎に
押圧体６は被刺繍布Ｐを押圧することができる。

次につまみ４ｂを溝α_２に嵌合すると、溝α_２
は溝α_１よりＬだけ上方に係止するから、係止体
５もＬだけ上方に固定される。したがつて、押圧
体６は被刺繍布ＰからＬだけ上方にその下死点が
調節される。

なお、この実施例では、溝を２本設けたが、よ
り多くの溝を設けて、その上下方向調節をこまか
く設定することも可能である。また、溝につまみ
を嵌合させて案内棒を固定したが、中空部の内壁
にねじ部を設けて、案内棒に設けたねじ部と螺合
させ、案内棒を回転させることによつて案内棒を
より精密に上下動調節することもできる。

また、つまみ下面に複数の段部を形成して、溝
に対し、この段部を選択的に係合しても、案内棒
を上下に調節できる。

このように構成すると、タオル地等のふんわり
としたやわらかい布に刺繍をする場合、押え足を
精密に調節することにより、毛足を押し縮めて硬
く刺繍縫されることなく、やわらか味を残して刺
繍することができ、たとえ布全体に刺繍を施して
も、ごわごわとした仕上りになることを防止でき
る。

〔効 果〕

この考案は以上の構成・作用からなるもので、
簡単な手段により押圧体の下動位置を調節するこ
とができるので、被刺繍布の厚さ等に適した押え
が可能になり、刺繍縫の高速化と美しい刺繍縫を
実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る一実施例を示すもの
で、押え調節体と案内棒を表わす斜視図、第２図
は調節装置を装着した刺繍ミシンの面部を表わ
し、針が上死点にある場合を示す正面図、第３図
は、同じく針が下死点にある場合を示す正面図、
第４図は、従来の刺繍ミシンの面部を表わす正面
図である。 １……針棒、２……針、３……押え上げ体、４
……案内棒、４ａ……ねじ部、４ｂ……つまみ
（支持部）、５……係止体、６……押圧体、７……
押え部、８……第１弾性体、９……第２弾性体、
１０……押え調節体、１０ａ……中空部、１０ｂ
……ねじ部、Ｈ……機枠、Ｐ……布（被刺繍
布）、Ｌ……調節高さ、α_１，α_２……溝（設定
体）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 針棒と、針棒に軸線方向へ摺動可能に遊嵌支持
   し下端を略針落ち点の針板上面に対向して接離可
   能とした押圧体と、 押圧体を針棒に従動して上下動するように作用
   する弾性体と、押圧体を軸線方向に摺動可能に遊
   嵌支持した案内軸と、案内軸に固定し押圧体の下
   方に対向して係合可能とした係止体とを備えたミ
   シンの布押え装置において、 案内軸を機枠に対し上下操作可能に挿通し、案
   内軸の水平方向に固定した支持部下面と機枠に設
   けた設定体上面との間に案内軸を複数の高さに選
   択可能な係合面を形成した調節手段を備えた刺繍
   ミシンの押圧体調節装置。