JPH08253749A - 有機溶媒溶解型感圧性接着剤 - Google Patents

有機溶媒溶解型感圧性接着剤

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JPH08253749A
JPH08253749A JP8354295A JP8354295A JPH08253749A JP H08253749 A JPH08253749 A JP H08253749A JP 8354295 A JP8354295 A JP 8354295A JP 8354295 A JP8354295 A JP 8354295A JP H08253749 A JPH08253749 A JP H08253749A
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JP
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sensitive adhesive
weight
acrylic
polymer
pressure
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JP8354295A
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English (en)
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Norimitsu Ebata
範充 江端
Masashi Yamamoto
昌史 山本
Takashi Yoshioka
崇 吉岡
Shusuke Niizeki
秀典 新夕
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Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特に偏光板用の感圧性接着剤として用いると
き、その偏光板の耐久性を顕著に改善することのできる
有機溶媒溶解型感圧性接着剤の提供。 【構成】アクリル系(共)重合体を含有してなる有機溶媒
溶解型感圧性接着剤において、該アクリル系(共)重合体
の重量平均分子量が100万以上であること、該アクリル
系(共)重合体の30重量%酢酸エチル溶液の曇度(ヘイ
ズ)が0であり且つ5重量%酢酸エチル/n-ヘキサン混
合溶媒(混合重量比=7/50)溶液の曇度(ヘイズ)が
5以上であることを特徴とする有機溶媒溶解型感圧性接
着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に偏光板用の感圧性
接着剤として用いられるとき、その偏光板の耐久性を顕
著に改善することのできる有機溶媒溶解型感圧性接着剤
に関し、より詳しくは、特定の重量平均分子量を有する
アクリル系(共)重合体を含有してなる有機溶媒溶解型感
圧性接着剤であって、その特定の酢酸エチル/n-ヘキサ
ン混合溶媒溶液の曇度(ヘイズ)が特定値以上である有
機溶媒溶解型感圧性接着剤に関するものであり、好まし
くは、多官能有機過酸化物を重合開始剤として重合され
たアクリル系(共)重合体を含有してなる有機溶媒溶解型
感圧性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電子時計、電子卓上計算機、計
測器などの表示装置には液晶表示セルと偏光板とを貼り
合わせたものが使用されており、この液晶表示セルへの
偏光板の貼り合せは、一般に網目状に形成した感圧性接
着剤層を偏光板の表面にラミネートし、これを液晶表示
セル面に重ね合せると共に圧着することによって行われ
ているが、近年、このような液晶表示セルと偏光板との
組合せからなる感圧接着型偏光板を用いた液晶表示装置
にも高度な耐久性が要求されるようになっており、その
信頼性テスト条件も極めて厳しい条件となってきている
のが実情である。
【0003】このような液晶表示セルと偏光板とを貼り
合わせるための感圧性接着剤として、従来より上記の課
題を解決するためのいくつかの提案が知られており、例
えば、特開昭59−111115号公報には、数平均分子量(M
n)10万以上、重量平均分子量(Mw)50万以上で、且つ
数平均分子量と重量平均分子量との比(Mw/Mn)が6
以下のアクリル系樹脂からなる感圧性接着剤層が提案さ
れている。また、例えば、特開平1−66283号公報に
は、重量平均分子量10万以下の成分の含有量が15重量%
以下で、且つ重量平均分子量100万以上の成分の含有量
が10重量%以上であるアクリル系樹脂からなる感圧性接
着剤層が提案され、さらに、例えば、特開昭60−207101
号公報には、反応性官能基を含有するアクリル系樹脂を
多官能性化合物により架橋した感圧性接着剤層が提案さ
れている。
【0004】しかしながら、これらのアクリル系感圧性
接着剤による感圧接着型偏光板を用いた液晶表示装置
は、通常の使用には十分に耐える性能を具備するもので
はあるものの、より苛酷な条件下、例えば高温で又は高
温多湿条件下で長時間使用するような場合には、感圧性
接着剤層と偏光板又は液晶セル(ガラス板)との界面
で、剥がれや発泡が起こり、液晶表示装置として使用で
きなくなるという問題があることが判明した。
【0005】一方、本発明におけるアクリル系(共)重合
体の製造に好適な重合開始剤として使用される多官能有
機過酸化物を用いた重合体も知られており、例えば、特
開平2−32107号公報には、着色がなく透明性が良好
で、且つ残留単量体量の少ない高重合度共重合体を得る
ことを目的に、該多官能有機過酸化物を用いたα-メチ
ルスチレン/アクリロニトリル系共重合体の製造方法が
提案されている。
【0006】しかしながら上記製造方法は、高耐熱性で
熱変形温度が高い硬い樹脂の製造方法に関するものであ
り、本発明におけるような感圧性接着剤用の樹脂につい
てなど何等の記載も示唆もなく、まして得られる樹脂が
偏光板用感圧性接着剤として特に優れていることについ
てなど、全く何も教示するものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
剥がれや発泡の発生原因について種々の検討を行ったと
ころ、その主な原因が、従来の感圧性接着剤による接着
剤層では高温又は高温高湿条件下において接着力及び弾
性率が不十分であるため、前記ラミネート時又は貼り合
せ時に該接着剤層と偏光板又は液晶セルとの界面に抱き
込まれた空気の、熱による膨脹が阻止できないことなど
にあることが分かった。そこで、界面の空気の熱による
膨脹を阻止するため、感圧性接着剤に用いられている樹
脂の分子量を高めることにより、接着剤層の弾性率を大
きくしようとすると、感圧性接着剤溶液の固形分当りの
粘度が高くなり、接着剤層形成時の作業性が悪くなると
共に粘着性も低下して、該接着剤層と偏光板又は液晶表
示セルとの密着性が悪くなり、接着力が低下してしまう
という問題があることも分かった。
【0008】本発明者等は、感圧性接着剤の高温及び高
温高湿条件下での接着力の向上及び弾性率の増大を計る
ため、さらに種々の検討を継続した結果、特定の重量平
均分子量を有するアクリル系(共)重合体(A)を含有して
なる有機溶媒溶解型感圧性接着剤の中に、このような苛
酷な条件下での剥がれや発泡の発生を阻止する優れた感
圧性接着剤があること、このような優れた感圧性接着剤
を構成するアクリル系(共)重合体(A)は、例えば、特定
の多官能有機過酸化物を重合開始剤として重合すること
によって容易に製造できること、該アクリル系(共)重合
体(A)は、貧溶媒で希釈すると僅かに曇りが生ずること
などを見出し、更に研究を進めて本発明を完成した。な
おこの僅かな曇りの発生理由は必ずしも詳らかではない
が、該アクリル系(共)重合体(A)が枝分かれ構造を有し
ていることに由来するものと推定される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル系
(共)重合体(A)を含有してなる有機溶媒溶解型感圧性接
着剤において、該アクリル系(共)重合体(A)の重量平均
分子量が100万以上であること、該アクリル系(共)重合
体(A)の30重量%酢酸エチル溶液の曇度(ヘイズ)が0
であり且つ5重量%酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶媒
(混合重量比=7/50)溶液の曇度(ヘイズ)が5以上
であることを特徴とする有機溶媒溶解型感圧性接着剤の
提供を目的とするものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】〔アクリル系(共)重合体(A)〕本発明の有
機溶媒溶解型感圧性接着剤は、重量平均分子量(Mw)
が100万以上、好ましくは110万以上、より好ましくは11
0万以上、特に好ましくは130万〜200万であるアクリル
系(共)重合体(A)を含有する。Mwが該下限値未満と小さ
過ぎては、高温及び高温高湿条件下での耐久性が不十分
となりがちであり好ましくない。一方該上限値以下であ
れば、粘着性が十分に大きく被着体との密着性に優れて
いるため、被着体から剥がれを生じることがないので好
ましい。
【0012】また上記(共)重合体の数平均分子量(M
n)は、通常5万以上、好ましくは8〜50万であるのが
よい。Mnが該下限値以上であれば、粘着性及び初期接
着力が優れており好ましい。一方、Mnが50万を超えた
(共)重合体の製造は容易ではないのでMnは該範囲内に
なるように調節するのがよい。なおこのMw及びMnは、
いずれもゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以
下、GPCと略称することがある)による測定値に基づい
たものとする。
【0013】本発明の有機溶媒溶解型感圧性接着剤は、
該感圧性接着剤中に含まれるアクリル系(共)重合体(A)
の30重量%酢酸エチル溶液の曇度(ヘイズ)が0であ
り、且つ、5重量%酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶媒
(混合重量比=7/50)溶液の曇度(ヘイズ)が5以
上、好ましくは8以上であることが必要である。該(共)
重合体の30重量%酢酸エチル溶液の曇度(ヘイズ)が0
を超えていると、得られる感圧性接着剤層の表面の平滑
性が損なわれ、被着体への接着力が低くなりがちとなる
ので好ましくない。また5重量%酢酸エチル/n-ヘキサ
ン混合溶媒(混合重量比=7/50)溶液の曇度(ヘイ
ズ)が5未満と小さ過ぎては、得られる感圧性接着剤層
の弾性率が不十分となり、偏光板用の感圧性接着剤とし
て用いた時、偏光板表面への感圧性接着剤層のラミネー
ト時又はその結果得られた感圧性接着剤層を有する偏光
板の液晶表示セル面への貼り合わせ時に、抱き込まれた
界面の空気の熱による膨脹を阻止することができないの
で好ましくない。なお本明細書における曇度(ヘイズ)
とは、次のようにして測定された値である。
【0014】曇度(ヘイズ)の測定 1) アクリル系(共)重合体の30重量%酢酸エチル溶液の
作成: 剥離処理を施した厚さ125μmのポリエステルフィ
ルム上に、ドクターブレードを用いて有機溶媒溶解型感
圧性接着剤を乾燥時の厚さが約50μm程度になるように
塗布し、熱風乾燥機中で100℃、3分間乾燥する。
【0015】なお該感圧性接着剤が酸化チタンや炭酸カ
ルシウム等の無機物を含有しているときには、該感圧性
接着剤を、必要に応じて適宜の有機溶媒で希釈して粘度
を低下させ、遠心分離等の適宜の公知手段によりこれら
無機物を分離・除去してから塗布する。また該感圧性接
着剤が可塑剤やタッキファイア等の有機添加剤を含有し
ているときには、上記のようにして得られた感圧性接着
剤のフィルムを、含有されている有機添加剤の良溶媒で
あって感圧性接着剤のフィルムの貧溶媒であるような適
宜の溶媒を用いて、該有機添加剤を抽出するなどの公知
の手段により除去するのがよい。
【0016】得られたアクリル系(共)重合体フィルム
は、高純度(純度約99.9重量%)の酢酸エチルを用いて
溶解し、30重量%酢酸エチル溶液とする。
【0017】2) アクリル系(共)重合体の5重量%酢酸
エチル/n-ヘキサン混合溶媒(混合重量比=7/50)溶
液の作成:1)で得られたアクリル系(共)重合体の30重量
%酢酸エチル溶液100重量部に対して、n-ヘキサン(純
度約99.9重量%)500重量部を添加して均一に混合す
る。
【0018】3) 曇度(ヘイズ)の測定:ヘイズメータ
ー「TC-HIIIDP」〔東京電色(株)製〕を用い、酢酸エチ
ルを標準溶媒として標準調整を行った後、1)及び2)で作
成したアクリル系(共)重合体溶液を測定セルに入れて測
定し、コンピュータ処理により曇度(ヘイズ)の値を求
める。尚、酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶媒の曇度(ヘ
イズ)は0であった。
【0019】本発明に用いることのできるアクリル系
(共)重合体(A)のガラス転移点(以下、Tgと略記するこ
とがある)は、一般に−30℃以下、好ましくは−40〜−
80℃、特に好ましくは−50〜−70℃であるのがよい。該
上限値以下の温度であれば得られる感圧性接着剤層が優
れた粘着性及び初期接着性を有しているので好ましい。
【0020】なお本発明において、アクリル系(共)重合
体(A)のガラス転移点(Tg)は、下記により測定された値
である。
【0021】ガラス転移点:厚さ約0.05mmのアルミニウ
ム箔製の、内径約5mm、深さ約5mmの円筒型のセルに、
アクリル系(共)重合体の約50重量%有機溶媒溶液試料約
10mgを秤取し、100℃で2時間乾燥したものを測定試料
とする。セイコー電子工業(株)製SSC-5000型示差走査熱
量計(Differential Scanning Calorimeter)を用い、
−150℃から昇温速度10℃/minで測定する。
【0022】本発明の有機溶媒溶解型感圧性接着剤は、
下記単量体(a)〜(c)を(共)重合してなるアクリル系(共)
重合体(A)を含有する。
【0023】(a) 下記一般式(1)で示される(メタ)アク
リル酸エステル単量体であって、その単独重合体のガラ
ス転移点が−20℃以下である(メタ)アクリル酸エステル
単量体50〜100重量%、 H2C=CR1COOR2 (1)
【0024】(式中、R1はH又はCH3、R2は炭素数
2〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基を表わす)
【0025】(b) ラジカル重合性不飽和基の他に少なく
とも1個の官能性基を有する単量体0〜15重量%、及
び、
【0026】(c) 上記単量体(a)及び(b)と共重合可能
で、且つ該単量体(a)及び(b)以外の共単量体 0〜50重
量%。
【0027】〔但し単量体(a)〜(c)の合計を100重量%
とする〕
【0028】上記一般式(1)の(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体(a)の例としては、例えば、エチルアクリレー
ト、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、
i-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、nーオク
チルアクリレート、iーオクチルアクリレート、2ーエチル
ヘキシルアクリレート、nーノニルアクリレート、i-ノニ
ルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキ
シルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどの
(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12アルキルエステル単量
体を例示することができる。これらのうち好ましい単量
体としては、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレ
ート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアク
リレート、2-エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリ
ルメタアクリレート等を挙げることができる。
【0029】単量体(a)の使用量は、前記単量体(a)〜
(c)の合計を100重量%として、前記のとおり一般に50〜
100重量%、好ましくは60〜99.95重量%、より好ましく
は65〜99.9重量%、更に好ましくは70〜99.8重量%程度
であるのがよい。該単量体(a)を、該使用量範囲におい
て適宜選択利用することにより、得られる感圧性接着剤
層が優れた粘着力を有し、被着体への貼着性に優れてい
るので好ましい。
【0030】前記単量体(b)、すなわち、ラジカル重合
性不飽和基の他に少なくとも1個の官能性基を有する単
量体(以下、官能性単量体ということがある)(b)とし
ては、官能性基として、例えば、カルボキシル基、アミ
ド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミ
ノ基、メルカプト基などを有する単量体を挙げることが
でき、本発明においては、これらの中から1種または2
種以上の単量体を適宜選択して用いることができる。
【0031】これら官能性単量体(b)の具体例として
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、
シトラコン酸、桂皮酸(好ましくは、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸)などのカルボキシル基含有単量
体;例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N
-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド〔好ましく
は、(メタ)アクリルアミド〕などのアミド基もしくは置
換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート
(好ましくは、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート)などの
アミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0032】例えば、ビニルメチルカプタン、アリルメ
ルカプタンなどのメルカプト基含有単量体;例えば、グ
リシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アル
コールの(メタ)アクリル酸エステル類;例えば、グリシ
ジル(メタ)アリルエーテル、グリシジルビニルエーテル
などのエポキシ基含有アルコールの(メタ)アリルアルコ
ールもしくはビニルエーテル類;例えば、2-ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートなどの水酸基含アルコールの(メタ)ア
クリル酸エステル類;等を例示することができる。これ
らの官能性単量体(b)のうち、水酸基含有アルコールの
(メタ)アクリル酸エステルを特に好適に使用することが
できる。
【0033】これら官能性単量体(b)の使用量は、前記
単量体(a)〜(c)の合計を100重量%として、前記のとお
り一般に0〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%、よ
り好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.2〜2重
量%である。
【0034】前記共単量体(c)、すなわち、前記単量体
(a)及び(b)と共重合可能で、且つ該単量体(a)及び(b)以
外の共単量体(c)を共重合成分として含有させることが
できる。
【0035】このような共単量体(c)としては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレー
ト、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレー
ト、t-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート、オレイル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート
などの前記単量体(a)以外の(メタ)アクリル酸エステル
単量体;例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」〔商品名:シェル
社製〕など飽和脂肪酸ビニルエステル単量体;例えば、
ジブチルマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタ
コネート、ジオクチルマレート、ジオクチルフマレー
ト、ジオクチルイタコネート等のα,β-不飽和ジカルボ
ン酸の炭素数1〜13の直鎖もしくは分枝アルキルエステ
ル;例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルト
ルエン、エチルビニルベンゼン等の芳香族ビニル単量
体;例えば、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニ
ル単量体;等を例示することができる。
【0036】これら共単量体(c)の使用量は、前記単量
体(a)〜(c)の合計を100重量%として、前記のとおり一
般に0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%である。
【0037】〔アクリル系(共)重合体(A)の製造〕本発
明に用いる前記アクリル系(共)重合体(A)の重合方法
は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重
合、懸濁重合など公知の方法を採用できるが、重合によ
り得られた(共)重合体混合物を用いて有機溶媒溶解型感
圧性接着剤を製造するに当り、処理工程が比較的簡単で
且つ短時間で行うことのできる溶液重合の採用が好まし
い。
【0038】溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有
機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用い
られる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の
還流温度で、攪拌しながら数時間加熱反応させることに
より行われる。この場合に有機溶媒、単量体、重合開始
剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加し
てもよい。
【0039】上記の重合用有機溶媒としては、例えば、
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベン
ゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-
キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等の芳
香族炭化水素類;例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-
オクタン、i-オクタン、n-デカン、ジペンテン、石油ス
ピリット、石油ナフサ、テレピン油等の脂肪系もしくは
脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチ
ル、酢酸n-アミル、酢酸2-ヒドロキシエチル、酢酸2-ブ
トキシエチル、酢酸3-メトキシブチル、安息香酸メチル
等のエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチル-i-ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキ
サノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;例え
ば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール
エーテル類;例えば、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、
n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、s-ブチルア
ルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;など
を挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単
独で、または、2種以上混合して用いることができる。
【0040】前記重合開始剤としては、通常の溶液重合
で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物等を使用するこ
とも可能であるが、高分子量で且つ高弾性率を有するア
クリル系(共)重合体(A)を容易に得ることができ、しか
も、得られる該(共)重合体の溶液の固形分当りの粘度を
低くすることができるので、多官能有機過酸化物を使用
するのが好ましい。
【0041】このような多官能有機過酸化物としては、
下記一般式(2)で示されるパーケタール類が好適に使用
される。
【0042】
【化3】
【0043】(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基又
はフェニル基、R3,R4は炭素数1〜2のアルキル基を
表わす)
【0044】このような多官能有機過酸化物の具体例と
しては、例えば、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシ
シクロヘキシル)プロパン、 2,2-ビス(4,4-ジ-t-アミル
パーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ
-t-オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-
ビス(4,4-ジ-α-クミルパーオキシシクロヘキシル)プロ
パン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキ
シル)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルパーオキシ
シクロヘキシル)ブタン等の4官能性有機過酸化物を挙
げることができる。
【0045】これら多官能有機過酸化物の使用量は、前
記単量体(a)〜(c)の合計100重量部に対して、0.05〜3.5
重量部、特には0.5〜2.0重量部であるのが好ましい。該
下限値以上であれば重合転化率が実用上十分な範囲まで
上昇するので好ましく、該上限値以下であれば重合速度
が適度であり、重合反応の制御も容易なので好ましい。
【0046】本発明における多官能有機過酸化物は2種
混合して用いることもでき、また必要に応じて、通常の
溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物等を併
用することも可能である。
【0047】このような有機過酸化物としては、例え
ば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシ
ド、カプロイルパーオキシド、ジ-i-プロピルパーオキ
シジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート、t-ブチルパーオキシビバレート等;アゾ
化合物としては、例えば、2,2'-アゾビス-i-ブチルニト
リル、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,
2'-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル
等;を挙げることができる。
【0048】上記通常の有機過酸化物の併用量は、前記
単量体(a)〜(c)の合計100重量部に対して、0〜2重量
部、特には0.1〜1重量部であるのが好ましい。
【0049】また、前記連鎖移動剤としては、例えば、
シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエス
テル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアル
キルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フル
オレン、9-フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;
p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼ
ン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、p-ニトロ
トルエン等の芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,
3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノン等のベンゾキノン
誘導体類;トリブチルボラン等のボラン誘導体;四臭化
炭素、四塩化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリ
ブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロ
ロメタン、トリブロモメタン、3-クロロ-1-プロペン等
のハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒド等
のアルデヒド類;炭素数1〜18のアルキルメルカプタン
類;チオフェノール、トルエンメルカプタン等の芳香族
メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭
素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒド
ロキルアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレン
等のテルペン類;等を挙げることができる。
【0050】上記連鎖移動剤を用いる場合その使用量
は、前記単量体(a)〜(c)の合計100重量部に対して、約
0.005〜3.0重量部であるのが好ましい。
【0051】重合温度としては、一般に約30〜180℃、
好ましくは約60〜150℃の範囲がよい。
【0052】なお、溶液重合法などで得られた重合物中
に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くた
めに、メタノール等による再沈澱法で精製することも可
能である。
【0053】〔有機溶媒溶解型感圧性接着剤〕本発明の
有機溶媒溶解型感圧性接着剤は、前記のアクリル系(共)
重合体(A)とともに、所望により、種々の添加剤を含有
することができる。このような添加剤の例としては、粘
着付与剤、顔料、染料、酸化防止剤、シランカップリン
グ剤、架橋剤等を挙げることができ、特に耐久性の向上
の観点から架橋剤の使用が好ましい。
【0054】本発明において、前記のアクリル系(共)重
合体(A)とともに用いることのできる架橋剤(B)として
は、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹
脂、アミノ樹脂、金属キレート等を例示することがで
き、これらのうち、ポリイソシアネート化合物、エポキ
シ樹脂、アミノ樹脂の使用、特にポリイソシアネート化
合物の使用が好ましい。
【0055】上記のポリイソシアネート化合物として
は、例えば、m-もしくはp-フェニレンジイソシアネー
ト、2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネート、m-も
しくはp-キシリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニ
ルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネー
ト化合物;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、上記芳香族ジイソシアネ
ート化合物の水素添加物、ダイマー酸ジイソシアネート
等の脂肪族又は脂環族ジイソシアネート化合物;これら
イソシアネート化合物の2量体又は3量体;これらイソ
シアネート化合物と、例えば、水、エチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン等の2価又は3価のポリオ
ールとのアダクト物、イソシアネート基をブロック化し
たブロック化ポリイソシアネートが挙げられる。これら
ポリイソシアネート化合物の中でも、耐候性がよいとい
う点からトリレンジイソシアネートの水添加物、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート
の水添加物、これらイソシアネート化合物の2量体又は
3量体、これらイソシアネート化合物と水や2価又は3
価のポリオールとのアダクト体が特に好ましい。
【0056】前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビス
フェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポ
キシ樹脂;を例示することができる。
【0057】またこれらの他に、例えば、フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;例えば、ポリ
アルキレンポリオール(グリセロール、ソルビトール、
ネオペンチルグリコールなど)ポリグリシジルエーテル
等のグリシジルアルキルエーテル系エポキシ樹脂;例え
ば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリ
グリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-ア
ミノフェノール、テトラグリシジル-m-キシレンジアミ
ン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;
【0058】例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリ
シジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒ
ドロフタレート等のグリシジルエステル系エポキシ樹
脂;例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3',4'
-エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、3,4-エポ
キシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシ-
6'-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-
エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等
の環状脂肪族型エポキシ樹脂;例えば、トリグリシジル
イソシアヌレート、グリシジルグリシドオキシアルキル
ヒダントイン等の複素還式エポキシ樹脂などが例示でき
る。
【0059】さらに、これらエポキシ樹脂のハロゲン化
物;これらエポキシ樹脂に多塩基酸又はポリエステルポ
リカルボン酸を反応して得られるエポキシ基含有樹脂;
ポリエステルポリカルボン酸のポリグリシジルエステ
ル;ポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテ
ル;などの各種エポキシ樹脂を例示することができる。
【0060】前記のアミノ樹脂としては、一般に塗料用
に用いられるアルキル化メチロールメラミンが特に好適
に使用できる。中でもメチロール化度が4〜6の範囲内
にあり、アルキル化度が3〜6の範囲内にあるものが好
ましい。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基
及びこれら異性体など炭素数1〜8のものが挙げられる
が、その中でも炭素数1〜4のものが好ましい。
【0061】これら架橋剤(B)を用いる場合その使用量
は、有機溶媒溶解型感圧性接着剤に含有されているアク
リル系共重合体(A)の前記の官能性単量体(b)に由来する
官能性基1当量に対して、一般に0.05〜1当量、好まし
くは0.1〜0.8当量、更に好ましくは0.2〜0.7当量である
のがよい。
【0062】本発明に用いることのできる前記シランカ
ップリング剤(C)としては、下記一般式(3)で示される化
合物を挙げることができる。
【0063】
【化4】
【0064】(式中、Xは加水分解性基、Yは有機マト
リックスと反応する有機官能性基、Zは非加水分解性
基、R5は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示
し、nは2又は3である)
【0065】上記Xの加水分解性基としては、例えば、
アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、2-メト
キシエトキシ基、2-メトキシエトキシエトキシ基等)、
アセトキシ基、塩素原子などを挙げることができ、特に
メトキシ基であるのが好ましい。Yの有機マトリックス
と反応する有機官能性基としては、例えば、ビニル基、
(メタ)アクロイロキシ基、エポキシ含有基(例えば、グ
リシドキシ基、エポキシシクロヘキシル基等)、メルカ
プト基、アミノ基、ウレイド基、塩素原子、イミダゾー
ル基、シアノ基などを挙げることができ、(メタ)アクロ
イロキシ基、エポキシ含有基であるのが好ましい。Zの
非加水分解性基としては、例えばメチル基等が挙げら
れ、R5のアルキレン基としては、例えば、エチレン
基、n-プロピレン基などが挙げられ、n-プロピレン基で
あるのが好ましい。
【0066】このようなシランカップリング剤(C)の具
体例としては、例えば、3-クロロプロピルトリメトキシ
シラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N-[2-(N-2-アミノエチ
ル)アミノエチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニ
ル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(4,5-ジヒ
ドロイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3-ア
ミノプロピルトリス(2-メトキシエトキシエトキシ)シラ
ン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプ
ロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシ)シク
ロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエ
トキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-シアノプロ
ピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエ
トキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル
トリクロルシラン、3-クロロプロピルメチルジクロルシ
ラン、オクタデシル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]
アンモニウムクロリド、N-[2-(N-ビニルベンジル)アミ
ノエチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩
などを挙げることができる。
【0067】本発明においては、これらシランカップリ
ング剤(C)を用いることにより、得られる感圧性接着剤
層に無機質基材に対する接着力を向上させることができ
る。この場合、該シランカップリング剤(C)の使用量
は、該感圧性接着剤中に含有されるアクリル系(共)重合
体100重量部に対して、一般に0.01〜3重量部、好まし
くは0.05〜2重量部であるのがよい。
【0068】〔偏光板用感圧性接着剤としての使用〕本
発明の有機溶媒溶解型感圧性接着剤は、各種表示装置に
おける液晶表示セルと偏光板とを貼り合わせるための感
圧性接着剤として特に優れた性能を発揮するものであ
る。
【0069】本発明の感圧性接着剤が好適に使用できる
偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィ
ルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィル
ム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム、
セルロース系フィルムの如き親水性高分子フィルムに沃
素及び/又は二色性染料を吸着配合せしめた沃素系又は
染料系偏光子;或いはポリビニルアルコール系フィルム
を脱水処理してポリエンを形成してなるポリエン系偏光
子などの偏光子の片面又は両面に、光学的透明性を有す
る材料からなる保護層を設けてなるもの;などが挙げら
れる。
【0070】上記の保護層は、適宜の透明なポリマーフ
ィルムを、例えば接着剤を用い、又は、融着もしくは溶
着するなどの接着手段により偏光子面に貼着することに
より形成されるか、或いは、硬化して成膜しうる樹脂を
偏光子面に塗布して加熱硬化、又は、紫外線もしくは電
子線硬化の手段を用いて樹脂膜を作ることにより形成す
ることもできる。
【0071】上記接着手段を用いて偏光子面に形成され
て保護層とされるポリマーフィルムとしては、例えば、
二酢酸セルロース、三酢酸セルロースの如きセルロース
系フィルムが代表的であるが、その他に、例えば、ポリ
アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポ
リエステル系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィル
ム、ポリスルホン系フィルム、ポリイミド系フィルムな
ども使用される。また樹脂膜を形成する樹脂としては、
ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などがある。
【0072】本発明の有機溶媒溶解型感圧性接着剤は、
偏光板の片面又は両面に乾燥時の厚さが約10〜300μmと
なるように適用されるのが好ましい。得られる感圧性接
着剤層面には該接着剤層面を保護するため、透湿性の小
さい(好ましくは50g/m2・24hr以下)剥離フィルム又は
その類似物、例えばポリエステルフィルム、ポリオレフ
ィンフィルム、金属箔などが仮接着される。
【0073】アクリル系(共)重合体(A)を含有してなる
感圧性接着剤層の形成方法としては、本発明の有機溶媒
溶解型感圧性接着剤を塗布可能な粘度に希釈し、これを
対象面に塗布・乾燥して溶媒を除去する方法を採用する
ことができるが、本発明においては、先ずシリコーン樹
脂等により離型処理が施されたポリエステルフィルム等
の剥離フィルム上に、該有機溶媒溶解型感圧性接着剤を
適宜な厚さに塗布し、加熱乾燥して感圧性接着剤層を形
成させ、次に適当な大きさに切断された該剥離フィルム
の接着剤層側を偏光板に押し当てて積層接着することに
より偏光面に接着剤層を設けるのが便利であり、該接着
剤層付きの偏光板を液晶セル面等に貼り合わせるには、
その際に偏光板から剥離フィルムを引き剥して露出した
接着剤層を液晶セル面等に押し当てればよい。
【0074】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例及び参考例に
より一層詳細に説明する。
【0075】参考例1 還流冷却管、温度計、攪拌機、逐次滴下装置を取り付け
たセパラブルフラスコ中に、初期添加用有機溶媒として
酢酸エチル(EAc)40重量部及び重合開始剤として、2,2
-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロ
パン〔化薬アクゾ(株)製、「パーカドックス12X625(PX1
2)」〕0.04重量部を入れ、次いでn-ブチルアクリレート
(BA)99重量部及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート
(HEMA)1重量部からなる単量体混合物のうち25重量%
を加えて加熱し、還流温度(約80℃)で約20分間重合を
行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75
重量%と、EAc 20重量部及び重合開始剤0.4重量部から
なる重合開始剤溶液とを約90分間にわたって逐次滴下
し、更に約60分間EAc 40重量部及び重合開始剤0.8重量
部からなる重合開始剤溶液を添加して熟成した後、EAc
300重量部を加えて希釈し固形分約20重量%、粘度3040c
ps(B型粘度計、25℃、10rpm;粘度測定条件は以下同
様)のアクリル系共重合体(A)溶液を得た。
【0076】使用した単量体組成、単量体混合物の添加
方法、使用した有機溶媒の種類及びそのの添加方法、並
びに、重合開始剤の種類及びその添加方法を表1に、得
られた共重合体の粘度、固形分、Mw、Mn、Tg、並び
に、30重量%酢酸エチル溶液及び5重量%酢酸エチル/
n-ヘキサン混合溶媒(混合重量比=7/50)溶液の曇度
(ヘイズ)の値を表2に示す。
【0077】参考例2〜3 参考例1において、有機溶媒の初期添加と逐次添加の種
類、量比を変える以外は同様にしてアクリル系共重合体
(A)溶液を得た。使用した単量体組成、単量体混合物の
添加方法、使用した有機溶媒の種類及びそのの添加方
法、並びに、重合開始剤の種類及びその添加方法を表1
に、得られた共重合体の粘度、固形分、Mw、Mn、T
g、並びに、30重量%酢酸エチル溶液及び5重量%酢酸
エチル/n-ヘキサン混合溶媒(混合重量比=7/50)溶
液の曇度(ヘイズ)の値を表2に示す。
【0078】参考例4 参考例1において、有機溶媒の量比及び重合開始剤の種
類を変える以外は同様にしてアクリル系共重合体(A)溶
液を得た。使用した単量体組成、単量体混合物の添加方
法、使用した有機溶媒の種類及びそのの添加方法、並び
に、重合開始剤の種類及びその添加方法を表1に、得ら
れた共重合体の粘度、固形分、Mw、Mn、Tg、並び
に、30重量%酢酸エチル溶液及び5重量%酢酸エチル/
n-ヘキサン混合溶媒(混合重量比=7/50)溶液の曇度
(ヘイズ)の値を表2に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】実施例1 参考例1で得られたアクリル系共重合体(A)溶液500重量
部(アクリル系共重合体として約100重量部)に、イソ
シアネート系架橋剤(B)「コロネート L45E」〔商品名:
日本ポリウレタン(株)製トルエンジイソシアネートとト
リメチロールプロパンとからなるウレタンプレポリマ
ー〕2.5重量部〔アクリル系共重合体(A)中の官能性基1
当量に対して0.6当量〕及び、シランカップリング剤「K
BM 403」〔商品名:信越化学工業(株)製、3-グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン〕0.1重量部を攪拌混合
し有機溶媒溶解型感圧性接着剤を得た。
【0082】得られた感圧性接着剤を、粘度が1500〜20
00cpsとなるようにEAcで希釈し、後記の方法に従って偏
光板と液晶セル用ガラス板とを貼り合わせて試験片を作
成し、耐熱性及び耐湿性試験を行った。試験結果は第2
表に示した通りであった。
【0083】実施例2及び比較例3〜4 実施例1において、参考例1のアクリル系共重合体(A)
を用いる代わりに、参考例2〜4のアクリル系共重合体
(A)を用いる以外は同様にして、感圧接着型偏光板を得
た。耐熱性及び耐湿性試験結果は表2に示した通りであ
った。
【0084】
【表3】
【0085】(1) 試験片の作成:剥離フィルム〔シリコ
ーン樹脂で離型処理したポリエステルフィルム(厚さ25
μm)〕上に、有機溶媒溶解型感圧性接着剤を乾燥時塗
布量30g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥し
て感圧接着性フィルムを作った。この感圧接着性フィル
ムの接着剤層側を、偏光板(厚さ25μmのポリビニルア
ルコール偏光フィルムの両面が、厚さ80μmの三酢酸セ
ルロースフィルムでウレタン系接着剤により貼着被覆さ
れたもの)の一面に積層し、ローラーで押して感圧性接
着剤層付きの偏光板を作成した。次に該偏光板から剥離
フィルムを取り除き、露出した感圧性接着層を液晶セル
用ガラス板に貼り付けて試験片を作成した。
【0086】(2) 耐熱性試験:前(1)項で作成した試験
片を恒温槽中で、100℃、500時間処理し、試験片の外観
の変化の様子を観察し、下記の評価基準にしたがって評
価を行った。
【0087】 ◎・・・・・・異状なし。 ○・・・・・・試験片100mm×100mm中に存在する泡が1mmφ以
下で且つ10個以下。 △・・・・・・試験片100mm×100mm中に存在する泡が2mmφ以
下で且つ10〜50個。 ×・・・・・・試験片100mm×100mm中に存在する泡が2mmφ以
上のもの10個以上又は2mmφ以下のもの50個以上。
【0088】(3) 耐湿性試験:前(1)項で作成した試験
片を恒温恒湿槽中で、80℃、95%RH、500時間処理し、
試験片の外観の変化の様子を観察し、下記の評価基準に
したがって評価を行った。
【0089】 ◎・・・・・・異状なし。 ○・・・・・・試験片100mm×100mm中に存在する泡が1mmφ以
下で且つ10個以下。 △・・・・・・試験片100mm×100mm中に存在する泡が2mmφ以
下で且つ10〜50個。 ×・・・・・・試験片100mm×100mm中に存在する泡が2mmφ以
上のもの10個以上又は2mmφ以下のもの50個以上。
【0090】
【発明の効果】本発明の有機溶媒溶解型感圧性接着剤
は、100万以上の重量平均分子量を有するアクリル系
(共)重合体(A)からなり、且つ、その特定の酢酸エチル
/n-ヘキサン混合溶媒溶液の曇度(ヘイズ)が特定値以
上であることを特徴とするものである。そして本発明の
有機溶媒溶解型感圧性接着剤を、特に偏光板用の感圧性
接着剤として液晶セル面等に適用し、液晶表示板等とな
して使用した場合、高温あるいは高温高湿条件でも、ラ
ミネート又は貼り合せ時に抱き込まれた界面の空気が加
熱されることによって膨脹するという従来からの問題点
が著しく改善され、剥がれや発泡が液晶表示装置の表示
能を阻害する程には生起せず、長時間の使用に耐え得る
優れた性能を有するものとなる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系(共)重合体(A)を含有してなる
    有機溶媒溶解型感圧性接着剤において、該アクリル系
    (共)重合体の重量平均分子量が100万以上であること、
    該アクリル系(共)重合体の30重量%酢酸エチル溶液の曇
    度(ヘイズ)が0であり且つ5重量%酢酸エチル/n-ヘ
    キサン混合溶媒(混合重量比=7/50)溶液の曇度(ヘ
    イズ)が5以上であることを特徴とする有機溶媒溶解型
    感圧性接着剤。
  2. 【請求項2】アクリル系(共)重合体(A)が下記単量体(a)
    〜(c)、(a) 下記一般式(1)で示される(メタ)アクリル酸
    エステル単量体であって、その単独重合体のガラス転移
    点が−20℃以下である(メタ)アクリル酸エステル単量体
    50〜100重量%、 H2C=CR1COOR2 (1) (式中、R1はH又はCH3、R2は炭素数2〜12の直鎖
    もしくは分枝アルキル基を表わす) (b) ラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官
    能性基を有する単量体0〜15重量%、及び、(c) 上記単
    量体(a)及び(b)と共重合可能で、且つ該単量体(a)及び
    (b)以外の共単量体 0〜50重量%、〔但し単量体(a)〜
    (c)の合計を100重量%とする〕を(共)重合してなるアク
    リル系(共)重合体(A)である請求項1記載の有機溶媒溶
    解型感圧性接着剤。
  3. 【請求項3】アクリル系(共)重合体(A)が単量体(a) 60
    〜99.95 重量%、単量体(b) 0.05〜10重量%、及び、共
    単量体(c) 0〜30重量%、〔但し単量体(a)〜(c)の合計
    を100重量%とする〕を共重合してなるアクリル系共重
    合体(A)である請求項2記載の有機溶媒溶解型感圧性接
    着剤。
  4. 【請求項4】アクリル系(共)重合体(A)が多官能有機過
    酸化物を重合開始剤として重合されたものである請求項
    1〜3の何れか1項に記載の有機溶媒溶解型感圧性接着
    剤。
  5. 【請求項5】多官能有機過酸化物が下記一般式(2)、 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル
    基、R3,R4は炭素数1〜2のアルキル基を表わす)で
    示される多官能有機過酸化物である請求項4記載の有機
    溶媒溶解型感圧性接着剤。
  6. 【請求項6】アクリル系(共)重合体(A)のガラス転移点
    が−30℃以下である請求項1〜4の何れか1項に記載の
    有機溶媒溶解型感圧性接着剤。
  7. 【請求項7】アクリル系(共)重合体(A)と共に架橋剤(B)
    を含有してなる請求項1記載の有機溶媒溶解型感圧性接
    着剤。
  8. 【請求項8】架橋剤(B)がポリイソシアネート化合物で
    ある請求項7記載の有機溶媒溶解型感圧性接着剤。
  9. 【請求項9】架橋剤(B)の使用量がアクリル系共重合体
    (A)中の官能性基1当量に対して、0.05〜1当量である
    請求項7又は8に記載の有機溶媒溶解型感圧性接着剤。
  10. 【請求項10】アクリル系(共)重合体(A)と共にシラン
    カップリング剤(C)を含有してなる請求項1記載の有機
    溶媒溶解型感圧性接着剤。
  11. 【請求項11】シランカップリング剤(C)が下記一般式
    (3)、 【化2】 (式中、Xは加水分解性基、Yは有機マトリックスと反
    応する有機官能性基、Zは非加水分解性基、R5は単結
    合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、nは2又は
    3である)で示されるシランカップリング剤である請求
    項10記載の有機溶媒溶解型感圧性接着剤。
  12. 【請求項12】シランカップリング剤(C)の使用量がア
    クリル系(共)重合体(A)100重量部に対して、0.01〜3重
    量部である請求項10又は11に記載の有機溶媒溶解型
    感圧性接着剤。
  13. 【請求項13】感圧性接着剤が偏光板用感圧性接着剤で
    ある請求項1〜11の何れか1項に記載の有機溶媒溶解
    型感圧性接着剤。
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