JPS6223109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、電卓などの小型機器のケース構造
に関する。

従来、小型機器、例えば電卓におけるケース構
造にあつては、ケースを上下２つに分割して上部
ケースと下部ケースとに分け、これら２つのケー
スをビスにより互いに着脱自在に取り付けたもの
が知られている。

しかしながら、上記のようなケース構造にあつ
ては、製作時にビスが必要であるため、部品点数
が多い、という欠点があつた。また、上記のよう
なケース構造では、製作時あるいは電池交換時
に、ドライバーなどの工具が必要となり、上部ケ
ースと下部ケースの取り外しおよび取り付けが面
倒であり、しかも上記取り外しに際してはビスを
紛失する恐れがあるなどの欠点もあつた。

この考案は、上記のような点を考慮してなされ
たもので、その目的とするところは、ビスなどの
別部品を何等用いることなく、２つに分割された
両ケースを互いに簡単且つ良好に取り付けたり、
あるいは取り外したりすることができ、外観的に
も優れた小型機器のケース構造を提供することに
ある。

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図は電卓におけるケース構造を示すもの
であつて、この図において符号１は薄い箱型状の
ケースである。このケース１は上下２つに分割さ
れ、上部ケース２と下部ケース３とに分けられる
構成となつている。上記上部ケース２は、ABS
樹脂、ポリスチロール樹脂、ポリプロピレン樹脂
などの合成樹脂からなり、下側が開放された箱型
状に形成されている。しかも、上記上部ケース２
の内側のほぼ中央部には、垂直下方に突出するフ
ツク４が一体に形成されている。このフツク４
は、第３図に示すように、ほぼ「Ｌ」字状をな
し、その先端が更に上方へ若干突出して係止部４
ａを有する構成になつている。この場合、上記係
止部４ａは、その先端側が円弧面に形成されてお
り、またその反対側（フツク４の本体側）が垂直
面に形成されている。また、上記上部ケース２の
一端部（図中右側端部）には、その外側壁を段状
に切り欠くことにより、右側係止部５が形成され
ている。さらに、上部ケース２の他端部（図中左
側端部）には、その内側壁を凹部状に切り欠くこ
とにより、下端が内側へ突出する突出部６ａを有
する左側係止部６が形成されている。また、上記
上部ケース２内には、プリント基板７および液晶
表示パネル８などが互いに電気的に接続された状
態で収納配置されている。この場合、上記プリン
ト基板７には、上記フツク４が挿通し、その下方
へ突出するように挿通孔７ａが形成されている。

また、上記下部ケース３は、上部ケース２と同
様に合成樹脂からなり、上側が開放された箱型状
に形成されている。この場合、下部ケース３の内
側のほぼ中央部には、垂直上方に突出して上部ケ
ース２のフツク４と結合するフツク９が一体に形
成されている。このフツク９は、第３図に示すよ
うに、上記フツク４を全く逆に形成したものであ
る。換言すれば、上記フツク４と点対称の関係に
形成されている。従つて、上記フツク９にあつて
も、その先端に下方へ若干突出する係止部９ａが
上記フツク４の係止部４ａと全く同様に形成され
ている。また、上記下部ケース３の一端部（図中
右側端部）には、上部ケース２の右側係止部５と
係合するように、その内側壁を段状に切り欠くこ
とにより、右側係止部１０が形成されている。さ
らに、下部ケース３の他端部（図中左側端部）に
は、上部ケース２の左側係止部６と係合するよう
に、その外側壁を切り欠くと共に、上記左側係止
部６の突出部６ａが嵌合する凹部１１ａを有する
左側係止部１１が形成されている。従つて、上記
下部ケース３は、第１図イおよび第２図イに示す
ように、各フツク４，９が互いに係合すると共
に、左右の各係止部５，６，１１が各々係合する
ことにより、上部ケース２に取り付けられるよう
になつている。

なお、上記上部ケース２には、その上方へ突出
した状態で多数のキートツプ１２…が配列されて
いる。

次に、上記のように構成されたケース構造にお
いて下部ケース３を上部ケース２から取り外す場
合について説明する。この場合には、まず、第１
図イに示すように、下部ケース３の外側のほぼ中
央部を上方（矢印Ｘ方向）へ押圧する。すると、
下部ケース３が弾性を有する合成樹脂製であるか
ら、撓み弾性変形し、下部ケース３のフツク９が
上方へ押し上げられ、上部ケース２のフツク４と
の係合が解除される。この状態で、上記下部ケー
ス３を矢印Ｙ方向へスライドさせると、第１図ロ
および第２図ロに示すように、上記フツク９が上
記フツク４から離間し、しかも下部ケース３の右
側係止部１０が上部ケース２の右側係止部５から
外側へ離脱すると共に、下部ケース３の左側係止
部１１が上部ケース２の左側係止部６から内側へ
離脱する。この後、下部ケース３を下方へ引き出
せば、上部ケース２から取り外すことができる。

なお、下部ケース３を上部ケース２に取り付け
る場合には、上述した操作と逆の操作を行なえば
よい。

従つて、上記のようなケース構造にあつては、
下部ケース３の外側の中央部を上方（矢印Ｘ方
向）へ押圧して下部ケース３を弾性撓み変形させ
た状態で、下部ケース３をスライドし、各フツク
４、９を互いに係脱させると同時に、両ケース
２，３の各係止部５，６，１０，１１を各々係脱
させることにより、下部ケース３を上部ケース２
に着脱することができるので、下部ケース３の取
り外し、あるいは取り付けを簡単且つ良好に行な
うことができる。また、上記ケース構造にあつて
は、各ケース２，３に各フツク４，９および各係
止部５，６，１０，１１が夫々一体に形成されて
いるから、下部ケース３の着脱に際し、これら以
外の別部品を何等用いる必要がないので、取付部
品を紛失することがなく、しかも部品点数も少な
くなり、安価に製作することもできる。さらに、
上記ケース構造によれば、下部ケース３を上部ケ
ース２に取り付けた際、両ケース２，３の外側に
取付部品が何等露出することがないので、ケース
１全体の外観を良好なものにすることができる。

なお、上記実施例では、フツク４が上部ケース
２に一体に形成されているが、この考案はこれに
限られることなく、例えば、プリント基板７を上
部ケース２内に取り付ける基板押え板（図示せ
ず）にフツクを形成し、このフツクに下部ケース
３のフツク９を係脱自在に結合させたものであつ
てもよい。

また、上記実施例では、各フツク４，９が両ケ
ース２，３の内側の中央部に形成されているが、
この考案はこれに限られることなく、両ケース
２，３を押圧して弾性撓み変形するところであれ
ば、両ケース２，３の中央から離れたところにフ
ツク４，９を設けたものであつてもよい。

さらに、この考案は、上述した実施例のような
形状のフツク４，９である必要はなく、互いに係
合しうるものであれば種々の形状（例えば、Ｌ字
状以外の鉤状）に変形したものであつてもよく、
また上記各フツク４，９は１組だけに限らず、２
組以上設けたものであつてもよい。

加えて、この考案は、上述した電卓に限られる
ことなく、他の小型電子機器にも適用することが
できる。

以上説明したように、この考案に係る小型機器
のケース構造によれば、合成樹脂製のケースを２
つに分割し、これら両ケースが相対向する内面側
に、互いに係脱する一組の係合手段を設け、ビス
等の締結部材を用いることなく両ケースを係合す
るものであるから、両ケースの取り外し、および
取り付けを簡単且つ良好に行なうことができ、両
ケースの着脱に際し、ビスなどの別部品を何等用
いる必要がないので、取付部品を紛失することが
なく、しかも部品点数も少なくなり、安価に製作
することができ、さらには、両ケースを互いに取
り付けた際、両ケースの外側に取付部品などが露
出しないので、ケース全体の外観を良好なものと
することができるなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るケース構造を示し、第
１図イはそれを組み立てた状態の概略断面図、第
１図ロは下部ケースを取り外す際の概略断面図、
第２図は第１図の要部を示し、第２図イは第１図
イの拡大断面図、第２図ロは第１図ロの拡大断面
図、第３図は第２図ロの状態におけるフツクの拡
大斜視図である。 １……ケース、２……上部ケース、３……下部
ケース、４，９……フツク、５，６，１０，１１
……係止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに係合保持される一組のケースにより薄型
   状の密閉構造を有する小型機器のケース構造にお
   いて、前記両ケースの周縁部内面側に互いに係合
   する係止部を設けるとともに、前記両ケースの周
   縁部より中央部寄りの内面側に、少なくとも一方
   のケースに外力を作用させて前記ケースを撓ませ
   た状態で前記ケースを他方のケースに対して相対
   的に移動することにより係合または離脱され且つ
   前記ケースへの外力の作用を解除することにより
   前記両ケースの相対的移動を規制して前記両ケー
   スの係合を保持するフツクを設けた、ビス等の締
   結部材を用いない小型機器のケース構造。