JPS6221368Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、微調整可能な中ぐり工具に係り、特
に、その微調整機構を改善することにより、正確
な刃先位置の調整が行なわれるようにしたもので
ある。

従来、この種の微調整可能な中ぐり工具として
は、例えば特公昭54−2433号公報、実開昭57−
23908号公報等にみられるものが開示されてい
る。これらの公報にみられる中ぐり工具は、偏心
スリーブを備えた機構であることから、切刃チツ
プ部分に微調整機構を付加したものより、クイー
ル剛性を損なうことがなく、しかも目盛を読みと
りやすい等の長所を有している。

しかしながら、これらの公報にみられるもの
は、前者では、さらに精度よく微調整機構を操作
できること、後者では、部品点数を減じて微調整
機構をさらに単純化できることなどの改善が要求
されている。

本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、円
筒状をなす工具ホルダーの中心取付け穴内には、
切刃チツプを備えた中ぐり用のクイール、偏心ス
リーブ、カラー、連結ボルトおよび蓋部材がそれ
ぞれ組込まれるとともに、この偏心スリーブの偏
心回転に伴つて、これに嵌合するクイールがカラ
ーに備えられた半径方向の案内手段によつて径方
向に導びかれるようにした微調整可能な中ぐり工
具を提供するものである。

以下、本考案微調整可能な中ぐり工具の一実施
例について図を参照しながら説明する。

第１図および第２図において、１は、円筒状を
なす工具ホルダーであり、その中心取付け穴２内
には、偏心スリーブ３を介して中ぐり用のクイー
ル４が嵌挿されている。

このクイール４は、その先端部分には、切刃チ
ツプ５が例えば押え金６および締付けねじ７によ
つて固定され、その略中央部位には、前記偏心ス
リーブ３の環状端に当接されるフランジ８が形成
されている。また、クイール４の後端部分には、
キー部２１およびねじ穴２２が形成され、カラー
９が連結ボルト１０によつて取付けられるように
なつている。この場合、カラー９は、その中央に
は、キー溝２０および取付け穴２３が連設される
ことにより貫通開口し、キー溝２０が前記クイー
ル４のキー部２１に嵌合することにより回り止め
されるものである。

そして、連結ボルト１０の頭部側には、蓋部材
１１が位置決めピン１２および取付けねじ１３に
よつて取付けられている。したがつて、前記カラ
ー９および蓋部材１１は、中心取付け穴２に連設
された拡大穴部分２ａ，２ｂ内にそれぞれ位置す
る。そして、カラー９およびクイール４が中心取
付け穴２内で偏心スリーブ３を介して連結ボルト
１０によつて連結されたときに、カラー９の端面
が偏心スリーブ３の端面を押圧する。

したがつて、偏心スリーブ３は、その一端に形
成されたフランジ１４が、工具ホルダー１の環状
端に当接されるものであり、その後端の一部分
は、内外周からの周溝１５，１６が形成される。
この場合、フランジ１４は、クイール４のフラン
ジ８とともに組込み強度を高めるものであり、ま
た前記周溝１５，１６は、前記カラー９からの端
面圧を受けて、偏心スリーブ３を弾性変形させる
ものである。

すなわち、前記連結ボルト１０を回動したカラ
ー９を押圧すれば、結果的にクイール４が引き寄
せられ、前記偏心スリーブ３に端面圧を付与す
る。そして、適正な端面圧は、中心取付け穴２の
内周面およびクイール４の外周面間の間隙を回転
可能な範囲内で最小にするもので、前記連結ボル
ト１０の回動操作により与えられる。また、弾性
変形は、フランジ８，１４が形成されるため、偏
心スリーブ３の後端側のみでよく、このため連結
ボルト１０をできるだけ短くしている。したがつ
て、クイール４側にキー部２１、カラー９側にキ
ー溝２０を形成するようにしている。

しかして、前記クイール４の径方向の微調整量
は、前記偏心スリーブ３の回転によつて与えられ
るが、クイール４の径方向の移動は、前記カラー
９に備えられた案内手段１７により与えられる。
この案内手段１７は例えば、カラー９にガイド溝
１８を形成し、これに対するガイドピン１９を蓋
部材１１に凸設したものである。したがつて、ガ
イドピン１９を工具ホルダー１の外周側から、ガ
イド溝１８内に凸設するようにしてもよいもので
ある。

なお、前記偏心スリーブ３は、特にクイール４
の外径および長さの変化によつて必要な強度が異
なることから、周溝１５，１６の形状、角溝に限
らず、台形溝、丸溝等適宜変更できるものであ
る。

また、前記クイール４に備えられた切刃チツプ
５については、適宜の形状のものを選択すること
ができ、図示しないカートリツジに取付けられる
ようにしてもよいものである。

本考案は、以上説明したように周溝１５，１６
を形成した偏心スリーブ３の偏心回転に伴ない、
クイール４が案内手段１７によつて径方向に移動
できるものである。

そして、この偏心スリーブ３が拡大穴部分２ａ
に位置するカラー９の端面圧によつて弾性変形
し、中心取付け穴２およびクイール４に対する間
隙を回転可能な範囲内で最小にすることから、位
置調整量の精度が高められるものである。

また、クイール４および偏心スリーブ３には、
それぞれフランジ８，１４を形成し、カラー９が
中心取付け穴２の拡大穴部分２ａ内に位置するよ
うになつているため、組込み時の剛性および位置
決め精度が高められているものである。

したがつて、本考案の微調整可能な中ぐり工具
は、切削時のビビリ振動が防止されること、クイ
ール４の剛性が高いことの利点に加え、微調整機
構が単純化されるとともに、正確な位置調整量を
確保できるという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案微調整可能な中ぐり工具の一
実施例を示す断面図、第２図は、その側面図であ
る。 １……工具ホルダー、２……中心取付け穴、３
……偏心スリーブ、４……クイール、８，１４…
…フランジ、９……カラー、１０……連結ボル
ト、１１……蓋部材、１５，１６……周溝、１７
……案内手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円筒状をなす工具ホルダー１の中心取付け穴２
   内には、切刃チツプ５を備えた中ぐり用のクイー
   ル４、偏心スリーブ３、カラー９、連結ボルト１
   ０および蓋部材１１がそれぞれ組込まれるととも
   に、この偏心スリーブ３の偏心回転に伴つて、こ
   れに嵌合するクイール４がカラー９に備えられた
   半径方向の案内手段１７によつて径方向に導びか
   れるようにした微調整可能な中ぐり工具におい
   て、 前記偏心スリーブ３は、一端には、フランジ１
   ４が形成されるとともに、他端には、一部分に弾
   性変形を付与できるように内外周から周溝１５，
   １６が形成され、しかも前記中心取付け穴２内に
   嵌合されたときには、前記フランジ１４が工具ホ
   ルダー１の環状端に当接されるようになつてお
   り、 前記クイール４は、その一端には、キー部２１
   およびねじ穴２２が形成されるとともに、その略
   中央部位には、フランジ８が形成され、しかも前
   記偏心スリーブ３の内周部分に嵌合されたときに
   は、前記フランジ８が偏心スリーブ３の環状端に
   当接されるとともに、前記がキー部２１およびね
   じ穴２２が前記偏心スリーブ３の周溝１５，１６
   側に位置するようになつており、 前記カラー９は、その中央には、クイール４の
   キー部２１に適合するキー溝２０および取付け穴
   ２３の形成により貫通開口しており、また、工具
   ホルダー１の中心取付け穴２に連設された拡大穴
   部分２ａ内に位置して、前記偏心スリーブ３の端
   面を押圧できるようになつており、 前記連結ボルト１０は、カラー９の取付け穴２
   ３から嵌挿され、しかもクイール４のキー部２１
   に設けられたねじ穴２２にねじ込まれることによ
   り、工具ホルダー１、クイール４およびカラー９
   をそれぞれ連結するとともに、周溝１５，１６を
   形成した偏心スリーブ３の端面に対して、カラー
   ９を介して押圧力を与えることにより、工具ホル
   ダー１の中心取付け穴２およびクイール４間の間
   隙を回転可能な範囲内で最小にしており、 前記蓋部材１１は、中心取付け穴２の拡大穴部
   分２ａに位置する前記カラー９がカバーされるよ
   うに工具ホルダー１の拡大穴部分２ｂに取付けら
   れていることを特徴とする微調整可能な中ぐり工
   具。