JPS6232323B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、内燃機関（以下、エンジンと称す
る）の燃焼室からシリンダヘツドカバーやクラン
クケースへ洩れ込んでくる、いわゆるブローバイ
ガスをエンジンの吸気管側に還元して、エンジン
燃焼室内にて再燃焼させるブローバイガス還元装
置の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のブローバイガス還元装置は、第１図に示
すような構造をしていた。

すなわち、まず、エアクリーナ１によつて清浄
化された空気は、キヤブレタ２からの燃料と混合
して吸気管３を経て燃焼室４に吸入される。

そして、吸入された混合気は燃焼室４内にて燃
焼し、その排気は排気管５から排出される。

このとき、燃焼室４からシリンダヘツドカバー
またはクランクケース等のブローバイガス発生室
６に洩れ込んでくるものをブローバイガスと呼ん
でいる。

そして、このブローバイガスを：PCVバルブ
（Positive Crankcase Ventilation Valveの略
称）８を介して、吸気管３に還元させるととも
に、ブローバイガスを新気とともに再燃焼させる
ようにしていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来のブローバイガス還元装置
は、還元ガス流量とブローバイガス発生量との間
に、厳密な比例関係が成り立たないという問題が
あつた。

このため、エアクリーナ１からの新しい空気が
パイプ７、PCVバルブ８を介して吸気管３にバ
イパスすることによつて、空気対燃料比（空燃
比）すなわちＡ／Ｆがリーンになつたり、逆にブ
ローバイガスがエアクリーナ１に逆流してＡ／Ｆ
がリツチになつたりして、キヤブレタ２のＡ／Ｆ
設定値を狂わせるという問題があつた。

ところで、第２図は、第１図に示す従来のブロ
ーバイガス還元装置における、吸気管負圧と
PCVバルブ流量の関係の一例を示す特性線図で
ある。

一般に、ブローバイガス発生量は、エンジン負
荷やエンジン回転数によつて変化し、また、エン
ジンの摩耗が進めば増加する。さらに、エンジン
によるバラツキもある。

第２図の中で、Ａ曲線は、ブローバイガス発生
量の測定値の一例を示す特性曲線で、実線は
1000rpmのエンジン回転数の場合を、破線は
2400rpmの場合を示している。そして、これらに
対するPCVバルブの流量特性はＢ曲線で示して
ある。

この場合、ブローバイガス発生量よりもPCV
バルブ流量が大きいので、エアクリーナ１からの
新しい空気が吸気管３にバイパスし、キヤブレタ
におけるＡ／Ｆ設定値よりクリーンになる。

このように、近年、排出ガス浄化対策のため、
Ａ／Ｆのバラツキを小さくすることが強く要求さ
れるに至つたにもかかわらず、従来のブローバイ
ガス還元装置は、Ａ／Ｆのバラツキをなくすこと
が極めて困難という問題があつた。

従つて、本発明の目的は、ブローバイガスの発
生量に比例した量のブローバイガスを吸気管に還
元することによつて、Ａ／Ｆのバラツキを防止す
ることにある。

〔問題点を解決するための手段〕

このため、本発明にかかるブローバイガス還元
装置は、ブローバイガス発生室と吸気管とを、制
御弁が介在されたブローバイガス還流路によつて
連結したブローバイガス還元装置において、ダイ
ヤフラムにより隔定され、負圧通路によつて吸気
管に連結された制御弁の負圧室を、負圧通路途中
に介在された調圧弁により、ブローバイガスの還
流方向における、制御弁の上流側ブローバイガス
還流路に隔定された定圧室の圧力変化に応動し
て、負圧通路の大気連通口を選択的に開閉して、
制御弁の負圧室を大気圧または吸気管負圧に切り
換えることにより、該制御弁の開閉度を調整する
構成としたことを特徴とするものである。

具体的には、内燃機関のシリンダヘツドカバー
またはクランクケース等のブローバイガス発生室
と吸気管とを、制御弁が介在されたブローバイガ
ス還流路によつて連結したブローバイガス還元装
置において、制御弁のダイヤフラムにより隔定さ
れた負圧室は、負圧通路によつて吸気管に連結さ
れている。

また、負圧通路途中には調圧弁が介在されてお
り、その調圧弁は、ダイヤフラムにより隔定さ
れ、かつ大気に開放された一側が、負圧通路に設
けた大気連通口と連通されている。

また、ダイヤフラムにより隔定された他側は、
ブローバイガス圧力通路によつて、ブローバイガ
スの還流方向における、制御弁の上流側ブローバ
イガス還流路に隔定された定圧室に接続されてい
る。

〔作用〕

上記の構成にかかる本発明の作用を説明する
と、定圧室の圧力変化に応動して、定圧室の圧力
が高いときには、調圧弁のダイヤフラムの一側に
設けた弁が大気連通口を閉じ、一方、定圧室の圧
力が低いときには開くように、大気連通口を選択
的に開閉して、制御弁の負圧室を大気圧または吸
気管負圧に切り換えることにより、制御弁の開閉
度を調整する。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第３図は本発明にかかるブローバイガス還元装
置の一実施例を示す概略図である。

エアクリーナ１からの新しい空気は、キヤブレ
タ２からの燃料と混合して、吸気管３を経てエン
ジンの燃焼室４に吸入される。

燃焼後の排気は、排気管５から外に排出される
が、燃焼室４からシリンダヘツドカバーまたはク
ランクケース等のブローバイガス発生室６に入り
込んでくるブローバイガスは、制御弁１０を介し
て吸気管３に還元させるようになつている。

制御弁１０内には、ブローバイガス発生室６か
ら導かれるブローバイガスの流量を制御する弁体
１１が設けられている。

また、弁体１１の端部には、制御弁１０内にあ
る負圧室１２を区画するダイヤフラム１３が接続
されている。

さらに、制御弁１０の上流側（ブローバイガス
発生室６側）に位置する、ブローバイガス還流路
２１中には、固定絞り２４，２５により隔定され
た定圧室２６が形成されている。

そして、定圧室２６は、通路２７を介して、ダ
イヤフラム１６により隔定された調圧弁１４の感
圧室１５に接続されている。

また、調圧弁１４の、感圧室１５と反対側は、
大気に開放されるとともに、制御弁１０の負圧室
１２と吸気管３を接続する負圧通路２０に設けた
大気連通口１８と連通されている。

さらに、感圧室１５と反対側のダイヤフラム１
６には、大気連通口１８を開閉するための弁１７
が付設されている。

そして、定圧室２６の圧力変化に応動して、定
圧室２６の圧力が高いときには、感圧室１５の圧
力も高くなることにより、弁１７が大気連通口１
８を閉じる作用をする。

一方、定圧室２６の圧力が低いときには、感圧
室１５の圧力も低くなることにより、弁１７が大
気連通口１８を開く作用をする。

なお、絞り２２は調圧弁１４から導入される大
気が吸気管３側に向かうのを阻止するためのもの
である。

上記の構成にかかる実施例の作用を説明する
と、ブローバイガスがブローバイガス発生室６に
多く発生し、定圧室２６内の圧力が上昇すると、
その圧力はブローバイガス圧力通路２７を通じて
調圧弁１４の感圧室１５に伝えられる。

これにより、ダイヤフラム１６は第１図にて上
方に変位し、弁１７が大気連通口１８を閉じるた
め、吸気管３内の負圧は、負圧通路２０を通じて
制御弁１０の負圧室１２に伝えられる。

これによつて、弁体１１は、負圧室１２に印加
される負圧レベルに応じて引き上げられ制御弁１
０を開かせる。

このようにして、ブローバイガスの発生量に比
例した量のブローバイガスが、ブローバイガス発
生室６から制御弁１０、ブローバイガス還流路２
１を通じて吸気管３に還元される。

一方、ブローバイガス発生室６におけるガスの
発生量が少なく、定圧室２６の圧力が下降した場
合にも、やはり、その圧力はブローバイガス圧力
通路２７を通じて調圧弁１４の感圧室１５に伝え
られる。

これによつて、ダイヤフラム１６は自重により
下方に変位し、弁１７が大気連通口１８を開いて
大気連通口１８から負圧通路２０内に大気が導入
されるため、制御弁１０の負圧室１２は大気圧と
される。

このようにして、制御弁１０はブローバイガス
還流路２１を閉じるため、ブローバイガスは吸気
管３に還元されない。

以上、本発明の特定の実施例について説明した
がこれに限定されるものではなく、特許請求の範
囲に記載した範囲内で当業者が実施可能な種々の
別な態様が考えられる。

例えば、上記の実施例においては、定圧室を隔
定する固定絞りは、弁体の弁座と別体に形成した
が、弁体の弁座に兼ねさせるようにしてもよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明にかかるブローバ
イガス還元装置は、ブローバイガス発生室と吸気
管とを、制御弁が介在されたブローバイガス還流
路によつて連結したブローバイガス還元装置にお
いて、ダイヤフラムにより隔定され、負圧通路に
よつて吸気管に連結された制御弁の負圧室を、負
圧通路途中に介在された調圧弁により、ブローバ
イガスの還流方向における、制御弁の上流側ブロ
ーバイガス還流路に隔定された定圧室の圧力変化
に応動して、負圧通路の大気連通口を選択的に開
閉して、制御弁の負圧室を大気圧または吸気管負
圧に切り換えることにより、該制御弁の開閉度を
調整する構成としたため、ブローバイガスの発生
量に比例した量のブローバイガスを吸気管に還元
することができ、ひいてはＡ／Ｆのバラツキを防
止することができるというすぐれた効果を奏す
る。

また、定圧室内の圧力変動は、シリンダヘツド
カバーやクランクケース等のブローバイガス発生
室に比較して、その変動幅および変動周期とも小
さいため、制御弁の制御精度を向上することがで
きるという特有の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のブローバイガス還元装置の概略
構成を示す断面図、第２図は従来のブローバイガ
ス還元装置における、吸気管負圧とPCVバルブ
流量の関係を示す特性グラフ、第３図は本発明に
かかるブローバイガス還元装置の概略構成を示す
断面図である。 １……エアクリーナ、２……キヤブレタ、３…
…吸気管、４……燃焼室、５……排気管、６……
ブローバイガス発生室、１０……制御弁、１１…
…弁体、１２……負圧室、１３，１６……ダイヤ
フラム、２０……負圧通路、２１……ブローバイ
ガス還流路、２４，２５……固定絞り、２６……
定圧室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内燃機関のシリンダヘツドカバーまたはクラ
   ンクケース等のブローバイガス発生室と吸気管と
   を、制御弁が介在されたブローバイガス還流路に
   よつて連結したブローバイガス還元装置におい
   て、前記制御弁のダイヤフラムにより隔定された
   負圧室は、負圧通路によつて吸気管に連結されて
   おり、該負圧通路途中には調圧弁が介在されてお
   り、該調圧弁は、ダイヤフラムにより隔定され、
   かつ大気に開放された一側が、前記負圧通路に設
   けた大気連通口と連通されており、一方、該ダイ
   ヤフラムにより隔定された他側は、ブローバイガ
   ス圧力通路によつて、ブローバイガスの還流方向
   における、前記制御弁の上流側ブローバイガス還
   流路に隔定された定圧室に接続されており、該定
   圧室の圧力変化に応動して、該定圧室の圧力が高
   いときには、前記調圧弁のダイヤフラムの一側に
   設けた弁が前記大気連通口を閉じ、一方、前記定
   圧室の圧力が低いときには開くように、該大気連
   通口を選択的に開閉して、前記制御弁の負圧室を
   大気圧または吸気管負圧に切り換えることによ
   り、該制御弁の開閉度を調整することを特徴とす
   るブローバイガス還元装置。