JPH0314890B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、焼損を防止し長寿命化した、転炉排
ガス処理装置のスカートに関する。

〔従来技術とその問題点〕

第５図によつて、転炉排ガス処理装置の概要を
説明する。

転炉１に投入された溶銑内に酸素吹込みランス
１１より純酸素を吹き込んで精錬する（以下吹錬
という）際に、高温で大量のCOガスが発生する。
このCOガスは、誘引送風機５によつてフード１
０内に誘引され、冷却器２で冷却された後、除塵
器３，４により除塵され、ガスホルダ６に回収さ
れる。吹錬初期と末期のCO濃度の低いガスは、
切換ダンパ８により煙突７を通して頂部で燃焼の
上放散される。

一方転炉操業は、次のようにして行われる。先
ず高炉で生産された溶銑が転炉１内に装入される
（以下単に装入という）。この場合装入し易いよう
に、転炉１は傾動される。次に転炉１を直立さ
せ、転炉１とフード１０との間のスカート９を下
降して塞ぎ吹錬する。次に吹錬が完了した溶鋼は
転炉１より取出される（以下出鋼という）。この
出鋼の場合も転炉１は傾動させられる。

このように転炉１は、装入及び出鋼時に傾動さ
せられるので、転炉１の傾動が可能なように、ス
カート９は上方に持ち上げられる。

前記吹錬中に発生するCOガスは、外部に漏出
すると一酸化中毒を起す危険があること、又は、
装置内に外気を吸引すると急激に燃焼することか
ら、吹錬中は、スカート９を下降して、転炉１の
炉口とフード１０の間を塞ぐ必要がある。

このようにスカート９は、上昇及び下降の機能
を備えて装入、出鋼を可能にすると共に、吹錬時
においては、COガスの外部漏出又は外気の吸引
を防止する役目を担う重要な部分である。

例えば、昇降機能が損なわれた場合は、転炉操
業の停止は、余儀なくされることになる。

ところで従来の第６図に示すスカート９は、水
管によつて形成され、この水管の中を流通する水
によつて冷却される水冷壁構造になつている。ス
カート９の下端１４は、炉口１２の傾斜面１３に
そつて円錐状に広げられた形状となつている。こ
のスカート９の下端１４と炉口の傾斜面１３との
間で塞ぐのであるが、実際の場合は、炉口１２及
び傾斜面１３には、ノロが付着し、下端１４と炉
口１２とは、ノロ付着分だけ〓間があいた状態に
なつている。従つて誘引送風機５（第２図参照）
によつてフード１０内の圧力をほぼ大気圧力に近
い圧力になるよう制御し、この〓間からのCOガ
スの漏出又は外気の吸引を防止している。

一方フード１０とスカート９との間のシール
は、シールジヤケツト１８内に仕切筒１７を浸漬
するようにして、スカート９の昇降が可能なよう
に水封している。１６はスカート９を昇降させる
ためのシリンダである。１５はシリンダ１６を熱
から保護するために耐火材を打設した防熱板であ
る。

このように構成された従来のスカートにおい
て、吹錬中に、炉口１２とスカートの下端１４と
の間の〓間から出る火炎１９によつて、防熱板１
５に打設された耐火材が、焼損して脱落し、更に
は耐火材が脱落して露出した防熱板１５も焼損さ
れると、スカート９を昇降させるためのシリンダ
１６が熱によつて変形したり、動かなくなつたり
する。

このように、スカート９の昇降が不能になつた
場合は、転炉操業が不可能になり、転炉操業を中
止しなければならないという問題があつた。

又、吹錬中に防熱板が焼損しシリンダが動かな
くなつたような場合は、補修作業環境の温度が充
分に低くなるまで放置してから作業しなければな
らないこと、及び出鋼が不可能であるので、鋼の
性質に悪影響をもたらすと共に、低温になつた溶
鋼の取り出しが相当に困難になることから、防熱
板の補修を定期的に行う必要があり、この間転炉
操業が中止されるので、転炉の稼動率を著しく低
下させるという問題があつた。

又第７図に示すように、スカート９の囲りに
は、補守点検用のギヤラリ２１が設けられてい
る。このギヤラリ２１は、第８図に示すようにス
カート９の下方に設けられた防熱板１５によつて
作業環境の雰囲気温度を下げるようにしている。

然し乍ら、防熱板１５が焼損して脱落したよう
な場合は、スカート下端１４と炉口１２との間か
ら噴出する火炎１９により直接加熱され危険であ
るばかりでなく、作業環境が著しく低下するとい
う問題があつた。

さらに第６図に示すようにスカート９の周りに
は、スカート９の強度を保持し、さらにスカート
昇降シリンダー１６のブラケツト２２の支点にな
つているスカート機材２３が設けられているが、
防熱板１５が焼損してスカート機材２３が火炎１
９により加熱されるとスカート９の形状が保持さ
れず、使用不可能な状態に陥る。このように防熱
板１５が火炎１９により耐火材の脱落、防熱板１
５の焼損が起ると、緒々の問題が発生する。

また第９図に示す如くスカート９の下端部に連
続してその外周水平方向、それに引き続いて垂直
方向に水冷ジヤケツト２４，２４′の防熱板２５
を設けたものもあるが、内周側と外周側とでは熱
負荷が相違するので、防熱板２５の表面温度は内
周側と外周側とで大きな差が生じ、これにより熱
膨張差が大きくなつて、一体のものでは特にクラ
ツクが入る。従つて水冷ジヤケツト２４，２４′
の冷却水が漏れるので、転炉の操業を停止して補
修しなければならず、転炉の稼動率が低下する。
しかも防熱板２５の火炎を受ける外面と火炎を受
けない内面とでは温度差が大きく、防熱板２５の
外面は大きく熱膨張しようとするが、防熱板２５
の内面は熱膨張がごく僅かであるので、外面の熱
膨張を吸収することができず、内面側と外面側の
溶接接合部等に熱応力が集中し、クラツクが入
る。従つて前記と同様に水冷ジヤケツト２４，２
４′の冷却水が漏れるので、転炉の操業を停止し
て補修しなければならず、転動の稼動率が低下す
るという問題があつた。

〔発明の目的〕

本発明は、上記従来の問題を解決するためにな
されたものであり、焼損を防止しかつ長寿命化し
て転炉の稼動率を向上させた転炉排ガス処理装置
のスカートを提供せんとするものである。

〔発明の構成〕 本発明は、従来のように耐火材を設けずに、伝
熱板を使用した水冷壁によつて防熱板を構成した
ものであり、スカートの下端部より連続してその
外周方向に、伝熱板の水冷壁を設けたことを特徴
とする。

〔実施例〕

本発明の一実施例を第１図によつて説明する
と、９はスカート、１０はフードである。このス
カート９の下端部１４は、転炉炉口の傾斜部１３
にそつて円錐状に広げられ、更に下端部１４に連
続して外周水平方向に、伝熱板の水冷壁２０が設
けられている。この水冷壁２０は、炉口１２とス
カート９の下端１４との間の〓間から噴出する火
炎が接触する部分に位置する。１５は耐火材、１
６はスカート９を昇降するためのシリンダ、１７
は仕切筒、１９は、シールジヤケツトである。

又第２図及び第３図に示すように、スカート９
の囲りにギヤラリ２１が設けられ、ギヤラリ２１
の下方まで、伝熱管の水冷壁２０が設けられてい
る。尚第４図に示すように、伝熱板の水冷壁２０
を更に延長し、ブラケツト２２をも覆うようにす
ることも可能である。

〔作用〕

以上のように構成した本実施例において、転炉
炉口１２とスカートの下端１４との間から火炎が
噴出した場合、水冷壁２０に触れて冷却され、降
温する。このように火炎温度が降温した状態で
は、耐火材１５は、十分にその温度に耐え焼損す
ることはない。特にスカート９の外周には、スカ
ート９及びスカートの下端部１４の水冷壁内に冷
却水を循環させる配管や、スカート構成２３、ス
カート９を昇降させるためのシリンダ１６及びブ
ラケツト２２等、複雑な形状をした付帯物が取付
けられているため、これらを熱から保護するため
には、キヤスタのような不定形耐火材１５によつ
て覆うのが、最もよい手段である。

このような理由により、伝熱管の水冷壁２０
は、耐火材１５が熱的に十分耐える温度まで火炎
の温度を降温するに必要な範囲に設けられている
ので、耐火材１５は焼損脱落することがないもの
である。

又スカート９の外周が単純な形状になつている
場合は、第８図に示すように、耐火物１５は使用
せず、伝熱管の水冷壁２０のみにて、防熱しても
よいことは、勿論である。

〔発明の効果〕

以上詳述した通り本発明による転炉排ガス処理
装置のスカートは、スカートの下端の円錐状の水
冷壁に連続して、スカート外周方向に水冷壁を設
けているので、スカートの下端と炉口との間の〓
間より噴出する火炎の温度を十分に降温し、耐火
物を熱的に保護でき、耐火物の焼損による脱落は
起らず、スカートの長寿命化を図ることができ
た。

従つて、補修ために転炉操業を中止することも
なく、長時間の操業が可能となつて、転炉の稼動
率が大巾に向上し、またギヤラリ上での作業環境
が改善され、作業員の安全を図ることができるな
どの優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すスカート部の
縦断面図、第２図は第１図の平面図、第３図は第
１図に示されるスカートの下端部を示す部分拡大
縦断面図、第４図は防熱板に相当する部分を水冷
壁にした場合の他の実施例を示す縦断面図、第５
図は転炉排ガス処理装置の全体を示す概略図、第
６図は従来のスカート部の一例を示す縦断面図、
第７図は第６図の平面図、第８図は炉口とスカー
トとの関係を示す部分拡大縦断面図、第９図は従
来のスカート部の他の例を示す縦断面図である。 ９……スカート、１２……炉口、１３……炉
口、傾斜部、１４……スカートの下端部、１５…
…耐火物、２０……水冷壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 転炉排ガス処理装置のスカートにおいて、ス
   カートの下端部に連続してその外周水平方向に水
   冷壁を設けたことを特徴とする転炉排ガス処理装
   置のスカート。