JPS6218397B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は鋼製立体トラスユニツトを構成要素
とする海洋浮遊構造物に関するもので、海洋牧
場、浮消波堤、海上レジヤー施設といつた構造物
に利用する。

従来海洋施設はコンクリート構造が主であり、
一部に海洋博覧会の構造物、石油基地のように大
型部材を使用した例はあるが、一般に鋼構造はあ
まり使用されていないのが現状である。また養漁
施設に使用されているものも、ドラムかん、パイ
プ材、ワイヤー、合成繊維で構成される簡易的な
ものである。

この発明は鋼構造による本格的な海洋浮遊構造
物を提供するもので、各構造物の利用目的に応じ
るための汎用性を有し、かつ作業性に優れた合理
的な構造となつている。

この発明の海洋浮遊構造物は節点に球状連結具
を有する立体トラスユニツトを二次元あるいは三
次元的に多数個接続してなるもので、この構造物
を浮遊させるための浮力体は立体トラスユニツト
の内部、すなわち立体トラスユニツト構成部材間
の空間に組み込まれている。球状連結具は各方向
に複数個の連結孔を設けたもので、立体トラスユ
ニツトを構成するパイプ等の棒状の鋼材を連結
し、ユニツトを形成するとともに、立体トラスユ
ニツト相互間の連結や、立体トラスユニツトと床
パネルユニツトやアンカー部材との連結にも用い
る。

以下この考案を図示した実施例に基づいて説明
する。

第１図および第２図は立体トラスユニツトの一
例を示したもので、鋼管１等の鋼材を球状連結具
２を用いて四角錐、三角錐などに構成し、これを
基本のユニツトとする。なお立体トラスユニツト
はこの他、利用目的、作業性などを考慮し、適当
な大きさ、形状のものを選択する。

第３図〜第８図は上述した立体トラスユニツト
により海洋牧場を構成した場合の実施例を示した
ものである。

各立体トラスユニツトはそれぞれ内部に浮力体
３が装着されており、これらを球状連結具２に連
結した鎖４、連結リング５または鎖６で接続し、
第８図に示すように四角形の浮遊構造物を構成す
る。また各立体トラスユニツトの上部にはやはり
球状連結具２によつて連結した作業床７が設けら
れ、アンカー８で構造物全体の位置を固定する。
そして連結された立体トラスユニツトによつて囲
まれた部分に網９が張られ、内部を養漁場として
利用する。

第４図は球状連結具２の一例を示したもので、
球状表面の各方向に複数個の連続孔１０が設けら
れている。図の実施例では連続孔１０に雌ねじが
形成されており、ねじ込み式の接合を行なうよう
になつている。この場合、鋼管１の端部にも雌ね
じ部が形成され、両端に雌ねじ部を有するコネク
ター１１で連結が行なわれ、さらに鋼管１をター
ンバツクルの要領で回し、間隔の調整を行なう。
なお図において右側と左側とでは逆ねじになつて
いる。この他、球状連結具２としては係止装置に
より機械的な連結を行なう押し込み方式のもの
や、ボルトを利用するもの等種々のものが利用で
きる。また利用位置によつて種々の方式を組み合
わせたものも使用できる。

第９図および第１０図は浮消波堤とした場合の
実施例を示したもので、三角錐あるいは四角錐な
どに構成された立体トラスユニツトおよび浮力体
３を三次元的に連続させることにより波力を構造
物の形状（ユニツトの数）で抵抗するようにした
ものである。この実施例において浮力体３として
は合成ゴムあるいは軟質の合成樹脂その他可撓性
を有する袋体を使用し、内部に気体を圧入したも
のなどを用いる。また図中１２はアンカーワイヤ
ーもしくはアンカーチエーンを示す。

浮消波堤は一般にその特徴としてある程度の伝
達波を許容することを前提としていること、漂砂
や海水の動きを妨げないこと、地盤状態に影響さ
れないこと、移動可能な構造物をなし得ることな
どが挙げられているが、この発明においてはこの
ような浮消波堤を立体トラスユニツトの組み合せ
で任意の形状に作業性良く構築することができ
る。さらに可撓性を有する浮力体３を組み込み、
波力の一部はこの浮力体３に蓄えられるひずみエ
ネルギーとして吸収拡散することができる。なお
図中１３は歩行床パネルで、球状連結具２に固定
される。

第１１図および第１２図は海上レジヤー施設と
してヨツトハーバーの浮桟橋２３、簡易防波堤２
４として利用した場合の実施例を示したもので、
第１２図は第１１図のＡ部分の詳細である。これ
は立体トラスユニツトを連結し、浮力体３を組み
込むことにより構成され、上面には歩行床パネル
２５を取り付けてなる。

第１３図はこれらの海洋施設の配置例を概念的
に示したもので、図中Ａは海洋牧場、Ｂは浮消波
堤、Ｃは海洋エネルギー基地、Ｄはヨツトハーバ
ーである。

この発明は以上の構成からなり、次のような利
点、特徴を有する。

波力あるいは上載荷重等の外力に対し構造物
の形状（ユニツトの数）で抵抗することができ
る。

ユニツト化することができるので量産が可能
である。

球状連結具によりユニツトの接合、海底アン
カー、支持材等の接続が容易である。

ユニツトと浮力体を合理的に配置し、波力を
効率よく分散させ消波効果を増すことができ
る。

任意の形状、大きさの鋼製海洋浮遊構造物が
作業性良く構築できる。

ユニツトと浮力体を合理的に配置することに
より、安定性の良い海洋浮遊構造物となる。

ユニツトは球状連結具により現場でも簡単に
製作できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示したもので、第１
図および第２図は立体トラスユニツトの一例を概
略的に示した斜視図、第３図〜第８図は海洋牧場
とした場合の実施例で、第３図は作業床部分の正
面図、第４図は球状連結具による連結部分の一例
を示す断面図、第５図および第６図は立体トラス
ユニツトどうしの接続の様子を示す正面図、第７
図は海洋牧場の縦断面図、第８図は平面図、第９
図および第１０図は浮消波堤とした場合の実施例
で、第９図は縦断面図、第１０図は平面図、第１
１図および第１２図は海上レジヤー施設とした場
合の実施例で、第１１図は平面図、第１２図は第
１１図のＡ部分の詳細を示す平面図（一部断面
図）、第１３図は海洋施設の配置の一例を示す平
面図である。 １……鋼管、２……球状連結具、３……浮力
体、４……鎖、５……連結リング、６……鎖、７
……作業床、８……アンカー、９……網、１０…
…連結孔、１１……コネクター、１２……アンカ
ーワイヤーもしくはアンカーチエーン、１３……
歩行床パネル、２３……浮桟橋、２４……簡易防
波堤、２５……歩行床パネル、Ａ……海洋牧場、
Ｂ……浮消波堤、Ｃ……海洋エネルギー基地、Ｄ
……ヨツトハーバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 棒状の鋼材を複数個の連結孔を有する球状連
   結具により連結して三角錐または四角錐を基本と
   する鋼製立体トラスユニツトに構成し、該鋼製立
   体トラスユニツトを前記球状連結具の連結孔を利
   用して多数個二次元ならびに三次元的に接続し、
   かつ前記トラスユニツトの内部に可撓性を有する
   袋体からなる浮力体を組み込んでなることを特徴
   とする海洋浮遊構造物。 ２ 棒状の鋼材は鋼管である特許請求の範囲第１
   項記載の海洋浮遊構造物。