JPS6224582Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両のクツシヨンシートの傾斜角度
調節装置に関する。

従来、車両の座席の傾斜角度調節装置として
は、背当部の後傾角度を変える、いわゆるリクラ
イニングシートが一般化しているが、これを更に
改良し、背当部の後傾動作に連動して座部、すな
わちクツシヨンシートの後方が上昇するようにし
たクツシヨンシートのリフトアツプ装置が提案さ
れている。背当部とクツシヨンシートとを略同一
の角度で傾斜させることにより、より快適な休息
姿勢を得ようとするものであるが、この従来装置
では背当部の後傾角度とクツシヨンシートのそれ
とに一定の関係が与えられているため、両者の傾
斜角度を好みに応じて独自に設定することはでき
なかつた。例えばクツシヨンシートは傾斜させず
に背当部のみを倒し、あるいはクツシヨンシート
の傾斜角度のみを変化させることはできないもの
で、運転者や同乗者の細かい要求には応え得な
い。

本考案は、以上の点に鑑み、背当部の後傾動作
に連動してクツシヨンシートの傾斜角度を変化さ
せるという思想から離れ、クツシヨンシートの傾
斜角度を単独で、つまり背当部とは関係なく調節
できるようにすることにより、休息中あるいは運
転中のより自由度の高い姿勢が得られるようにし
たもので、前方枢着軸を中心に起倒可能なクツシ
ヨンシートの後方側部にロツクピンを突出させる
一方、クツシヨンシートの取付座側に、このロツ
クピンの弧状のガイド溝を有するブラケツトを固
定し、さらにこのブラケツトに重ねて、クツシヨ
ンシートの起倒に伴い円弧運動するこのロツクピ
ンを通過させるリリース孔と、このリリース孔に
連通し、ロツクピンの上下と係合可能な高さ位置
の異なる複数のロツク孔とを有するロツクプレー
トを揺動可能に枢着し、かつこのロツクプレート
をそのロツク孔がロツクピンと係合する方向に回
動付勢したことを特徴としている。

以下図示実施例について本考案を説明する。図
は図示の便宜上背当部を除いて描いたもので、取
付座たるアツパレール１上に載置されたクツシヨ
ンシート（以下単にシートという）２は、その前
方下部がアツパレール１に固定したＬ型ブラケツ
ト３にピン４を介して枢着され、またこのシート
２の後方側部にはロツクピン５が突設されてい
る。アツパレール１は周知のように車両床面に固
定したロワレール６上を摺動可能であり、したが
つてシート２は前後調節およびピン４を中心とす
る起倒（揺動）ができ、起倒に伴い上記ロツクピ
ン５は半径Ｒの円弧運動をする。

しかしてアツパレール１の後方位置には、シー
ト１の側部に位置させてブラケツト７が直立され
ており、このブラケツト７の下方にロツクプレー
ト８がピン９によつて枢着されている。ブラケツ
ト７はシート１の上記ロツクピン５を挿通させた
弧状のガイド溝１０を有し、またロツクプレート
８はこの弧状のガイド溝１０にほぼ重ねることの
できる弧状のリリース孔１１と、このリリース孔
１１の上下部に連通させて設けた横方向のロツク
孔１２Ａ，１２Ｂを有している。ロツク孔１２
Ａ，１２Ｂはロツクピン５の上下と係合してシー
ト２の起倒を制限するもので、引張ばね１３はこ
のロツク孔１２Ａ，１２Ｂがロツクピン５と係合
する方向にロツクプレート８を回動付勢してい
る。１４はロツクプレート８の回動操作レバーで
ある。ロツクピン５は、アツパレール１上に固定
したブラケツト７のガイド溝１０に沿つて移動す
るため、クツシヨンシート１の動きは安定し、ま
たロツクプレート８は、ブラケツト７に重ねられ
ていて、その面に沿つて回動するので、ロツクプ
レート８の支持および動作も安定する。

したがつて上記構成の本装置によれば、回動操
作レバー１４により引張ばね１３の力に抗してロ
ツクプレート８を回動させ、リリース孔１１内に
ロツクピン５を位置させれば、第３図に明らかな
ようにシート２をガイド溝１０およびリリース孔
１１の角度範囲で揺動させることができ、揺動さ
せた後ロツク孔１２Ａまたは１２Ｂをロツクピン
５に係合させれば、その位置にシート２がロツク
される。勿論この実施例ではロツクピン５をロツ
ク孔１２Ａ内に嵌入させたときが運転姿勢、ロツ
ク孔１２Ｂ内に嵌入させたときが休息姿勢であ
る。ロツク孔を上下二段としたのは、これが最も
基本的な形であること、および説明を単純化する
ためであるが、三段以上の複数段としてより細か
くシート２の傾斜角度を調整しうるようにするこ
とができるのは勿論である。

なおロツクピン５は、第４図に示すように軸部
金属材５Ａと、この金属材に嵌めたナイロン等の
合成樹脂製低摩擦材料からなるスリーブ５Ｂとか
ら構成し、ガイド溝１０やリリース孔１１および
ロツク孔１２Ａ，１２Ｂとの摩擦を減ずることが
好ましい。また第５図に示すようにシート２の取
付座たるアツパレール１とシート２との間に、該
シート２を上方に付勢する板ばね１５等のばねを
挿入すれば、ロツクピン５をリリース孔１１内に
位置させたときシート２を自動的に上昇回動さ
せ、あるいは弱い力でシート２を上昇させること
ができる。

さらに以上は前後位置の調整が可能なシートに
本考案を適用したものであるが、本考案はシート
の取付座が動かない場合にも適用可能である。ま
た本考案は背当部の取付位置やそのリクライニン
グ構造を問うものではないが、例えばブラケツト
７の前方取付部１６を背当部の取付位置とするこ
とができる。

以上要するに本考案は、前方の枢着軸を中心に
起倒可能なクツシヨンシートを、該シートの後方
側部に突設したロツクピン、およびシートの取付
座側に枢着した複数段のロツク孔を有するロツク
プレートにより、背当部とは無関係に角度調節が
できるようにしたものであるから、背当部の角度
調節と合わせ、より自由度の高い運転姿勢および
休息姿勢を簡単な構造で得ることができる。さら
にロツクピンは、取付座側に固定したブラケツト
の弧状のガイド溝によつて案内されるため、クツ
シヨンシートの後方側の支持が安定し、またロツ
クプレートはこのブラケツトに重ねられ、その接
触面によつて平面的にガイドされるため、ロツク
プレート自体の支持性、操作性がよく、安定した
動作特性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るクツシヨンシートの傾斜
角度調節装置の実施例を示す側面図、第２図は同
斜視図、第３図はシートのロツクを解除した状態
を示す側面図、第４図はロツクピンの縦断面図、
第５図はシートと取付座間に板ばねを挿入した実
施例を示す背面図である。 １……アツパレール（取付座）、２……クツシ
ヨンシート、４……ピン、５……ロツクピン、８
……ロツクプレート、９……ピン、１１……リリ
ース孔、１２Ａ，１２Ｂ……ロツク孔、１３……
引張ばね、１４……回動操作レバー、１５……板
ばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車両床面の取付座上に配設されるクツシヨン
   シートをその前方の枢着軸を中心に起倒可能と
   し、このクツシヨンシートの後方側部にロツク
   ピンを突出させ、上記取付座側に、このロツク
   ピンの弧状のガイド溝を有するブラケツトを固
   定するとともに、このブラケツトに重ねて、上
   記ロツクピンと係合するロツクプレートを揺動
   可能に枢着し、このロツクプレートに、上記枢
   着軸を中心に円弧運動するロツクピンの通過を
   許容するリリース孔と、このリリース孔と連通
   し、ロツクピンの上下と係合可能な高さ位置の
   異なる複数のロツク孔とを設け、かつこのロツ
   クプレートをそのロツク孔がロツクピンと係合
   する方向に回動付勢したことを特徴とするクツ
   シヨンシートの傾斜角度調節装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、ロ
   ツクピンが、軸部金属材と、この金属材に嵌着
   した樹脂等の低摩擦性材料からなるクツシヨン
   シートの傾斜角度調節装置。