JPS622280Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は主に自動車エンジン用の気化器の手動チ
ヨーク装置に関するものである。

エンジン始動時に高濃度混合気を供給するため
気化器の吸入路入口部分を絞るチヨーク弁を手動
で操作する手動チヨーク装置は、チヨーク弁軸と
チヨーク・レバーとをチヨーク弁ばねを介して連
動させ、チヨーク・レバーに連結したチヨーク・
ワイヤを引くことによつて前記ばねの力でチヨー
ク弁を閉じ、エンジン始動後は吸入空気がチヨー
ク弁に作用するモーメントと前記ばねの荷重とが
釣合う位置にチヨーク弁を開く。従つて、チヨー
ク弁ばねの荷重を大きく設定すると、始動時の閉
じ力が大きく始動性が良好であるが暖機時にはチ
ヨーク弁の開き抵抗が大きいのでチヨーク弁開度
が所定値よりも小さく混合気を濃くする。反対に
チヨーク弁ばね荷重を小さく設定すると、暖機時
にチヨーク弁を所定開度に開かせ適正混合気を得
ることができるが始動時の閉じ力が不足し始動性
に問題がある。

本案は前述の問題点を解決し、エンジン始動後
に発生する吸入負圧によつてチヨーク弁ばねの荷
重を小さくし暖機時のチヨーク弁開度を適正なら
しめると共に始動時に充分な閉じ力を与え、且つ
容易に適正混合気が得られるように調整して組立
てることができる手動チヨーク装置を提供するこ
とを目的とするものであつて、互いに連動する補
助アームおよび調整レバーを絞り弁軸に回転可能
に支承してチヨーク弁ばねをチヨーク・アームと
補助アームとに係合すると共にチヨーク・レバー
に追従する調整レバーに負圧機構を連結して構成
し、始動にあたつてチヨーク・ワイヤを引いたと
きチヨーク弁ばねによつて調整レバー、補助アー
ム、チヨーク・アームが一体に回転してチヨーク
弁を閉じ、始動後は吸入負圧が負圧機構に作用し
て調整レバーおよび補助アームを前記と反対方向
へ回転させチヨーク弁ばねの荷重を小さくするよ
うにしたものである。

以下本案の実施例を図面に就いて説明すると、
気化器の吸気路入口部分に吸気路の中心から偏心
させて支持したチヨーク弁軸１にチヨーク弁２が
取付けられ、気化器本体３から突出したチヨーク
弁軸１の軸端部にチヨーク・レバー４、調節レバ
ー５、補助アーム６が回転可能に支承されている
と共にチヨーク・アーム７が固定されている。チ
ヨーク・レバー４にはチヨーク・ワイヤ８が連結
され、且つ気化器本体３に一つの端部を係合固定
したコイル状の戻しばね９のもう一つの端部が係
合している。調節レバー５はチヨーク弁軸１と平
行な突起５ａおよびチヨーク弁軸１を中心とする
円弧状の係止孔５ｂを有し、突起５ａがチヨー
ク・レバー４の段部４ａに係合し互いに連動して
回転するようになつて居り、且つ負圧機構１１に
連結される連結杆１６が係合されている。補助ア
ーム６には前記係止孔５ｂに嵌合したピン６ａが
固着突設され、コイル状のチヨーク弁ばね１０の
一つの端部がこのピン６ａに係合し、このばね１
０のもう一つの端部はチヨーク・アーム７に係合
していると共に、チヨーク・アーム７の突起７ａ
が補助アーム６の段部６ｂに係合してチヨーク弁
２を閉じる方向へ一体に回転するようになつてい
る。戻しばね９はチヨーク弁ばね１０よりもばね
荷重が大きい。

負圧機構１１はダイヤフラム１２と吸入負圧が
導入される負圧室１３とばね１４とを具え、ダイ
ヤフラム１２に固着したアーム１５と連結杆１６
とが気化器本体３に中央部を回動自由に軸支した
リンク１７の両端に連結され、連結杆１６は調節
レバー５の円弧形の導孔５ｃに係合している。

第１図、第２図はエンジン停止時の状態を示し
ている。始動にあたつてチヨーク・ワイヤ８を引
くとチヨーク・レバー４が第１図反時計方向へ回
動する。チヨーク弁ばね１０を係合したピン６ａ
は係止孔５ｂの端縁に衝つて居り、調節レバー５
はチヨーク・レバー４に係合して固定されてい
る。従つてチヨーク・レバー４が回動すると調節
レバー５は追従回動し、チヨーク・アーム７はピ
ン６ａ、補助アーム６、チヨーク弁ばね１０を介
して反時計方向へ回動しチヨーク弁２を閉じるの
である。チヨーク弁２が全閉のとき第５図のよう
になる。

エンジンが始動して吸入負圧が負圧室１３に導
入されるとばね１４の張力に抗してダイヤフラム
１２が第１図右方へ吸引され、リンク１７が回動
して連結杆１６により調節レバー５を時計方向へ
回動させる。このためピン６ａを端縁に接触させ
てチヨーク弁ばね１０に閉弁荷重を発生させてい
る係止孔５ａの移動にピン６ａが追従してチヨー
ク弁ばね１０を緩ませ、その結果チヨーク弁２に
働くばね荷重が小さくなるのである。負圧機構１
１が動作したとき第６図のようになり、これより
暖機に応じてチヨーク弁２が開かれる。

以上のように本案によると、荷重を大きく設定
したチヨーク弁ばねを用いて始動時にチヨーク弁
に充分な閉じ力を与え始動性を良好ならしめるこ
とができ、且つ始動後は吸入負圧を利用して荷重
を小さくし暖機時のチヨーク弁開き抵抗を減少し
て適正混合気を得ることができるものである。ま
た、エンジン完爆時にチヨーク弁を開かせる負圧
機構とチヨーク弁に閉じ力を与えるチヨーク弁ば
ねとを調節レバーおよび補助アームに別個に作用
させたので、エンジンの特性に対応させて適正な
チヨーク作用が行なえ適正混合気が得られるよう
に容易に調整して組立てることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の実施例を示す一部切截した正面
図、第２図は平面図、第３図，第４図は、第２図
のＸ−Ｘ線、Ｙ−Ｙ線に沿う断面図、第５図はチ
ヨーク弁を閉じたときの正面部分図、第６図は負
圧機構が動作したときの一部切截した正面図であ
る。 １……チヨーク弁軸、２……チヨーク弁、４…
…チヨーク・レバー、５……調節レバー、６……
補助アーム、７……チヨーク・アーム、９……戻
しばね、１０……チヨーク弁ばね、１１……負圧
機構、５ｂ……係止孔、６ａ……ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チヨーク弁軸１に回転可能に支承されたチヨー
   ク・レバー４、調節レバー５、補助アーム６と、
   チヨーク弁軸１に固定されたチヨーク・アーム７
   と、前記補助アーム６とチヨーク・アーム７とに
   係合しチヨーク弁２に閉弁方向の荷重を与えるチ
   ヨーク弁ばね１０と、前記調節レバー５に連結さ
   れ吸入負圧が導入される負圧機構１１とを具え、
   前記チヨーク・アーム７、補助アーム６および調
   節レバー５はチヨーク弁２の閉弁方向へ連動して
   回転し、前記補助アーム６は前記調節レバー５が
   前記負圧機構１１により回転したとき前記チヨー
   ク弁ばね１０の荷重を小さくする方向へ回転させ
   られ、前記調節レバー５とチヨーク・レバー４と
   はチヨーク弁２の閉弁方向へ前記チヨーク弁ばね
   １０の荷重で連動して回転させられるように構成
   した気化器の手動チヨーク装置。