JPS622232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案はエスカレーターあるいは電動道路の欄
干に係り、特に構造の単純化を図つた欄干構成に
関する。

〔考案の背景〕

エスカレーターあるいは電動道路は、建屋内に
おける必要不可欠な輸送設備として重用され、広
く普及してきたが、最近では本設備に関して省エ
ネルギー、安全性及び意匠の軽快感など実に多様
なニーズがある。

従来のエスカレーターあるいは電動道路（以下
単にエスカレーターと云う）の構成は、第１図に
示した通り、無端状に配列されて回動するステツ
プ１及び移動てすり２で成る回動体と欄干３及び
本体枠部４等の静止体から成り立ち、これら全て
の部品が建屋床下に支えられるものである。

なお、欄干３の詳細は、第１図以下第３図に示
した通り、本体枠部４に支持されたガラスパネル
５、内デツキ６、外デツキ７及びスカートガード
８のような欄干下辺材、さらにガラスパネル５の
上辺には移動てすり２を案内するガイド９、移動
てすり用フレーム１０、照明器具１１等の欄干上
辺材が配設されている。そして、移動てすり用フ
レーム（一般にはステンレス鋼製）１０の内方に
は、ガラスパネル５を保護するパツキン１２と、
このガラスパネルを把持し、かつ照明器具１１を
構成するランプ１３とカバー１４を支持する支持
体１５、さらにこの支持体１５にボルト１６で締
結されて最終的にガラスパネル５を固定するため
の押板１７が設けられている。

ここで、欄干上辺材の寸法関係について説明す
る。上辺のガイド９は、化粧ゴム部２ａと綿キヤ
ンバス部２ｂから成る移動てすり２の内周に係合
する寸法であり、ボルト（図示省略）によつて移
動てすり用フレーム１０に固定されている。次
に、移動てすり用フレーム１０は移動てすり２の
高さｈ_aに対して２〜３倍の寸法比である高さｈ
を有し、かつ横方向は、移動てすり２の側端から
外側へｌ_a、内側へｌ_b（一般にｌ_a，ｌ_bとも10〜
50ミリメートル）突出しているのが普通であり、
ｌ_a側は照明器具１１の収納に、またｌ_b側はガラ
スパネル５の把握に利用されている。

このような従来の欄干構成において、最近では
照明器具１１を除外した軽快な意匠で、かつ省エ
ネルギー指向のニーズが高まつている。

一般的に、第３図に示した照明器具１１を除外
する場合には、想像線Ｚで示した塞ぎ板を設けて
移動てすり用フレーム１０の内部を被覆し、欄干
本体の部材（移動てすり用フレーム１０など）を
改変しないのが普通である。このような照明器具
１１を用いないエスカレーターでは、天井照明Ｘ
及びＹの照度を上げて乗客に対するサービス（特
に足元は十分に明るくして安全な利用に供する）
を行うことになるが、従来の移動てすり用フレー
ム１０の寸法構成では採光上極めて不都合であ
る。

すなわち、第２図のように天井照明Ｘの明るさ
を矢印Ｍの如くガラスパネル５を通してステツプ
１側に導く場合、移動てすり用フレーム１０の突
出寸法ｌ_a及び高さｈが光線の入射角θ_１を規制
することになる。この状態は、エスカレーターの
周囲がスクリーンＳ等で被われた場合に特に深刻
であり、特に乗客の安全な利用に不可欠な照度を
確保できない事態も生じる。

一方、従来のエスカレーターにおいては安全及
び意匠性の面で解決されるべき課題もある。

安全面では、幼児童が移動てすり２を確実に掴
めない事態が想定される。すなわち、欄干は第３
図に示したようにステツプ１からの高さＨが乗客
の転落を防止する観点から650〜750ミリメートル
に設定され、就学児以上の乗客に対して好適な高
さになつている。しかしながら、幼児童の場合に
は、高さＨの問題以外に第３図の如く手Ｑの一部
が移動てすり用フレーム１０の角に接触（点Ｐ）
して移動てすり２を掴みずらい場合状態となる。

このように無理な状態で移動てすりを掴もうと
した場合には、足元がスカートガード８に接近し
てステツプ１まわりでの引込まれ事故を誘発する
ため極めて危険である。

さらに、意匠面では、移動てすり２の摩耗粉Ｒ
が移動てすり用フレーム１０の上面に堆積する問
題がある。この摩耗粉Ｒは、移動てすり２の駆動
系に用いられる鉄材やゴム材、それに綿キヤンバ
ス部２ｂの混合粉であり、公共設備としてこの摩
耗粉Ｒがもたらす不潔感と乗客の衣服を汚す欠点
は無視できない。

以上説明した通り、従来の欄干３の構成では省
エネルギー指向への対応、安全性及び意匠性の面
での改善を要することが判る。

〔考案の目的〕

本考案は、上記の不具合を改善するためになさ
れたもので、その目的とするところは、ランプや
カバー等で成る照明器具を装備しない欄干構成に
おいて、ガラスパネルの透明面積を最大としてス
テツプ上に効率よく採光し、あわせて軽快な意匠
感覚のもとに安全性が高く清潔なエスカレーター
あるいは電動道路の欄干を提供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は上記目的を領成するために、無端状に
配列されて回動するステツプと同期的に回動する
移動てすりと、この移動てすりの内側に収納配置
され該移動てすりの移動を案内するガイドフレー
ムと、このガイドフレームに前記移動てすりの内
側において下向きに一対の垂直壁を延設して形成
した下向きに開口する支持溝と、この支持溝内に
上端部を嵌着されるガラスパネルと、前記移動て
すりの内側において前記一対の垂直壁と前記ガラ
スパネルの上端部とを貫通して共締めするビス
と、このビス頭部を被い前記ガラスパネルと前記
移動てすり間の開口部を被うように前記ガイドフ
レームに装着され前記移動てすりの内周面と摺動
するガイドとで欄干を構成したのである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を第４図、第５図にも
とづき説明する。

第４図及び第５図において、回動するステツプ
１の駆動メカニズムや本体枠部４の構成、それに
内デツキ６、外デツキ７及びスカートガード８等
の欄干下辺材は従来と同様であるが、本発明では
ガラスパネル１８（従来のガラスパネル５に相
当）の上端を把持し、かつ移動てすり２を案内す
るガイドフレーム１９を（一般にはアルミ押出
材）と、それにこのガイドフレーム１９の外周に
沿つて配設されたガイド２０で欄干の上辺を構成
したことに特徴がある。

ここで、この欄干上辺部の構造を説明すれば、
ガイドフレーム１９は欄干の全長に亘つて連続的
に設けられるもので、移動てすり２の内側に収納
される高さと巾を有し、下向きに一対の垂直壁１
９Ａ，１９Ｂを延設して下向きに開口する支持溝
１９ａを形成している。そして、ガラスパネル１
８の上端部を、逆Ｕ字状のパツキン２１を装着し
た状態で前記支持溝１９ａ内に嵌入する。一方、
ガイドフレーム１９には前記一対の垂直壁１９
Ａ，１９Ｂを貫通するビス穴が欄干長手方向に適
当な間隔で設けられ、このビス穴の外側開口部に
はビス２２の頭部やナツト２３が収納できる穴１
９ｃが設けられている。他方、ガラスパネル１８
の上端部の前記支持溝１９ａに嵌着される部分
に、前記ビス穴の配設間隔と同じ間隔でＵ字状の
切込み（巾J₁、深さJ₂）１８ａが形成され、また
前記パツキン２１の同位置にも逆Ｕ字状の切込み
２１ａが形成されビス２２の挿入を妨げないよう
にしている。

以上のように構成したので、ガラスパネル上端
部をガイドフレームの支持溝１９ａに嵌入した
後、ビス２２とナツト２３により、一対の垂直壁
１９Ａ，１９Ｂとガラスパネル１８とを共締めす
る。このほか、前記ガイドフレーム１９には一対
のガイド２０が装着されるのであるが、このガイ
ド２０はその一端はガイドフレーム１８の上面中
央寄りに形成した溝１９ｂに係合され、他端はガ
ラスパネル１８と移動てすり２との間の開口部を
被つて前記垂直壁端に係合される形状をなしてい
る。そしてガイド２０は材質的には摩擦係数の低
いナイロン等のプラスチツク品で形成され、前記
ビス２２ａの頭部やナツト２３の外側を被い、前
記移動てすり２の内周面と摺動するものである。

この場合、ガイドフレーム１９及びガイド２０
は、横寸及び縦寸法とも移動てすり２の内側スペ
ース内に効率よく収納されるもので、最も重要な
ガラスパネル１８との固定は支持溝１９ａ及び切
込み１８ａを利用したビス２２の締結力をもつて
確実に行われる。なお、ガイド２０はビス２２の
締結後に溝１９ｂへの嵌合とガイドフレーム１９
の下端部との接触によつて脱落することなく装着
されるものであり、移動てすり２が走行する区間
に連続的に配設されるものである。

このように、移動てすり２の内側範囲内にガイ
ドフレーム１９、ガイド２０等の欄干上辺材を配
置したことにより、従来懸念された移動てすり２
の下方への延出と左右（ｌ_a及びｌ_b）への出張り
は完全に消滅する。

このため、ガラスパネル１８の透明面積が最大
となり、第２図で説明した入射角が拡大（本発明
によればl₂となり、l₂＞l₁）し、省エネルギー指向
の欄干（照明器具１１がない）でも効率よく採光
できて乗客に対する快適な利用環境をサービスで
きる。

一方、従来安全面と意匠面で問題となつていた
突出寸法ｌ_a，ｌ_bも消滅し、また移動てすり２と
ガラスパネル１８との間の開口部も塞がれるので
安全性の面でもその効果は大きいと言える。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によれば、ガラスパネルの
透明面積を最大とした明るく軽快で、かつ意匠性
と安全性の高いエスカレーターあるいは電動道路
の欄干を提供できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエスカレータの上部付近の側面
図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、第
３図は第１図の−線に沿う断面図、第４図以
下は本考案の一実施例を示すもので第４図は従来
の第３図に相当する断面図、第５図は第４図の構
造を説明する斜視図である。 １……ステツプ、２……移動てすり、３……欄
干、５，１８……ガラスパネル、１２，２１……
パツキン、１８ａ……切込み、１９……ガイドフ
レーム、９，２０……ガイド、２２……ビス、２
３……ナツト、１９ａ……支持溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 無端状に配列されて回動するステツプと同期的
   に回動する移動てすりと、この移動てすりの内側
   に収納配置され該移動てすりの内側空間部と近似
   の断面形状をして該移動てすりの移動を案内する
   ガイドフレームと、このガイドフレームに前記移
   動てすりの内側において下向きに一対の垂直壁を
   延設して形成された下向きに開口する支持溝と、
   この支持溝内に上端部を嵌着されるガラスパネル
   と、前記移動てすりの内側において前記一対の垂
   直壁と前記ガラスパネルの上端部とを貫通して共
   締めするビスと、このビス頭部を被い前記ガラス
   パネルと前記移動てすり間の開口部を被うように
   前記ガイドフレームに装着され前記移動てすりの
   内周面と摺動するガイドとを備えたことを特徴と
   するエスカレーターあるいは電動道路の欄干。