JPS6223285B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は液晶表示装置などに使用される偏光板
の製法に関するものである。 近年、卓上電子計算機、電子時計などに液晶表
示セルと偏光板とを組み合せた液晶表示装置が汎
用されている。 かかる偏光板は、一般に偏光フイルムと表面保
護層としてのアセテートフイルム又はポリアクリ
ル系樹脂フイルムなどのプラスチツクフイルム類
とで構成されている。 しかして、偏光フイルムとプラスチツクフイル
ム類との接着は、偏光板としての光学特性及び耐
久性などの点から、大部分ポリウレタン系接着剤
が用いられている。 しかし、ポリウレタン系接着剤は、初期接着強
度が比較的弱く、その硬化反応に長時間を要する
ために接着作業が煩雑であるといつた問題があ
る。 従つて本発明の目的は、初期接着強度が強く、
しかも短時間で硬化する偏光板の製法を提供する
ことにある。 本発明のかかる目的は、偏光フイルムと該フイ
ルムの表面保護層としてのポリアクリル系樹脂フ
イルムとを接着するに当り、該樹脂フイルムの表
層部分を溶解又は膨潤して粘着化させるビニル単
量体及び／又はオリゴマーを主成分とする液状物
を用い、前記樹脂フイルム又は液状物の各れか一
方に重合開始剤を含有させておき、前記偏光フイ
ルムと樹脂フイルムとの間に前記液状物を存在さ
せて加熱して前記液状物を重合させ、前記偏光フ
イルムと樹脂フイルムとを接着することによつて
達成される。 本発明によれば、偏光フイルムに接着されるポ
リアクリル系樹脂フイルムの表層部分は、ビニル
単量体及び／又はオリゴマーを主成分とする液状
物にて溶解又は膨潤して粘着化するために、偏光
フイルム面に確実且つ大なる接着面積で接触し、
しかも偏光フイルムとの界面はポリアクリル系樹
脂成分と液状物の重合物とで形成されるために、
偏光フイルムとポリアクリル系樹脂フイルムとは
強固に、しかも短時間で接着できるという特徴を
有する。 本発明を実施するに当つて用いられる偏光フイ
ルムとしては、ポリビニルアルコール系フイル
ム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フ
イルム、エチレン―酢酸ビニル共重合体系ケン化
フイルムの如き親水性高分子系フイルムに沃素及
び／又は二色性染料を吸着配向せしめた沃素及
び／又は染料系偏光フイルム、ポリビニルアルコ
ール系フイルムを脱水処理したり、ポリ塩化ビニ
ルフイルムを脱塩酸処理したりしてポリエンを配
向せしめたポリエン系偏光フイルムなどがあげら
れ、これらは通常10〜80μｍの厚みを有するもの
が使用される。 また該偏光フイルムの表面保護層として使用さ
れるポリアクリル系樹脂フイルムとしては、（メ
タ）アクリル酸エステル例えばアクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メ
タクリル酸エチルなどと、（メタ）アクリル酸、
無水マレイン酸、イタコン酸、（メタ）アクリル
酸―２―ヒドロキシエチル、アクリルアミドの如
き官能性モノマーと、スチレン、酢酸ビニル、
（メタ）アクリロニトリルの如き不飽和化合物と
を、好ましくは100〜50：０〜20：０〜30（重量
比）で重合してなる重合物、共重合物或いはさら
に該共重合物をポリイソシアネート化合物の如き
有機試薬で架橋してなる架橋共重合物を常法によ
り造膜（厚さ約15〜500μｍ）してなるものが使
用される。 またビニル単量体及び／又はオリゴムーとして
は前記ポリアクリル系樹脂フイルムの表層部分を
溶解又は膨潤して粘着化するものであれば特に制
限されず、次のものを例示することができる。 一官能性ビニル単量体：例えばメチル（メタ）
アクリレート、エチル（メタ）アクリレート、ｎ
―ブチル（メタ）アクリレート、イソブチル（メ
タ）アクリレート、シクロヘキシル（メタ）アク
リレート、２―エチルヘキシル（メタ）アクリレ
ート、デシル（メタ）アクリレート、ラウリル
（メタ）アクリレートの如きアルキル又はシクロ
アルキルアクリレート又はメタクリレート、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、（メタ）アクリロ
ニトリル、スチレン、ビニルトルエン、（メタ）
アクリル酸、２―ヒドロキシエチル（メタ）アク
リレート又は２―ヒドロキシプロピル（メタ）ア
クリレートの如き（メタ）アクリル酸のヒドロキ
シエステル、グリシジル（メタ）アクリレート、
ジエチルアミノエチル（メタ）アクリレートな
ど、 多官能性ビニル単量体：例えばエチレングリコ
ールジ（メタ）アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ（メタ）アクリレート、トリエチレングリ
コールジ（メタ）アクリレートの如き（メタ）ア
クリル酸のエチレングリコール又はプロピレング
リコールジエステル、トリメチロールプロパント
リ（メタ）アクリレート、テトラメチロールプロ
パンテトラ（メタ）アクリレートなど、 一官能性性オリゴマー：例えばポリエステル樹
脂と（メタ）アクリル酸との反応によつて得られ
るポリエステルモノ（メタ）アクリレートなど、 多官能性オリゴマー：例えばポリエチレングリ
コールジ（メタ）アクリレート、エポキシ樹脂と
（メタ）アクリル酸との反応によつて得られるエ
ポキシ（メタ）アクリレート、ポリイソシアネー
ト化合物とヒドロキシアルキル（メタ）アクリレ
ートとの反応によつて得られるウレタン（メタ）
アクリレート、ポリエステル樹脂と（メタ）アク
リル酸との反応によつて得られるポリエステルジ
（メタ）アクリレート或いはポリエーテルジ（メ
タ）アクリレートなど、 これらのビニル単量体及び／又はオリゴマーを
主成分とする液状物は、前記ビニル単量体及び／
又はオリゴマーの一種又は２種以上で構成される
が、その粘度は塗布作業性を考慮すると、0.01〜
100ポイズ、実用的には50ポイズ以下の範囲に調
整するのが好ましいものであり、該液状物はポリ
アクリル系樹脂フイルムと偏光フイルムとの界面
に、ポリアクリル系樹脂フイルム厚100μｍを基
準として１〜500ｇ／m²、好ましくは10〜300ｇ／
m²の範囲で塗布される。 これらのビニル単量体及び／又はオリゴマーと
前記ポリアクリル系樹脂フイルムとの組み合せ
は、同一であつてよいが、本発明者達が繰り返し
行つた実験によれば、前記フイルムの表層部分が
溶解又は膨潤した場合に、その系が僅かに白濁す
る程度の、若干相溶性が劣る組み合せが、より強
固な接着強度が得られることが判明している。ま
た上記ビニル単量及び／又はオリゴマーには、塗
設作業性を向上させる目的で相溶性良好なアクリ
ル系共重合物を30重量％以下で添加することがで
きる。 かかるビニル単量体及び／又はオリゴマーを主
成分とする液状物には、加熱により該液状物に重
合を開始させる重合開始剤が配合される。しかし
て該開始剤は前記ポリアクリル系樹脂フイルムに
配合しておいてもよいものである。 重合開始剤としては、ベンゾイルバーオキサイ
ド、メチルエチルケトンバーオキサイド、ラウロ
イルバーオキサイド、クメンヒドロキシバーオキ
サイドなどの有機過酸化物、2.2′―アゾビスイソ
ブチロニトリル、2′.2′―アゾビス―（４―メトキ
シ―2.4―ジメチルバレロニトリル）、1.1′―アゾ
ビス（シクロヘキサン―１―カルボニトリル）な
どのアゾ系化合物、その他過酸化水素、過硫酸ア
ンモンなどの反応開始温度が20〜100℃のものが
使用され、これらは0.01〜10重量％、実用的には
0.1〜４重量％の範囲で配合される。 また上記ポリアクリル系樹脂フイルム又は液状
物には、N.N―ジメチルアニリン、N.N―ジメチ
ルパラトルイジン、ナフテン酸コバルト、ナフテ
ン酸銅、チオ尿素、アセチル尿素の如き重合促進
剤を適量添加することができ、該促進剤の添加は
加熱によつて重合する液状物の重合を促進する効
果がある。 本発明の製法は、ポリアクリル系樹脂フイルム
に、重合開始剤を含むビニル単量体及び／又はオ
リゴマーを主成分とする液状物を、0.1〜100ｇ／
m²の厚みで塗布して、フイルム表面を溶解又は膨
潤して粘着化させ、この塗布粘着面に偏光フイル
ムを重ね合せて、25〜100℃で0.1〜250分間加熱
することによつて前記液状物を重合させ、ポリア
クリル系樹脂フイルムと偏光フイルムとが強固に
接着した偏光板を提供する。 前記製法において、予め偏光フイルムの表面を
1.6―ヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、
トリフエニルメタントリイソシアネートなどおよ
びそれらの変性体などのポリイソシアネート化合
物或いはビニルトリエトキシシラン、γ―グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、Ｎ―β（ア
ミノエチル）γ―アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシランの
如きシラン化合物などを用いて表面処理を行うこ
とは、より強い接着強度を有する偏光板が有効に
得られる。 以下本発明の実施例を示す。文中部とあるのは
重量部を意味する。 実施例 １ 厚さ30μｍのメタクリル酸メチルを主成分とす
るポリアクリル系樹脂フイルムの片面に、メタク
リル酸メチル100部、メタクリル酸グリシジル10
部及びアソビスイソブチロニトリル１部の混合液
状物を10ｇ／m²塗布し、これを下記する方法で得
た偏光フイルムの両面に貼り合せて圧着し、90℃
に保持したオーブン中に60分間放置して、偏光板
を得た。 ＜偏光フイルム＞ ポリビニルアルコール系フイルムを沃素濃度１
重量％、沃化カリウム濃度２重量％及びホウ酸濃
度４重量％に調整した水溶液中に浸漬し、50℃で
３〜４倍に延伸して透過率41％、偏光度92％の偏
光フイルム（厚さ30μｍ）を作製した。 実施例 ２ 厚さ50μｍのメタクリル酸メチルを主成分とす
るポリアクリル系樹脂フイルムの片面に、メタク
リル酸ブチル100部、スチレン10部及びベンゾイ
ルパーオキサイド0.5部の混合液状物を５ｇ／m²
塗布し、これを実施例１で用いた偏光フイルムの
両面に貼り合せて圧着し、70℃に保持したオーブ
ン中で10分間加熱後、85℃に24時放置して、偏光
板を得た。 実施例 ３ 厚さ20μｍのメタクリル酸メチルを主成分とす
るポリアクリル系樹脂フイルムの片面に、メタク
リル酸メチル100部、メタクリル酸ヒドロキシエ
チル５部、トリレンジイソシアネート３部、メタ
クリル酸メチル：アクリル酸エチル＝70：30の共
重合物10部及び2.2′―アゾビス―（４―メトキシ
―2.4―ジメチルバレロニトリル）１部からなる
混合液状物を20ｇ／m²塗布し、これを下記方法で
得た偏光フイルムの両面に貼り合せて圧着し、80
℃で20分間加熱して偏光板を得た。 ＜偏光フイルム＞ ポリビニルアルコール系フイルムを脱水触媒と
しての塩酸を0.1重量％を含む水溶液に浸漬しつ
つ、２倍に延伸した後、150℃中にてさらに2.5倍
に延伸且つ熱処理してポリエンを形成する。 次にポリエンを形成した上記フイルムを0.1重
量％の二色性染料を含む水溶液（液温30℃）に10
分間浸漬して、該染料を吸着配向して乾燥し、中
性色の色相を有する透過率43％、偏光度94％のポ
リエン―二色性染料系偏光フイルム（厚さ25μ
ｍ）を得る。 実施例 ５ メタクリル酸メチル―アクリル酸エチル共重合
物からなる樹脂溶液100部に対して、2.2′―アゾ
ビス―（４―メトキシ―2.4―ジメチルバレロニ
トリル）を２部配合し、これを離型ライナー上に
乾燥後の厚みが30μｍとなるようにキヤステイン
グしてポリアクリル系樹脂フイルムを得る。この
フイルムの片面にメタクリル酸メチル100部とメ
タクリル酸グリシジル20部からなる混合物を10
ｇ／m²塗布して実施例１の偏光フイルムの両面に
貼り合せ、80℃で120分間加熱して偏光板を得
た。 実施例 ６ メタクリル酸エチル―メタクリル酸共重合物か
らなる厚さ20μｍのポリアクリル系樹脂フイルム
の片面に、ポリエステルジメタクリレート（平均
分子量540）30部、メタクリル酸メチル50部、ア
クリル酸２―エチルヘキシル20部及び2.2′―アゾ
ビス―（４―メトキシ―2.4―ジメチルバレロニ
トリル）１部からなる液状物を20ｇ／m²塗布し、
これを実施例１の偏光フイルムの両面に貼り合せ
て80℃で120分加熱して偏光板を得た。 第１表に実施例１〜６の試験結果を示す。

【表】 上記実施例からも明らかなように、本発明の製
法で作製した偏光板は、ポリアクリル系樹脂フイ
ルムと偏光フイルムとの接着性に優れ、しかも耐
久性及び熱安定性を有する事実が顕著である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 偏光フイルムと該フイルムの表面保護層とし
   てのポリアクリル系樹脂フイルムとを接着するに
   当り、該樹脂フイルムの表層部分を溶解又は膨潤
   して粘着化させるビニル単量体及び／又はオリゴ
   マーを主成分とする液状物を用い、前記樹脂フイ
   ルム又は液状物の各れか一方に重合開始剤を含有
   させておき、前記偏光フイルムと樹脂フイルムと
   の間に前記液状物を存在させて加熱して前記液状
   物を重合させ、前記偏光フイルムと樹脂フイルム
   とを接着することを特徴とする偏光板の製法。