JPS6220255B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、吹錬時の転炉の振動をスカート昇降
用シリンダに伝わらないようにして、転炉炉口が
スカートを破損ないしは変形しないようにし、転
炉炉口とスカート間のシールを完全ならしめる転
炉排ガス処理装置のスカート支持装置に関する。

（従来技術） 転炉排ガス処理装置の概略を第５図によつて説
明すると、高炉で生産された溶銑が転炉１内に注
入され、酸素吹込みランス２から純酸素が吹込ま
れ、精錬される。この吹錬に於いて、ランス２か
ら吹込まれた酸素と転炉１内の溶銑中の炭素とが
反応し、高温のCOガスが大量に発生する。この
COガスは、外部に漏出するとCO中毒を起すので
非常に危険であるばかりではなく、外気と反応し
て急激に燃焼する危険もある。従つて、転炉１の
炉口とフード３との間に昇降可能なスカート４を
設け、このスカート４を下降して転炉１の炉口と
スカート４との間を塞ぎ、COガスの外部漏出と
スカート４内への外気侵入を防止している。

そしてフード３内には誘引送風機５によつて
COガスが吸引され、この吸引されたCOガスはフ
ード３及び冷却器６によつて冷却され、除塵器
７，８によつて除塵された後、誘引送風機５を経
て吹錬最盛期の濃度の高いCOガスは開かれたダ
ンパ９を通り、有価ガスとしてガスホルダー１０
に回収され、吹錬初期と末期の濃度の低いCOガ
スはダンパ９の切換えによつて放散煙突１１を通
つて頂部で燃焼の上、大気中に放散される。

この転炉排ガス処理装置に於いて、転炉操業は
次の三工程で行われる。即ち、高炉で生産された
溶銑を転炉１内に注入する受銑工程と、転炉１内
に注入された溶銑に純酸素を吹き込んで精錬する
吹錬工程と、精錬された転炉１内の溶鋼を取り出
す出鋼工程の三工程で行われる。

この三工程のうち、受銑工程と出鋼工程は、転
炉１を傾動して行うので、スカート４は上昇せし
められ、吹錬工程ではスカート４を下降し、転炉
１の炉口とスカート４間を閉塞し、COガスの外
部漏出と外気侵入を防止する。

このようにスカート４は、受銑、出鋼工程時に
上昇させ、転炉１の傾動を可能にすること、及び
吹錬工程時には転炉１の炉口との間を閉塞する二
つの機能を有するもので、その構成は従来第６図
（図は閉塞状態）に示す通りであつた。図におい
てスカート４とフード３間のシールは、リング状
の水封部１２内に満たされた水中に、シール筒１
３の先端を浸漬し、構材１４に懸吊されスカート
４とピン１５によつて連結されたシリンダ１６に
よつてスカート４を上下動可能に水封していた。
一方、スカート４と転炉１の炉口との間のシール
は、スカート４の下端を炉口の形状に合わせて広
げ、この両者間の面接触によつてシールしてい
た。

（従来技術の問題点） 然し乍ら、吹錬時に於いて、転炉１の炉口には
ノロが溢出して付着し、炉口面が凹凸状になつて
両者間の面接触が不完全になり、実際には図に示
すように空隙１７が存することになる。従つて、
この空隙１７からCOガスが外部に漏出し或いは
外気をフード３内に吸引することとなつて、回収
ガスの量或いは品質の低下があつた。

然してまた最近においては、外気の侵入を極力
制限し、高純度のCOガスの回収の要求が高ま
り、その結果、フード３内の圧力を大気圧よりも
高い圧力で操業する傾向にあり、この為炉口とス
カート４とを密着してシールを完全に行つてい
る。

しかし、このような転炉１の炉口とスカート４
とを密着させた場合、従来のように空隙１７を存
してシールしていたのとは違い、新たな技術的な
問題が発生した。即ち吹錬時において転炉１は振
動するので、この振動がピン１５にて連結されて
いるシリンダ１６に拘束されて、スカート４の下
端と炉口に大きな力となつて加わり、スカート４
の下端を破損ないしは変形させ、完全なシールが
できないという問題が発生した。

（発明の目的） 本発明は、斯かる問題を解消すべくなされたも
のであり、吹錬時に転炉が振動しても、この振動
を吸収し、スカートの下端に過大な力が働かない
ようにしたスカートの支持装置を提供することを
目的とするものである。

（発明の構成） 本発明のスカート支持装置は、梁に懸吊されス
カートを昇降させる為の複数のシリンダと、スカ
ートの外側の支持梁に固定され前記シリンダに連
繋される複数のブラケツトと、該各ブラケツトの
先端に設けられた吊受具と、各シリンダのピスト
ンロツドの先端に設けられ上昇することにより前
記吊受具を係止支持する吊上金具とから成り、前
記吊受具でシリンダ側とブラケツト側とを縁切り
するようにしたことを特徴とするものである。

（実施例） 本発明によるスカート支持装置の一実施例を第
１図によつて説明すると、１は転炉、４はスカー
トである。１８は転炉１の炉口１９に密着するシ
ールリングであり、スカート４を支持している支
持梁２０の下端に取付けられている。２１は支持
梁２０の外側に固定されたブラケツトで、このブ
ラケツト２１の先端に吊受具として断面リツプ付
溝形のボツクス２２が固設されている。１６はシ
リンダで、そのピストンロツド２３の先端には前
記ボツクス２２内に上下動可能に収容されて開口
縁のリツプ２２ａに係止し得る吊上金具として吊
上プレート２４が固設されている。尚、１２は水
封部、１３は水封部１２に浸漬されたシール筒で
ある。

以上のように構成された実施例のスカート支持
装置は、吹錬時シリンダ１６によつてスカート４
が下降せしめられ、図示の如くシールリング１８
が転炉１の炉口１９に密着して、スカート４と炉
口とが完全にシールされる。

転炉１は、酸素吹込みランス２（第５図参照）
から吹込まれた酸素によつて該転炉１内の溶銑が
沸騰するので、この沸騰によつて振動する。この
振動はシールリング１８を介して支持梁２０及び
ブラケツト２１に伝達され、さらにボツクス２２
に伝達されるが、シリンダ１６によりスカート４
が下降しシールリング１８が転炉１の炉口１９に
密着した際、シリンダ１６のピストンロツド２３
の先端の吊上プレート２４がボツクス２２内をさ
らに僅かに下降して、ボツクス２２の開口縁のリ
ツプ２２ａから離隔するので、シリンダ１６側と
ブラケツト２１側とは縁切りされていて、ボツク
ス２２からシリンダ１６側には振動が伝わらず、
またスカート４側の振動はシリンダ１６に拘束さ
れない。従つて、スカート４の下端のシールリン
グ１８と炉口１９に過大な力が加わることがな
く、シールリング１８が破損したり変形したりす
ることがなく、スカート４と炉口との間が完全に
シールされる。

受銑及び出鋼時シリンダ１６を作動しピストン
ロツド２３を上昇後退させると、先ずその先端の
吊上プレート２４がボツクス２２内を上昇し、そ
の吊上プレート２４が開口縁のリツプ２２ａに係
止されるとボツクス２２を介してスカート４が上
昇せしめられ、スカート４と炉口１９との間が大
きく開かれて転炉１の傾動が可能となる。

上記実施例の吊上金具としての吊上プレート２
４と吊受具としてのボツクス２２は、第２図に示
す如く上面を球面状にした上プレート２４′とこ
れに対応して開口縁のリツプ２２ａの下面に球面
部２５を形成したボツクス２２′に代えても良い
ものである。

また吊上金具としての吊上プレート２４の代り
に第３図に示す如くピストンロツド２３の先端に
Ｕ字形金具２６をボルト、ナツトにて回動可能に
取付け、吊受具としてのボツクス２２の代りにブ
ラケツト２１の先端に前記Ｕ字形金具２６の内側
でピン２７を横向きに取付けた軸承体２８を固設
しても良いものである。

さらに吊上金具としては第４図に示す如くピス
トンロツド２３の先端にチエーン２９を取付け、
吊受具としてブラケツト２１の先端に前記チエー
ン２９の他端を結合した吊受ブロツク３０を取付
けても良いものである。

これら第２，３，４図に示す吊上金具と吊受具
を有するスカート支持装置は、シリンダ１６によ
りスカート４を下降し、シールリング１８を転炉
１の炉口１９に密着した際、第１図のスカート支
持装置の場合と同様吊上金具は吊受具を懸吊しな
くなり、吊上金具にスカート４側の荷重がかから
ず、シリンダ１６側とブラケツト２１側とは縁切
りされて、スカート４側の振動はシリンダ１６側
に伝達されないし、またスカート４側の振動がシ
リンダ１６側に拘束されることがない。従つて、
スカート４の下端のシールリング１８と炉口１９
に過大な力が加わることがなく、シールリングを
破損したり変形したりすることがなく、スカート
４と炉口１９との間が完全にシールされることに
なる。

（発明の効果） 以上の説明で判るように本発明のスカート支持
装置は、スカートの外側に設けたブラケツトの先
端に吊受具を設け、この吊受具にスカートを昇降
させるシリンダのピストンロツドの先端に設けた
吊上金具を自由に上下し得るように且つ上昇係止
して吊上げできるように連繋しているので、吹錬
時スカートを下降してシールリングと転炉炉口と
をシールした際、吊上金具と吊受具は縁切りさ
れ、転炉の振動はスカート側からシリンダ側には
伝達されず、スカート側の振動はシリンダ側に拘
束されることがない。従つて、スカートの下端及
び炉口部に過大な力がかからず、スカートの変形
ないしは破損が防止され、スカートと炉口間を完
全にシールすることができる。かくして、フード
内への外気の侵入及びCOガスの外部への漏出を
完全に防止できて、純度の高いCOガスを回収で
き、その回収量も増大する等の優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスカート支持装置の一実施例
を示す縦断面図、第２図乃至第４図は夫々本発明
のスカート支持装置に於ける吊上金具と吊受具の
他の例を示す要部側面図、第５図は転炉排ガス処
理装置の全体を示す概略図、第６図は従来のスカ
ート支持装置を示す縦断面図である。 １……転炉、４……スカート、１４……構材、
１６……シリンダ、２０……支持梁、２１……ブ
ラケツト、２２，２２′……断面リツプ付溝形の
ボツクス、２３……ピストンロツド、２４，２
４′……吊上プレート、２６……Ｕ字形金具、２
７……ピン、２８……軸承体、２９……チエー
ン、３０……吊受ブロツク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 構材に懸吊されスカートを昇降させる為の複
   数のシリンダと、スカートの外側の支持梁に固定
   され前記シリンダに連繋される複数のブラケツト
   と、該各ブラケツトの先端に設けられた吊受具
   と、各シリンダのピストンロツドの先端に設けら
   れ上昇することにより前記吊受具を係止支持する
   吊上金具とから成り、前記吊受具でシリンダ側と
   ブラケツト側とを縁切りするようにしたことを特
   徴とする転炉排ガス処理装置のスカート支持装
   置。