JPS6227461Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、移動農機の変速牽制装置に関する
ものである。

従来、棒状ハンドルを有する移動農機において
は、作業の種類により棒状ハンドルを機体の前方
側に延出させ、作業者が機体の前方側に移つて作
業を行なうものがある。このような移動農機にお
いては、棒状ハンドルを機体の前方側に延出させ
た後に変速レバーを回動させて機体の前方側から
変速操作を行なえるようにするものであるが、そ
の変速装作位置は、通常の使用状態におけるバツ
ク位置が前進位置となり逆に前進位置がバツク位
置となる。そして、このバツク位置には高速のバ
ツク位置があり、機体が高速でバツクすることは
危険である。このため、一般に棒状ハンドルを機
体の前方側に延出させた後は牽制装置を作用させ
て高速バツク位置への変速操作ができないように
なつている。しかしながら、この牽制装置の操作
は棒状ハンドルを機体の前方側へ延出させる操作
や変速レバーを機体の前方側から操作自在に回動
固定する操作とは独立しているために、不注意に
よつて牽制装置の操作を忘れることがあり、この
ようなときに誤つて高速バツク位置に変速レバー
を操作すると機体が高速でバツクするためにきわ
めて危険である。

この考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、棒状ハンドルを機体の前方に延出させて移動
農機を逆向きに前進させる場合に、変速レバーの
高速バツク位置への変速操作を自動的に阻止する
ことができ、その操作が確実であり、また、棒状
ハンドルの取付位置調節機構を簡単にすることが
できる移動農機の変速牽制装置を得ることを目的
とするものである。

この考案は、棒状ハンドルを機体の前方側へ延
出させるとともに変速レバーを機体の前方側から
操作自在に位置調節し、変速レバーを機体の前方
側から操作自在に位置調節する動作に連動して変
速操作部の高速ポジシヨンへの切換動作を阻止す
る位置に移動する牽制部材を設けることにより、
変速レバーを機体の前方側から操作自在に偏位さ
せた後は高速でバツクすることを確実に防止しう
るように構成したものである。

この考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。移動農機の機体１には連結器２が載置固定さ
れ、この連結器２に締付ボルト３により棒状ハン
ドル４が締付固定されている。なお、前記連結器
２は垂直方向の軸心を有する固定軸５の軸心回り
に回動自在及び任意位置固定自在に設けられてい
る。前記機体１には変速レバー６が設けられ、こ
の変速レバー６は変速操作部であるレバージヨイ
ント７に軸心方向摺動自在に挿通され、変速レバ
ー６の下端部にはカム８が固定されている。ま
た、前記変速レバー６には前記レバージヨイント
７に固定された菊座９と噛合する菊座１０が固定
され、レバージヨイント７とカム８との間にはこ
れらの菊座９，１０を噛合方向に付勢するスプリ
ング１１が挿着されている。前記レバージヨイン
ト７にはミツシヨンケース１２から突出したシフ
ターシヤフト１３がピン１４により連結され、ま
た、このレバージヨイント７には変速操作部の一
部であるシヤフト１５が固定されている。前記カ
ム８と近接した位置には牽制部材であるアーム体
１６を回動自在に保持したシヤフト１７が設けら
れ、このアーム体１６はトルクスプリング１８に
付勢されて下端がカム８に接合されている。

このような構成において、通常の作業時には第
１図及び第２図に示すように棒状ハンドル４は機
体１の後方に延出して連結されるとともに変速レ
バー６も機体１の後方側から操作自在に設けられ
ている。そして、変速操作のために変速レバー６
を垂直な軸心回りに回動させると菊座９，１０同
志の噛み合いによりレバージヨイント７も一体的
に回動され、シフターシヤフト１３が軸心方向に
摺動されて変速が行なわれる。

ついで、棒状ハンドル４を連結器２とともに固
定軸５の軸心回りに回動して機体１の前方側に延
出させた場合は、変速レバー６を第３図に示すよ
うに機体１の前方側から操作できるように回動固
定するもので、変速レバー６を上方に引き上げて
菊座９，１０同志の噛み合いを分離して180゜回
動させた後に再び菊座９，１０同志を噛み合わせ
る。変速レバー６を機体１の前方側に向けて回動
させるとカム８も一体的に回動し、アーム体１６
の下端はカム８に接合しつつ変速レバー６の軸心
に接近する。そして、アーム体１６はシヤフト１
７の軸心回りに回動し、その上端はシヤフト１５
の側方に位置する。この状態で変速レバー６を高
速バツク位置へ操作しようとしてもシヤフト１５
がアーム体１６に接合するため変速操作ができ
ず、誤つて高速バツク位置に変速操作することを
防止しうる。したがつて、機体１が高速バツクす
ることによる危険性がなくなり、しかも、この装
置は変速レバー６を機体１の前方側へ向けて回動
固定することにより自動的に作用するものであ
り、独立して操作する手間を省けるとともに操作
を忘れるということがなくなる。

なお、前進及び低速バツクへの変速操作時に
は、レバージヨイント７及びシヤフト１５がアー
ム体１６から離反する方向に回動するため何ら支
障はない。

この考案は上述のように、移動農機の機体に棒
状ハンドルを後方に延出する位置と前方に延出す
る位置とに選択的に取付位置調節自在に連結する
とともに、変速レバーを前記機体の後方から軸心
回りに回動操作する位置と前方から軸心回りに回
動操作する位置とに選択的に位置調節自在に設け
た移動農機において、前記変速レバーにシフター
シヤフトに連結された変速操作部を菊座を介して
回動方向に一体的に回動するように連結するとと
もに前記変速レバーにカムを固定し、このカムに
当接して回動する牽制部材を設け、前記変速レバ
ーを前記機体の前方から操作する位置に偏位させ
たときに前記牽制部材が前記変速操作部の高速ポ
ジシヨンへの切換動作を阻止する位置に移動させ
るようにしたので、棒状ハンドルを機体の前方に
延出させて作業を行なう場合に、変速レバーを機
体の前方から操作できるように位置調節するだけ
でカムが牽制部材の位置を変えて変速操作部の高
速ポジシヨンへの切換動作を阻止するようにする
ことができ、これにより、機体の高速バツク走行
を防ぐことができ、これにより、機体が高速でバ
ツクする危険性をなくして安全性を向上させるこ
とができ、また、このような動作は変速レバーの
位置調節操作で行なうことができるので、その動
作が確実であり、しかも、棒状ハンドルの位置調
節操作とは関連がないので、その位置調節機構を
簡略化することができる等の効果を有するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は一部を切欠した全体の側面図、第２図はその
要部を拡大して一部を断面にした側面図、第３図
は変速レバーを機体の前方側へ回動固定した状態
を拡大して一部を断面にした側面図、第４図はそ
の要部を拡大した背面図である。 １…機体、４……棒状ハンドル、７……レバー
ジヨイント（変速操作部）、１５……シヤフト
（変速操作部）、１６……アーム体（牽制部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動農機の機体に棒状ハンドルを後方に延出す
   る位置と前方に延出する位置とに選択的に取付位
   置調節自在に連結するとともに、変速レバーを前
   記機体の後方から軸心回りに回動操作する位置と
   前方から軸心回りに回動操作する位置とに選択的
   に位置調節自在に設けた移動農機において、前記
   変速レバーにシフターシヤフトに連結された変速
   操作部を菊座を介して回動方向に一体的に回動す
   るように連結するとともに前記変速レバーにカム
   を固定し、このカムに当接して回動する牽制部材
   を設け、前記変速レバーを前記機体の前方から操
   作する位置に偏位させたときに前記牽制部材が前
   記変速操作部の高速ポジシヨンへの切換動作を阻
   止する位置に移動させるようにしたことを特徴と
   する移動農機の変速牽制装置。