JPS6223917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトンネル内にコンクリート吹付施工機
の考案に係り、トンネル内に吹付けるべき材料を
長距離に亘り平易に移送せしめてコンクリートを
適切に吹付けると共にその内面を平滑に仕上げて
高能率に作業することのできる吹付施工機を得よ
とするものである。

近時における土木技術の発展普及に伴い各方面
においてトンネル施工が行われており、このよう
なトンネル構造において断面円形のものは土圧等
に対する耐圧性能に優れ、しかも内部を通水する
ような場合において水圧などの内圧に対しても好
ましい強度を発揮し得ることから種々に採用さ
れ、特に従来の開削溝内に鋳鉄管又は鋼管やヒユ
ーム管を敷設埋装するような工夫に代えてこのト
ンネル施工することが行われている。ところでこ
のようなトンネル施工に当つては適宜に鋼板コン
クリート等による外殻部体を組んでからその内面
に相当の厚さを有するコンクリート層を形成し引
張強度の優れた外殻部体と圧縮強度の優れたコン
クリート層とを一体化して外圧及び内圧の何れに
対しても好ましい耐圧性を得しめ、又通水するト
ンネルでは粗度係数を小ならしめるようにする
が、斯かるコンクリート層をトンネルの全周面に
おいて均一且つ迅速に形成することは容易でな
い。即ち内型を組んでコンクリートを装入し或い
は骨材をプレパツクドしてモルタルを注入するよ
うなことでは著しく工数、工期が嵩み、近時普及
化されつつある吹付工法によるとすると第１にこ
のようなトンネルは少なくとも数十ｍに達するよ
うな長距離に亘るものであり、しかも狭隘な空間
であるから斯からトンネル内の奥深くまで混練さ
れたコンクリート材料を圧送して吹付けるための
機構においては著しく大きな出力を必要とし、そ
の設備が甚だしく大型化して上記のようなトンネ
ル内での作業に適しない。又第２に吹付けられた
コンクリート層の内面に凹凸が激しく一旦吹付け
硬化後において更に内面にモルタルなどを吹付け
て仕上げることとなるが、この場合においても重
複した工程となり、折角の能率的吹付機構を採用
しながらやはり相当の工数、工期を必要とする。

本考案は上記したような実情に鑑み検討を重ね
て考案されたものであつて、その具体的実施態様
を添附図面に示すものについて説明すると、掘削
されたトンネル内に鋼板等による外殻部体１を設
け、該外殻部体１の外側には適宜に裏込め３０を
なすことは従来から実施されているところと同様
であるが、本考案ではこのような外殻部体１内に
コンクリートの吹付施工をなすために移動機構と
して台車１０の端部に第１図に示すように回転盤
１８を垂直状に設け、該回転盤１８にコンクリー
ト資料を送給して回転させることにより周側から
投射施工するようにした機構を用い、しかもこの
ような回転盤１８による吹付施工に関連させて鏝
片８を回動させ吹付けられたコンクリート層２８
の均一化と表面仕上げと行わしめる。即ち前記台
車１０の一端部に突設された前記回転盤１８は原
動機構４で駆動される駆動ギヤ５が該回転盤１８
の基端部外筒１４に形成されたギヤ１４ａと係合
せしめられ、該外筒１４の先端側に回転盤１８が
取付けられたものであることは別に第３図におい
て仔細を示す通りのものであつて、回転盤１８の
回転でコンクリート資料が投射吹付けられる。

又上記のような台車１０の一端部にカバー１１
が設けられ、該カバー１１の内面に取付けられた
支持部材１２により内面ギヤ部材９が適宜にベヤ
リングを介装して回転自在に設けられ、該内面ギ
ヤ部体９には連結杆６を配設して環状体５を取付
け、該環状体４には複数個の鏝片支持部４を等角
状態で円周方向に突設し、これら鏝片支持部４ａ
に設けられた突杆３には夫々前記鏝片８を上記し
た回転盤１８による投射吹付域より更に突出した
位置に設けてある。更に前記した内面ギヤ部体９
のギヤに対しては駆動機構によるもう１つの駆動
ギヤ２が係合されていて該内面ギヤ部体９の回動
を図るように成つている。前記した外筒１４内に
おいて回転盤１８にコンクリート資料を送給する
ための構成は別に第３図に示す通りであつて、本
考案では乾式材料供給系と湿式材料供給系とが併
用される。即ちセメント、砂および砂利に対して
水を添加混練したコンクリート（生コンクリー
ト）を上記したように数十ｍにも達するようなト
ンネル内で適切に圧送することは実地的に困難を
伴うものであつて、水セメント比（Ｗ／Ｃ）を大
とした水分過剰のコンクリート資料であるならば
その優れた流動性の故に圧送供給が容易であると
しても、そのように水分過剰のものでは吹付後に
おいてコンクリートがだれることになつて到底適
切な施工をなし得ず、又過剰な水分によつて折角
の吹付コンクリートにおける充分な強度が得られ
ない。これに対し乾式状態であるならばスクリ
ユ、ベルトコンベヤ、高圧空気の如きで円滑に移
送供給し得るとしても、斯かる乾式状態では勿論
コンクリートとしての水和反応が得られず目的の
コンクリート施工をなし得ないこととなる。これ
らの関係を考慮し相当距離に亘る搬送性を確保し
ながらしかも投射吹付け時において充分な強度を
発揮することのできるＷ／Ｃ値を得しめるように
した本考案の構成は前記外筒１４内に固定された
内筒２２を設け、該内筒２２内に中心筒２３を用
いたスクリユ機構１９を設ける。前記外筒１４は
軸受部１５で中間部を台車１０に支持されている
が、その先端部には別に第４図に示すように投射
板１６を放射板１６を放射状に配設した上記回転
盤１８を取付けており、該回転盤１８には前記ス
クリユ機構１９に対向させて撹拌翼１７ａ，１７
ｂが設けられている。前記中心筒２３は継手部２
３ｂにおいて供給筒２０に連結され、即ち、該供
給筒２０は固定部材であつてモルタル又はペース
トのようなＷ／Ｃ値の高い湿式流動性物供給系に
連結されてポンプ圧送される流動物を供給し、中
心筒２３にはプーリ又はスプロケツトホイールの
ような駆動部２３ａが形成されると共にスクリユ
羽根１９が設けられていてスクリユ圧送機構を構
成するが同時に上記のような供給筒２０からの流
動性物をポンプ圧送して回転盤１８部分に送る。
前記内筒２２は基端側が外筒１４より突出して固
定部材たるホツパー２１部分に継手部２４で回動
可能に連結され、又該継手部２４近くにスプロケ
ツトホイール又はプーリ２２ａが取付けられてい
て適宜に回動操作を受けるように成つており、更
に斯かる内筒２２の先端部は前記回転盤１８内に
突出し、該先端部に切欠部２２ｂを形成し、この
ような切欠部２２ｂからスクリユ機構で送り込ま
れるホツパー２１からの乾式材料と中心筒２３か
らの湿式流動物とを上記撹拌翼１７ａ，１７ｂに
よる撹拌混合操作を経て吐出することにより回転
盤１８の回転作用（速度及び方向）との関係で投
射吹付方向を規制するように成つており、しかも
上記スプロケツト又はプーリ２２ａによる該内筒
２２の回動で上記投射吹付方向を適宜に変更し得
るものである。前記ホツパー２１に対する乾式材
料の供給はコンベアなどにより相当の距離があつ
ても平易に送り込むことができる。

第１，２図に示す実施態様のものにおいては前
記した台車１０の移動走行のために外殻部体１の
底部内面にレール１３を設けて移動を円滑ならし
め、該レール１３としてはアングル部材を用い、
これによつて外殻部体１の底部を補強し、コンク
リート層２８の吹付け後においては該コンクリー
ト層２８中に埋装するようにしているが、斯かる
台車１０走行のための構成としてはその他の任意
の構成を採用することができる。

以上説明したような本考案によるときは流動性
を良好としたＷ／Ｃ値の高い湿式流動性材料と乾
式材料とを各別に送給するものであるから何れも
送給が容易で、相当の距離に亘るトンネル内へ有
効に供給せしめ、回転盤１８の高速回転により該
回転盤１８に設けられた撹拌翼によつて上記両供
給系からの材料を混練して適度のＷ／Ｃ値となし
供給されたコンクリート材料を投射して外殻部体
１の内面に上記回転盤の回転による遠心力で吹付
け施工し得ることは明かであり、又このような投
射吹付施工と共に内面ギヤの回動によつて鏝片８
により圧接摺動し均等なコンクリート層厚を形成
しつつ平滑な仕上げ面を形成し迅速且つ短期間内
に目的のトンネル内コンクリート吹付けを行い得
るものであつて実用上その効果の大きい考案であ
る。

又上記したような本考案の実施態様によればコ
ンクリートを形成すべき材料を例えばモルタル又
はペーストのような湿式流動性物系と砂利その他
の粗骨材及び砂のような細骨材（これらの骨材に
対しては必要に応じセメント粉を附着造殻させた
ものとしてよい）の如きである乾式材料系とに区
分して送給し、これらの材料を回転盤部分におい
て混合してから投射吹付けるようにしたのでトン
ネル内に相当の距離を奥深く位置した吹付機構に
対しても円滑に夫々の材料を送給することができ
（例えばホツパー２１に対してはベルトコンベア
の如きで相当距離に亘つて円滑に乾式材料を供給
することができ、中心管２３に対しては充分な流
動性をもつた湿式材料を送ることによつてポンプ
圧送で之亦長距離に亘つて円滑に送給できる）、
しかもこれらの乾式材料と湿式材料とを混合して
目的のＷ／Ｃ値のものとすることにより投射吹付
けられたコンクリートのだれなども殆んどなく、
又強度的にも優れた施工をなすことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すものであつて、
第１図は本考案による吹付施工機の施工状態を示
した側面図、第２図はその正面図、第３図は回転
盤部分に対する材料供給機構についての部分切欠
側面図、第４図は回転盤部分の縦断正面図であ
る。 然してこれらの図面において、１は外殻部体、
２は駆動ギヤ、３は突杆、４は環状体、４ａは鏝
片支持部、５は駆動ギヤ、８は鏝片、９は内面ギ
ヤ部体、１０は台車、１１はカバー、１２は支持
部材、１４は外筒、１４ａはそのギヤ、１６は投
射板、１７ａ，１７ｂは撹拌翼、１８は回転盤、
１９はスクリユ機構、２０は供給筒、２１はホツ
パー、２２は内筒、２３は中心筒を示すものであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動機構の一端部に突出して設けられた回転盤
   の中央部に材料を順次に送給し該回転盤の回転に
   よりコンクリート材料をトンネル内面に投射吹付
   けるようにしたものにおいて、上記回転盤より更
   に突出させ吹付けられたコンクリート層の内面に
   そい回動する鏝片を設け、しかも前記回転盤の中
   央部に向けて湿式流動性材料を供給する中心管を
   開口せしめ、該中心管に回動機構を附設すると共
   にスクリユ翼を取付けてホツパーからの乾式材料
   送給機構を形成し、前記回転盤に撹拌翼を設けて
   上記した両供給系から送られた材料を混合しつつ
   該回転盤に送給するようにしたことを特徴とする
   トンネル内コンクリート吹付施工機。