JPS6216517Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は二輪車等のリヤークツシヨンとして使
用する油圧緩衝器の減衰力調整機構に関し、詳し
くはピストンロツドの内部油路に対して設けた引
き側及び押し側減衰力調整オリフイスが相互に干
渉することなく独立に機能するようにした減衰力
調整機構に関する。

シングルチユーブ型油圧緩衝器の減衰力調整機
構として、ピストンロツドの内部にピストンの
前、後油室に連通する油路を形成し、この油路の
ピストン前方油室に開口する一端側に複数の異径
オリフイスを有するセレクトバルブを回転自在に
嵌装するとともにピストン後方油室に開口する油
孔に対接して複数の異径オリフイスを有する調整
部材を回転自在に嵌装した減衰力調整機構が知ら
れている。この種の減衰力調整機構は例えば前記
セレクトバルブのオリフイスを変えて引き行程の
減衰力を調整するとともに、回転調整部材のオリ
フイスを変えることにより押し行程の減衰力を調
整しようとするものであるが、この場合引き行程
の減衰力は前記セレクトバルブのオリフイスと前
記回転調整部材のオリフイスの二カ所で調整作用
をうけるため引き行程の減衰力を所定値に設定す
ることがきわめて困難である。例えばセレクトバ
ルブのオリフイス開口面積を大にして引き行程の
減衰力を小さくしようとしても調整部材の押し側
減衰力調整オリフイス径がこれよりも小さいとき
は引き行程減衰力は該押し側減衰力調整オリフイ
スの影響をうけて所望の調整効果が得られないと
いう不都合があつた。

本考案は上記の問題を解決するためになされた
もので、共通の流路で発生する引き行程及び押し
行程の減衰力を各々独立に可変調整させ、一方の
減衰力が他方の減衰力調整オリフイスの影響をう
けることがないようにした油圧緩衝器の減衰力調
整機構を提供するものである。

本考案は上記目的のために、ピストン後方油室
への開口側に設けた調整部材及びこれと対接する
ピストンロツドにピストン後方油室からピストン
ロツド内部油路に連通するバイパス油路を調整部
材の前記オリフイスとは別に貫設するとともに、
該油路に緩衝器の伸長行程で開き、圧縮行程で閉
じるチエツクバルブを設けたもので、以下、本考
案の一実施例を添付の図面に基づいて説明する。

第１図はピストンロツド１に固着したピストン
２を油を充填したシリンダ３内に摺動自在に嵌挿
したシングルチユーブ型油圧緩衝器の要部断面を
示すもので、ピストンロツド１にはピストン２の
前方油室Ａと後方油室Ｂに連通する油路４を形成
し、この油路４のピストン前方油室Ａに開口する
一端側に引き行程の減衰力を可変調整するための
セレクトバルブ５を設けるとともに、該油路４の
ピストン後方油室Ｂに開口するピストンロツド１
の油孔６に対接して引き行程の減衰力を可変する
ための調整部材７を設けてある。

セレクトバルブ５は円周方向に、径、即ち開口
面積の異なる複数のオリフイス８ａ，８ｂ…を有
し、ピストンロツド１の先端に固着した中空ナツ
ト９内において、油孔１０を有するバルブシート
１１とその後方の段部１２の間を前後摺動且つ回
転自在に嵌装されているとともに、中空ピストン
ロツド１の内部軸方向に延在するアジヤストロツ
ド１３の先端と係合し、外部に露出させたアジヤ
ストロツド１３のつまみ１４を回転することによ
り複数オリフイス８ａ，８ｂ，８ｃ…がバルブシ
ート１１の油孔１０と選択的に連通して引き行程
の減衰力を可変調整できるようになつている。

他方、調整部材７は第２図に示すように、開口
面積の異なる複数のオリフイス１５ａ，１５ｂ，
１５ｃ…を横方向に放射状に形成してあり、対接
するピストンロツド１との回転変位によりこれら
オリフイス１５ａ，１５ｂ…が油路４の一端側油
孔６と選択的に連通し、押し行程の減衰力を可変
調整できるように構成してある。尚、ピストンロ
ツド１の調整部材嵌合部外周には各オリフイス１
５ａ，１５ｂ，１５ｃ…に対応した凹部１６ａ，
１６ｂ，１６ｃ…を形成するとともに調整部材７
とピストンロツド１の内外摺接面間にばね１７に
押圧されたボール１８を介装し、これらオリフイ
スと油孔６の連通位置決めを容易ならしめてい
る。またシリンダ３のロツドガイド１９に固定し
たバウンドシート２０と前記調整部材７の対向面
には相互に嵌り合う凹凸溝２１ａ，２１ｂを形成
し、ピストンロツド１を引き寄せて対向面を当接
したときに調整部材７がリバウンドシート２０に
係合して回転を阻止され、その結果、ロツド１の
回転により調整部材７のオリフイスを変えるよう
にしてある。

このように、ピストンの前後油室Ａ，Ｂに連通
する油路４の一端側開口に一方の減衰力調整オリ
フイスを設け、他端側に他方の減衰力調整オリフ
イスを設けたシングルチユーブ型油圧緩衝器の減
衰力調整機構において、本考案では更に調整部材
７及びこれと対接するピストンロツド１にピスト
ン後方油室Ｂからピストンロツド１の内部油路４
に連通する油路２２（矢印）を前記調整部材のオ
リフイス６と別個に設けるとともに、該油路２２
に、緩衝器の引き行程で開き、押し行程で閉じる
チエツクバルブ２３を配設してある。

図の実施例では前記オリフイス１５ａ，１５
ｂ，１５ｃ…を形成したアジヤストプレート７ａ
と内側に窪みを有するバルブストツパー７ｂを抱
き合せて中空の調整部材７を構成し、アジヤスト
プレート７ａに形成した油孔２２ａとピストンロ
ツド１に形成した油孔２２ｂを調整部材７の中空
内部に開口させることにより油路２２を構成し、
油孔２２ａの内側にバルブスプリング２４に押圧
されたチエツクバルブ２３を設けてある。尚、２
５は油を通過させるための切欠きを有するバルブ
ストツパーカラーである。

本考案は以上の構成になるので、押し行程では
ピストン先端のバルブシート１１の油孔１０から
入る前方油室Ａの油がセレクトバルブ５を後方の
段部１２に押し付け、セレクトバルブ５とバルブ
シート１１間の間隙を通つてセレクトバルブの全
オリフイス８ａ，８ｂ…から油路４内に流入す
る。このとき調整部材７の油路２２に設けてある
チエツクバルブ２３は閉じているので油路４内の
油は調整部材７の減衰力調整オリフイス１５ａの
みで流量を絞られ、押し行程の減衰力が発生す
る。他方、引き行程では調整部材７の油路２２が
開くため後方油室Ｂの油は該油路２２と調整部材
７の押し側減衰力調整オリフイス１５ａの二つの
流路を通つてピストンロツド１内の油路４に流入
し、その油圧でセレクトバルブ５をバルブシート
１１に圧接させ、バルブシート１１の油孔１０に
対向しているオリフイス８ａで絞られて引き行程
の減衰力が生ずる。

従つて、調整部材７の油路２２と最小オリフイ
スの合計開口面積をセレクトバルブ５の最大オリ
フイスの開口面積よりも大きくし、またセレクト
バルブ５の全オリフイスの合計開口面積が調整部
材７の最大オリフイスの開口面積より大きくなる
ように設定することにより、オリフイスをどのよ
うに切り替えても一方の減衰力が他方の減衰力調
整オリフイスに影響されるおそれはまつたくなく
なり、押し行程及び押し行程の減衰力をそれぞれ
独立に調整することが可能となる。

また、従来、引き側及び押し側減衰力を独自に
調整するにはシリンダー内をオイルとガスに分離
し且つリザーバーを必要としていたため重量増加
を余儀なくされていたが、本考案ではこのような
付属部品を必要としないので緩衝器の計量化を計
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を適用したシングル
チユーブ型油圧緩衝器の要部断面図、第２図は第
１図−線断面図である。 １……ピストンロツド、３……シリンダ、４…
…油路、５……セレクトバルブ、７……調整部
材、１３……アジヤストロツド、２２……油路、
２３……チエツクバルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ３内に摺動自在に嵌合したピストン２
   を先端に固着した中空ピストンロツド１を、凹凸
   溝２１ａを形成したリバウンドシート２０を設け
   たシリンダ３の一端より外部へ延長し、前記ピス
   トンロツド１の内部油路４と、前記ピストン２の
   後方でピストンロツド１に対して回転自在に嵌装
   された調整部材７に設けられた前記内部油路４と
   連通する油路２２及び油孔６とによりピストン前
   後油室Ａ，Ｂを連通し、前記内部油路４のピスト
   ン前方油室Ａに開口する一端側に固定した油孔１
   ０を有するバルブシート１１に対して接離するよ
   う移動自在であるとともにピストンロツドに嵌挿
   されたアジヤストロツド１３により回転自在で、
   且つ開口面積の異なるオリフイス８ａ，８ｂ，８
   ｃを有するセレクトバルブ５を設け、外部よりア
   ジヤストロツドを操作して該セレクトバルブを回
   転することにより前記オリフイスの１つを選択し
   て前記油孔１０と連通し引き行程の減衰力を可変
   調整し、前記調整部材７には前記リバウンドシー
   ト２０に対向する面に凹凸溝２１ａと嵌合しうる
   凹凸溝２１ｂと開口面積の異なる複数のオリフイ
   ス１５ａ，１５ｂ，１５ｃとを形成し前記凹凸溝
   ２１ａ，２１ｂを相互に嵌合しつつピストンロツ
   ド１を回転することにより前記オリフイス１５
   ａ，１５ｂ，１５ｃの１つを選択して前記油路２
   ２と内部油路４とを連通するとともに、前記油路
   ２２に押し行程時のみ開くチエツクバルブ２３を
   設けたことを特徴とする油圧緩衝器の減衰力調整
   機構。