JPS6222531Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は回転軸に回転自在に嵌着された巻枠
を有する帯材巻取装置に関するものであり、特
に、帯材の撓みをテンシヨンレバーによつて検出
し、該撓みに応じて巻枠を回転させて帯材を巻取
る帯材巻取装置に係わるものである。

従来、帯材を巻取る場合、帯材にかかるテンシ
ヨンに応じて巻枠を回動させる形式の巻取装置が
多用されており、第１図にその要部が示されてい
る。

図において、回転軸１には、巻取ドラム３とド
ラムカバー４から成る巻枠２が回転自在に嵌着さ
れている。

更に、該回転軸１には、環状のクラツチ板５，
６が巻枠２を挾むように緩挿されており、該クラ
ツチ板５，６は該軸１の鍔部７とクラツチ板５と
の間に介装されたバネ８による一定の付勢力に駆
動されて巻枠２に押接されている。

帯材の巻取りに際しては、帯材が撓んでいてテ
ンシヨンがかかつていないときは、巻枠２はクラ
ツチ板５，６との摩擦力によつて回転軸１ととも
に回転し帯材を巻取る。

かくして、帯材を巻取つた結果、撓みがなくな
つて、テンシヨンがかかり、これが巻枠２とクラ
ツチ板５，６との摩擦力に打ち勝つと、巻枠２は
回転することなく、回転軸１のみが回転し、謂ゆ
る空回りをして帯材の巻取りが停止されるもので
ある。

しかるところ、かかる従来例においては、帯材
にテンシヨンがかかつたときには、クラツチ板と
巻枠とが当接したまま互いにすべることになり、
該すべり面の摩耗が著しく促進されるために、耐
久性に欠けるばかりか、帯材に大きなテンシヨン
がかかるために、帯材が伸びたり、切断したりす
る可能性が大であるという欠点があつた。

この考案の目的は上記従来技術に基づく帯材巻
取装置の構造上の制約による巻枠の摩耗、帯材の
切断等の問題点に鑑み、巻枠が回転自在に嵌着さ
れた回転軸にクラツチリングと、テンシヨンレバ
ーを突設したスライドリングとを設け、両者を回
転自在に一体に結合する構成とすることによつ
て、上記欠点を除去し、極めて円滑な帯材の巻取
りができる優れた帯材巻取装置を提供せんとする
ものである。

上記目的に沿うこの考案の構成は、帯材の巻取
りに際して、帯材に撓みが生じているときは、該
撓みをテンシヨンレバーによつて検出し、テンシ
ヨンレバーの回動によつてクラツチ機構を作動さ
せて、これを回転軸上の巻枠に当接することによ
り、該回転軸の回転を巻枠に伝え、もつて、帯材
を巻取るものであり、一方、巻取りが進み帯材の
撓みが少なくなつたときは、テンシヨンレバーの
逆方向への回動によつて、前記クラツチ機構を巻
枠から離脱させて、回転軸を空回りさせるように
したことを特徴とするものである。

次に、この考案の実施例を第２図以下の図面に
基づいて説明すれば以下の通りである。

第２図において、ジヤンクシヨンボツクス１０
が基台１１上に設置され、該ジヤンクシヨンボツ
クス１０の後方には、ギヤボツクス１２、モータ
ー１３が接続されている。

第３図に示すように、ギヤボツクス１２から突
出出する回転軸１４の先端には、巻取ドラム１６
とドラムカバー１７とから成る巻枠１５が該回転
軸１４に対して回転自在に嵌着されている。

上記回転軸１４はジヤンクシヨンボツクス１０
の前壁１０ａに取付けられたスペーサー１８によ
つて軸支されている。

１９は該スペーサー１８を前壁１０ａに装着す
るナツト、２０はスラスト軸受である。

スペーサー１８の突出部には、外周にネジ２１
が刻設されており、ここにはスライドリング２２
が回動且つ、前進後退自在に螺着されている。

一方、前記巻枠１５とスライドリング２２の間
には、クラツチユニツト２３が上記回転軸１４に
対してキー２４によつて軸方向に摺動自在に係合
されている。そして、前記スライドリング２２と
該クラツチリング２３とは軸受２５によつて互い
に回動自在に一体に結合されている。

更に、前記スライドリング２２の外周には、適
宜間隔で開口２６が穿設されており、該開口２６
の一つには、テンシヨンレバー２７が挿着されて
いる。

テンシヨンレバー２７の折曲部２７ａの先端に
は、ウエイトロール２８が設けられ、巻取られる
帯材、例えば、射出成形機におけるインサート物
帯から剥離された中性紙２９に対して自重により
当接されている。

上記構成において、帯材２９を巻取るに際して
は、第４図に示すように、帯材２９の撓みが大き
くなると、テンシヨンレバー２７は時計方向に回
動し、スライドリング２２を点線矢印のように時
計方向に回動させる。すると、該スライドリング
２２は第３図に示すように、スペーサー１８のネ
ジ部２１上を図の左方に前進移動し、これと一体
的なクラツチリング２３も回転軸１４上を左方に
摺動して前進する。

これらが一定量前進すると、クラツチリング２
３の前壁２３ａが巻枠１５における巻取ドラム１
６の後壁面１６ａに押圧されて摩擦係合する。

而して、回転軸１４の回転はクラツチリング２
３と巻取ドラム１６の摩擦係合によつて巻枠１５
に伝達されて、該巻枠１５は回転軸１４と一体に
回転し、帯材２９が巻取られる。

帯材２９の巻取りが進み、第５図に示すよう
に、その撓みが少なくなると、テンシヨンレバー
２７は反時計方向に回動され、スライドリング２
２も反時計方向に回動される。

すると、該スライドリング２２は第６図に示す
ように、スペーサー１８上を右方に後退し、これ
と共にクラツチリング２３も回転軸１４上を摺動
して後退する。

そして、クラツチリング２３の前壁２３ａが巻
取ドラム１６の後壁面１６ａから離脱して、両者
の摩擦係合が解かれる。この状態では、回転軸１
４の回転は巻枠１５に伝達されずに空回りをし、
巻枠１５は回転を止めて巻取りを停止させるもの
である。

尚、上記実施例においては、スライドリング２
２の外周に多数の開口２６を穿設し、該開口２６
へのテンシヨンレバー２７の取付け位置を変える
ことによつて該テンシヨンレバーの回動角を調節
し、一回の帯材巻取り量を調節するものである
が、開口に代えてテンシヨンレバーを植設した摺
動リングをスライドリングに外嵌して連続調節可
能としてもよい。

又、スライドリングとクラツチリングとの間に
ボールベアリングを介在させた構成を示したが、
滑り軸受としてもよく、この場合、軸方向に係合
する構成とすることは当然である。

更に、帯材には、上記インサート物帯の中性紙
のほかに、プレス等に供給される金属性帯材、繊
維リボン、紙テープ等のものが含まれる。

上記のように、この考案によれば、回転軸上に
回転自在の巻枠を有する帯材巻取装置において、
回転軸を軸支するスペーサーの外周に、周囲にテ
ンシヨンレバーが突設されたスライドリングを回
動自在に螺着し、一方、回転軸上に軸方向に摺動
可能にクラツチリングを係合し、両者を回動自在
に一体に結合する構成としたことにより、帯材の
撓みに応じてクラツチリングを作動させ、撓みが
大きいときには、クラツチリングと巻枠を摩擦係
合して帯材を巻取り、撓みが小さくなると、該摩
擦係合を解いて回転軸を空回りさせるものであ
り、帯材に対しては大きなテンシヨンをかけるこ
とがないので、該帯材が伸びたり、切断したりす
ることがなく、更には、摩擦摺動部がないので、
巻枠が摩耗することもなく、しかも、不快な擦過
音を発することもないという優れた効果がある。

その上、クラツチ機構の作動は帯材の撓みを利
用したテンシヨンレバーによるもので何等の動力
を用いることなく、しかも、自動的に行われ、加
えて、テンシヨンレバーの取付け位置の変更によ
つて、一回の巻取り量が容易に調節できるという
利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術の要部断面図、第２図以下は
この考案の実施例を示すものであり、第２図は全
体の斜視図、第３図は巻取り時における断面図、
第４図は第３図の左側面図、第５図は巻取り停止
時における側面図、第６図は断面図である。 １４……回転軸、１５……巻枠、１８……スペ
ーサー、２２……スライドリング、２３……クラ
ツチリング、２５……軸受、２７……テンシヨン
レバー、２９……帯材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸１４と、該回転軸に回転自在に嵌着され
   た巻枠１５とから成る帯材巻取装置において、前
   記回転軸を軸支するスペーサー１８の外周には、
   周囲にテンシヨンレバー２７が突設されたスライ
   ドリング２２を回動且つ、前進後退自在に螺着
   し、前記回転軸には、クラツチリング２３を軸方
   向に摺動自在に係合して上記巻枠に対して当接離
   脱可能とし、前記スライドリングとクラツチリン
   グは相互回転自在に一体に結合されていることを
   特徴とする帯材巻取装置。