JPS6215453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は内燃機関のブローバイガス還元装置の
改良に関する。

従来の技術 ピストンとシリンダ壁の間からクランクケース
に洩れ出る所謂ブローバイガスは多量の炭化水素
（HC）を含むため、これを吸気負圧を利用して吸
入系統に再度戻してシリンダ内で燃焼させること
が行われ、このための装置はブローバイガス還元
装置として知られている。

そして、このブローバイガス還元装置としては
シリンダヘツドカバー内部にブリーザチヤンバを
形成し、該チヤンバとエアクリーナ及び吸気マニ
ホールドとを相連通し、ブローバイガスを吸気系
統に還元するとともに、エアクリーナ側からブリ
ーザチヤンバを介して新気をクランクケース内に
導入し、これによりクランクケース内を換気する
所謂クローズド式のものが多く採用されている。

考案が解決しようとする問題点 ところで、ブローバイガス中にはオイルミスト
が含まれており、このミストを吸入系統に還元す
る前に除去しなければ、オイルが消費され、又吸
気中にオイルミストが混入し、これがシリンダ内
の燃焼に悪影響を及ぼす結果となる。

そこで、このオイルミストを前記ブリーザチヤ
ンバ内で分離する方法が取られる。これは例えば
実開昭49−4030号に開示される如くブリーザチヤ
ンバ内に迷路状の通路８を形成し、この通路８に
ブローバイガスを通すことでブローバイガスとオ
イルミストを分離するものである。しかしこの方
法ではオイルミストの分離能力を高めようとすれ
ば、ブリーザチヤンバを大型化しなければなら
ず、内燃機関の大型化が免れない。

本考案は斯かる不具合に鑑み成されたもので、
その目的とする処はブリーザチヤンバの容積を大
型化することなく、コンパクトな構造でブローバ
イガス中のオイルミストを効率良く分離できるよ
うにした内燃機関のブローバイガス還元装置を提
供するにある。

問題点を解決するための手段 前記目的を達成するため本考案は、シリンダヘ
ツドカバー６上壁部に下方へ突出させて筒状のオ
イルフイラーキヤツプ取付口３３を形成し、 該取付口３３に取付けられるオイルフイラーキ
ヤツプ３４を、フランジ状の操作部と、該操作部
下部に形成され前記取付口の閉塞を自在とした取
付部と、該取付部に形成され下方に開放状の凹部
とで構成し、ブリーザプレート２４の前記オイル
フイラーキヤツプ取付口３３に対応する部分に上
方へ突出させて筒状のオイル注入口３５を形成
し、前記オイルフイラーキヤツプ取付口３３下端
とオイル注入口３５上端との間に所定隙間を形成
し、前記オイル注入口３５から前記隙間に流れ込
むブローバイガスに対して横方向からブローバイ
ガスを流入させ、これらのブローバイガスの流れ
を乱すとともにこれらのブローバイガスを前記オ
イルフイラーキヤツプ取付口３３及びオイル注入
口３５に衝突させるブローバイガス流入口２９を
前記垂壁部６ａに設けたことを特徴とする。

作 用 オイルフイラーキヤツプ取付口下端とオイル注
入口上端との間に所定隙間を形成するとともに垂
壁部にブローバイガス流入口を設けたので、オイ
ル注入口から前記隙間に流れ込むブローバイガス
に対して横方向からブローバイガスを流入させ、
これらのブローバイガスの流れを乱すとともにこ
れらのブローバイガスを前記オイルフイラーキヤ
ツプ取付口及びオイル注入口に衝突させることが
でき、これによりブリーザチヤンバの容積を拡大
することなくブローバイガス中のオイルミストの
分離能力を高めることができる。又オイルフイラ
ーキヤツプの取付部に下方に開放した凹部を形成
したのでこの部分をブリーザチヤンバとして利用
することができ、ブリーザチヤンバの容積を確保
しつつ内燃機関のコンパクト化を図ることができ
る。

実施例 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係る装置を装備して成る内燃
機関の一部破断側面図、第２図はシリンダヘツド
カバーの底面図、第３図はブリーザプレートの平
面図、第４図は同側面図、第５図は第４図５−５
線断面図、第６図は同底面図、第７図はブリーザ
プレートを組付けた状態のシリンダヘツドカバー
の破断側面図である。

第１図に示す機関１において２はシリンダブロ
ツクであり、該シリンダブロツク２内にはピスト
ン３が上下摺動自在に嵌挿されており、該ピスト
ン３とクランク軸９とはコンロツド４にて連結さ
れている。

上記シリンダブロツク２の上面にはシリンダヘ
ツド５が固定されており、シリンダヘツド５の上
面には下方を開放した略筐状のシリンダヘツドカ
バー６の下端を取付ける。斯くしてピストン３の
上面側には燃焼室７が形成され、該燃焼室７は吸
気ポート８、吸気マニホールド１０を経てスロツ
トルボデイ１１に連通しており、スロツトルボデ
イ１１にはエアクリーナ１２が連通している。

ところで、前記シリンダヘツドカバー６内部に
はブリーザプレート２４にて区画されるブリーザ
チヤンバＳが形成され、該ブリーザチヤンバＳは
これらの下方に形成されるカム室Scに連通する
とともに、管２５を介してエアクリーナ１２の吸
込口側及びPCV（Positive Crankcase
Ventilation valve）２６、管２７を介してスロツ
トルボデイ１１に連通している。このPCVバル
ブ２６は流量制御弁の一種で、これの流量特性と
しては差圧が大きい程流量が小さくなるように設
定されている。尚カム室Scとクランクケース
（図示せず）とは相連通している。

ところで、前記シリンダヘツドカバー６の上面
内部には第２図に示す如く下方に突出する隔壁６
ａが一体成形されており、該隔壁６ａの適所には
ボス部６ｂ……が形成され、各ボス部６ｂにはタ
ツプが立つている。

一方、前記ブリーザプレート２４の上面には第
３図及び第４図に示す如く上記シリンダヘツドカ
バー６側に設けた隔壁６ａと全くの対称形状を成
す隔壁２４ａが成形され、該隔壁２４ａの隔壁６
のボス部６ｂ……と対称を成す位置にはボス部２
４ｂが形成され、各ボス部２４ｂにはボルト挿通
孔が穿設されている。

而して、第７図に示す如くブリーザプレート２
４をシリンダヘツドカバー６の内面にパツキン２
８を介して接合し、ボルトにて締め付ければ、シ
リンダヘツドカバー６の内部にはブリーザチヤン
バＳが形成される。このブリーザチヤンバＳ内は
第３図に示す如く隔壁２４ａ−１によつて第１チ
ヤンバS₁と第２チヤンバS₂とに区画され、各チヤ
ンバS₁，S₂は更に隔壁２４ａ−２，２４ａ−３に
より夫々ブローバイガス流入室S₁i，S₂iとブロー
バイガス流出室S₁d，S₂dとに区画されている。

又前記第１、第２チヤンバS₁，S₂内には夫々更
に隔壁２４ａ−１，２４ａ−５，２４ａ−６，２
４ａ−７が設けられ、各チヤンバS₁，S₂内は迷路
状のブローバイガス通路が形成されている。そし
て、隔壁２４ａ−２と２４ａ−５の角部及び隔壁
２４ａ−３と２４ａ−６の角部には図示の如くス
リツトΔS₁，ΔS₂が設けられている。

而して前述の如く機関１は前傾しているため、
ブリーザチヤンバＳは第３図において下方が下が
り、上方が上がつている。そして、各第１、第２
チヤンバS₁，S₂の最下端には夫々ブローバイガス
流入口２９，３０が最上端、即ちシリンダヘツド
カバー６には第２図に示す如くブローバイガス流
出口３１，３２が穿設され、一方の流出口３１に
はエアクリーナ１２に連絡する管２５が、他方の
流出口３２にはスロツトルボデイ１１のスロツト
ル弁下流に連絡する管２７が夫々連結されてい
る。

又シリンダヘツドカバー６のブローバイガス流
入室S₁iを構成する部分には第７図に示す如く下
方へ突出する周壁６ｃで構成されるオイルフイラ
ーキヤツプ取付口３３が一体成形されており、該
取付口３３に取付けられるオイルフイラーキヤツ
プ３４はフランジ状の操作部と、該操作部下部に
形成され前記取付口の閉塞を自在とした取付部
と、該取付部に形成され下方に開放状の凹部とで
構成されている。

又第７図に示す如くブリーザプレート２４の上
記オイルフイラーキヤツプ取付口３３に相対向す
る位置には上方へ突出する周壁２４ｃで構成され
るオイル注入口３５が設けられ、該オイル注入口
３５上端と前記オイルフイラーキヤツプ取付口３
３下端との間には所定間隔が形成され、一方、隔
壁６ａには前記隙間に対して横方向からブローバ
イガスを流入させるブローバイガス流入口２９が
形成されている。

次に以上説明したブローバイガス還元装置の作
用について述べる。ブリーザチヤンバＳのうち第
２チヤンバS₂は流出口３２に取付けたPCVバル
ブ２６、管２７を介してスロツトルボデイ１１の
スロツトル弁下流に連通している。内燃機関低負
荷時はスロツトル弁開度は小さくスロツトル弁下
流の吸気圧（以下Ｐ_B圧という）は大きな負圧の
為第２チヤンバS₂内のブローバイガスはＰ_B圧に
引かれてスロツトルボデイ１１内に還元する。又
第１チヤンバS₁の流出口３１は管２５を介してエ
アクリーナ１２の吸込口側に連通している。第２
チヤンバS₂がＰ_B圧に引かれ、カムSc圧全体が負
圧になるので第１チヤンバS₁内へエアクリーナ１
２の吸込み口側の新気が導入される。

内燃機関の高負荷時（特にターボチヤージで過
給した時）は、燃焼室７から洩れ出るブローバイ
ガスも多量に発生し、しかもスロツトル弁は全閉
に近くＰ_B圧は小さいのでPCVバルブ２６、管２
７を介してスロツトルボデイ１１に還元するブロ
ーバイガスは小さい。その為クランクケース内及
びカム室Sc内の圧力は上昇し、大気圧よりも高
くなると、ブローバイガスは第７図に矢印にて示
す如くオイル注入口３５及び該注入口３５の側方
に開口するブローバイガス流入口２９から第１チ
ヤンバS₁内へ流入し、流出口３１から管２５を介
してエアクリーナ１２の吸込口側に還元される。

ところで、オイル注入口３５から流入するブロ
ーバイガスはオイルフイラーキヤツプ３４に衝突
し、逆流して渦を巻く。又このオイル注入口３５
から流入するブローバイガスとブローバイガス流
入口２９から横方向に流入するブローバイガスと
が衝突し、乱流を形成する。

斯くして第１のチヤンバS₁内に流入する２つの
ブローバイガスの流れは著しく乱され、これらの
ブローバイガスはオイルフイラーキヤツプ取付口
３３とオイル注入口３５に当たることになる。

ところで、機関を連続運転する場合、ブローバ
イガスは連続して発生し、このブローバイガス中
に含まれるオイルミストが各チヤンバS₁，S₂内に
付着、滴下する。機関１は前述の如く前傾状態に
あるため、滴下したオイルは第３図中斜線にて示
すＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄの箇所に集約され、この集約さ
れるオイルの量がある程度に達すると、このオイ
ルはスリツトΔS₁，ΔS₂を閉塞するに至り、この
結果ブローバイガスの流れは第３図中実線矢印で
示す流れのみとなる。

そして、その後機関１が停止されると、各チヤ
ンバS₁，S₂内に溜つたオイルはその自重でブロー
バイガスの流れとは逆方向、即ちブローバイガス
の流れの下流側から上流側に順次落下し、最終的
にクランク室に回収される。尚このとき傾斜した
隔壁２４ａ−２，２４ａ−３はオイルがその自重
で戻る作用を促進する機能を発揮し、又スリツト
ΔS₁，ΔS₂はオイルの戻り口の役目をする。

以上において、特に第１チヤンバS₁に流入する
２つのブローバイガスの流れはその流れを著しく
乱され、且つこれらのブローバイガスはオイルフ
イラーキヤツプ取付口３３とオイル注入口３５に
当たるので、ブローバイガス中に含まれるオイル
ミストの分離能力は著しく高められ、分離能力向
上のためにチヤンバの容積を拡大する必要がなく
なる。

斯くしてブローバイガス中に含まれるオイルミ
ストはブローバイガスが吸入系統に還元される前
にブリーザチヤンバＳ内で有効に分離され、最終
的にクランク室に回収されるため、オイル消費量
は減少し、又オイルミストによる燃焼への悪影響
を有効に取り除くことができる。又本実施例では
オイルフイラーキヤツプ３４の取付部に下方に開
放状態の凹部を形成したのでこの凹部をブリーザ
チヤンバＳとして利用することができ、ブリーザ
チヤンバＳの容積を確保しつつ内燃機関のコンパ
クト化を図ることができる。

考案の効果 以上述べた如く、本考案によれば、ブリーザチ
ヤンバの容積を大型化することなく、コンパクト
な構造でブローバイガス中のオイルミストを効率
良く分離できる内燃機関のブローバイガス還元装
置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は内燃機関の一部破断側面図、第２図はシリンダ
ヘツドカバーの底面図、第３図はブリーザプレー
トの平面図第４図は同側面図、第５図は第４図５
−５線断面図、第６図は同底面図、第７図はブリ
ーザプレートを組付けた状態のシリンダヘツドカ
バーの破断側面図である。 尚図面中５はシリンダヘツド、６はシリンダヘ
ツドカバー、６ａは垂壁部、１１はスロツトルボ
デイ、１２はエアクリーナ、２４はブリーザプレ
ート、２６はPCVバルブ、２９，３０はブロー
バイガス流入口、３１，３２はブローバイガス流
出口、３３はオイルフイラーキヤツプ取付口、３
４はオイルフイラーキヤツプ、３５はオイル注入
口、Ｓはブリーザチヤンバ、S₁，S₂は第１、第２
チヤンバである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下方を開放したシリンダヘツドカバーの下端を
   シリンダヘツド上面に取付け、 前記シリンダヘツドカバー上壁部下面より下方
   に突出する垂壁部を形成し、 該垂壁部の下端にブリーザプレートを取付けて
   該ブリーザプレートと前記シリンダヘツドカバー
   上壁部との間にブリーザチヤンバを形成する内燃
   機関のブローバイガス還元装置において、 前記シリンダヘツドカバー上壁部に下方へ突出
   させて筒状のオイルフイラーキヤツプ取付口を形
   成し、 該取付口に取付けられるオイルフイラーキヤツ
   プを、フランジ状の操作部と、該操作部下部に形
   成され前記取付口の閉塞を自在とした取付部と、
   該取付部に形成され下方に開放状の凹部とで構成
   し、 前記ブリーザプレートの前記オイルフイラーキ
   ヤツプ取付口に対応する部分に上方へ突出させて
   筒状のオイル注入口を形成し、 前記オイルフイラーキヤツプ取付口下端とオイ
   ル注入口上端との間に所定隙間を形成し、 前記オイル注入口から前記隙間に流れ込むブロ
   ーバイガスに対して横方向からブローバイガスを
   流入させ、これらのブローバイガスの流れを乱す
   とともにこれらのブローバイガスを前記オイルフ
   イラーキヤツプ取付口及びオイル注入口に衝突さ
   せるブローバイガス流入口を前記垂壁部に設けた
   ことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元
   装置。