JPS6218304B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は磁性材料からなる被加工部材を工作機
械器具に関して磁力固定するための電磁チヤツク
に関する。

電磁チヤツクは、一般に、磁性材料からなる上
端開放のケーシングと、その底部中央に設けられ
た鉄心およびこれを取り巻く励磁コイルと、ケー
シングの上端に固定された磁極板とから成り、該
磁極板はケーシングの上端に接触する第１の磁極
部材と、鉄心に接触する第２の磁極部材とから構
成され、第１および第２の磁極部材とは磁極板表
面上で交互に並列配置され、また両者は非磁性材
料によつて磁気的に絶縁されている。

電磁チヤツクは、その使用時、磁極板上に被加
工物を載せ、励磁コイルに通電することにより、
ケーシングと第１の磁極部とが一連の磁路を構成
しまた鉄心と第２の磁極部材とが他の一連の磁路
を構成し、磁束を誘導して被加工物を磁極板上に
磁気的に吸着する。

このような電磁チヤツクに使用上要求されると
ころは、被加工物を吸着する力が大きいこと、取
り扱い上小型軽量であること、また特に電磁チヤ
ツクを使用する工作機械の加工範囲を狭めないよ
う電磁チヤツクの高さ寸法が小さいこと等であ
る。

電磁チヤツクの吸着力に関し、これを決定する
重要な要素はケーシングと第１の磁極部材との間
の接触面積および鉄心と第２の磁極部材との接触
面積である。前者の接触面積は構造上これを十分
に得ることができる。しかし、鉄心と第２の磁極
部材との接触面積は、鉄心上に接触する第２磁極
部材が第１磁極部材と交互に配置されていること
から明らかなように、鉄心全面積の半分以下であ
り、前記したケーシングと第１磁極部材との接触
面積に比較して著しく小さい。

このことから、従来の電磁チヤツクは、これを
励磁した際に鉄心と第２磁極部材との接触面を経
る磁路で磁気飽和を生じ、電磁チヤツクの性能を
低いものにしている。

この点を改善べく、上下に高く層厚の薄い励磁
コイルを用いることとして鉄心の断面積を拡大し
該鉄心と第２磁極部材との接触面積を大きくする
ことが考えられる。しかし、この改善策によれば
明らかに鉄心高さすなわち電磁チヤツク全体の高
さ寸法を大きくする結果を招き、これを小さくし
て工作機械の加工範囲を拡大したいとする一般的
要求に反する結果となる。

従つて、本発明が目的とするところは、鉄心と
第２磁極部材との接触面積を拡大することであ
り、しかも電磁チヤツクの高さ寸法を大きくする
ことなく、該接触面積を拡大することにある。

本発明は、鉄心の断面寸法を拡大することな
く、該鉄心と第２磁極部材との接触面積を拡大す
るために、第２磁極部材の長さ方向および幅方向
において最大限の鉄心との接触域を形成すること
を企図し、ために、第２磁極部材の下端部を長さ
方向では鉄心の幅寸法と等しい長さ範囲で鉄心に
接触し、また幅方向では少くも第１磁極部材間の
間隔にほぼ等しい長さ範囲で鉄心に接触する形状
としたことを特徴とする。

すなわち、本発明によれば、上端開放のケーシ
ングと、該ケーシングの底部に設けられた鉄心お
よび該鉄心を取り巻く励磁コイルと、前記ケーシ
ングの上端に固定された磁極板であつて前記ケー
シングの上端に接触する第１の磁極部材と前記鉄
心に接触する第２の磁極部材とから成る磁極板と
を含む電磁チヤツクにおいて、前記第２の磁極部
材の下端の幅寸法をその上端の幅寸法より大きく
したことを特徴とする電磁チヤツクが提供され
る。

本発明が特徴とするところは、図示の実施例に
関する以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

第１図に示すように、電磁チヤツク１０は、上
端１２で開枚された長方形の箱形ケーシング１４
を備え、該ケーシング内の底部中央には鉄心１６
が設けられており、該鉄心の周囲にはこれを取り
巻く励磁コイル１８が配置されている。鉄心１６
の頂面とケーシング１４の上端とはほぼ等しい高
さ位置にある。

ケーシング１４の開放端を閉じるように磁極板
２０が上端１２上にビス（図示せず）により固定
されている。磁極板２０は、ケーシング１４の上
端１２上に接触するが鉄心１６には接触しない第
１の磁極部材２２と、逆に鉄心１６には接触する
がケーシング１４とは接触しない第２の磁極部材
とから構成される。

磁極板は第１の磁極部材に窓開口を設け、該開
口中に鉄心と接触する第２の磁極部材を嵌入配置
して構成することもできる。図示の代表的な構成
によれば、磁極板２０は第１の磁極部材２２を複
数の門型片２２ａ（第２図参照）を間隔をおいて
並列配置して一体形成し、第２の磁極部材２４を
門型片２２ａ間に嵌入配置して、第３図に示すよ
うに両端部を第１磁極部材２２に支承させて成
る。第１磁極部材の門型片２２ａは、第２図から
明らかなように、その中央部分の高さ寸法が減ぜ
られており、該門型片と鉄心との間に広い空間が
確保されている。第２磁極部材２４は、第３図か
ら明らかなように、その中央部分に両端部分より
大きい高さ寸法を有し、該中央部分はこれが接触
する鉄心１６の幅寸法にほぼ一致する長さ寸法を
有する。第１磁極部材２２すなわちその門型片２
２ａと第１磁極部材との間には、それらの磁気的
干渉を阻止するための非磁性材料から成る磁気絶
縁材２６が配置されている。

前記した電磁チヤツク１０の基本的構造は、従
来の電磁チヤツクにおけると相違するところはな
い。しかし、従来、磁気絶縁材２６を介して第１
の磁極部材２２間に配置され、鉄心１６の表面１
６ａに接触する磁極部材２４は、第４図に示すよ
うに、その上端部から下端部へ同一の幅寸法を有
する矩形の横断面形状を備え、これがため鉄心と
の接触面積の拡大に制限があつたが、本発明に係
る電磁チヤツク１０は第５図に示すように、第２
磁極部材２４は下端部２４ａが上端部２４ｂより
大きい幅寸法を有するほぼ逆Ｔ字状の横断面形状
を備える。

第２磁極部材２４の拡大された下端部２４ａの
幅寸法は、磁極板２０の組立が該部材２４を第１
磁極部材２２の上側からその門型片２２ａ間に挿
入配置するように計画される場合には、門型片２
２ａの間隔Ｓ（第５図）とほぼ等しくし、また第
１磁極部材の下側からその門型片２２ａ間に挿入
配置するように計画される場合には、門型片２２
ａの間隔Ｓより大きく門型片の心心間距離以下の
幅寸法とする。

こうして下端部の幅寸法が拡大された第２磁極
部材２４は、鉄心１６とより大きな面積で接触す
ることとなり、従来鉄心との接触面積が第４図に
示すように小さかつたことに起因する電磁チヤツ
クにおける性能低下の問題を克服することができ
る。

さらに、本発明による鉄心とこれに接触する磁
極部材との接触面積の拡大は、鉄心の幅寸法や高
さ寸法の変更とは係りなく達成されることから、
電磁チヤツクに対する一般的要求である高さの問
題にも解決を与えることができる。すなわち、励
磁コイルの上下に低く層厚を厚くすることにより
鉄心の高さ寸法を減じ、これにより電磁チヤツク
全体の高さを低くすることができる。この鉄心高
さの低減は、言うまでもなく電磁チヤツクの軽量
化をもたらす。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る電磁チヤツクを一部破断
して示す斜視図、第２図は第１図の線２−２に沿
つて得た横断面図、第３図は第１図の線３−３に
沿つて得た横断面図、第４図は従来の電磁チヤツ
クにおける磁極板の部分横断面図、第５図は第１
図の線５−５に沿つて得た本発明に係る電磁チヤ
ツクにおける磁極板の部分横断面図である。 １４……ケーシング、１６……鉄心、１８……
励磁コイル、２０……磁極板、２２……第１磁極
部材、２２ａ……門型片、２４……第２磁極部
材、２６……絶縁材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上端開放のケーシングと、該ケーシングの底
   部に設けられた鉄心および該鉄心を取り巻く励磁
   コイルと、前記ケーシングの上端に固定された磁
   極板であつて前記ケーシングの上端に接触する第
   １の磁極部材と前記鉄心に下端が接触する第２の
   磁極部材とから成る磁極板とを含み、前記第２の
   磁極部材の下端の幅寸法がその上端の幅寸法より
   大きいことを特徴とする、電磁チヤツク。 ２ 前記第１の磁極部材は複数の門型片が間隔を
   おいて一体に並列配置されて成り、前記第２の磁
   極部材は前記第１の磁極部材の門型片間に非磁性
   材料を介して配置されている、特許請求の範囲第
   １項の電磁チヤツク。 ３ 前記第１の磁極部材は並列配置された複数の
   矩形の開口を有し、前記第１の磁極部材は非磁性
   材料を介して前記第１の磁極部材の開口中に嵌入
   されている、特許請求の範囲第１項の電磁チヤツ
   ク。 ４ 前記第２の磁極部材は逆Ｔ字状の横断面形状
   を有する、特許請求の範囲第１項の電磁チヤツ
   ク。 ５ 前記第２の磁極部材はその下端部に前記門型
   片間の間隔とほぼ等しい幅寸法を有する、特許請
   求の範囲第２項の電磁チヤツク。 ６ 前記第２の磁極部材はその下端部に前記門型
   片間の間隔より大きく該門型片の心心間距離以下
   の幅寸法を有する、特許請求の範囲第２項の電磁
   チヤツク。