JPS6219745Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、局部洗浄のための洗浄水の噴出及び
洗浄後の乾燥用としての温風供給を行う衛生装置
を備えた便器に関する。

従来から一般に利用されている水洗便器では、
洗浄水を供給するためのロータンク式の洗浄水タ
ンクを便器本体の後部に取り付けている。また、
近来になつて普及してきた衛生装置、つまり局部
に洗浄水を噴射すると共に温風を供給し、洗浄及
び乾燥を自動的に行えるようにした装置を便器本
体に備えることも多い。

このような衛生装置は、その機能の面から便器
本体の後部側に配置する必要があり、洗浄水タン
クを備える型の水洗便器ではこの洗浄水タンクの
前に衛生装置が位置するものとなる。

ところで、水洗便器では、便座を便器本体の上
面に配置し、その後端部を便器本体に回転可能に
枢着することも一般に行われている。したがつて
衛生装置を備えるものでは、便座の後端部分と衛
生装置とが重なり合うような配置となる。

このように便座と衛生装置との位置が重なり合
うと、便座の奥行き方向の寸法が制限され、短く
せざるを得ない場合がある。したがつて、便座自
体が小さくなり、人が着座して使用するときに、
身体の大きな場合では窮屈であり、坐り心地も悪
い。

更に、衛生装置を備えるものでは、ノズル装置
からの洗浄水の噴射方向は一定であり、便座に適
切な姿勢で着座していない状態では、洗浄水が的
確に被洗浄部分に達しないことがある。したがつ
て、衛生装置を備えていても、便座が狭いために
使用する人によつては、十分な洗浄が行えないと
いう問題もある。

そこで、本考案は、衛生装置を備えた水洗便器
においても、便座を小さくすることなく、快適に
使用できるようにすることを目的とする。

以下、図面に示す実施例により本考案の特徴を
具体的に説明する。

第１図及び第２図は本考案の便器を示す斜視
図、第３図及び第４図は衛生装置の平面図及び正
面図である。

便器本体１の後部には、ロータンク式の洗浄水
タンク２が固定され、この洗浄水タンク２の前側
にボルト等の取付金具１ａによつて衛生装置本体
Ａが便器本体１の上面を跨ぐようにして連結固定
されている。この衛生装置本体Ａは、洗浄水を局
部に向けて噴射する噴出部Ａ−１，水を加熱して
貯溜し噴出部Ａ−１に供給する温水供給部Ａ−２
及び洗浄後に乾燥用の温風を供給する温風部Ａ−
３を備えたものである。更に、便座３及び便蓋４
の組み合わせによつて暖房便座Ａ−５の基端部分
を衛生装置本体Ａに開閉自在に枢着している。

衛生装置本体Ａのケース５は、正面から観て
「状に形成され、たとえばABS樹脂等の合成樹脂
製のケーシング５ａ及びプレス加工されたステン
レス板等の基板５ｂとから構成される。この基板
５ｂには前記のように、噴出部Ａ−１，温水供給
部Ａ−２及び温風部Ａ−３等の主要機器を配置
し、これらを基板５ｂに対して着脱可能なケーシ
ング５ａによつてカバーしている。なお、第３図
のように、ケーシング５ａの背面には裏板５ｄを
設ける。

更に、衛生装置本体Ａは、便器本体１の上面を
跨いだ状態に配置される載置部分Ａ−ａ及び便器
本体１の側方部分を下方に伸延する垂下部分Ａ−
ｂを有する。載置部分Ａ−ａの正面の中央部分に
は、噴出部Ａ−１の一つの要素として設けられる
伸縮自在なノズル６の出没口７を設け、これに隣
接して温風部Ａ−３からの温風を吹き出す吹出口
８を開設している。なお、便座３の下面にガイド
９を設け、便座３を閉じたときにこのガイド９に
よつて吹出口８からの温風が的確に局部に向けて
噴出されるようにする。

第５図は垂下部分Ａ−ｂの内部を示し、第６図
から第８図は載置部分Ａ−ａの内部構造を示す断
面図である。

噴出部Ａ−１は、伸縮式のノズル６を出没口７
から洗浄位置及び収納位置間で往復動作させる構
造を持つ。このノズル６は、洗浄水の水圧を利用
して伸縮動作を行わせる構造であり、ケーシング
５ａに固定された固定外筒６ａとその内部を摺動
するノズル杆６ｂとを有する。固定外筒６ａの上
端には、洗浄水の供給源に接続される導入口６ｄ
を設け、ノズル杆６ｂの先端には洗浄水の噴出口
６ｃを開設している。そして、固定外筒６ａの内
部には、ノズル杆６ｂをその収納位置方向へ付勢
するバネを設け、水圧がかからなくなつたときに
はこのバネによつてノズル杆６ｂは後退する。６
ｅは後述する余剰水の導入口であり、余剰水はノ
ズル杆６ｂの先端部を洗浄した後、便器本体１の
ボールへ排出される。なお、噴出部Ａ−１は、伸
縮式に限らず固定された構造のものも採用でき
る。

温水供給部Ａ−２は、水を加熱する加熱器１０
等を備えて噴出部Ａ−１に温水を供給するもの
で、基板５ｂに固定されて衛生装置本体Ａの垂下
部分Ａ−ｂに設置されている。そして、この垂下
部分Ａ−ｂの下部背面に設けた接続金具１１が分
岐栓（図示せず）を介して給水源に連絡し、接続
金具１１には加熱器１０への導水管１２が連結さ
れる。この導水管１２の中途には、手動で開閉す
る開閉弁１３，流量調整弁１４及び分配弁１５が
加熱器１０側へ向けてそれぞれこの順に設けられ
る。また、加熱器１０からは、途中に吸気弁１６
及び真空破壊弁１７を配置して噴出部Ａ−１のノ
ズル６の導入口６ｄに管路が接続される。そして
更に、分配弁１５には中途に真空破壊弁１９を備
えた導水管１８が接続され、この導水管１８によ
つて余剰水がノズル６の内部に導かれている。な
お、３３は加熱器１０の下部に設けた水抜栓であ
る。

温風部Ａ−３は、空気を加熱して局部に温風を
吹き出すもので、第１２図に示すような偏平なド
ライヤー構造を持つ。この温風部Ａ−３は、基板
５ｂに固定され衛生装置本体Ａの載置部分Ａ−ａ
に設置される。図において、２０はモータ、２１
はシロツコフアン、２２は空気の吸込孔，２３は
空気の吐出口，２４は胴部２５内に設けた加熱
部，２６は吐出口２３より整流化された温風を吹
き出させるための案内部材であり、２７は吐出口
２３の近傍に設けたサーミスタ等を利用した温度
検知器である。

以上の要素を持つ温風部Ａ−３は、衛生装置本
体Ａの載置部分Ａ−ａ内に配置されるので、この
載置部分Ａ−ａをできるだけ狭小にする必要性か
ら、胴部２５の先端部は折曲状に形成している。
そして、吐出口２３の先端部分２３ａが吹出口８
内に嵌め込まれる。また、加熱部２４は、第１３
図に示すように基台２４ａの周囲にニクロム線等
のヒータ２４ｂを巻きつけたものであり、空気が
基台２４ａとヒータ２４ｂとの間の間〓を通過す
る間に加熱される。２４ｃは過熱を防止するため
の温度ヒユーズである。

更に、第３図において、Ａ−４は温水供給部Ａ
−２及び温風部Ａ−３，暖房便座Ａ−５の温度制
御部であり、局部洗浄水，局部乾燥空気及び暖房
便座Ａ−５の便座３の温度を自動的に適温に制御
する。また衛生装置本体Ａの垂下部分Ａ−ｂの前
面上部には、カバー２８を開閉自在に枢着すると
共に、開閉弁１３のハンドル１３ａや温水による
局部洗浄及び温風による局部乾燥のための切換ス
イツチ２９等が配置される。

ここで、暖房便座Ａ−５の便座３及び便蓋４
は、衛生装置本体Ａに対して回動自在に枢着され
る。すなわち、第１図，第２図，第９図及び第１
０図に示すように、衛生装置本体Ａの載置部分Ａ
−ａの前面中央部に凹部５ｃを形成し、この凹部
５ｃの領域に含まれるように便座３の取付基部３
ａ及び便蓋４の取付基部４ａを位置させている。
そして、これらの取付基部３ａ，４ａは、凹部５
ｃの左右両端に位置する縦面５ｈを貫通して止め
リング５ｆによつて保持された枢軸３０に枢着さ
れる。

また、第６図，第７図及び第８図に示すように
ケース５の載置部分Ａ−ａの上面側には、前方に
向け下向きに傾斜する傾斜部５ｇが形成されてい
る。この傾斜部５ｇ上の両端部には、便座３の取
付基部３ａ及び便蓋４の取付基部４ａの枢着部の
軸受部を収容するため、更に別の凹部５c′が傾斜
部５ｇの両端部側に形成され、これらの凹部５
c′に前記の枢軸３０等から構成される便座３の枢
着機構が配置される。また、便座３がその両端を
枢着されて傾斜部５ｇに対向する面は、便座３を
第７図に示すように使用できる状態としたとき、
傾斜部５ｇに沿うような傾斜面となつている。

このようなケース５と便座３の形状により、諸
機器を内蔵しなければならない衛生装置本体Ａの
前後方向の長さにかかわらず、便座３の後端をケ
ース５に重合状態に配置可能である。したがつて
洗浄水タンク２を配置して衛生装置本体Ａ及び便
座３の取付スペースが十分でない便器であつても
便座３の有効着座面積は衛生装置を備えた場合で
も通常と同様に大きくすることができる。

なお、第３図及び第４図において、３１は温度
制御部Ａ−４と暖房便座Ａ−５とを連絡するコー
ド及び３２は電源コードである。

便蓋４の取付基部４ａは、便座３の取付基部３
ａを覆うように形成され、便蓋を閉じたときの外
観を損なうことがない。また、便蓋４の閉蓋状態
ではその上面と衛生装置本体Ａの載置部分Ａ−ａ
の上面とをほぼ一致させている。なお、便座３は
暖房便座に限らず、一般のものも利用できる。

第１１図は、衛生装置本体Ａに対する便座３及
び便蓋４の他の取付構造を示す要部断面図であ
る。

便座３及び便蓋４の共通の枢軸３０′をケーシ
ング５ａを介して衛生装置本体Ａと便器本体１を
取り付ける取付金具１′ａの頭部に設けた横方向
のネジ穴１′ｂにねじ込まれている。

更に、第１４図は、衛生装置本体Ａの温水供給
部Ａ−２と温風部Ａ−３とを便器本体１の後部側
方に分離してケース５内に納めたものである。衛
生装置本体Ａの載置部分Ａ−ａの前面に設けられ
た幅広の凹部５c′内方側面側に対し、枢軸３０を
枢支することにより、この枢軸３０によつて前記
実施例の場合と同様に便座３及び便蓋４のそれぞ
れの取付基部３ａ，４ａを同軸に枢着している。
本実施例においても上記実施例と同様に枢軸３０
の着脱により、便座３及び便蓋４の着脱が可能で
ある。また、温水供給部Ａ−２と温風部とを分離
して便器本体１の後部側方に設けたので、便器本
体１の上面を広く使用でき、便座３を大きくでき
ると共に坐り心地を良くすることができる。しか
も、便座３及び便蓋４の取付基部が見えず、見栄
えもよくなる。

以上のように、本考案の便器においては、洗浄
や乾燥等の機能部を内蔵する衛生装置を備えてい
ても、便座の有効着座面積を広くでき、快適な坐
り心地で使用できる。また、比較的容量の大きな
温水供給部を便器本体の側方に設けたので、便器
本体の上面を広く使用でき、更に一層便座を大き
くすることができ、使用勝手が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の便器の一例を示す斜視図、第
２図は便座及び便蓋を開けたときの斜視図、第３
図は衛生装置の内部を切欠して示す平面図、第４
図は衛生装置の内部正面図、第５図は衛生装置の
温水供給部付近を示す側面図、第６図は第３図の
−線矢視による断面図、第７図は同−線
矢視による断面図、第８図は同−線矢視によ
る断面図、第９図は便座及び便蓋の取付構造を示
す断面図、第１０図は第９図の−線矢視によ
る断面図、第１１図は便座及び便蓋の他の取付構
造を示す要部断面図、第１２図は温風部を一部切
欠して示す斜視図、第１３図は温風部に内蔵され
る加熱部の斜視図、第１４図は他の便器の例を示
す斜視図である。 Ａ……衛生装置本体、Ａ−１……噴出部、Ａ−
２……温水供給部、Ａ−３……温風部、Ａ−ａ…
…載置部分、Ａ−ｂ……垂下部分、１……便器本
体、３……便座、５……ケース、５ｃ……凹部、
５ｇ……傾斜部、５ｈ……縦面、３０……枢軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 局部に温水を噴出して洗浄する噴出部Ａ−１
   と、水を加熱して噴出部Ａ−１に温水を供給する
   温水供給部Ａ−２と、空気を加熱して局部に温風
   を吹出す温風部Ａ−３を備えた衛生装置本体Ａを
   便器本体１後部側に載置しかつ便座３を同衛生装
   置本体Ａに開閉自在に枢着してなる便器であつ
   て、 上記衛生装置本体Ａが、便器本体１への載置部
   分Ａ−ａ及びその一端から下方に伸延する垂下部
   分Ａ−ｂを有しかつ載置部分Ａ−ａ上面側に便器
   本体１前部側へ向けて下向きの傾斜部５ｇ及び該
   傾斜部５ｇと上面とを結ぶ縦面５ｈを両側部に設
   けて凹部５ｃを構成するケース５を有して前記温
   水供給部Ａ−２を垂下部分Ａ−ｂ内に収容してな
   り、さらに上記ケース５の両縦面５ｈに便座３後
   部の両端を支持する枢軸３０を向かい合うように
   設け、かつ同枢軸３０間に位置する便座３後部下
   面をケース５の傾斜部５ｇに合わせて傾斜状に形
   成し、便座３後部下面を該傾斜部５ｇに重合状態
   に配置したことを特徴とする便器。